目次に戻る

80年代までのスティーヴ・ヒレッジ
STEVE HILLAGE IN THE SAUCER SURFIN' YEARS
【2000.08.22.】【2003.07.11.追記】 追加・修正内容については、末尾をご覧ください。

1990年以降はアンビエント・ハウス/テクノの分野で活動しているスティーブ・ヒレッジは、かつては独特の音色で知られるギタリストでした。
同時に、リリカルでポップなメロディを作るシンガー・ソングライターでもあり、明るいわりに気の弱そうな歌声とともに、とても好きでした。
ギタリスト/シンガー・ソングライターだった頃のスティーヴ・ヒレッジの活動と作品をまとめてみました。
1995年12月にコピー誌として発表した年表の増補改訂版です。

[2003年7月11日追記]
70年代のスティーヴ・ヒレッジ作品からピックアップしたベスト盤が、2003年7月28日に発売されます。
アルバム未収録曲の発掘や選曲について不満はあるものの、この時期の作品をまとめたベスト盤の登場は初めてです。
なお、通常CDと、コピー防止策を盛り込んだために、CDプレイヤーでの再生が保証されていない Copy-protected CD(CCCD)の2種類での発売になるようです。
---------------------------------------------------------------------
"LIGHT IN THE SKY: INTRODUCING... STEVE HILLAGE" (EMI/Virgin INTROCD 6)

1. Sea-Nature [GREEN]
2. Ether Ships [GREEN]
3. Electrick Gypsies [L]
4. Light In The Sky [MOTIVATION RADIO]
5. Castle In The Clouds/Hurdy Gurdy Man (Live) [LIVE HERALD]
6. The Salmon Song [FISH RISING]
7. Palm Trees (Love Guitar) [GREEN]
8. Shimmer [B side of "Hurdy Gurdy Man" single]
9. It's All Too Much/The Golden Vibe (Live) [LIVE HERALD]
10. Saucer Surfing [MOTIVATION RADIO]
11. Activation Meditation / The Glorious Om Riff [GREEN]
※曲目は、HMV Japan サイトに掲載されている予定曲です。出典については、きじまが予測で補足しました。
---------------------------------------------------------------------
 

(資料整理・文 きじま こう)
 
 
 

1967 - 1969
Uriel/Arzachel
1971 - 1972
Khan
1972 - 1973
Gong / Flying Teapot
1973 - 1974
Gong / Angels Egg
1974
Gong /You
1975 - 1976
Fish Rising
1976 - 1977
L
1977
Motivation Radio
1978
Green
1978 - 1979
Live Herald
1979
Rainbow Dome Musick
1979
Open
1983
For To Next/And Not Or
Contents 1990 -
System 7
参考文献

 


Uriel/Arzachel (1967 - 1969)
1967年
1951年8月2日生まれのスティーヴ・ヒレッジ (guitar) は、シティ・オブ・ロンドン・スクールの同級生、モント・キャンベル (bass, guitar, piano) とバンドを結成。すぐに、同じく同級生のデイヴ・スチュワート (organ) が加わる。
スチュワートによれば、当時のヒレッジはエリック・クラプトン・スタイルのブルージーなギタリストであり、その演奏を耳にして、スチュワートはギターでの参加を断念、オルガンに転向したとか。
バンドのレパートリーは、ジミ・ヘンドリックス、ナイス、フリートウッド・マック、クリームなどのコピーだったらしい。
デイヴ・スチュワートは、この頃の思い出を歌った "My Scene" という曲を、スチュワート/ガスキンの1990年作品 "THE BIG IDEA" (Broken/Midi 28MD1065) で発表している。

1967年11月
キャンベル/ヒレッジ/スチュワートのバンドは、メロディ・メイカー誌に出した募集広告に応募してきたクライヴ・ブルックス (drums) を加えて、バンド名をユリエルとし、「プログレシッシヴ・サイケデリック・ブルーズ・バンド」として本格的な活動を開始する。バンド名は、ミルトンの『失楽園』に出てくる天使の名から付けられている(文学用語としては、「ウリエル」と表記することが多いらしい)。
ユリエルは翌1968年の夏にかけて、フェアポート・コンベンションやクレイジー・ワールド・オブ・アーサー・ブラウンの前座をつとめるなどした。また、モント・キャンベルが作曲した"Egoman"とホルストの"Saturn"を演奏したデモ録音を制作している(未発表)。

1968年7月
ヒレッジが、ケント州カンタベリーにあるケント大学に進学するため、ユリエルを脱退。
ヒレッジ脱退後、ユリエルは、サイケデリック・ムーヴメントの拠点のひとつであったミドル・アース・クラブにトリオで出演するようになり、バンド名をエッグと変えた。
エッグは、デッカ傘下のデラムレコードと契約して、1968年8月にシングル、"Seven Is A Jolly Good Time" (Deram DM269)でレコードデビューする。

1968年夏
ケント大学で歴史と哲学を専攻する。在学中は特定のバンドを組んで本格的な演奏活動を行うことはなかったが、同じ大学のフォークロックバンド、スパイロジャイラ(バーバラ・ガスキン在籍)や、カンタベリーを拠点に活動していたソフト・マシーンやキャラバンのメンバーと知り合い、セッションに参加するなどしていたらしい。

1969年
エッグが、パキスタン出身のザク氏が運営していたマイナー・レーベルから250ポンドで請け負った「サイケデリックなアルバム」の制作にギタリストとして協力する。エッグの契約先デッカに内緒だったので、メンバー名もバンド名もでたらめな変名だったが、エッグの3人+ヒレッジとなれば、幻のユリエルの再編であり、いまとなっては、貴重な記録になっている。4人は、ユリエルスタイルのいかにもサイケな曲を作り上げ、一日で録音した。
ヒレッジはヴォーカルも披露しているが、とりわけ、"Garden of Earthly Delights" では、ヒレッジのその後の作風そのままの伸びやかなヴォーカルとトーンコントロールされたギターを聞くことができる(オムニバス "CIRCUS DAYS VOL.1" で初めて聞いたときは興奮しました)。一方、ロバート・ジョンソンのブルーズを改作した "Legs" では、スチュワート言うところの「エリック・クラプトン・スタイルのブルージーなギタリスト」の姿が確認できる。録音は、アーザチェル(天文用語としては、「アルザケール」と表記することが多いらしい)というバンドのアルバム "ARZACHEL" (Evolution Z1003) として発売された。
湯浅学氏が「ハナクソを顕微鏡で覗いたような」とケッサクな評を寄せたカバーイラストは、デイヴ・スチュワートの手になる“らくがき” (キャスパーも描かれているので、探してみよう!)。なお、アーザチェル(アルザケール)とは月のクレーターの名前で、モント・キャンベルがトイレに貼ってあった月面が描かれたポスターを見て思いついたのだとか。1969年らしいエピソードです。

Arzachel "ARZACHEL", lp/cdlp
(Evolution Z1003)

Side 1:
1. Garden of Earthly Delights
2. Azathoth
3. Queen St. Gang
4. Leg
5. Clean Innocent Fun

Side 2:
6. Metempsychosis

オリジナル盤はものすごいプレミア価格がついていますが、デイヴ・スチュワートが監修・解説した正規の復刻CDが1994年に出ました(Drop Out DOCD 1983)。それ以前に、赤紫色で印刷されたものがアナログとCDで出回っていますが、これは1曲目のイントロがフェイドインで入ってくる粗悪なブートレッグなので、ご注意を(わたくし、しっかり、ひっかかりました)。正規の復刻CDは、水色で印刷されています。オリジナル盤はどうだったか……いちど中古盤店の壁に貼ってあるのを見たことがあるのに、思い出せない!

[2003.7.11.追記] アルバム "ARZACHEL" の発売元について、「(デイヴ)スチュワートの記憶では「ゼル」となっている」と記した件について
"ARZACHEL" の各国盤を入手されている井上肇さんから、情報をいただきました。オリジナル盤には、「EVOLUTION is a division of Zel Records」と表記されているそうで、スチュワートの記憶も、参照したレコードコレクター誌の "RARE RECORD PRICE GUIDE" の表記も、ともに正しいようです。井上さんによれば、EVOLUTION は、RCAの配給ルートにあるレーベルだそうですが、"ARZACHEL" については、Roulette(アメリカ)、Bellaphone(ドイツ)、CBS(イタリア)、Vogue(フランス)など、国によって、さまざまなレーベルから発売されていたそうです。マイナーレーベルからのアングラ作品というイメージとは、少々異なる事情がうかがえます。


Khan (1971 - 1972)
1971年4月
ケント大学を卒業し、ロンドンに戻り、自らのバンド、カーンを結成する。メンバーはニック・グリーンウッド (bass, vocal)、エリック・ピーチェイ (drums)、ディック・ヘニンガム (keyboards) とヒレッジ (guitar, vocal) の4人。グリーンウッドとヘニンガムは、元クレイジー・ワールド・オブ・アーサー・ブラウン。ヘニンガムはすぐに脱退し、エッグのデイヴ・スチュワート (keyboards) が臨時メンバーとして参加する。

