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まだ知らない人・新谷キヨシを聴く
Kiyoshi Shintani Works
【2001.08.14.】【2002.07.05.追記・訂正】

【2002.07.05.】
・中岡秀樹監督作品関連、『大阪ストラット』サントラ盤と『@パンチドランカービルディング』出演について追記。

【2002.07.03.】
・サードアルバム『はれ』の紹介を追記。
・公式サイト「はじめにきよしの牛歩日記」URL変更にともない、訂正。


新谷キヨシ(新谷聖、しんたに・きよし)さんは、京都在住のピアノ/アコーディオン/ピアニカ奏者です。
サキタハヂメ(嵜田はじめ)さんとのデュオ・はじめにきよし、ビジリバの古太郎さん・船戸博史さんとのトリオ、ウィルキンソン・ブラザースなどで活動されています。
はじめにきよしにしても、ウィルキンソン・ブラザースにしても、最初はいっしょにやっている人への関心から知りました。
つまり、「知らない人」がひとりいるという状態だったのです。
でも、聞いているうちに、その知らない人の演奏がとても気になるようになりました。
何度か演奏に接しているいまでも、「知っている」わけではないのです。
気になる存在は、新谷さんの曲のタイトルを借りれば、「まだ知らない人」であり続けると思います。

新谷さんの音楽は、とてもおおらかで雄大です。「風景が見える音楽」とは、ご自身の弁ですが、そう思います。
それに、付けられたタイトルから察せられるように、どこか、ほんの少し、センチメンタルです。
でも、毅然とした迫力も感じます。
演奏について、ピアソラの名が時折引かれるのは、そんなところに由来しているのでしょう。
ちょっと清まし気味のソロも、他の人と絡んでいるときの穏やかな表情もとても良いと思います。
ピアニカを演奏しているのは、「感動した風景を音楽で表現するには、シンプルな音色とメロディーのほうがいい」からだそうです。

わたしがはじめて新谷さんの演奏に接したのは、2000年3月の磔磔で、はじめにきよしを見たときです。
サキタさんの演奏にはそれよりも前に接したことがあり、はじめにきよしの噂も気になっていたのですが、なかなか機会がありませんでした。
おふたりの絶妙な会話のやりとりに爆笑しつつ、すっきりしているのに雄大な演奏にうっとりさせられました。
とくに、「大陸から来た人々」には、背筋にぞぞぞぞっとくるものが。5分間の大河ドラマでした。
休憩時間に、そこにあったもの全部(はじめにきよしのカセット2本と新谷さんのカセット1本)、買ってしまいました。
「大陸から来た人々」は残念ながら、それらには入っていなかったのですが、タイトル通り「魅惑の楽曲」ばかりでした。
(「大陸から来た人々」は、その後、ウィルキンソン・ブラザーズの演奏で、CD化されています。)

そんなわけで、紹介すると言うよりも、新谷さんの音楽をもっと聞きたい、知りたいという気持ちで、略年譜や作品歴をまとめてみました。
折り紙アーティストとしての面もあるそうです。いつか作品を見る機会があればと思います。

ところで、サキタさんは、無料音楽誌「ジャングル・ライフ」に「はじめにきよしの大あくび小あくび」というエッセイを連載されています。
お二人のなれそめなども綴られていたように記憶していますが、残念ながら、手元に残しておらず、読み返すことができません。
Web版「ジャングル・ライフ」にも、「大あくび小あくび」は掲載されていないので、残念です。

新谷キヨシさんのスケジュールは、はじめにきよしの公式ページ「はじめにきよしの牛歩日記」で紹介されています。
ウィルキンソン・ブラザーズ、はじめにきよしだけでなく、アコーディオンソロ、ピアノソロ、さまざまな人たちとのユニットで活動されています。
▼「はじめにきよしの牛歩日記」
http://www.hajikiyo.com/
 


略年譜

フリーペーパー「月刊FREE FISH」2000年10月号(19号)に掲載された「はじめにきよし略年表」をもとに、同誌のインタビューでの発言等を加えて、作成しました。
もとの年表は、脱力するような世相を盛り込んでいて、とても面白いです。
 

