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2023年1月29日〜2023年2月4日


1月29日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2023年1月29日】
 少し前に放送していたときに見て、実は最後のほうで寝落ちしてしまった長尾元監督『いつかのふたり』が昨日の深夜に再放送していたので、録画しておいた。妙に気になる映画だったので、朝起きて、暗いうちに、改めて見た。ひとの気持ちをまったく意に介さない母親(中島ひろ子)と、距離をとりながら付き合っている高校生の娘(南乃彩希)が主人公。高校生の娘の距離のとりかたがよいかんじで、母親の問題行動の描写がかなり割り引かれる。母親は結局何も変わらないし、振り回される周囲は影響を受けて良い方向になるかんじだけど、良い方向に進むのは、振り回されたおかげとまでは言わないのがよかった。なんということはない話だけど、機会があれば、つい見てしまうタイプの映画です。娘が実在の「古書往来座」でバイトしているのも、本好きとして楽しい。

 自分で行くと言うので、買い物は母に任せて、午前中は片付け。紙類が詰まった箱を開けて、選り分けていく。昨日送ったものに入れるべきものが(思わぬところから)出てきて、高くない天井を仰いだ。然るべき場所に一緒にしておく。然るべき場所がはっきりしていて、すぐに収めることができれば、物理的にはどうであれ、気持ちの上ではすっきりするのだけど。

 訃報が続く。天沢退二郎さん。詩人としてよりも、『光車よ、まわれ!』の作者、宮澤賢治研究者として、一方的に世話になった。

 Twitterのタイムラインで、「え?」とだけ投稿されているのを目にして、どういうことなのだろうと思っていたら、別のひとたちの投稿が続いて、トム・ヴァーレイン Tom Verlaine が亡くなったことを知った。定年退職あいさつ付録コンピに、"LIVE AT THE OLD WALDORF - San Francisco, 6/29/78" の "Dream's Dream" を入れることを考えて、去年というか先月ひさしぶりにひっぱり出して、聞いていたところだった。ジュディ・シルとともに、前職の初出社から帰ったら、Rhino Handmadeから届いていたCDだったから。最近はまったく追いかけていなかったので、惜しむ資格はないけれど、テレビジョンは、性急さや壊れっぷりとは別のところで、定規のあてかたの違いのような、それまで聞いていたものとは違う、ひりひりした感覚を感じさせてくれたと思う。ソロの最初のアルバムは、その語法で自信を持って語る爽快さがあった。当時やっていた宅録でよく真似したので、それを知っているのは自分だけとは言え、ひとに聞かせることになったら、赤面すると思います。影響されたのは、もちろんギターではなくて、ドラムの入りかたなのだけど。

 田川律さんも亡くなられた。正直に言えば、昔は苦手だった。わたしが好んで聞いていたポップなものや才気走ったものは、志がないものとして断罪されそうで。たぶん、昔書かれたものを改めて読んでも、むかっとくると思うのだけど、「雲遊天下」に連載されていたものは、すんなりと読むことができた。
 タイムラインにはあがってこなかったけど、かつて読んだことがあるひと、聞いたことがあるひとでは、作曲家の松平頼暁さん、作家の加賀乙彦さんが今年に入ってから亡くなられている。

 あるもので足りているから無理しないように母に言って、午後から外出。運動のためもあり。天神橋筋六丁目から中崎町に向かって歩いていき、高架下の「イロリムラ」に、「第55回 漫画展」を覗きに。出品は、石井章さん、森元暢之さん、竜巻竜次さんら。
 中崎町から梅田に向かって歩き、「ディスクユニオン」「丸善ジュンク堂書店」「VOX RECORDS」「タワーレコードNU茶屋町店」とハシゴするも、チラシの類いをもらうにとどまった。大きなところに行くときは、事前にメモしとかなあかんね。もう、その場で思い出すような品揃えになっていないから。「丸善ジュンク堂書店」はずいぶんとグッズ売り場が広くなった。集中レジがものすごい列になっているのもいつものことだけど、相変わらず現金支払いのセルフレジが空いているのも謎です。みんな、そんなに、電子マネー持ちなん?。

