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2023年12月17日〜2023年12月23日


12月17日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2023年12月17日】
 記憶量には限界があって、LIFO (Last In, First Out) というのか、限界を越えると、古い記憶が消えていくのではなくて、新しい記憶がすぐに消えてしまう、のだろうか。新しい記憶が保持できないと、約束が成り立たなくなるし、不安になるし、その不安を打ち消そうとして、夢や古い記憶と結びつけてしまうのかもしれない。夢は古い記憶の変形なのかもしれないとも思う。12月に入って、母の新しい記憶の保持力が急に衰えたように感じている。訂正はしたくないけれど、訂正しないと、そのまま思い込んでしまいそうなので、むずかしい。勘違いであることに気付くと、落ち込んで、申し訳なさがるし。どうすれば不安をやわらげることができるだろう。自信も取り戻してほしいと思うのだけど(今週は、割と離れたクリニックにひとりで行くと言うので、送り出してから、尾行した。はじめてのおつかいか)。

 申し訳なく思う必要ないよ、という気持ちもあって、直前まで迷っていた夜の外出を土曜日(2023年12月16日)、ひさしぶりに。「難波ベアーズ」での佐藤幸雄とわたしたちのライヴに。佐藤さん、鈴木さん、玉川裕高さんのトリオになってから、初めてライヴを見る。配信では見ていたけれど、東京には行けないし、もしかしたら、見ることはできないかもしれないと思っていた。
 最初に山本精一さん。「山本精一 Sing a Songrider」とあったのは、エレクトリックギターをぐわんぐわんイワす弾き語りでした。ぐわんぐわんいう隙間から聞こえてくる柔らかな声がいいな、と改めて思う。POP鈴木さんとのデュオも2曲。重くないのに、ずっしりとした感触が残る。ところで、今回、始まる前のBGMは無し。山田太一脚本の『兄弟』に出てきた「事故で止まって運行再開を待ちながら、誰ひとりとして話をしない乗客」状態になってた。そんな中で、「新鮮」「なんかいいよね」という小さな声が聞こえてきて、とてもよかった。なに言うてるねんと思われると思いますが、"追悼山田太一"というかんじがして。そうした声を出せない不甲斐なさも思った。

 佐藤さんたちは、初めて聞く歌もたくさんあったのだけど、定義ではなく、形容として、ただただ、ロックやん、ワークソングやん、寝かし付け唄やんと感じながら、からだを揺らしてた。打楽器としてのピアノで歌の場所を作る藤木弘史さん、自在にかたちを変えて曲を薦めていく紫草玲さん、とピアノとのトリオは見ていたけれど、玉川さんのギターはその場に留まって、歌を揺らして、増幅するかんじがした。その点で、POP鈴木さんと同じ役割なのかもしれない。増幅しあうトリオ。新しいアルバム、『わたしたち3』(3は右肩に小さく。3乗の表記)を帰りに購入。4色あるうちの黄色を選んだ。

 できるだけ早く帰らねばと早々に辞して、「なんばパークス」のビル風に煽られつつ、なんば駅に戻って、帰宅。なんだか、遅延が常のような気がしていたけれど、この日はそういうこともなく、22時半に帰宅。母には23時までには帰ると言い置いていたので、30分も早く帰れたよ、と言いたかったけど、23時と言っていたことはすっかり忘れられていた。

 母がデイに出ている間の外出。火曜日は、母に鍵を持っていくように言うのを忘れていたので、遠出はなし。CDを、HMVの配送箱から、ホームセンターで調達した収納ボックスに移し換えたり、CDをプラケースからファイルに抜き出した、はちみつぱいのライヴ録音集のファイル用インデクスを作ったり。手軽に聞けるように、つい取り出してしまうのだけど、それでCD-RやMDと同じく、曲目や解説と泣き別れになってしまっていることが多いので、ファイルのほうに抜粋を付けておこう、と。そう言えば、そうやっって、聞くものだけ抜き出していた
ピンク・フロイドの "THE DARK SIDE OF THE MOON" のボックス。元に戻しておこうと取り出したのに、ボックスのしょうもない体裁にまた腹が立ってきて、結局、全部取り出してしまった。オリジナルミックスと初期バージョンと発売時のライヴ録音があればよかったのだけど、映像資料もあるとは言え、DVDとBDは同内容だし、ブックレットは、当時の状況などの解説は映像に任せて文章は一切なく、ストーム・トーガソンの自己満足でしかないビジュアル冊子だった。おまけのことはすっかり忘れてた。
 気を取り直して、金曜日は、ウェブで画像を見ていて、実物を見たくなった「カペイシャス展覧会#20 曽祇一晃個展」を見に、「Calo Bookshop and Cafe」に。曽祇さんの作品は、細かなトゲトゲに目を瞠ってしまう切り絵作品で、怪獣、百足、植物等々がモチーフになっているのだけど、繋がっているようにも戦っているようにも見えて、怖いはずなのに、ユーモラスな印象も受けた。作品のタイトルが、なんとかザウルスになっているのも面白かった。デイの合間を見て、なので、このところは昼に行っているけれど、そうすると、チキンカレーが食べられるのがよいです。時間と体力の節約のため、今回も、地下鉄で往復した。

