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2024年10月13日〜2024年10月19日


10月13日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2024年10月13日】
 母はこの夏、ずっとマグカップを差し出して何かを入れるジェスチャーをしては、「ぽろぽろっ」「ぽろぽろお願いします」と言い続けていた。氷を入れて、の意だったのだけど、10月8日の火曜日以降、「ぽろぽろ」が出なくなった。夏が終り、秋になったと言ってよさそうです。月曜日は、母の通院日だったのだけど、ちょうど行きの時刻が豪雨だった。介護タクシーだったので、無事に済んだけれど、あの豪雨が夏のトドメだったような気がしてきた。スーパーの棚からは、母が好んでいるトーラク「丸ごと搾り瀬戸内レモンのレアチーズ」やメロディアン「高知産生姜冷やしあめ」が消えた。代りに、姿を消していた豚汁や水餃子が復活した。

 今週の失敗。●火曜日、母をデイサービスに送り出してから、午前中に、ダイニングキッチンのカーペットを敷き直した。テーブルの上を片付け、椅子とともに外に出し、掃除機をかけ、カーペットを折りたたんで、自転車置き場に干し、床にも掃除機をかけ、水拭きして。敷き直したのは、前回敷いたときに、200 x 250 cmの縦横を間違えてしまい、少しずつ傾いてきたこともあり、はみ出した部分に母が足をひっかけてしまうようになったから。だったのだが。腰に来ました。すぐに。●その腰に来た午後、近所の店で見つからなくなったので、通販に頼った母のケア用品。届いたという連絡が来たので、いちばん近いスーパーへの買い物ついでに脇の受け取りロッカーで受け取ってこよう…と思ったら、受け取り指定を間違えて、通勤していたときの駅と自宅の途中にあるコンビニにしていた。遠い。腰に来ているのに。●次の母デイ日の木曜日、腰痛が治まりつつあったので、近所で見つけられなかった雑誌を手に入れるべく、居住市の中心部まで出たのだけど、書店でレジに財布を置き忘れてしまった。同じ施設にあるカフェで昼食をとったときに気付いた。お金は別でも持っていたので、支払いはできたけれど、その施設で使えるカードがないので、ポイントが付かないのがちょっと残念だった。で、書店に戻り、問い合わせて、施設の管理事務所に連行されて(言いかた!)、無事受け取って、やはりその施設内のスーパーで買い物をしたのだけど、支払いの段になって、財布を見たら、カードがない。カードなしで支払いをしたけれど、実は、更新のために、前日、財布から取り出して、別のところに入れたままにしていたのでした。カフェでもポイントが付けられたのだ、ほんとうは。って、財布を置き忘れたことが失敗なのか、ポイントを付け損ねたことが失敗なのか、どっちだ。●日曜日、母が伝い歩きをするときにつかまりがちな扉を固定するために、ドアストッパーをちょっと遠くのホームセンターに買いに行ったのだけど、帰りが遅かったことで、母に不安を与えてしまったようで、帰ったら、狼狽する声が外にまで聞こえてきていた。おまけに、その扉は少し床から離れているため、買ってきたドアストッパーでは固定できなかった。失敗続き。

 木曜日に買ったのは、「文學界」2024年11月号と「ポパイ」2024年11月号(931号)。「文學界」は、ポッドキャスト「岸政彦の20分休み」#32(9月24日配信)で告知されていたクレイジーケンバンド横山剣さんとの対談「男の美学とチャーミングな情けなさ」が掲載されているということで。文芸雑誌はふだんは買わないけれど、目次を見て、町田康、津村記久子の短編、四方田犬彦の溝口健二『残菊物語』論など、読みでがありそうという判断もあった。「ポパイ」は、「いつからシティボーイになったのだ」と言われそうだけど、特集が「BAND MUSIC やっぱりバンドっていいよね。」で、Veg(ベジ)やムルヒ・バンドが載ってる、と知って。各地のライヴハウスのレポートの他、鈴木慶一、坂本慎太郎、横山剣(again)といったひとたちのインタビューもある。別枠の「介護の現場を知りたくて。」は、ありがたかった。めあてのものとは別に読みでがあると、雑誌は良いなと思う。