1972年5月
カーンはエッグが所属するデラム・レコードと契約し、デイヴ・スチュワートの全面的な協力を得て制作されたアルバム、"SPACE SHANTY" (Deram SDL-11) を発表する。
プロデュースは、エッグと同様、ニール・スレイヴンが担当した。アルバムは、ヒレッジ作の6曲(うち1曲はグリーンウッドとの共作)を収録している。
ヒレッジが書いた詞には、交信への祈求や仏教説話への言及などが見られる。デイヴィッド・アレンの影響だけでなく、もともとそういう人だったらしい。
なお、スチュワートの担当楽器クレジットに記されている Skyceleste は、スチュワートによれば「スカイセレステって何ですかと聞かれたら、そんな楽器はないよと答えるのを楽しみにして書いた冗談」とのこと。

1972年
ケント大学時代から親交のあったスパイロジャイラのセカンドアルバム、"OLD BOOT WINE" (Pegasus PEG13) に、ファズ・ボックス提供者としてヒレッジの名が記されている。

1972年6月
カーンからニック・グリーンウッドが脱退し、ナイジェル・スミス (bass) が後任ベーシストとして参加する。また、5月にエッグが解散し、それまではゲスト参加だったデイヴ・スチュワートがカーンに正式に加入する。カーンはセカンド・アルバムの準備に入る。

1972年10月
カーンが解散する。セカンド・アルバムのために用意された曲は、後にヒレッジのソロアルバムで使われているらしい。

1972年
この頃、ヒレッジは、クリス・カトラー (drums) が主宰していたコンサート・プロジェクト、オタワ・ミュージック・カンパニーに参加している。他に、ヘンリー・カウやエッグのメンバー、のちにハットフィールド・アンド・ザ・ノースでコーラスを担当したスパイロジャイラのバーバラ・ガスキン、アマンダ・パーソンズ、アン・ローゼンタールらが参加していた。

Khan "SPACE SHANTY", lp/cdlp
(Deram SDL-11)

Side 1:
1. Space Shanty 
    (incl. The Cobalt Sequence and March of the Sine Squadrons) 
2. Stranded: Effervescent Psychonovelty No.5
3. Mixed Up Man of the Mountains

Side 2
1. Driving To Amsterdam
2. Stargazers
3. Hollow Stone: Escape of the Space Pirates


Gong (1972 - 1973)
1972年11月〜12月
ケント大学時代に知り合ったケヴィン・エアーズのバッキング・バンド、デカダンス に参加し、エアーズのフランス・ツアーに同行する。フォンテンブローでのライヴで共演したゴングのデヴィッド・アレンに興味を持ったヒレッジは、エアーズのツアー終了後にデカダンスを脱退し、ゴングに加入した。
エアーズとの共演は2ヵ月の間だけだったが、1973年5月に発表されたエアーズのアルバム、"BANANAMOUR" (Harvest EMS1124)にはゲスト参加し、"Shouting in a Bucket Blues"でリード・ギターを弾いている。このリードギターが素晴らしかったためか、アルバム発売前の4月にBBCラジオに出演した際、本来なら番組用に録音したものを用意するところ、この曲に限り、アルバムバージョンがそのまま放送された。

1972年12月
Giaccomo なるレーベルから発売されたゴングの "CONTINENTAL CIRCUS" (Philips 6332-033) の復刻CDに、ボーナストラックとして、「1972年録音」のライヴ演奏で、"Blues For Findlay" と "Flying Teapot" が収められている。フランシス・モーズが作曲した "Flying Teapot" を演奏していることから、1972年暮れに録音された可能性もありますが、ヒレッジ加入後のものかどうかは不明。
わたしは、この "CONTINENTAL CIRCUS" 復刻CDはブートレッグではないかと疑っています。"CONTINENTAL CIRCUS" は、曲名にも出てくるバイク・レーサー、ジャック・フィンレイを追った記録映画のサントラ盤ですが、レーベル名の Giaccomo とは、そのフィンレイと1970年のグランプリを争ったチャンピアン、ジアッコモ・アゴスティーニの名前です。"CONTINENTAL CIRCUS" には、フィリィップスからライセンスを受け、デジタルマスタリングされたマントラ盤の復刻CDもありますが、先に触れたボーナストラックは収録されていません。

1973年1月
ヒレッジの参加を得て、ゴングが「レイディオ・グノーム・インヴィジブル」3部作の第1部となる"FLYING TEAPOT" (BYG 520 027/Virgin V2002)を録音する(発売は5月)。ヒレッジは、スティーヴィー・ヒルサイドとクレジットされ、spermguitar と slow whale を担当している。ちなみにsperm whale はマッコウ鯨のこと。ヒレッジの持つギター(ストラトキャスター)からの連想と思われる。
ただし、メンバーとしてクレジットされているものの、このアルバムでのヒレッジは、あくまでもゲストと言ってよいと思います。
「レイディオ・グノーム・インヴィジブル」3部作は、ゴングのリーダー、デヴィッド・アレンが別世界「惑星ゴング」における魂の遍歴を描いた神話を音楽化したもので、ゴングというバンドはその神話の語り部という設定になっています。メンバーが変名でクレジットされるのは、神話の登場人物でもあるからです。
Radio Gnome Invisible(見えない電波の妖精)そのものは、惑星ゴングでのコミュニケーションをつかさどるメディアのことですが、「ノーム」ではなく、「グノーム」と発音することについては、大里俊晴氏が、「radiogramme」(X線)のもじりではないかと示唆しています。

1973年2月
"FLYING TEAPOT" の制作中に、主要メンバーである初代サブマリン・キャプテンことクリスチャン・トリッチ (bass)がアレンと対立、ゴングを脱退した。続いて、フランシス・モーズ (bass)、ラシッド・ハウリ (percussions) 、ローリー・アラン (drums) が抜ける。
アレンは、マイク・ハウレット (bass) とピエール・ムーラン (drums) にゴングへの参加を要請。

1973年3月
デイヴィッド・アレンがパートナーのジリ・スマイスとともに一時的にゴングを離れ、スペインのマジョルカ島で静養する。
主要メンバーが次々と離脱していくなかで、残されたティム・ブレイク (synthesizer) とディディエ・マレエブ (sax) はうろたえたらしいが、ブレイクによれば、ヒレッジひとり、アレンの帰還〜バンドの存続を疑っていない様子だったそうです。人の好さがしのばれるエピソードです。
アレン不在のまま、新メンバー、マイク・ハウレット (bass) とピエール・ムーラン (drums) が加入。5人で、5月にかけて「パラゴング」として演奏活動を続けることになった。ハウレットの代わりに、のちに、"SHAMAL" で正式メンバーとなるジョルジ・ピンチェフスキー (violin) が参加することもあったらしい。
ソフト・マシーン作品やR&Bなどをレパートリーとしていたと伝えられていましたが、1995年に、フランスでのライヴ録音が "LIVE '73" (Gas A GAS CD 002) として発売されて、一部が聞けるようになりました。曲名や作者クレジットはかなりいい加減ですが、ゴングの "Fohat digs Holes In Space" とソフト・マシーンの "Why Are We Sleeping ?" を元にしたジャム演奏が収められています。

1973年5月
ゴングが再編される。5月にパリのバタクランで行った演奏が録音され、一部が6月12日にBBCで放送された。この録音は、"LIVE ETC." (Virgin VGD3501、1977年8月発売) 、"LIVE AU BATACLAN 1973" (Mantra 025)、"THE PEEL SESSIONS" (Strange Fruit SFR CD 137、1995年発売) に収められているが、"LIVE ETC." (Virgin VGD3501) では、何故かソロ部分の一部がカットされている。
また、6月12日に放送されたもののうち、"Radio Gnome Direcct Broadcast" と "Crystal Machine" については、バタクランでの演奏かどうか不明。ちなみに、"Radio Gnome Direcct Broadcast"は、デヴィッド・アレンの "DEATH OF ROCK & OTHER ENTRANCES" (Shanghai HAI 201、1982年発売) のCDにボーナストラックとして収められている "Radio Gnome Concert Intro Loop" とほぼ同じもの。

1973年6月
チュニジアのタバルカで開かれた野外フェスティバルに参加したときの録音が、グリージー・トラッカーズから1974年1月に発売された2枚組アルバム "LIVE AT DINGWALLS DANCEHALL" (Greasy Truckers GT 4997) に収められている。このタイトルと内容が一致しない奇妙な企画アルバムでは、ヒレッジは、Stevie Hillside-Village とクレジットされている。
"General Flash Of The United Hallucinations" は、"Zero The Hero & The Witch's Spell" などの即興的な間奏部分をコラージュしたもの。ゴングのライヴを紹介するフィルムのサウンドトラックのような印象すら受ける不思議な編集になっています。
余談になるが、このライヴアルバムに収められているグローバル・ヴィレッジ・トラッキング・カンパニーには、のちにスティーヴ・ヒレッジ・バンドに参加するジョン・マッケンジー (bass) が在籍していた。

1973年6月〜9月
6月〜9月にかけて行われたライヴやラジオ出演時の録音が、"LIVE ETC." (Virgin VGD3501) に収められている。クレジット上では確認できませんが、9月のライヴに、ジリ・スマイスは参加していないらしい。