1964 ・京都に生まれる。

1968 ・3歳にして、作詞・作曲を行う。

1969 ・クラシックピアノを習い始める。

1982 ・大学に入学し、キーボード奏者として、さまざまなジャンルのバンドに参加。変拍子のプログレッシヴロックやテクニカルなフュージョンを演奏されていたらしい。

1988 ・就職後、アコースティックユニット「ウィルキンソン・ブラザーズ」結成。ウイルキンソンは、辛口ジンジャエールの「ウィルキンソン・ジンジャエール」にちなんだものとか。
※ウィルキンソン・ジンジャエールについては、「ウィルキンソン・ジンジャエール愛好会」という詳しいファンページがありますので、ご覧ください。新谷さんも、ファンとしてコメントを寄せておられます。
▼ウィルキンソン・ジンジャエール愛好会
http://homepage1.nifty.com/merino/wilkinson/

1994 ・アコーディオンを独学でマスター。

・ピアノソロ、アコーディオンソロでの活動を開始する。

・勝野タカシ氏の京都「アザーサイド」でのライヴにアコーディオンで参加した折に、対バンとして出演していたサキタハヂメとゴヒローオーケストラのサキタハジメ氏(ギター、のこぎり)と出会う。

・サキタ氏の新バンド、のこぎりオーケストラにアコーディオンでゲスト参加するようになる。


1995 ・サキタ氏と「はじめにきよし」結成。初ライヴは、京都の喫茶店パチャママ。最初は、アコーディオンだったのが、すぐにピアニカ中心になる。

1998 ・はじめにきよし、ファーストカセット『魅惑の楽曲』発売。

・ウィルキンソン・ブラザーズ、ファーストCD『ナイルの上流で牛を裁く』発売。


1999 ・ファーストソロカセット『僕のピアノ』発売。

・はじめにきよし、セカンドカセット『散歩の友』発売。

・演劇『日曜日』に俳優として出演。

・セカンドソロカセット『COMFORT』発売。


2000 ・NHK教育テレビ「天才テレビくんワイド」の「ミュージックテレビくん」コーナーに出演。つじあやのの「タンポポ」を、番組出演者の男の子がカバーするビデオに、ピアニカを吹く男として登場します。この曲は、このコーナーを特集したCDにも収録されています。CDにも新谷さんの演奏が入っているそうです。
ときどき、再放送されているようです。

・10月、はじめにきよし、ファーストCD『はじめにきよし』発売。


2001 ・5月、はじめにきよし、セカンドCD『いえ』発売。

・5月、ウィルキンソン・ブラザーズ、セカンドCD『大陸から来た人々』発売。

・中岡秀樹監督の短編映画『@パンチドランカービルディング』に俳優として出演。

2002 ・5月、はじめにきよし、サードアルバム『はれ』発売。

 


ディスコグラフィ

新谷さんが演奏されている楽器をメモしてみました。
聞き取りによるところは、少々あやふやなところがあります(ピアニカとアコーディオンの区別が・・・面目ない)。
楽器一覧(小さいもの順):
 ピアニカ
 アコーディオン
 その他のキーボード(電子キーボードなど)
 ピアノ
 


●ウィルキンソン・ブラザース WILKINSON BROTHERS
思わず口ずさんでしまう懐かしく、親しみやすいフレーズと、はっとさせられる独特のメロディがスリリングに交錯するアコースティックトリオ。1988年結成。
ギターの古太郎氏、コントラバスの船戸博史氏は、ビジリバのメンバーです。
2枚のアルバムが、F.M.N.サウントファクトリーから発売されています(ファーストアルバムは、現在品切中とのこと)。
▼F.M.N. Sound Factory http://www5a.biglobe.ne.jp/~FMN/
 
 
ナイルの上流で牛を裁く
CD, F.M.N. Sound Factory FMC-014 (1998年5月1日発売) 完売につき品切中
新谷聖: piano, accordion, pianica
船戸博史: contrabass
古太郎: guitar
1. 異国の地にて
2. 雫朝日に泥濘枯れ松葉
3. 猫が来た
4. 気になるものがあるよ
5. 月明かりで書を読む女
6. 猫の散歩
7. ナイルの上流で牛を裁く
8. 泉の園
9. クラウド
10. そして猫がいなくなった
11. 遠き思い出
12. めくるめく車窓
13. 君を前にすると言葉も出ない
 
