最初に見たのは、『アンダルシアの虹』だったか、『川の流れはバイオリンの音』だったか。
ピアノ調律師が主人公のNHK制作のテレビドラマ。
佐々木昭一郎作・演出による、風変わりな作品の中で、ピアノ調律師・A子(榮子)を演じていたのが、中尾幸世さんです。
いちばん最初は、端正で、ひとなつっこい顔立ちにひかれたのだけど、何よりも、囁いているのに、強い意志を感じさせる声が好きになった。
美大卒業後は、俳優にはならず、グラフィックデザイナーになったとのことでしたが、ほどなくして、ラジオドラマでその声を聞くようになります。
いまは、朗読会を開くなどして、朗読の活動をされているそうです。いつか見てみたいと思います。
あちこちで読みかじった記事によれば、中尾幸世さんのプロフィールは、次のとおり。
●1974年
高校3年の夏休みに、佐々木昭一郎作品『夢の島少女』に出演。 ●1978年〜1979年 美術大学在学中に、再び佐々木昭一郎作品『四季・ユートピアノ』に出演、注目を集める。 ●1980年 佐々木昭一郎の連作「川(リバー)」の第1作『川の流れはバイオリンの音』出演。 ●1981年 大学卒業後、グラフィックデザインの仕事に就く。 ●1982年〜1983年 「川(リバー)」の第2作、第3作にあたる『アンダルシアの虹』、『春・音の光』に出演。 その後、映像作品への出演を退く。 ●1984年 ラジオドラマへの出演を開始。 ●1989年 朗読活動を開始。 |
佐々木昭一郎作品上映会(1985年4月、京都)のチラシ
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中尾幸世さんが出演された佐々木昭一郎作・演出のテレビドラマと、NHK-FMのラジオドラマを、リストにまとめました。
テレビドラマについては、下記を参考にいたしました。
○佐々木昭一郎 『創るということ 四季・ユートピアノまで』(JICC出版局、1982年3月)
○「月刊ドラマ」1983年5月号(映人社)、「アンダルシアの虹」のシナリオ、評論、佐々木昭一郎氏の制作ノートを収録
○「悲劇喜劇」1988年3月号(早川書房)、佐々木昭一郎「ギヴィング・ハート 中尾幸世」
佐々木昭一郎のラジオドラマがカセットで発売されたことがあったけれど、これらのラジオドラマもどこかで聞けるようになっていればいいのに、と思います。
【2000.12.17.追記】
中尾幸世さんの活動を詳細に追った、双調(そうじょう)氏によるファンページ『微音空間』をご紹介します。 「映像の空間」、「朗読の空間」、「文葉の空間」、「音葉の空間」の4つの空間で構成されています。 「文葉の空間」は新聞・雑誌に掲載されたエッセイ・インタビュー・紹介記事を、「音葉の空間」は、ラジオドラマについてまとめたもの。 どのページも詳しく丁寧に綴られた貴重な記録になってます。 http://bion02.hp.infoseek.co.jp/ |
テレビドラマ |
「夢の島少女」
制作: 1974年8月、80分、フィルム作品
放映: NHK総合テレビ、1974年10月14日
作・演出: 佐々木昭一郎
出演: 中尾幸世、横倉健児、若林彰 ほか
「四季・ユートピアノ」
制作: 1978年4月〜1979年7月、国内版90分/海外版100分、フィルム作品
放映: NHK総合テレビ、1980年1月
作・演出: 佐々木昭一郎
出演: 中尾幸世、堀口礼世、小林千秋、工藤斗久 ほか
※イタリア賞国際コンクール・イタリア放送協会賞、エミー賞優秀作品賞、テレビ大賞・新人女優賞(中尾幸世)
「川の流れはバイオリンの音」 連作・川(リバー)(1)〜イタリア編〜
制作: 1980年秋〜冬制作、80分、フィルム作品
放映: NHK総合テレビ、1981年
作・演出: 佐々木昭一郎
出演: 中尾幸世、アントニオ・グイド・カターニ、ロレッツォ・チゴーリ、ジョヴァンニ・ザンボーニ
ほか
※文化庁芸術祭・テレビドラマ部門大賞
「アンダルシアの虹」 連作・川(リバー)(2)〜スペイン編〜
制作: 1982年夏、85分、フィルム作品
放映: NHK総合テレビ、1983年3月19日