1973年6月25日
ロンドン、クィーン・エリザベスホールでのマイク・オールドフィールドのコンサートにギタリストのひとりとして、ヒレッジが参加した。オールドフィールドの "TUBULAR BELLS" を生演奏するという試みで、ケヴィン・エアーズやデヴィッド・ベッドフォードらかつての先輩、フレッド・フリスらレーベルメイト、さらにピート・タウンゼントやミック・テイラーといった豪華なゲストが参加した錚錚たるものだったらしい。写真は数葉見たことがありますし、フィルムがあるという話を読んだ記憶もある。いつか発掘を期待したい。
ミック・テイラーと言えば、1975年にローリング・ストーンズを彼が脱退したとき、その後任として噂された人物の中に、ミック・ロンソン等とともに、ヒレッジの名もあったらしい(メロディ・メーカー誌による下馬評)。テイラーはピエール・ムーランとも交流があり(テイラーの1979年のソロアルバム "MICK TAYLOR" のB面は、ムーランズ・ゴング好きにもオススメ)、ギタリストとして、ヒレッジと近いものがあるのかもしれない。

Gong "FLYING TEAPOT", lp/cdlp
(BYG 520 027/Virgin V2002)

Side 1:
1. Radio Gnome Invisible
2. Flying Teapot

Side 2:
3. The Pot Head Pixies
4. The Octave Doctors & The Crystal Machine
5. Zero the Hero and the Witch's Spell
6. Witch's Song / I Am Your Pussy


 
Kevin Ayers "BANANAMOUR", lp/cdlp
(Harvest EMS1124)

 
Paragong "LIVE '73", cdep
(Gas A GAS CD 002) 1995

1. Camembert Psilocybin Flashback  [Fohat Digs Holes In Space]
2. Porquoi dormons nous? (The Gnome Rock Dispensation)
   [Why Are We Sleeping ?/You Can't Kill Me]

 
Gong "THE PEEL SESSIONS", cdlp
(Strange Fruit SFR CD 137) 1995

1. Magick Brother
2. Clarence In Wonderland
3. Tropical Fish / Selene
4. You Can't Kill Me
5. Radio Gnome Direcct Broadcast
6. Crystal Machine
7. Zero The Hero And The Orgasm Witch
   [Zero The Hero & The Witch's Spell]
8. Captain Capricorns Dream Saloon / Radio Gnome Invisible
9. Flute Salad / Oily Way / Outer Temple / Inner Temple

Tracks 4 - 7: recorded on 29/5/1973

"Radio Gnome Direcct Broadcast" と "Crystal Machine" のCD上のトラック分けに誤りがあります。また、"Crystal Machine" は、"FLYING TEAPOT" 収録のものとは別の曲(に聞こえる)で、 途中でフェイドアウトしてしまう。
ところで、"THE PEEL SESSIONS" には、この録音がバタクランのものであるとは書かれていませんが、聞き比べると、同じ演奏のように聞こえます。ジョン・ピールの番組に番組用のオリジナル演奏ではなく、ライヴ録音や別の目的で録音してあった未発表録音を提供する例は他にもあります。ただし、BBCの著作権表示が "LIVE ETC." にないので、疑問ではあります。

 
Gong "LIVE ETC." lp/cdlp
(Virgin VGD3501) 1977

Side 1:
1. You Can't Kill Me
2. Zero The Hero & The Witch's Spell
3. Flying Teapot

Side 2: (曲目省略)
Side 3: (曲目省略)
Side 4: (曲目省略)

Tracks 1 & 2: recorded at Bataclan, Paris, 5/1973.


 
Gong "LIVE AU BATACLAN 1973", cdlp
(Mantra 025)

1. Introduction - Tout va bien
2. Dynamite - I'm Your Animal
3. Tic Toc [Zero The Hero & The Witch's Spell (part 1)]
4. Taliesin [Zero The Hero & The Witch's Spell (part 2)]
5. Inside Your Head
6.You Can't Kill Me
7. Flute Salad
8. Pussy [Witch's Song: I'm Your Pussy]
9. Radio Gnome I & II
10. Flying Teapot
11. Wet Drum Sandwitch [Fohat Digs Holes In Space]
     Encore

Recorded at Bataclan, Paris, 1973.

"Dynamite - I'm Your Animal" の最初の2/3は、ジリ・スマイスによる即興ヴォーカル(スペース・ウィスパーと称される)。レコード化されていない "Inside Your Head" も、スマイスのヴォーカルを中心にした演奏です。

 
Gong etc. "LIVE AT DINGWALLS DANCEHALL", lp
(Greasy Truckers GT 4997)

Side 1: Camel
1. God Of Light Revisited, Part 1, 2 & 3

Side 2: Henry Cow
2. Off The Map
   i. Solo Piano
   ii. Trio
3. Cafe Royal: Solo Guitar
4. Keeping Warm In Winter & Sweet Heart Of Mine

Side 3: Global Village Trucking Co.
5. Look Into Me
6. Earl Stonham (The Gunslinger)
7. You're A Floozy Madame Karma 
    (But I Love Your Lowdown Ways)
8. Everybody Needs A Good Friend

Side 4: Gong
9. General Flash Of The United Hallucinations
10. Part 32 Floating Anarchy

Track 9 recorded at Festival Of Tabarka, Tunisia, 6/1973


 
Gong "LIVE ETC." lp/cdlp
(Virgin VGD3501) 1977

Side 1:
1. You Can't Kill Me
2. Zero The Hero & The Witch's Spell
3. Flying Teapot

Side 2:
4. Dynamite / I Am Your Animal
5. 6/8
6. Est-ce que je suis
7. Ooby-Scooby Dooms-Day Or The D-Day DJ's Got The D.D.T. Blues

Side 3: (曲目省略)
Side 4: (曲目省略)

Track 7: recorded at the Manor, 6/1973 (unreleased single).
Tracks 4-6: recorded at Club Arc-en-ciel, Roanne, 8/1973
Track 3: recorded at the Edinburgh Festival, 9/1973

シングルとして発売しようと録音されながら当時未発表に終わった "Ooby-Scooby Dooms-Day Or The D-Day DJ's Got The D.D.T. Blues" は、"LIVE ETC."CD版には、収録時間の関係で収録されていない。BBCセッションの完全版が出た現在となっては、このカットは悔やまれます。この曲は、アメリカで発売された "ANGELS EGG" のCDに、ボーナストラックとして収録されているそうです。

 


Gong (1973 - 1974)
1973年8月
ゴング、レイディオ・グノーム・インヴィジブル3部作の第2部、"ANGELS EGG" (Virgin V2007) を録音する(発売は12月)。ヒレッジは脱退したクリスチャン・トリッチに代わって、サブマリン・キャプテンの役割を担当しています。
ギターの多重録音で構成されたソロ "Castle In The Clouds"、アレンとともにヒレッジがヴォーカルをとり、独特のリフを展開する "I Niver Glid Before"の2曲のヒレッジ単独作品を含んでいます。また、"Prostitute Poem" はジリ・スマイスと、"Outer Temple" はティム・ブレイクとの共作。

1973年10月
シェフィールドでのライヴ録音が、2枚組アルバム "LIVE AT DINGWALLS DANCEHALL" (Greasy Truckers GT 4997) に収められている。この "Part 32 Floating Anarchy" は、ピエール・ムーランのドラムソロにつづいて、"You Can't Kill Me"  が途中からフェイドインして、また途中でフェイドアウトしていく、というもの。不思議と言うか、不審なトラックです。

1974年1月
1月15日に、BBCのジョン・ピールの番組に出演。19日に放送された録音は、"LIVE ETC." (Virgin VGD3501)  と "THE PEEL SESSIONS" (Strange Fruit SFR CD 137) に収められています。"LIVE ETC." ではカットされていたヒレッジ作の "Captain Capricorns Dream Saloon" は、"THE PEEL SESSIONS" で聴くことができます。
その "THE PEEL SESSIONS" では、放送記録をそのまま転記したせいか、9曲目は "Oily Way" としか記されていませんが、実際には、"LIVE ETC." でカットされていたディディエ・マレエブのフルートソロ "Flute Salad" からつづく "ANGELS EGG" のB面前半をまるごと演奏しています。
このセッションは、1973年12月に抜けたムーランの代わりに参加した元グレアム・ボンド・バンドのダイアン・スチュワート (vocal) とロブ・タイト (drums) の演奏が聞ける現在のところ唯一の録音でもある。二人は1972年にも一時的にゴングに参加したことがある。ダイアン・スチュワートのソウルフルなヴォーカルはゴングの中では異色ですが、張りがあるので、演奏に勢いが感じられます。
ジリ・スマイスの記録によれば、このあとすぐにドラムスがローリー・アランに代わり、さらに1月のコンサートではビル・ブラッフォードが参加していたらしい。他の資料では、ブラッフォードの参加は、1974年の後半になっているのですが。

Gong "ANGELS EGG", lp/cdlp
(Virgin V2007)

Side 1: Yin/Side of the Goddess
1. Other Side Of The Sky
2. Sold To The Highest Buddha
3. Castle In the Clouds
4. Prostitute Poem
5. Givin My Luv To You
6. Selene

Side 2: Yang/Side of the Fun Gods
7a. Flute Salad
7b. Oily Way
8. Outer Temple
9. Inner Temple
10. Percolations
11. Love Is How Y Make It
12. I Niver Glid Before
13. Eat That Phone Book Coda


 
Gong etc. "LIVE AT DINGWALLS DANCEHALL", lp
(Greasy Truckers GT 4997)

Side 1: Camel (曲目省略)
Side 2: Henry Cow (曲目省略)
Side 3: Global Village Trucking Co. (曲目省略)

Side 4: Gong
9. General Flash Of The United Hallucinations
10. Part 32 Floating Anarchy