1988年結成のウィルキンソン・ブラザーズ、10年目のファーストアルバム。「超稀刊 ふなとふぁん 第1号」(1998年9月10日発行)に紹介されているのを見たものの、転載された「FM fan」のレビュー記事(松山晋也氏執筆)に、「パスカル・コムラードやクリンペライ」、「遊び心満載」とあることから、ドラジビュスのようなものを想像して、警戒してしまったのでした。ドラジビュスはドラジビュスでいいけど、たくさんはいらない、と思って。せっかくの参考アイテムが、あだになってしまったわけです。
古太郎さんの歯切れのよいギター、船戸さんの弓弾きに、新谷さんのドラマティックなピアノがからむと、つい、「ヘンリー・カウを叙情的にしたようなかんじ」と言ってしまいそうになるけれど、ヘンリー・カウと聞くと、ややこしーものを連想して、警戒する人もいるかもしれないから、むずかしい。
おもろうて、やがて哀しき「猫」シリーズは、セカンドアルバムやはじめにきよしのアルバムに続いていきます。

 
 
 
大陸から来た人々
CD, F.M.N. Sound Factory FMC-020 (2001年5月21日発売)
新谷キヨシ: piano, accordion, pianica
船戸博史: contrabass
古太郎: guitar
1. 大草原へピクニック そして冒険
2. ある月夜、海に漕ぎいで石を放つ
3. だまし絵
4. 子供のころ見た不思議な風景
5. 赤信号で渡る老婆
6. 気楽にゆこう
7. 親が死んでも踊る道化師
8. 幻城
9. 曇り硝子
10. ふたたび帰ってきた猫
11. のらしごと
12. 幻の湖をもとめて
13. 大陸から来た人々
14. 白い朝
 
3年ぶりのセカンドアルバム。新谷さんの演奏をはじめて聞いたときに、強く印象づけられた「大陸から来た人々」が、タイトルトラックとして収められています。雄大な風景だけでなく、入り組んだ迷宮に迷い込んだり、不思議なひとたちの姿に驚かされたりと、1曲目で告げられているように、「冒険」的な作品集になっています。

 
 
 


●はじめにきよし
ギターとピアニカというシンプルな編成で、「ジャンルわけするなら、う〜ん鼻歌!」と自ら言ってしまう肩の力の抜けたシンブルな演奏を聞かせるデュオ。
ギターのサキタハヂメ氏は、弓弾きの「のこぎり」奏者としても知られ、はじめにきよしでも、いくつかの曲で、のこぎりの演奏を聞くことができます。
自主制作カセット2本(現在、品切中)につづいて、自身のレーベルから、2枚のCDを発表しています。
▼「はじめにきよしの牛歩日記」 http://www.hajikiyo.com/
 
 
 
魅惑の楽曲
Cassette (1998年5月頃発売) 完売につき品切中
サキタハジメ: guitar, nokogiri (musical saw), vocal
シンタニキヨシ: pianica
Side A
1. はじめにきよしのテーマ
2. たたかう文鳥
3. 子供の頃
4. 燃ゆる想い(タンゴ)
5. 雪降る夏のある日
6. 中国の朝 (のこぎり)

Side B
7. 山歩き (唄入り)
8. 酒のおっさんが酒もって買いに (唄入り)
9. 月夜に君の口ずさむメロディーを聞きながら
10. カット先生空をゆく
11. SPRING SPRING
12. オリーブグリーン

 
魅惑のファーストアルバム。横山ホットブラザーズかというかんじのテーマ曲「はじめにきよしのテーマ」に、お笑い系かと早合点してはいけません(ライヴに笑いが絶えないのは確かですが)。二人きりのライヴそのままのシンプルでしっかりした演奏で、ほんわかした曲から、ラテンな曲、叙情的な曲、晴れやかな楽しい曲など、さまざまな音楽を聞かせてくれます。のこぎりとピアニカの共演による「中国の朝」、唄もの2連発は、聞きものです。
「オリーブグリーン」は、ファーストCD『はじめにきよし』で、「SPRING SPRING」は、セカンドCD『いえ』で、それぞれ再演されています。