作・演出: 佐々木昭一郎
出演: 中尾幸世、マヌエル・エラディア、ワランチェスコ・エラディア、フリアン・ロドリゲス
ほか
「春・音の光」 連作・川(リバー)(3)〜スロバキア編〜
制作: NHK/チェコスロバキア国営テレビ共同制作、1983年、90分、フィルム作品
放映: NHK総合テレビ、1984年
作・演出: 佐々木昭一郎
出演: 中尾幸世、オンドレイ・グリアシ、ラド・レンドル、ミルカ・ノヴァク、ユライ・リンセル
ほか
※文化庁芸術祭・優秀賞
ラジオドラマ |
「赤糸で縫いとじられた物語」
放送: NHK-FM 「二人の部屋」、1984年12月24日〜28日 (5回)、22:45〜23:00
作: 寺山修司
出演: 柴田p彦、中尾幸世
1. 壜の中の鳥
2. 消しゴム
3. まぼろしのミレナ
4. かくれんぼの塔
5. 海のリボン
「ひとりぼっちのあなたに ― 寺山修司・青春の詩」
放送: NHK-FM、1985年2月11日、8:00〜8:50
作: 河内 紀
出演: 新高けい子、三上 寛、谷川俊太郎、九条今日子、加賀武見、中尾幸世
ほか
「赤糸で縫いとじられた物語 パート2」
放送: NHK-FM 「カフェテラスのふたり」、1985年5月6日〜5月10日 (5回)、22:50〜23:00
作: 寺山修司
出演: 柴田p彦、中尾幸世
1. 踊りたいけど踊れない
2. 1センチ・ジャーニー
3. 思い出の注射します
4. イエスタデイ
5. 書物の国のアリス
「時には母のない子のように/はだしの恋唄」
放送: NHK-FM 「カフェテラスのふたり」、1987年6月29日〜7月10日(10回)、22:50〜23:00
作: 寺山修司
出演: 柴田p彦、中尾幸世
1. お月さまの壜詰/ギターとキノミ
2. 樅の木の歌
3. あたしを数えて
4. ある夏のロマンス/さよならの壜詰
5. かもめ
6. ジョーカー・ジョー
7. 世界で一番小さい金貨/いるかいないか/鰐
8. 霧に全部話した
9. 火について
10. 家へ帰るのがこわい
「ひろば・まぼろし」
放送: NHK-FM 「FMシアター」、1987年9月12日、22:00〜23:00
作: 津川 泉
出演: 中尾幸世、常田富士男、北村 想
「10人のシンデレラ/総集篇」
放送: NHK-FM 「カフェテラスのふたり」、1988年2月29日〜3月11日(10回)、22:50〜23:00
構成: 湯本香樹実
出演: 中尾幸世、銀粉蝶
1. アイスランドのシンデラレラ <前編>
2. アイスランドのシンデラレラ <後編>
3. タイのシンデレラ
4. 日本のシンデレラ
5. フィンランドのシンデレラ
6. インドのシンデレラ <前編>
7. インドのシンデレラ <前編>
8. ドイツのシンデレラ
9. ジャワのシンデレラ
10. イタリアのシンデレラ
<備考>
「10人のシンデレラ」 1986年7月14日〜7月25日(10回)
構成: 湯本香樹実、出演: 高樹沙耶、倉崎青児
「10人のシンデレラ・パート2」 1987年7月13日〜7月24日(10回)
構成: 湯本香樹実、出演: 山下花奈 ほか
※聞き損ねたため、不明だった3回、6回〜8回について、あおせ氏作成の「微音空間」を参照して補足。【2000.12.17.】
「屈辱」
放送: NHK-FM 「FMシアター」 1989年2月18日、22:00〜23:00
作: バリー・バーマンジュ
出演: 西川右近、中尾幸世、藤尾年樹、常田富士男
「夜明けのショパン ― よみがえる天才ピアニスト田中希代子」
制作: TBSラジオ
放送: NHK-FM 「FMシアター」 1989年7月15日、22:00〜23:00
出演: 井川比佐志、中尾幸世、田中希代子、相沢昭八郎 ほか
※放送文化基金賞
「天の記憶」
放送: NHK-FM 「FMシアター」 1990年2月23日、22:00〜23:00
作: 津川 泉
演出: 角岡正美
出演: 中尾幸世、倉崎青児、藤尾年樹 ほか
「愛と幻想の小さな物語」
放送: NHK-FM 「サウンド夢工房」 1990年6月18日〜6月29日(10回)、22:30〜22:45