Track 10 recorded  at Sheffield City Hall, 10/1973


 
Gong "THE PEEL SESSIONS", cdlp
(Strange Fruit SFR CD 137)

1. Magick Brother
2. Clarence In Wonderland
3. Tropical Fish / Selene
4. You Can't Kill Me
5. Radio Gnome Direcct Broadcast
6. Crystal Machine
7. Zero The Hero And The Orgasm Witch [Zero The Hero & The Witch's Spell]
8. Captain Capricorns Dream Saloon / Radio Gnome Invisible
9. Flute Salad / Oily Way / Outer Temple / Inner Temple

Tracks 8 & 9: BBC sessions, 15/1/1974


 
Gong "LIVE ETC." lp/cdlp
(Virgin VGD3501) 1977

Side 1: (曲目省略)
Side 2: (曲目省略)

Side 3:
8. Radio Gnome Invisible
9. Oily Way
10. Outer Temple
11 Inner Temple
12. Where Have All The Flowers Gone

Side 4: (曲目省略)

Tracks 8 - 11: BBC sessions, 15/1/1974


Gong (1974)
1974年3月
ヒレッジが借りたコテージで、ゴングの次のアルバムのためのリハーサルが開始される。ムーランが復帰。

1974年6月
ゴング、レイディオ・グノーム・インヴィジブル3部作の完結編、"YOU" (Virgin V2019) を夏にかけて録音する(発売は11月)。バンドの共作になる8曲は、これまでと比較して、インストゥルメンタル部分に重点が置かれており、ヒレッジの役割が大きくなっている。アルバム前半のクライマックスにあたる"Master Builder"でのヒレッジの演奏は、ゴング・サウンドの完成形のひとつであり、同時にこれ以後のヒレッジの活動の基本となった。また、このアルバムにはヒレッジのパートナーとなるミケット・ジラウディがヴォーカルで参加している。
なお、"YOU" セッションの最後にシングル用に録音されながら当時未発表に終わった "Where Have All The Flowers Gone" が "LIVE ETC." (Virgin VGD3501) に収録されている。

1974年
ゴングのライヴ録音を発掘した "LIVE! SHEFFIELD 1974" (Mantra 042)というCDが発売されていますが、未入手のため、録音月日など内容は不明。
1974年の後半は、2ヶ月ごとにドラムス担当が入れ替わっているので、録音日によってはクリス・カトラーやビル・ブラッフォードの「ゴングとしての録音がない」組、あるいはローリー・アランやピップ・パイルの一時的復帰組の可能性もありますが、そうした特別な演奏だという話は聞いたことがありませんので、おそらく1974年前半のムーラン在籍時のライヴだと思われます。

1974年8月
ハットフィールド・アンド・ザ・ノースに在籍していたデイヴ・スチュワートが企画したエッグの再編アルバム、"THE CIVIL SURFACE" (Virgin/Caroline C1510、発売は1974年11月) の録音にスペシャル・ゲスト・スターとして参加し、"Wring Out The Ground Loosely Now"でギターを弾く。
この企画は、ハットフィールド・アンド・ザ・ノースの好調を受けて持ちあがったソロアルバム制作の打診に対して、デイヴ・スチュワートが提案したもの。制作中止になったエッグのサードアルバムの元になるはずだった1972年2月22日のBBCセッションで演奏されていた "Germ Patrol"、"Writing Out The Ground Loosely Now"、"Enneagram" のリメイクバージョンに、解散後にモント・キャンベルが作曲した吹奏四重奏曲などの新曲が加えられている。

1974年
フランスのキーボーディスト、シリル・ヴェルドー率いるクリアーライトのアルバム、"CLEARLIGHT SYMPHONY" (Virgin V2029) の録音に、ゴングのディディエ・マレエブ、ティム・ブレイクとともに参加する。クリアーライトには、後にヒレッジ・バンドに参加するクリスチャン・ブールが在籍していた。発売は、1975年3月。
このアルバムはCD化 (Mantra 044) された際に、大幅な増補が行われ、ヒレッジらゴング勢が参加したパート1は、「第5楽章」と名付けられた。

Gong "YOU", lp/cdlp
(Virgin V2019)

Side 1:
1. Thought For The Naught
2. A P.H.P.'s Advice
3. Magick Mother Invocation
4. Master Builder
   a. Mistyc Mister Invocation
   b. Zero Seeks To Bring His Vision 
      From Gong Down To Earth Conditions Intact
   c. Zero Asks Hiram The Master Builder 
      How To Structure His Vision
5. A Sprinkling Of Clouds

Side 2:
6. Perfect Mistery
7. The Isle Of Everywhere
    A. The Melting Feast Of Freaks
        The Switch Doctor Turns Everybodies Third Eye On
        But Where Is Zero !
     B. Get It Inner Or Do The Dither 
         For Zero Is Spaced Out On Fruitcake Again
     C. Peace Of Mind Or Piece Of Cake Or Zero Goofs Again
8. You Never Blow Yr Trip Forever
     i. (The more you know, the more you know you...)
     ii. (Earth mother soul brother be high gere now...)
     iii. (A real wierd number is Zero the man...)
     iv. (There's a hole in the morning...)
     v. (It's the world of illusions...)
     vi. (Why don't you try?)
     vii. The Mantram Chant of You

怒涛の如くお祭状態になだれこむゴングの場合、曲の区切りが分かりにくいのは宿命ですが、溝の上では "The Isle Of Everywhere" のBパート "Get It Inner or Do The Dither..." 以降が8曲目 "You Never Blow Yr Trip Forever" となっています。時間表記 (11分24秒) もその区切りにしたがっていますので、参照している手持ちの "YOU" が訳のわからんジャケットイラストのポルトガル盤だからというわけではないと思います。CDのトラック区切りも、同じです。
でも、歌詞にしたがえば、"You Never Blow Yr Trip Forever" は、"Maybe you're here for the giggle" 以降であり、そうすると、"You Never Blow Yr Trip Forever" は7分40秒ほどになるはず。ああ。本人たちは全然そんなこと気にしていないだろうけど。

 
Gong "LIVE ETC." lp/cdlp
(Virgin VGD3501) 1977

Side 1: (曲目省略)
Side 2: (曲目省略)

Side 3:
8. Radio Gnome Invisible
9. Oily Way
10. Outer Temple
11 Inner Temple
12. Where Have All The Flowers Gone

Side 4: (曲目省略)

Track 12 recorded at the Manor at the end of the "YOU" sessions.


 
Gong "LIVE! SHEFFIELD 1974", cdlp
(Mantra 042)

(曲目省略)


 
Egg "THE CIVIL SURFACE", lp/cdlp
(Virgin/Caroline C1510)

 
Clearlight "CLEARLIGHT SYMPHONY", lp/cdlp
(Virgin V2029)


Fish Rising (1975 - 1976)
1974年9月、1975年1月
最初のソロ・アルバム、"FISH RISING" (Virgin V2031)を録音する(発売は1975年5月)。ヒレッジをサポートするSky Drunk Heart Beat Band は、5人のゴング・メンバー、ディディエ・マレエブ Didier Malherbe (saxophone)、マイク・ハウレット、ピエール・ムーラン、ティム・ブレイク  (synthesiser)、ミケット・ジラウディ、旧友のデイヴ・スチュワート、そして同じヴァージン・レコードに所属していたヘンリー・カウのリンゼイ・クーパー  (basoon)。
カーン時代の曲を改作したと思われるポップソングと "YOU" で展開した奔放なリフ中心のインプロビゼイションが「水を得た魚」のように共存している。"Canterbury Sunrise" などで聞けるデイヴ・スチュワートの好サポートも光る。イギリスのアルバムチャートで33位を記録するヒットとなった。
"YOU" ではデヴィッド・アレンのヴォーカルが多少居心地悪そうに聞こえましたが(後年、アレンはこの時期のサウンドを悪夢のようだったと語っている)、ここでのヒレッジのヴォーカルはのびやかで気持ち良さそうです。"YOU" とのサウンドの近似性は、参加メンバーがほとんど同じなので当然ですが、アレンから受け継いだリフの繰り返しを軸にした快楽主義的なアドリブが、ヒレッジによって、トランス効果を持つものとして捉え直され、"YOU" で実を結んだという見方もできます。
このアルバムで、ゴングという枠組の中での自分の感覚を全開させたことで区切りがついたのか、以後の本格的なソロ活動では、こうしたリフ中心のサウンドは抑えられ、人懐っこいキャラクターを活かした「歌」が中心になります。ゴング神話を布教するかのように。

1975年3月
ゴングからティム・ブレイクが脱退する。

1975年4月
ゴングからデイヴィッド・アレンが脱退する。1974年8月から休んでいたジリ・スマイスもそのまま脱退となる。
リーダー不在のまま、バンドは活動を継続する。メンバーたちは、2年前のパラゴングとしての活動と同様に考えていたかもしれない。

1975年
ヴァージン・レコードのオムニバス・アルバム、"V"(Virgin VD2502)にスティーヴ・ヒレッジのソロ "Pentagramaspinn" が収録される。録音時期は不明だが、"FISH RISING" セッションでのアウトテイクではないかと思われる。