 
 
散歩の友
Cassette (1999年4月頃発売) 完売につき品切中
サキタハジメ: guitar, nokogiri (musical saw), vocal
シンタニキヨシ: pianica
おもて
1. ナップサック少年
2. 草原を渡る風を見た
3. たべるたべるたべられる
4. 何か足りないよ
5. 山の冬
6. 窓辺のねこがのびをした。

うら
7. 気楽にわらう
8. 足なみそろえて
9. Shadow
10. まだ知らない人
11. 雪ふりやんだ午後に
12. 夕暮れ時豆腐屋が通る

 
散歩のお供にぴったりの(そのまんまやな)のセカンドアルバム。『魅惑の楽曲』同様、基本的にギターとピアニカだけによるシンプルで落ち着いた演奏を聞かせてくれます。「夕暮れ時豆腐屋が通る」など、ピアニカの澄んだ音色が印象的です。
「窓辺のねこがのびをした。」は、ウィルキンソン・ブラザーズで聞ける「猫」シリーズのひとつでしょうか。「まだ知らない人」は、新谷さんのソロカセット『僕のピアノ』に収められていた曲。オーバーダビングにより(とわざわざ断るのも時代錯誤ではありますが)ギターとピアニカに、のこぎり、さらにもうひとつのピアニカが重ねた「雪ふりやんだ午後に」の勢いのある演奏も楽しい。

 
 
 
はじめにきよし
CD ゴヒロウ本舗 GOHK-2000 (2000年10月10日発売)
サキタハヂメ: guitar, nokogiri (musical saw)
新谷キヨシ: pianica, piano
1. あの子とあしたはピクニック
2. 青空
3. シンガポール・スリリング
4. 一番大切なこと
5. やさしい気持ちで
6. ゆっくり歩く
7. オリーブグリーン
 
カセットデッキを持っているひとが少ないということに気が付いて(ご本人談)、ついに制作されたファーストCD。制作日数3日(録音2日、ミックスダウン1日)らしい。
「出勤前に聞くと、仕事をする気がなくなる」とは、発売当時、ライヴで語られていたことですが、仕事をする気はなくなるけど、どこかに出かけたい気持ちは強くなる、そんな作品でいっぱいです。
「オリーブグリーン」は、カセット『魅惑の楽曲』収録曲の再演バージョンです。また、「やさしい気持ちで」は、新谷さんのソロカセット『僕のピアノ』に収められていたもののはじめにきよしバージョン。
ジャケットは、みやざき三歩(みほ)さんの刺繍によるもので、「紙ずもう&牧場経営キット」となっています。詳しくは、開けてからのお楽しみ。(もったいないので、組み立てたことがありません)。

 
 
いえ
CD ゴヒロウ本舗 GOHK-2001 (2001年5月31日発売)
サキタハヂメ: guitar, nokogiri (musical saw)
新谷キヨシ: pianica, piano
1. 流れる雲
2. ポトフ
3. あした話そう
4. 新しい生活
5. 雨あがりの帰りみち
6. 時計どおり
7. 雨
8. 今夜はカレー
9. spring spring 〜誰もいない河原を君とどこまでも〜
10. いつでもいつまでも
 
前作『はじめにきよし』の帯で予告されたビックリシングル(2001年3月3日発売予定だった)が発展し、堂々、アルバムとして完成した通算4作目のセカンドCD。夕方の、あちらこちらの「いえ」から、なんともおいしそうな夕飯を準備する匂いのように、家路を急ぎたくなる作品がたくさん収められています。
「あした話そう」は、西田敏行氏が出演していたNTT西日本の割引サービスのCM曲、また、「雨」は、土田英生作・演出の芝居『その鉄塔に男たちはいるという』のイメージソングとのこと。「SPRING SPRING」は、カセット『魅惑の楽曲』収録曲の再演バージョンです。
ジャケットは、いぬんこ(犬島由香)さんのイラストによるもので、「夢のマイホームセット」となっています。詳しくは、開けてからのお楽しみ。(もったいないので、組み立てたことがありません)。
【2002.07.03.追記】
「今夜はカレー」が、2002年NHK「上方演芸ホール」のテーマ曲に採用されました。

 
 