1月30日(月)
[一回休み]
1月31日(火)
[一回休み]
2月1日(水) 【▼ぐりぐらメモ/2023年2月1日】
 月曜日、朝、母が起きてくるまで、マディソン・カニンガムの "Tiny Desk Concert"(2022年8月3日収録)を見る。"REVEALER" 発売(2023年9月9日発売)に際して行われたもので、そこから4曲を演奏している。歌いながら弾いていることが信じがたいギターなので、見られることがありがたい。ジョニ・ミッチェル作品に近い感覚も、プロダクトよりも強く感じた。発売は去年だけど、わたしにとっては、2023年の一枚になりそう。
1. All I've Ever Known
2. Hospital
3. In From Japan
4. Life According To Raechel
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Madison Cunningham: vocals, guitar
Kyle Crane: drums
Philip Krohnengold: keys
Daniel Rhine: bass


 そう言えば、2015年12月22日と、ずいぶん前に公開されたものだけど、マディソンが "Christmas Time Is Here" をカバーしている映像があって、とてもよい。Twitterに投稿して、知らせようと思ったのだけど、その日がロシアがウクライナに対して、いやがらせのようなクリスマス休戦を呼びかけていた日だったので、控えて、それきりにしていた。

 続いて、メン・アイ・トラスト Men I Trust の "Tiny Desk (Home) Concert"(2021年6月16日収録)も見た。以前、たまたま聞いたものやぞんざいなカバーデザインの印象から、なんとなく打ち込みユニットだと思っていたのだけど、楽器を演奏するバンドだった(昔のひとがこの文を読んだら、何を言っているのだと思わそう)。カナダのバンドとのこと。ええかんじだけど、ここ数年にリリースされたものでも、もう、盤は入手困難。最近のひとたちについては、新譜は早々に売り切れ、中古は出回らず、オークションでということになりつつある。というか、あとは配信で、か。

 9時4時で片付け。TOKYO FM「トランスワールドミュージックウェイズ」(「チンドン・アワー」アンコール後篇、1991年放送の再放送)など聞きながら。先週、前篇のradikoタイムフリー終了期限直前にエアチェックしておこうと思ったら、電池切れでできなかった。直前にならないと動けない性質をなんとかしないと。いまは思い立ったら、できるのだし。

 夜、NHK教育「スイッチインタビュー」、細野晴臣×小林信彦の後編を見る、も、話を聞くというよりも、聞いてもらいたかったことを話すかんじで、居たたまれなくなった。大瀧さんの代わりに、とか。『日本の喜劇人』はわたしも愛読書しているけれど、小林信彦さんは、気に入らない意見を述べるひとを「ないことにする」傾向があるので、そっちへのスイッチが入るようなことを細野さんが言ってしまわないかという点で緊張もしてしまう。見損ねた前編の再放送を見るのはやめた。

 鮎川誠さんの訃報。かっこええひとではあるけれど、かっこつけてなかった。シーナさんが育児に専念されているときに鮎川さんヴォーカルで制作された『ROKKET SIZE』の、ギターは変わらないのに、話すのと同じ朴訥とした歌が好きだったけど、もし、ご本人の目や耳に入ることがあったら、「シーナがおらんほうがいいのか」と怒られそうな気がして、よぉ言わんかったです。

 火曜日、朝、「KEXP」でのクレズマティックスの演奏を見る(2022年12月22日収録)。フランク・ロンドンは別プロジェクトをいろいろされていたので、クレズマティックスはもう活動していないと思っていた。メンバーは入れ替わっているけれど。デイヴィッド・リクトも居ない。ずいぶんまろやかになっていた。。それで、思い出して、昔探して見つけられなかったクレズマー・コンサーバトリー・バンド Klezmer Conservatory Band について検索してみた。定額制配信にもあったけど、聞きたかった "YIDDISCHE RENAISSANCE" はなかった。どうも、あるはあるけれど、日本では聞けない設定になっているよう。レンタル落ちのようだけど、中古盤が安く(珍しく)出ていたので、注文した。