1975年9月8日〜9月10日
ゴングのメンバーとともに、ロンドンのマーキークラブに出演し、"FISH RISING" の収録曲とゴングの曲を演奏する。実質的には、スティーヴ・ヒレッジのソロライヴだったのかもしれない。なお、脱退したティム・ブレイクに代わり、パトリス・リモーニュ (keyboards) が加入している。また、"YOU" でピエール・ムーランのアシスタントをつとめたミレイユ・ボウ (percussion) が正式に加入した。
この時の録音から、ゴングの曲が、"LIVE ETC." (Virgin VGD3501、1977年8月発売) に収められている。ソロの部の演奏についても正式発売を期待したい。

1975年12月
新生ゴングのアルバム、"SHAMAL" (Virgin V2046、発売は1976年2月)の録音に参加したのち、ミケット・ジラウディとともにゴングを脱退する。"SHAMAL" の録音にも全面的に参加しているわけではなく、"Windful Of Eyes"と"Bambooji"の2曲でゲストとしてギターを弾いているのみ。

1976年2月17日
旧友デイヴ・スチュワートがハット・フィールド・アンド・ザ・ノース解散後に新たに結成したナショナル・ヘルスのBBCセッションに、フィル・リーの代役として参加する。放送日は、3月1日。
この時の演奏は、"Paracelsus" の最初の2分だけが、ナショナル・ヘルスの3枚のアルバムを2枚のCDに収めた "NATIONAL HEALTH COMPLETE" (East Side Digital ESD80402/412, 1990年発売) で知られていましたが、1996年発売の "MISSING PIECES" (East Side Digital ESD81172) に、"Paracelsus"のフルバージョン、同日収録された "Agrippa"、"The Lethargy Shuffle Part 2" が、収められました。
CDのクレジットでは、アマンダ・パーソンズ参加の "Clocks & Clouds" でもヒレッジが演奏しているように書かれていますが、この曲が演奏された9月の出演にはヒレッジは参加していません。

Steve Hillage "FISH RISING", lp/cdlp
(Virgin V2031)

Side 1:
1. Solar Musick Suite
   a. Sun Song (I love Its Holy Mystery)
   b. Canterbury Sunrise
   c. Hiram Afterglid meets the Dervish
   d. SunSong (reprise)
2. Fish
3. Meditation of the Snake

Side 2:
1. The Salmon Song
   a. Salmon Pool
   b. Solomon's Atlantis Salmon
   c. Swimming with the Salmon
   d. King of the Fishes
2. Aftaglid
   a. Sun Moon Surfing
   b. The Big Wave and the Boat of Hermes
   c. The Silver Ladder
   d. Astral Meadows
   e .The Lafta Yoga Song
   f. Glidding
   g.The Golden Vibe
3. Outglid


 
Steve Hillage etc.  "V" lp
(Virgin VD2502)

Side 1:
1. Yesterday Man - Robert Wyatt
2. Don Alfonso - Mike Oldfield
3. Go And Sit Upon The Grass - Ivor Cutler
4. Overture - Tangerine Dream

Side 2:
5. Marjory Razorblade - Kevin Coyne
6. Looking For The River - Kevin Coyne
7. Mirror Man - Captain Beefheart
8. Upon The My-O-My - Captain Beefheart

Side 3:
9. Extract From The Messiah - Slapp Happy
10. A Worm Is At Work - Henry Cow
11. Sad Sing - Tom Newman
12. Super Man - Tom Newman
13. Semba - Chili Charles
14. Baile (they are gone) - Jabula

Side 4:
15. Extract From Part 1 - Clearlight Symphony
16. Your Majesty Is Like A Cream Donut
     incorporating "Oh What A Lonely Lifetime"
     - Hatfield And The North
17. An Extract from WHITE NOISE II - White Noise
18. Pentagramaspinn - Steve Hillage


 
Gong "LIVE ETC." lp/cdlp
(Virgin VGD3501) 1977

Side 1: (曲目省略)
Side 2: (曲目省略)
Side 3: (曲目省略)

Side 4:
13. Isle Of Everywhere
14. Get It Inner
15. Masterbuilder
16. Flying Teapot (Reprise)

Side 4 recorded at the Marquee Club, 9/1975.

"The Isle Of Everywhere" のBパートである "Get It Inner" を分けて記している。やはり、ここで切れるのか。

 
Gong "SHAMAL", lp/cdlp
(Virgin V2046)

 
National Health "NATIONAL HEALTH COMPLETE", cdlp
(East Side Digital ESD80402/80412) 1990

 
National Health "MISSING PIECES", cdlp
(East Side Digital ESD81172) 1996


L (1976 - 1977)
1976年5月〜6月
セカンド・アルバム、"L" (Virgin V2066)を、トッド・ラングレンのプロデュースで録音する(発売は9月)。ラングレンのバンド、ユートピアの4人のメンバー、ロジャー・パウエル (synthesiser, piano)、ジョン・ウィルコックス (drums)、カシム・サルトン (bass)  がサポートしている。他に、ドン・チェリー (trumpet, tibetan bells, tambura)、ハーディ・ガーディ奏者のソンヤ・マルカインが参加している。ちなみに、カシム・サルトンを加えた第2期ユートピアのメンバーによる最初の録音でもある。
タイトルの"L"は、神秘思想に見られる創造主を祝福する手の形に由来している。
ラングレン起用の意図や経過は不明ですが、理想主義的な考え方や第1期ユートピアの複雑でスリリングな演奏が、ヒレッジの関心を引いたのかもしれない。加えて、60年代のポップサイケに対する嗜好。ドノヴァンとビートルズ(ジョージ・ハリスン)のカバーは、60年代もののカバーを多く収めた同時期のラングレンのアルバム "FAITHFUL" を連想させる。しかし、もっともわかりやすい共通点は、ピラミッド好きだということです。
ラングレンのプロデュースにより、インプロビゼイションは極力抑えられ、安定したアンサンブルの上に歌とギターソロによるメロディが映える音作りがなされている(ただ、ラングレン流のわずかにテンポがずれるドラムは、ヒレッジのギターが流麗な分、多少耳障りに感じられる)。
1976年の暮れにはイギリスのアルバムチャートで10位を記録する大ヒットとなった。

1976年10月
アルバム "L" から初めてのシングル盤 "It's All Too Much" (VS171) が発売される。B面の "Shimmer" はヒレッジ、ジラウディとゴング時代の同僚、ティム・ブレイクの共作によるミニマルなインストゥルメンタル(アルバム未収録)。

1976年後半〜1977年前半
Lバンドと名付けたサポート・バンドを結成し、アルバム"L"の発売にあわせて行われたハイド・パークでのコンサートを皮切りにライヴ活動を開始する。メンバーは、ヒレッジ、ジラウディ、クリスチャン・ブール (guitar)、コリン・バス (bass)、クライヴ・バンカー(drums)、ベイジル・ブルックス (synthesiser, flute)、フィル・ホッジ  (keyboards)の7人編成。イギリス・ツアーの後、エレクトリック・ライト・オーケストラと共に全米ツアーを行っている。
このバンドでの演奏は、1976年12月4日にパリス・シアターで行われた演奏から2曲が "BBC LIVE IN CONCERT" (Windsong WINCD014、1992年発売)に、1977年3月26日にレインボウ・シアターで行われた演奏から7曲が2枚組のライヴアルバム "LIVE HERALD" (Virgin VGD3502, 1979年1月発売)に収められている。
ただ、"BBC LIVE IN CONCERT" は、"Hurdy Gurdy Glissando" のエンディングをカットして、1979年のライヴにメドレーのようにつなげるなど、「統一感」を勝手に意図した杜撰な編集になっているのが残念。BBCの放送内容は、NHK-FMでも放送されたが、"The Salmon Song"、"Hurdy Gurdy Glissando" の順だった。

1977年2月
アルバム "L" からの第2弾シングル "Hurdy Gurdy Man" (VS171、B面は"Om Nama Shivaya")が発売される。

1977年5月28日
パリのヒッポドロームで行われた、ファンの企画によるゴング再編コンサートに出演する。コンサートは昼の2時から夜中の0時までの10時間に及ぶもので、元ゴングのメンバーたちがそれぞれソロ演奏を順に行い、最後にゴングとして演奏した。この日のポスターが、"LIVE ETC." の内袋にスナップ写真に混じって掲載されている(CD版では割愛されている)。
この時のゴングの演奏は、ライヴ・アルバム"GONG EST MORT, VIVE GONG" (Tapioca TP10002)として発表されているが、ヒレッジの名はヴァージンとの契約の問題からか(?)クレジットされておらず、見開きの写真からも顔の部分が切り抜かれている。"LIVE ETC." 発売(1977年8月発売)に対するデヴイッド・アレンのヴァージンに対する抗議(1977年9月1日ヴァージン・オフィス占拠事件)の影響かもしれないけれど、プロデューサーとしてヴァージンに残り、"LIVE ETC." を編集したマイク・ハウレットや、アレン脱退後もゴングを名乗り続けていたピエール・ムーランはちゃんと(変名だが)クレジットされているので、謎です。
また、もともと発表の意志がなかったのか、"LIVE ETC." に対抗して発表したためか、あまり良い録音ではなく、途中でフェイドアウトするなど編集も雑なのが残念。演奏自体は、一時的再編成ということで、多少緩めですが、求心力は感じられる。宇宙観を表したアレンのカバーイラストも楽しい。
アレン、スマイス、マレエブ、ブレイク、ヒレッジ、ハウレット、ムーランの7人編成によるゴングは、この後、1990年に一度だけ再編ライヴを行っているらしい(ヒア・アンド・ナウが参加したテレビ用ライヴとは別)。
なお、ヒレッジ参加のものではないが、この日のソロの部のうち、マイク・ハウレット&ストロンチウム90のライヴ録音が、1997年に発売された Strontium 90 "POLICE ACADEMY" (Pangea 7243 8 33303 2 4) に収められている。メンバーは、スティング、スチュワート・コープランド、アンディ・サマーズの3人、つまり後のポリスです。スティングとコープランドは、この時点で既にポリスとして活動していましたが、サマーズは参加していませんでした。収められている3曲のうち、"3 o'clock Shot" はスティング作品、残りの "Electron Romance"、"Lady Of Delight" がハウレット作品。"SHAMAL" で聞けるようなゆったりとした作風を期待しましたが、パンクを意識したようなぎくしゃくしたノリの曲です。