 通販到着物。ギャラクシー500 Galaxie 500 "UNCOLLECTED NOISE NEW YORK '88-'90" (Silver Current Records 57)。シングルB面曲、ボックスセットのボーナスディスクや再発時のボーナストラックなど入手困難曲を集めた2枚組CDで、これまで未発表だったものも8曲収録されている。ギャラクシー500は、前にも書いたことがあるけれど、ディーン・ウェアラム Dean Wareham の声が苦手で、あるときオリジナルアルバムは手放してしまい、その負い目もあって、再発やボックスセットにも手が出なかった。ベスト盤とピール・セッション盤と入手困難&発掘録音集しか持っていないのはどやねんという気はする。

 今週の綱渡り。母デイ日の残り、土曜日。『息を殺して』の五十嵐耕平監督の新作『SUPER HAPPY FOREVER』が、「京都シネマ」の昼の回に上映があると知り、出かけることにした。席に着いてから知ったのだが、その日が初日で、監督の舞台挨拶がある、ということで、それはありがたいのだけど、時間は大丈夫か心配になってしまった。
 『SUPER HAPPY FOREVER』は、すれ違いでも出会いでもなく、それぞれの時間が続いている、という物語だった。妻の突然の死を受け止められない主人公は、6年前に彼女と出会った熱海を訪れて、そのときに何の気なしにプレゼントしたが、彼女が失くしてしまった赤いキャップを探し回る。過去の場面での、妻、凪の物怖じしない話しかたがよかった。6年前は友人と旅のzineを作ろうとしていたカメラ好きで、亡くなる前には撮影を仕事にしていたようだけど、そのときどきの出来事を大切にするひとなのだなということが伝わってくる話しかただった。それを受け止める登場人物のひとり、ベトナムから来て、ホテルで働いているアンもとてもよかった。凪は、赤いキャップのことを、生前、どんな風に話していたのだろうと、もやもやではなく、すっきりした気持ちで想像したくなった。主人公が、突然、ボビー・ダーリンの "Beyond The Sea" をカラオケで歌い出すのだけど、その話の中に出てきたのではないかな、とか。熱海のリゾート地だからか、『赤と青のブルース』も連想した。
 監督の舞台挨拶は、上映終了後、15分くらいかな。サイン会もあったけれど、パンフレットだけ買って、映画館を出た。

 買い物して、帰宅して、母がデイから帰宅。調子がよさそうだったので、夜に出かけてもよいか訊いたら、大丈夫、と(いつものことではあるのだが)言うので、出かけさせてもらうことにした。早めに晩ごはんの準備をして、いつもより30分以上早く食べてもらい、17時過ぎには部屋に戻って横になってもらって、再び、外出した。

 雲州堂での「初秋の音凪企画特別興行 Jump Up! Play Up! Live Out!」、出演は、牧野琢磨・トリオ・パッカサタン(パッカサタンは韓国語でペパーミントキャンディの意らしい。"牧野琢磨トリオ"なのか、"トリオ・パッカサタン"なのか迷っている)、popo、元山ツトム。当日券で。直前の母の調子次第なので、予約は入れられない。入れるだけ入れてキャンセルするようなことはできるだけしたくない、ので。だからという訳ではなく、母と一緒に早めに晩ごはんは済ませていたので、ドリンクのみで。着いて早々に友達二人組から声をかけられて、並んで見ることに。唐揚げをひとつもらった。漫画家のmさんも来られていた。
 最初にpopo。ステージ前の客席右端で。新しい曲やカバーもあり。ニニ・ロッソの曲など。途中から元山さんが参加。こころなし、こじんまりとはしていなくて、ちょっとワイルドな風情がありました。牧野琢磨・トリオ・パッカサタンは、ギター牧野琢磨、ドラムス村野瑞希、ウッドベース服部将典という編成で、NRQの牧野さんが、オリジナルという縛りなしに、好きな曲、いい曲を演奏するために組んだトリオ。ジャズやラテンが多いかんじだけど、とりあげていた大原裕さんと同じく、やっぱり、ちょっとワイルドな風情で、"それ"っぽいかんじなしで、バキバキと演奏されていた。こちらも、元山さんが加わり、popoが加わっての合奏。楽しかった。aさんやgさんにも会えたし。