はれ
CD ゴヒロウ本舗 GOHK-2002 (2002年5月20日発売)
サキタハヂメ: guitar, ukulele, guitalele, musical saw, toy-percussion, cup
新谷キヨシ: pianica, piano, accordion, keyboard
--------------
中村岳: drums (「あめ玉をもらった女の子」、「惑星ドロップス」), percussion (「惑星ドロップス」、「Train Song」)
山村誠一: percussion (「惑星ドロップス」、「Train Song」)
赤松洋一: percussion (「惑星ドロップス」、「Train Song」)
山下ジュン: percussion (「惑星ドロップス」、「Train Song」)
中村尚美: contrabass (「丘の上で」、「想い出の場所へ」、「あめ玉をもらった女の子」)
高岡大祐: tuba (「惑星ドロップス」)
みやけかおり: vocal (「子供の不思議」)
1. 丘の上で with 中村尚美: contrabass
2. ポットでお茶を
3. 想い出の場所へ with 中村尚美: contrabass
4. あめ玉をもらった女の子 with 中村岳: drums、中村尚美: contrabass
5. もう忘れたよ
6. ホットミルク
7. Shadow
8-10. ねこの風景
         i    いたずらねこ  (8)
         ii   にげるねこ  (9)
         iii  ひなたのねこ  (10)
11. 満天の星を見上げながら
12. 子供の不思議 with みやけかおり: vocal
13. 惑星ドロップス with 中村岳: drums & percussion、山村誠一・赤松洋一・山下ジュン: percussion、高岡大祐: tuba
14. Train Song with 中村岳・山村誠一・赤松洋一・山下ジュン: percussion
15. はなれていても
16. 君を想って月をみた
 
たくさんのゲストを迎えているだけでなく、サキタさんはウクレレ、新谷さんはアコーディオンやピアノとさまざまな楽器を導入したサードアルバムです。アコーディオンソロ(「ねこの風景」)やピアノソロ(「はなれていても」)もあります。多重録音やエフェクトなど、録音ならではの技も活かされています。これまではストイックなまでに「はじめにきよし=ギターとピアニカのデュオ、ときどきピアノやノコギリも」であり、録音物は基本的にはライヴと同じように聞こえることが前提になっていたのが、どんなかたちでも「はじめにきよし」の音楽であると言えるような地点を見つけた、というような見晴らしのよさ、風通しのよさを感じます。
「想い出の場所へ」や「もう忘れたよ」の丁寧に作り込まれたシンプルさ(形容矛盾のようですが、そうとしか言えません!)、「満天の星を見上げながら」(新谷さんのソロカセット収録曲の再演)の懐かしさを呼び起こす音のてざわりなど、聞く歓びが味わえる一枚です。最後は、ライヴで人気のある「君を想って月をみた」。
女性ヴォーカルがキュートな「子供の不思議」は、NHK教育テレビの番組『小学3年生の理科/ふしぎいっぱい』のための曲です。「Shadow」は、カセット『散歩の友』収録曲の再演。

 
 
 


●新谷キヨシ
ピアノソロ作品集と、電子キーボード作品集の2本のカセットを発表されています。
 
 
僕のピアノ
Cassette (1999年1月1日録音) 完売につき品切中
新谷キヨシ: all performance
Side A
1. 1999
2. 大地の声
3. やさしい気持ちで
4. Sipi Part 1
  うたたね
  悲しい目
  暖炉のある部屋
5. さかな
6. まだ知らない人

Side B
7. 元気をくれる人
8. Decode
9. Sipi Part 2
  遠くで子供の声
  つぼみ
  静かな部屋に水槽の空気ポンプの音だけ
10. 未来に向って

 
アコーディオンやピアニカとちがって、ステージにいっしょにあがることができない新谷さんの自宅のピアノで作られたピアノソロ集。クラシック音楽にはくわしくないので、厳密にはまちがった表現かもしれませんが、とてもロマンティックな作品だと思います。アップライトピアノを弾く新谷さんが描かれた布が貼り付けられたジャケットからも、やさしい手触りが伝わってきます。
「まだ知らない人」は『散歩の友』に、「やさしい気持ちで」は『はじめにきよし』に、はじめにきよしバージョンが収められています。