1976年
アレンがサポートバンドとして起用したヒア・アンド・ナウは、ヒレッジがアレンに紹介したという説があります。他に、たまたま出会ったという説、ライヴを聞いたという説などあり、真相は不明です。

1976年〜1977年
ゲイリー・ウィンドーの未発表ソロアルバム "STEAM RADIO TAPES" の録音に参加する。録音日は不明ですが、この中からヒレッジがリードギターを担当した "Watch Out For The Bones" が、ウィンドー没後の1996年に発表されたアンソロジー "HIS MASTER'S BONES" (Cuneiform RUNE89) に収められている。
"STEAM RADIO TAPES" は、ピンク・フロイド所有のブリタニア・ロウ・スタジオで、ニック・メイスンのプロデュースで録音が行われていました。のちに "GREEN" のプロデュースをメイスンに依頼するきっかけは、この時にあったのかもしれない。

Steve Hillage "L", lp/cdlp
(Virgin V2066)

Side 1:
1. Hurdy Gurdy Man
2. Hurdy Gurdy Glissando
3. Electrick Gypsies

Side 2:
1. Om Nama Shivaya
2. Lunar Musick Suite
3. It's All Too Much


 
Steve Hillage "It's All Too Much", 7 inch single
(Virgin VS161)

Side 1:
1. It's All Too Much
Side 2:
2. Shimmer

 
Steve Hillage "BBC LIVE IN CONCERT",cdlp
(Windsong WINCD014) 1992

1. Hurdy Gurdy Glissando
2. Unidentified (Flying Being) 
3. Radio
4. New Age Synthesis
5. Electrick Gypsies
6. The Salmon Song
7. It's All Too Much
8. 1988 Aktivator
9. Crystal City
10. Activation Meditation
11. The Glorious Om Riff

Tracks 1 & 6: recorded at Paris Theatre 4/12/1976


 
Steve Hillage "Hurdy Gurdy Man", 7 inch single
(Virgin VS171)

Side 1:
1. Hurdy Gurdy Man
Side 2:
2. Om Nama Shivaya

 
Steve Hillage "LIVE HERALD", lp/cdlp
(Virgin VGD3502)

Side 1:
1. Salmon Song
2. The Dervish Riff / Castle in the Clouds /Hurdy Gurdy Man

Side 2: (曲目省略)

Side 3: 
6. Radiom / Lunar Musick Suite / Meditation of the Dragon
7. It's All Too Much / The Golden Vibe

Side 4: (曲目省略)

Tracks 1-4 & 8-10: recorded at The Rainbow Theatre 26/3/1977

"The Dervish Riff" は、"FISH RISING" 収録の "Solar Musick Suite" 第3部 "Hiram Afterglid Meets The Dervish" のこと。"Hurdy Gurdy Man" とのつなぎに、"Castle in the Clouds" が演奏されているはずですが、短くてちょっとわからない
"Hurdy Gurdy Man" の途中には、回転数を落としたような変な箇所があり、ちょっと気になる。笑いをとろうとした節もないし……。
"Radiom" は、"Lunar Musick Suite" の導入部として付け加えられたギターソロで、"Master Builder" のリフも登場する。
"Meditation of the Dragon" は、「かもめの鳴き声」などのヒレッジの技が一覧できるギターソロ。"MOTIVATION RADIO" に収録される "Octave Doctors" のフレーズが登場している。

 
Gong "GONG EST MORT - VIVE GONG", lp/cdlp
(Tapioca TP10002) 1977


Side 1:
1. Can't Kill Me  [You Can't Kill Me]
2. I've Been Stoned Before / Mister Long Shanks / O Mother
3. Radio Gnome Invisible

Side 2:
4. Zero The Hero & The Witch's Spell
5. Flute Salade / Oily Way / Outer Temple

Side 3:
6. Inner Temple (Zero Meets The Octave Doctor)
7. IAO Chant & Master Builder
8. Sparkling Of Clouds

Side 4:
9. From The Isle Of Everywhere To The End Of The Story Of Zero The Hero  [The Isle Of Everywhere]
10. You Never Blow Your Trip For Ever

CDは、セルロイドレーベルから発売されていますが、未聴。CDになって、面の区切りがなくなっても、やっぱりフェイドアウトされているだろう、と思いますので、CDで買い直す気力が起きません。

 
Gary Windo  "HIS MASTER'S BONES",cdlp
(Cuneiform RUNE89) 1996


Motivation Radio (1977)
1977年7月
サードアルバム、"MOTIVATION RADIO" (Virgin V2777)を、 ロスアンジェルスで録音する(発売は9月)。Lバンドとともに制作する予定を変更し、スティーヴィー・ワンダーとの仕事で知られるシンセサイザー・オペレイターのマルコム・セシルにプロデュースを依頼した。
セシルはもともとベーシストで、60年代にはイギリスでマイク・カーらとジャズを演奏していたが、アメリカに渡り、元ローサー&ザ・ハンド・ピープルのロバート・マーゴレフと組んで発表したTONTOズ・エクスパンディング・ヘッド・バンドの "ZERO TIME" (1971年)で注目を集めた。ヒレッジがセシルに依頼したのは、スティーヴィー・ワンダー作品で見せたファンキーなサウンドを求めたためとされていますが、 "ZERO TIME" で聞けるのは、ピラミッド好きによるスペーシーな擬似エジプト音楽であり、そのあたりの親近性もあったのではないでしょうか。
各曲を短くまとめ、ヴォーカルを明確にすることに力点が置かれており、前作よりもさらにインプロビゼイションが抑えられています。ギター・ソロにタイトなリズムセクションがていねいに結び合わされることによって、躍動感のある拡がりを出すことに成功している。リズムセクションを担当しているのは、ロスアンジェルスのセッション・ミュージシャン、ジョー・ブロッカー  (drums)とレジー・マクブライド  (bass) の2人。セシルも自らTONTO (The Original New Timbral Orchestra) と名付けたシンセサイザーで演奏に参加しています。
12月に、アルバムの最後に収められているバディ・ホリーのレパートリーのカバー(ボー・ディドリー版が下敷きかもしれない)、"Not Fade Away (Glid Forever)"が、シングルとして発売された (VS197、B面は"Saucer Surfing")。

1977年後半
"MOTIVATION RADIO" に参加したドラマーのジョー・ブロッカーをメンバーとした新しいサポート・バンドを結成する。ヒレッジ、ジラウディ、ブロッカーの他は、カーティス・ロバートソン (bass)、チャック・バイナム (keyboards)の5人編成。
このバンドでの演奏は、1977年11月3日にレインボウ・シアターで行われた演奏から"Electric Gypsies"がライヴアルバム "LIVE HERALD" (Virgin VGD3502)に収められている。ただし、その録音にはチャック・バイナムはクレジットされていない。
また、BBCの番組 "LIVE IN CONCERT"で放送された録音があるが、発売されていない。NHK-FM で、"Motivation" と "Radio" が放送され、かなりゆったりしたかんじにアレンジされていたのを記憶している。
場所・月日は不明ですが、無料シングル "Ley Lines To Glassdom" がこの時期のコンサートで配布されている。"MOTIVATION RADIO" セッションで録音されながら、アルバムには収録されなかったもので、"GREEN" 収録のものとはバージョンが異なる。B面には、グレン・フィリィップスの曲が収められている(対バンだったのだろうか)。

Steve Hillage "MOTIVATION RADIO" ", lp/cdlp
(Virgin V2777)

Side 1:
1. Hello Dawn
2. Motivation
3. Light in the Sky
4. Radio

Side 2:
5. Wait One Moment
6. Saucer Surfing
7. Searching For The Spark
8. Octave Doctors
9. Not Fade Away (Glid Forever)


 
Steve Hillage "Ley Lines To Glassdom", 7 inch single
(Virgin VDJ23)

Side 1:
1. Ley Lines To Glassdom  [Steve Hillage]
Side 2:
2. Lies  [Glenn Phillips]

 
Steve Hillage "LIVE HERALD", lp/cdlp
(Virgin VGD3502)

Side 1: (曲目省略)

Side 2: 
3. Light in the Sky
4. Searching For The Spark
5. Electrick Gypsies

Side 3: (曲目省略)
Side 4: (曲目省略)

Tracks 7: recorded at The Rainbow Theatre 3/11/1977


 
Steve Hillage "Not Fade Away", 7 inch single
(Virgin VS197)