 帰宅したら、母は眠っていたけれど、翌朝、「おはよう。ただいま」と声をかけたら、ライヴはよかったかと訊かれた。前夜にライヴに行ったことを覚えていてくれた。よかったよ、友達にも会えたし、東京から来たギターのひとにも挨拶できたし、と答えたら、「それはよかった」と喜んでくれた。
 のだが、きょう、ちょっと遠くまで買い物に出かけて、帰るのが遅くなったら、不安になったらしく、窓から外に母が狼狽している声が聞こえてきた。買い物に行ってくると伝えてはいたのだけど。きょうは、昼には、友人から救援物資として送ってもらった料理本を見せたら、急にやきめしを作ると行って、ほんとにひさしぶりに台所に立ったり、居間にやってきてやはりひさしぶりにテレビの前に座ったりして、よいかんじだったのだけど。
 探しものついでに、母が前に行っていたデイケア施設でやっていた脳トレペーパーを整理したのだけど、少し前にはできていたことがいまはできなくなっていることを思うと、哀しくなってしまった。いまがよくないというのではなくて、いまはいまで機嫌よく過ごしてくれていればいいのだけど、できていたことを思うと。

 今週のその他の音楽関係。●NHK教育『100分de名著』の今月のお題がロフティング『ドリトル先生航海記』だから、というわけでもないけれど、アニメ『ドリトル先生航海記』のグラスホッパーズ演奏場面を集めた動画がYouTubeにあがっていたので、曲名を調べた。聞き覚えがあった曲は、どうやらLPには入っていないらしい。LPも、配信でもいいから、聞けるようになりますように(もはやお願いごとの領域)。●NHKラジオ第1『ふんわり』六角精児さん担当日は、"ニュー民謡" 特集。寺内タケシから、民謡クルセダーズ、中西レモン、すずめのティアーズまで。●NHK教育『いないいないばぁ』の「ゆうやけこやけ」のピアノ編曲がよいかんじだった。●優河さんの『RIVERSIDE RADIO』#24のゲストは妹さんの石橋静河さん。音楽の話はないけれど、ふたりとも、ちょいちょい関西弁っぽいかんじが混じるのは何故。●「Madfish」から、無理、なローラ・ニーロのCD19枚組大全集 "Hear My Song: The Collection, 1966-1995" 発売の報。2024年12月6日発売。内容を確認する。9枚のオリジナルアルバム(1?10)、没後の発掘録音集(11)、ライヴアルバム(12?14、17)、発掘1994年ライヴ(15、16)、デビュー前デモ(18)、テイク違いやボーナストラックなどの拾遺集(19)。大好きな1988年のボトムラインでのライヴや見に行った日の録音を含む1994年の日本でのライヴは含まれていない。今回の発掘ライヴ2枚の他は、数曲のボーナストラックが手元にないくらいなので、見送ります(言い聞かせてる)。●NHK『星野源のおんがくこうろん』、新シリーズの第一回はキース・ジャレット。●TOKYO FM『ミドリノラジオ』第1回(ゲスト:ロケットマツ、石川浩司)をradikoタイムフリーで、第2回(ゲスト:ピーター・バラカン)をオンタイムで。土曜の28時半から29時、というよりも、日曜早朝4時半から5時と言ってもらったほうがよいような。田中美登里さんの新番組なのだけど、ずっと「ミドリノオト」だと思い込んでいて、"の音" と "ノート" をかけているのだななんてことまで思っていた。●KBS京都『大友良英のJAMJAMラジオ』は、これまでもたびたび語られている、大友さんが出会ったパンク、ニューウェイヴ特集。DNA、コントーションズ、ポップグループ、スターリン、アーント・サリーなど。●YouTube『ザ50回転ズのロックンロール予備校2』「初めての名盤シリーズ」、Phil Spector『BACK TO MONO (1958-1969)』編は4枚目のB面。クリスマスアルバムは割愛ということで、最終回。1969年なので、スペクターは、ビートルズ "LET IT BE" に関わっていくので、アイク&ティナ・ターナーみたいな音になっていたら、どうだっただろうなどと妄想してしまった。

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