作: 佐野洋子
出演: 中尾幸世、咲田とばこ
挿入歌: 森田童子
1. 鯨
<挿入歌> ピラビタール
2. 押さないで
<挿入歌> 淋しい素描
3. マドンナの朝
<挿入歌> 伝書鳩
4. いつか、一度でいいから
<挿入歌> きみと淋しい風になる
5. 乙女ちゃん
<挿入歌> 春爛漫
6. 金魚
<挿入歌> さよならぼくのともだち
7. 早く捨てよう
<挿入歌> 今日は奇蹟の朝です
8. 海
<挿入歌> 逆光線
9. にわとり
<挿入歌> ぼくたちの失敗
10. 汽車
<挿入歌> 海を見たいと思った
※聞き損ねたため不明だった「鯨」と「押さないで」を、「森田童子研究所HP」掲示板でのけむりさんの書き込みから補足。【2000.02.28.】
※放送順序を、あおせ氏作成の「微音空間」を参照して修正。【2000.12.17.】
「白の森・不思議」
放送: NHK-FM 「FMシアター」 1991年7月7日、23:00〜23:50
作: 高岸 優
演出: 角岡正美
出演: 早瀬優香子、中尾幸世、神田 紫、銀粉蝶、宮島千栄、谷口徹次
「DQ」
放送: NHK-FM 「FMシアター」 1992年7月4日、22:00〜22:50
作: 高岸優子
演出: 角岡正美
出演: 倉崎青児、中尾幸世、火田詮子 ほか
※ギャラクシー賞
「だから、淋しいとりのこえ」
放送: NHK-FM 「FMシアター」 1995年5月20日、22:00〜22:50
作: 高松 優<NHK名古屋・脚本募集入選作>
音楽: バナナ
演出: 角岡正美
出演: 中尾幸世、吉宮君子、桜井ゆう子
「レイン・ブルー」
放送: NHK-FM 「FMシアター」 1996年5月25日、22:10〜23:00
作: 大田淳子<NHK名古屋脚本募集入選作>
音楽: 小野文栄
演出: 角岡正美
出演: 倉崎青児、桜井ゆう子、中尾幸世 ほか
「広場からの手紙」 <宮沢賢治生誕100年記念番組>
放送: NHK-FM 「FMシアター」 1996年6月29日、22:00〜22:50
作: 西田潤一郎
演出: 江澤俊彦
出演: 中尾幸世、福士賢治、かわのめえりこ ほか
エッセイ |
「そぞろ歩き」
掲載: 産経新聞・夕刊 「そぞろ歩き」、1993年5月28日〜6月4日 (7回)
※6月3日分は、紛失のため、不明でしたが、あおせ氏作成の「微音空間」を参照して補足。【2000.12.17.】
1. 朗読は音楽 (5月28日)
2. 宮澤作品にふれて (5月29日)
3. 志村先生との再会 (5月31日)
4. ひびきの力 (6月1日)
5. 映画「マルメロの陽光」 (6月2日)
6. 横顔に豊かな人生 (6月3日)
7. 京での出会い (6月4日)
【2002.10.23..改訂】
・中尾幸世さんのファンページ「微音空間」のURL変更にともない、リンクを修正(遅ればせながらで申し訳ありません。)
【2001.0513.改訂】
・「夢の島少女」の初回放映日を追記。
【2000.1217.改訂】
・あおせ(双調)氏による中尾幸世さんのファンページ「微音空間」の紹介とリンクを追加。
・抜け部分についてのみ、「微音空間」を参照して、訂正・補足しました。
【2000.10.16.改訂】
・目次を追加。
【2000.04.02.改訂】
・産経新聞に掲載されたエッセイの紹介を追加。
【2000.02.28.改訂】
・「愛と幻想の小さな物語」の各回タイトル表記を、佐野洋子『乙女ちゃん』(大和書房、1988年5月)にもとづいて、訂正。
・「愛と幻想の小さな物語」の不明だった2回分を、「森田童子研究所HP」掲示板でのけむりさんの書き込みから、9,
10として補足。
→ 森田童子研究所HP http://www.portnet.ne.jp/~rocket/morita-h/morita-h.html
【2000.02.22.改訂】
・「佐々木昭一郎作品上映会(1985年4月、京都)のチラシ」画像を追加。
・「愛と幻想の小さな物語」の項に、挿入曲のタイトルを追加。
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