Side 1:
1. Not Fade Away (Glid Forever)
Side 2:
2. Saucer Surfing


Green (1978)
1978年4月
はじめてサポート・バンドとともに録音した4作目のアルバム、"GREEN" (Virgin V2098)を発表する。プロデュースはニック・メイスンとヒレッジ自身が共同で担当している。基本となる曲は "MOTIVATION RADIO"の収録曲と同時に書かれたらしく、前作には「赤」の曲を、"GREEN"にはタイトル通り「緑」の曲を収めているとのこと(アルバムカバーに記されているタイトルの色に注目)。
各曲を短くまとめているところは同じ。"Unidentified" のようなファンクはむしろ前作よりも堂に行ったものですが、ゆったりしたまどろむような作品が多く選ばれており、流れるような構成になっている。演奏しているのは、前年からのサポート・メンバー、ブロッカー、ロバートソンとヒレッジ、ジラウディ。いくつかの曲でメンバーが曲作りにも参加している (既に参加していないバイナムとの共作曲も含まれている)。最後は、ゴングの "Master Builder" ("YOU" 所収) の再演、"The Glorious Om Riff"でしめくくられる。"L"以降の「ゴングを知らしめるための布教活動」に一区切りがついたということか。
なお、アルバムと同時に、アルバムには収録されていないビートルズのカバー、"Getting Better"をシングル盤として発売している(VS212)。B面はアルバムに収められている優しいバラッド "Palm Trees (Love Guitar)"。

1978年6月
ミケット・ジラウディ、元ゴングのティム・ブレイク、マイク・ハウレットとともに参加したピラミッド好き、ニック・ターナー(ホークウィンド)のソロアルバム "XITINTODAY" が発売される。録音メンバーには、スフィンクスというバンド名が付けられ、ピラミッドをテーマにした曲を演奏している。
ピラミッドのなかで録音したという話もありますが、未入手なので、真偽は定かではありません。

Steve Hillage "GREEN", lp/cdlp
(Virgin V2098)

Side 1:
1. Sea-Nature
2. Ether Ships
3. Muisck of the Trees
4. Palm Trees (Love Guitar)

Side 2:
5. Unidentified (Flying Being)
6. U.F.O. Over Paris
7. Leylines to Glassdom
8. Crystal City
9. Activation Meditation
10. The Glorious Om Riff


 
Steve Hillage "Getting Better", 7 inch single
(VS212)

Side 1:
1. Getting Better
Side 2:
2. Palm Trees (Love Guitar)
"Getting Better" は、"OPEN: featuring STUDIO HERALD"のCDに収録されています。
また、1980年にドイツとアメリカで発売された編集盤 "AURA" (Virgin AURA1) にも収録されていました。このアルバムは、ドイツとアメリカでは発売が見送られた "GREEN""LIVE HERALD" のスタジオ録音から選曲されています。

 
Nick Turner  "XINTINTODAY", lp
(Charisma CDS4011)


Live Herald (1978 - 1979)
1978年5月
サポート・バンドのメンバーを一新する。ヒレッジ、ジラウディに、Lバンドにも参加していたクリスチャン・ブール (guitar)、ジョン・マッケンジー (bass)、アンディ・アンダーソン (drums) を加えた5人編成。このバンドでの演奏は、1978年5月25日にオックスフォード工科大学で行われた演奏から3曲が、8月7日にマーキーで行われた演奏から1曲が2枚組のライヴアルバム "LIVE HERALD" (Virgin VGD3502)に収められている。

1978年
ハリー・ウィリアムスンとマイク・ハウレットが中心になったユニット、ファスト・ブリーダーズ&レイディオ・アクターズのシングル "Nuclear Waste" (Nuke NUKE235) に参加する。核廃棄物処理問題に対するアピールとして発売されたものと思われる。「ニューウェイヴを意識したベテランの作品」に共通する、どこか無理に肩に力を入れているような雰囲気の曲。
他に、ニック・ターナー (sax)、エドガー・プロートン・バンドのスティーヴ・ブロートン (drums)。ヴォーカルは、ポリスのスティングが担当している。
レディオ・アクターズと名前を変えて、何度か再発されている。

1979年1月
2枚組のライヴアルバム "LIVE HERALD" (Virgin VGD3502)を発売する。1977年から1978年の間に行われた演奏をまとめたもので、ゴング神話布教時期の総決算と言える内容になっている。
第4面のみ、"Zype"なる概念をテーマにした4曲の新曲を自身のプロデュースでスタジオ録音している。基本的に感覚派のせいか、なんらかのコトバを借りてくる傾向があるような気がします。
スタジオ新録のメンバーは、ヒレッジ、ジラウディ、マッケンジー、アンダーソンの4人。ジャズ・フュージョン的な整合感のあるファンク・リズムが強調されている。当時を席巻していたニュー・ウェイヴを意識した "1988 Aktivator" も含まれている。
見開きカバーの内側に、「歌詞カードは、切手を貼った返信用封筒を送ってくれたら、送ります」とある。当時、ガイコクに返信用封筒を送る根性がなかったのが悔やまれる。
ヒレッジ、ジラウディ、マッケンジー、アンダーソンの4人による演奏は、1979年4月28日にパリス・シアターで行った放送用の公開ライヴを収めた "BBC LIVE IN CONCERT" (Windsong WINCD014、1992年発売)でも聞くことができる。

Steve Hillage "LIVE HERALD", lp/cdlp
(Virgin VGD3502)

Side 1: (曲目省略)

Side 2:
3. Light in the Sky
4. Searching For The Spark
5. Electrick Gypsies

Side 3:
6 Radiom / Lunar Musick Suite / Meditation of the Dragon
7. It's All Too Much / The Golden Vibe

Side 4 (Studio side):
8. Talking To The Sun
9. 1988 Aktivator
10. New Age Synthesis (Unzipping The Zype)
11. Healing Feeling

Tracks 5, 11 & 12: recorded at Oxford Poly 25/5/1978
Track 6: recorded at The Marquee Club 7/8/1978

CDには、オリジナル盤から4面のスタジオ録音を除いたバージョンと、"Hurdy Gurdy Man" をカットして曲順を大幅に変更したバージョンの2種類があるようです。中途半端なのでおすすめできない後者の曲順は、次の通り。このCDは聞いたことがありませんが、メドレーで演奏されている曲をどのように分けているか、ちょっと聞いてみたい気はします。

"LIVE HERALD -1"
1. Salmon Song
2. The Dervish Riff
3. Castle in the Clouds
4. Light in the Sky
5. Searching For The Spark
6. Electrick Gypsies
7. Radiom
8. It's All Too Much
9. Talking To The Sun
10. 1988 Aktivator
11. New Age Synthesis (Unzipping The Zype)
12. Healing Feeling
13. Lunar Musick Suite
14. Meditation of the Dragon
15. The Golden Vibe


 
Fast Breeders & Radio Actors "NUCLEAR WASTE", single
(Nuke NUKE235)

Side 1:
1. Nuclear Waste
Side 2:
2. Digital Love

 
Steve Hillage "BBC LIVE IN CONCERT",cdlp
(Windsong WINCD014) 1992

1. Hurdy Gurdy Glissando
2. Unidentified (Flying Being) 
3. Radio
4. New Age Synthesis
5. Electrick Gypsies
6. The Salmon Song
7. It's All Too Much
8. 1988 Aktivator
9. Crystal City
10. Activation Meditation
11. The Glorious Om Riff

Tracks 2-5, 7-11: recorded at Paris Theatre, London 28/4/1979


Rainbow Dome Musick (1979)
1979年4月21日〜29日
ロンドンで開かれた Festival for Mind-Body-Spirit に出展されたレインボウ・ドームの音楽を担当する。1月にミケット・ジラウディと2人で録音した2曲は、5月に "RAINBOW DOME MUSICK" (Virgin VR1) として発売されている。
シンセサイザーの緩やかな音と自然音をミックスした瞑想的なインストゥルメンタル。ギターソロなどで発揮されていた「健全な精神は、快い音楽に宿る」と言いたげなヒレッジの快楽主義的な面が、全面的に展開されたものとなった。
あくまでもイベントのための企画アルバムであり、ヒレッジの作品としては傍流と思われたが、10年後、この作品をきっかけにアンビエント・ハウスと出会い、それが本流になっていく。図らずして、「布教活動」を終えたヒレッジの次のステップを用意することになった。
"Four Ever Rainbow" には、レインボウ・ドームの立案者ルパート・アトウィルがハーモナイザーで参加している。
Steve Hillage "RAINBOW DOME MUSICK", lp/cdlp
(Virgin VR1)

Side 1:
1. Garden of Paradise

Side 2:
2. Four Ever Rainbow


Open (1979)
1979年9月
オリジナルアルバムとしては "GREEN" 以来となる "OPEN" (Virgin V2135) が発売される。"LIVE HERALD" の新録部分の延長線上にあるややフュージョン的な音に仕上がっている。
録音には、ヒレッジ、ジラウディ、前作に引き続き参加のアンディ・アンダーソン (drums) の他に、ポール・フランシス (bass)、ティム・ブレイクと組んでいたこともあるジャン・フィリィップ・リキエル (synthesizer) が参加している。また、デイヴ・スチュワート (keyboards) が協力しているらしい。
ポール・フランシスは、古くから活動しているドラマーとは同名異人のように思いますが、未確認。このフランシスのチョッパー・ベースが、このアルバムのファンキーな印象をかなり形作っている。ただし、杓子定規なリズムがヒレッジのふわ〜っとした捉えどころのないギターの広がりを制限している感がなきにしもあらず。
"LIVE HERALD" のスタジオ面とのカップリングCDでは、大幅に曲順が変えられていますが、"STUDIO HERALD" 収録曲から引き続いてタイトなリズムがひたすら続く構成よりも、オリジナルの曲順のほうが、流れがよいと思います。