 小松亮太さんの『タンゴの真実』(旬報社、2021年4月)を読んでいたら、あがたさんの『バンドネオンの豹(ジャガー)』について触れられていた。エドゥアルド・アローラスの異名「バンドネオンの虎」への注に、「バンドネオンの豹」を。わざわざ。それでいて、アローラスのことを歌った「パリで死んだ虎」(エドゥアルド・アローラスという名もバンドネオンの虎という異名もボカ地区もパリで客死したことも、わたしは、この歌で知った)には触れていないのが、また、わざとやなと思えて楽しい。『タンゴの真実』は、広い関心を持って、長い時間をかけた研究なのに、体験談や感慨やツッコミが随所にあふれていて、面白い。『バンドネオンの豹(ジャガー)』については、別に1ページと少しを使って触れている。「ケッ!と思いながらも魅力を感じ始めたことを認めたくなかった」「考えてみればグレイトなアルバムである」と書かれている。

 退職金の残りの請求準備。記入して、送付するだけと聞いていたけど、よく読むと、住民票は取らないといけないし、振込先の銀行の承認印が要るとある。とりあえず、住民票だけ取りに行き、銀行には、母がデイケアの日に、他の用事を兼ねて行くことにした。
 市役所の帰りに、コーヒーを飲みながら、本を読もうと思っていたのだけど、「平日」の午後でも、えらい満員なんやな。

 作業中は、『バンドネオンの豹』からの『わんだぁるびぃ2021』。ドキュメンタリー映画のサウンドトラックのよう。音だけ聞いていて、「たそがれる海の城」やエンケンさんの「おやすみ」が出てきて、どきりとした。表紙画は、小樽運河やなと思ったので、Googleマップで調べてみた。北のほうにある北浜橋の手前からの景色で、カモメ呼ぶ少女像と北海製罐株式会社小樽工場の建物が描かれている。30年くらい前に小樽に行ったときはそこまで行けなかったような気がするけれど、定かでない。あのときは、商業施設には寄らずに、時間いっぱい、北のほうに歩いていって、船だまりに行き当たって引き返した。写真は撮らなかったかな。

 水曜日、9時4時の片付け作業。途中、午後から、雨が降りそうな中、母が買いたいものがあるというので、一緒に買い物に。ふたりとも、歩かなあかんからなぁ。
 フィリップ・グラスの誕生日(1月31日)という投稿を見かけて、訃報ばかりをきっかけにするのもなと思い、定額制配信を検索してみたら、ボウイさんの "LODGER" を素材にした交響曲がリリースされていた。"LOW"、"HEROES" に続く、ボウイ/イーノ交響曲シリーズ。なのだけど、今回、歌をフィーチャーしており、メロディも、元のポップスあるいは非西欧地域から離れたものになっているので、申し訳ないけど、ピンとこなかった。遅れて3回分まとめて、KBS京都「レコ室からこんにちは」渕上純子さん選曲回も聞いた。バートン・クレーン、物真似、東海林太郎を選曲。物真似、もはや、真似されているひとのことがわからない。「信ずる者は」というのは母がよく口ずさんでいるが。

 テレビは、再放送を含めた連続テレビ小説3本の他は、『旅屋おかえり』(再放送の先週と新作の今週のみ)、よしながふみ版『大奥』、『リバーサルオーケストラ』(ありがちな話だけど、配役が面白い)、『警視庁アウトサイダー』、『今夜すきやきだよ』で落ち着いています。夕方、『イチケイのカラス』をつい見てしまうことも。映画は「GYAO!」でちょいちょい見ているけれど、ヒットせず。「GYAO!」は何の気なしに見られるのでありがたいけれど、その分、「見る気がない」のに「何かか言いたい」ひとが跋扈しているので、コメント欄は酷い。3月でサービス終了とのこと。ずいぶん前に教えてもらって登録したものの、見るようになったのは、最近。眠ってしまったりして見逃したものを見たり、古い映画を改めて見ることができてありがたかったので、終了は残念です。広告はひどいのもあるけれど、それでも、民放BSの通販CMよりはましのように思えるし。

2月2日(木)
[一回休み]
2月3日(金)
[一回休み]
2月4日(土)
[一回休み]

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2023 Kijima, Hebon-shiki