 
COMFORT
Cassette (1999年7月録音) →ライヴ会場で販売されています。お問い合わせは、新谷キヨシさん kiyoshi@mbj.sphere.ne.jpまで。
Kiyoshi Shintani: all performance
Side A
1. I Found It
2. 山に雨がしみこんでゆく
3. 風の強い日には凧をあげよう
4. After Quarrel
5. 満天の星を見上げながら

Side B
6. 元気アゲル
7. 遠くで手をふる人
8. 雑踏の中で
9. 夏の思い出
10. Comfort

 
ピアノソロ集だった前作とはうってかわって、電子キーボードを駆使して作られたセカンドソロ。リズムボックスの音やまるっこい、あるいはきらきらした電子キーボードの音が新鮮に聞こえます。懐かしい、タイトル通り、ホッとさせられるメロディとサウンドは、かつてNHK-FMで深夜に放送されていた「クロスオーバーイレブン」の雰囲気(曲と曲のあいだのナレーションを含めて)を思い起こさせるところがあります。

●その他
 
 
大阪ストラット (オリジナルサウンドトラック)
CD (CD-R), Passage SVLC-105001 (1999年6月発売)
サキタハジメ: guitar, conductor
新谷キヨシ: accordion
木幡潤: bass
大迫明: trombone
峰崎芳樹: trumpet
赤松洋一・安藤弘・正木健一: percussion
※40名からなる Chorus 陣については割愛させていただきます。すみません。
 
1. OSAKA STRUT THEME [Opening]
2. リズム
3. 楽しいお仕事
4. 「ワタシハスミノエクミン」
5. 「穴」
6. OSAKA STRUT THEME [Ending]
7. 「ワタシハスミノエクミン」 [Remix]
 
中岡秀樹監督・脚本・編集の映画『大阪ストラット』(55分、1999年「プラネット映画祭'99」上映作品)のサウンドトラック盤。音楽をサキタハヂメさんが担当しています。セリフをコラージュしたり、大人数でのコーラスがついたり、ラテン調の曲が暴走気味で楽しい。テーマ曲と「穴」に、アコーディオンで新谷キヨシさんが参加。とくに「穴」は、サキタさんとのデュオ、つまり「はじめにきよし」による編曲・演奏で、ピアソラの古いSP盤を思わせるようなしっとりとした曲になっています。
▼Passage Label web site
http://www.svlnet.com/passage/

中岡監督作品では『初恋クレイジー』(63分、2001年)でもサキタハヂメさんが音楽を担当されています。
また、「関西電力BBit-kansai 2002/ブロードバンドコンテスト」でグランプリを受賞した『@パンチドランカービルディング Ver.6 』(12分、2001年2002年)には、新谷キヨシさんが俳優として参加されています。


 
@パンチドランカービルディング
film (2002年公開)
監督・脚本・編集:中岡秀樹
撮影:長谷川博
録音:井村剛
照明:大石勝己
アシスタント:吉田亜希 ほか
出演:山本禎顕、新谷キヨシ、HIX、高橋ヒロ、ヨーコ、他
 
「関西電力BBit-kansai 2002/ブロードバンドコンテスト」でグランプリを受賞した中岡秀樹監督・脚本・編集の短編映画『@パンチドランカービルディング Ver.6 』(12分、2002年)には、新谷キヨシさんが俳優として参加されています。最終バージョンではない Ver.2(15分、2001年)を、「ヴィジラ」というサイトで見ることができます。
▼ヴィジラ  Vizilla: short movie
http://www.vizilla.com/

 



 

【2002.07.05.】
・中岡秀樹監督作品関連、『大阪ストラット』サントラ盤と『@パンチドランカービルディング』出演について追記。

【2002.07.03.】
・サードアルバム『はれ』の紹介を追記。
・公式サイト「はじめにきよしの牛歩日記」URL変更にともない、訂正。

【2001.08.19.】(新谷キヨシさんから情報をいただき、下記の点を訂正しました。)
・「異国の地にて」、「君を前にすると言葉も出ない」、「夏の思い出」の演奏楽器を訂正。
・「天才テレビくんワイド」のCDに収録された演奏が、新谷さんによるものであることを追記。
・ソロカセットの販売について追記。
 
 

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