 阪神百貨店でレコード市をやっていたので、途中で動けなくなった7月の雪辱を果たすことを考えていたのだけど、梅田に着いた頃に、姪からの本の探索ミッションが入ったので、予定を変更して、書店のハシゴ。探索本は無事に確保。自分用には何も買わなかったけど、休刊となる「これから出る本」の最終号(2023年12月下期号)をもらうことができた。発行は1976年からだそう。ずっとあたりまえのようにもらってきて、あたりまえのように眺めてた。仕事場構内の売店にも置かれていて、もらってきていたのだけど、退職してからは、近くに置いている書店もなく、特に気にも留めていなかった。だから、閉店と知ると並ぶやつみたいで気が引けたけど、手にすることができて、よかった。あ、自分用に、書店ではなく、「タワーレコード」で、「レコードコレクターズ」2024年1月号を買(こ)うてた。赤盤青盤の新装盤特集。安田謙一さんの「赤盤青盤世代」についての文章が読みたくて。こづかい少ない組だったので、自分では買えなかったけど、確かに入門編であり、歴史の教科書だった。小学校の級友Oくんが買った青盤を聞いて、自分が買う最初の盤は "MAGICAL MYSTERY TOUR" にしようと決めたのだった。

 その他の音楽。●YouTubeの視聴候補に、ドノヴァン "LIVE IN JAPAN: SPRING TOUR 1973" が公式アカウントからあがっていて、驚いた。調べてみると、公式サイトでは、当時の記録映像を収めたDVD "YELLOW STAR" とのセットでCDでも販売されている。配信は、Apple Musicにはなかったけど、Spotifyにはあった。聞いた。弾き語りだけど、ふくよかな音でよかった。CDとDVDのセットを悩む。日本盤(国内盤)というものがもうほとんど期待できないのが痛い。●アンソニー・モア "WORLD SERVICE" LPのMDコピーが出てきた。CD版は、曲が差し替えられていたり、別アレンジで録音し直されたりしている改訂盤なので、聞き用に置いておくことにしたけれど、念のため、配信を検索してみたら、なんと、配信はLP版だった。MDと同じように、シングル "World Service" のAB面も追加されているので、笑ってしまった。CD版は配信にはないみたい。●購入するつもりでいるけれど、先延ばしにしているピエール・バルー "LE POLLEN - Le concert legendarie 1982" を配信で。大空はるみさんによる日本語訳やデュエットがここだけのものになっている。レコードをかけてそれに合わせて歌うという、ゆるいかんじもならではかな。●MDに抜粋が入っていたことで改めて、良い作品であることを思い出したSpiritual Vibes『ことばのまえ』のDiscogs情報が、ローマ字表記になっていたので、オリジナルに沿ったひらがな・カタカナ・漢字表記に訂正した。元にあったローマ字表記は注に移して、海外発売盤のタイトルも添えた。この作業の過程で、見過ごしていたタイトルの意味を知ることができた。「フム・アル・フート」。インストゥルメンタルということもあり、気にとめなかったのだけど、聞いたことはあった「フォーマルハウト」のことだった。「みなみのうお座アルファ星 (alpha PsA)」。だから英題が "PsA" だったのだ。海外盤のDiscogsの記述が "P S A" となっていることからすると、その記述者も、"PsA" のことだと気付いていないかもしれない。●『乙女の儚夢 NOEL』をやっと聞いた。それぞれの歌手がそれぞれのスタイルでカバーしたオムニバスではなくて、このアルバムのためのオリジナルバンドの演奏に、歌手が参加だったのか。でも、誰が編曲したのかは書かれていない。宣伝によると、即興との文言も見かけたけど。演奏は面白いけど、参加者のプロフィールもわからないし、「届けられる」かんじがないのはちょっと残念。●YouTube「Tiny Desk Concert」で、Alvvays(オールウェイズ)。好きなかんじとしか言えないのがどうにも。●YouTube「ザ50回転ス゛のロックンロール予備校2。初めての名盤」で、クラフトワーク『人間解体』A面。好感触で、ビートがあること、メロディの良さに触れていて、うれしい。いつものことだけど、改めて、通しで、ちゃんと聞けたのもありがたい。

 その他のテレビ。●『大奥2』最終回。●今週は『シェフは名探偵』があった。●『金と銀』は見てます。『セクシー田中さん』にも『金と銀』にも、朝倉あきさんが出ているけれど、損な役回りのような気が。●『うちの弁護士は手がかかる』、コメディとして面白い。主人公がリュックを背負っているときの前の手の位置は真似したくなる。●『妻、小学生になる』を「TVer」で。最終回を残すのみ。コメディの部分と起こっていることの理由を明かす部分のつなぎかたがよいと思う。

 きょうは、図書館に本を返却するついでに、電車に乗って、烏丸「dddギャラリー」へ。「はみだす。とびこえる。絵本編集者 筒井大介の仕事」。好きな絵描きさんの作品が多く、筒井氏の仕事と知らずに持っているものもたくさんある。説明がとてもよかったけど、こども目線の位置なので、ヤンキー座りで読むことに。おまけに、説明には、筒井さん視点のものと作家視点のものがあって、見所の解説にもなっているので、置かれている絵本の実物との間を行ったり来たりすることになって。立ったり座ったりで、ちょっとくらくら。舞台裏を明かすことが、見所の解説になっている、いい展示でした。
 帰りに、大丸京都店内のラスクの店に。阪神百貨店に寄っては、行列に諦めたのだけど、ここでもそこそこ並んでいた。いつもはすっと買えるのに。並びながら、陳列ケースの商品を見ることができるのは、脇に列を作る大阪店よりもいいと思う。

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