1979年11月
 "OPEN" から、 "Getting In Tune" とカップリングで  "Don't Dither, Do It" (Virgin VS313) がシングルとして発売される。
気になるのは、タイトル。ゴングの "Get It Inner Or Do The Dither"("YOU" 収録の "The Isle Of Everywhere" の一部分)と関係があるのだろうか。

Steve Hillage "OPEN", lp/cdlp
(Virgin V2135)
Side 1:

1. Day After Day
2. Getting in Tune
3. Open
4. Definite Activity

Side 2:
5. Don't Dither Do It
6. The Fire Inside
7. Earthrise

CDには、オリジナル通りの盤と、"LIVE HERALD" からの4曲とシングル "Getting Better" を加えた編集盤 "OPEN -FEATURING STUDIO HERALD" の2種類がある。"OPEN" の曲順は、大幅に変更されています。

"OPEN -FEATURING STUDIO HERALD", cdlp
1. Talking To The Sun
2. 1988 Aktivator
3. New Age Synthesis (Unzipping The Zype)
4. Healing Feeling
5. Earthrise
6. Open
7. Definite Activity
8. Getting Better
9. Day After Day
10. Getting in Tune
11. Don't Dither Do It
12. The Fire Inside

CD-programming for original OPEN: 9-10-6-7 / 11-12-5 


 
Steve Hillage "Don't Dither Do It", 7 inch single
(Virgin VS313)

Side 1:
1. Don't Dither Do It
Side 2:
2. Getting in Tune


For To Next/And Not Or (1983)
1983年2月
80年代はもっぱらヴァージン・レコードのプロデューサーとして活動してきたヒレッジが、3年半ぶりに、"FOR TO NEXT" (Virgin V2244) を発表した。ヒレッジとジラウディのふたりで、ほとんどの演奏をこなしたもので、初回盤には、ゴングの "Inner Temple" のリメイク "Knights Templar"、"FISH RISING" 収録の "The Golden Vibe" のリメイク "Still Golden" を含むインストゥルメンタル集 "AND NOT OR" がセットされていた。
ヒレッジとジラウディによる打ち込みがベースになっているので、のびやかなギターをフィーチャーした緩やかな歌と当時のエレクトロニック・ポップが合体したような印象の作品になっている。
1月に発売された先行シングル "Kamikaze Eyes" のB面、"Before The World Was Made" は、ゆったりとした広がりがあって、"Lunar Musick Suite" の続編を思わせます。ラジオで聞いて感激したのに、"FOR TO NEXT" に収録されていなかったので、がっかりした憶えがあります。

1983年4月
アルバム"FOR TO NEXT"の白眉と言える "Alone" が、"Frame By Frame" とのカップリングで、シングル盤 (Virgin VS551) になっている。短く編集したうえで、新たなギターソロを重ねた別バージョン。これには12インチ盤もあり、アルバム未収録の "Timelines" が追加されている(未聴)。


 
【80年代の仕事】

●主なプロデュース作品
Nash The Slash "CHILDREN OF THE NIGHT" (Din DID9), 1980
Simple Minds "SONS AND FACINATION" (Virgin V2207), 1981
Robyn Hitchcock "GROOVY DECAY" (Albion ALB110), 1982
Cock Robin "COOK ROBIN" (CBS BFC39582), 1986
It Bites "BIG LAD IN THE WINDMILL" (Virgin V2378), 1986
Dobbie Gray "SOONER OR LATER" (Virgin 208163 630), 1987
It Bites "ONCE AROUND THE WORLD" (Virgin V2456), 1988
Tony Banks "BANK STATEMENT" (Virgin V2600), 1989

●セッション参加作品 (プロデュース作品をのぞく)
Mother Gong "ROBOT WOMAN" (Butt BUTT003), 1981

Steve Hillage "Kamikaze Eyes", 7 inch single
(Virgin VS574)

Side 1:
1. Kamikaze Eyes
Side 2:
2. Before The World Was Made

 
Steve Hillage "FOR TO NEXT/AND NOT OR", lp/cdlp
(Virgin V2244)


"FOR TO NEXT"
Side 1:
1. These Uncharted Lands
2. Kamikaze Eyes
3. Alone
4. Anthems For The Blind

Side 2:
5. Bright Future
6. Frame By Frame
7. Waiting
8. Glory

"AND NOT OR"
Side 1:
9. Before The Storm
10. Red Admiral
11. Serotonin

Side 2:
12. And Not Or
13. Knights Templar
14. Still Golden

現在入手できるCDには、"FOR TO NEXT""AND NOT OR" の全曲が収録されていますが、1990年発売のCDには、"AND NOT OR" の6曲が収録されていなかったらしい。

 
Steve Hillage "Alone", 7 inch single
(Virgin VS551)

Side 1:
1. Alone
Side 2:
2. Frame By Frame

 
Steve Hillage "Alone", 12 inch single
(Virgin VS551-12)

Side 1:
1. Alone
Side 2:
2. Frame By Frame
3. Timelines


System 7 (1990 - )
1989年の夏 (いわゆるSecond 'Second Summer of Love')、ハウスに新しい可能性を感じていたヒレッジは、偶然立ち寄ったクラブで、DJのアレックス・パターソンが "RAINBOW DOME MUSICK" をネタとして使っていたのを聞く。
このことをきっかけに、ヒレッジは、パターソンのプロジェクト、オーブに参加するとともに、自らのハウス・ユニット、システム7を結成。パターソンやデトロイト・テクノの伝説的人物デリック・メイらの協力を得て、1990年11月にシングル "Sunburst" (Virgin/Ten TENX335)、1991年9月にデビューアルバム "SYSTEM 7" (Virgin/Ten DIXCD102) を発表。現在も活動を続けている。
システム7には、公式Webサイトがあります。
詳しくはそちらをご覧ください。

System 7 website (official)
http://www.a-wave.com/system7/

 

■参考文献■
・ロッキン・ボールズ制作 「ゴング・ファミリー・トゥリー」、"GONG LIVE ETC." 日本盤(Victor VIP-9901/9902)に添付(1978年3月)
・北村昌士 「ティム・ブレイク・インタビュー (1979年4月7日)」、「フールズ・メイト」8号 (1981年1月発売の第15号に再録) 
・永山敬子 「Deavid Allen と PHP のおりなす“ハピエスト・タイム・オブ・アワ・ライフ”」、「フールズ・メイト」17号 (1981年7月)
・岩本晃一郎 「スチュワート/ガスキン・インタビュー」、「チャート」3号(1987年7月)
・バブス・カーク 「A Brief History」、"THE HISTORY AND THE MYSTERY OF THE PLANET G**G"(Demi Monde DMLP1018) に添付(1989年)
・赤岩和美 「スティーヴ・ヒレッジ・バイオグラフィ」、"FISH RISING" 復刻CD(Virgin Japan VJCP-2529、1990年7月)に添付
・デイヴ・スチュワート 「Story Of Arzachel」、"ARZACHEL" 復刻CD(Drop Out DOCD1983、1994年6月)に添付 
・大里俊晴 「フレンチロックの諸相」、「ユリイカ」1993年4月号
・ケン・ガードナー編 『IN SESSION TONIGHT: THE COMPLETE RADIO 1 RECORDINGS』 (BBC Books、1993年)
・ジリ・スマイス 「EVENTS RECORDING PERSONNEL - GONG」 "POLITICO - HISTORICO - SPIRITO: GONG" (Voiceprint、1994)
・マーティン・C・ストロング編 『THE GREAT PSYCHEDELIC DISCOGRAPHY』 (Canongate Books、1997年)
・レコード・コレクター編 『RARE RECORD PRICE GUIDE 1997/1998』 (Record Collector、1997年)

・きじま 「ゴング年表その1 1967年〜1972年」、「ヘボン式」2号(1995年3月26日) ※未刊の続編は、大半がヒレッジ年表に化けた。
・きじま 「スティーヴ・ヒレッジ年表 1967年〜1983年」、「ヘボン式」5号(1995年12月12日) ※このページのもとになったもの
・きじま 「ゴングのピール・セッション」、「ヘボン式」8号(1996年1月29日)


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

【2003.07.11.】 井上肇さんからの情報にもとづき、"ARZACHEL" の発売元について追記。実物情報に感謝。
【2003.07.11.】 70年代の作品からピックアップしたベスト盤 "LIGHT IN THE SKY: INTRODUCING...STEVE HILLAGE" の発売情報を追記。
【2003.07.11.】 Uriel(英語読み、ユリエル)の文学用語としての表記「ウリエル」、Arzachel(英語読み、たぶん、アーザチェル)の天文用語としての表記「アルザケール」について追記。

【2002.03.31.】 ゴング "ANGELS EGG" のボーナストラックについて追記。あわせて、文意は変えずに、語尾・語調を修正。

【2000.11.23.】 シングル盤 "It's All Too Much"、"Kamikaze Eyes"、"Alone" を入手したので、記述を追加・変更。

【2000.09.27.】 ストロンチウム90についての記述を追加。その他、文字を手直し。
 
 

目次に戻る

(c) 2000, 2002 Kijima, Hebon-shiki