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2022年9月11日〜2022年9月17日


9月11日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2022年9月11日】
 月曜日、朝、仕事に出ようとしたら、郵便受けに郵便物が届いていることに気付いた。送り主の名に心当たりがない。なにか通販で頼んで、まだ来ていないものがあったっけ。と、怪しみながら、自転車前かごのカバンとカバンの間に差し込んで、駅まで。
 駅のホームで開封したら、いしいひさいちさんの『ROCA 吉川ロカストーリーライブ』でした。送り主に「(笑)いしい商店」と書かれておらず、マネジメントをされている事務所の名を知らなかったもので。それに思ったよりも、届くのが早かった。発売の報を見たものの、のんびりしていたら、初版が早急に売り切れてしまい、第二版の発送が始まっているという話を聞いて、あわてて注文したのが今月初めだった。日曜日のうちにはもう着いていたのかもしれない。

 いしいひさいちさんの漫画は長らく読んでいなかったのだけど、『ののちゃん』の脇役として登場するロカさんの話は、藤本和也さんのツイートで見かけて、気になっていた。公式サイトに掲載された「話の途中」を読んだだけで、物語があることが受け取れたから。
 ファドを歌うこと以外はすっとぼけた性格の吉川露花と気が荒く手が早いが露花を放っておけない柴島美乃の二人が主人公。4コマで、ふたりの、あるいはそれぞれの日常がオチをつけながら、描写されていく。「吉川ロカ」として人前で歌い始めた露花の歌は、徐々にたくさんのひとの耳を引きつけ、活躍の場を広げていく。でも、サクセスストーリーではない。ロカは歌うことが好きで、聞いてもらうことが好きだけど、格付けには関心がない。まえがきに「都合のよいお話です」とあるけれど、サクセスストーリーにつきものの「そうでない」ことへの縛りがないから、そこにまつわるあれこれが要らないということなのだと思う。それよりも、そんな歌うことが好きなロカを見守るひとたちの存在が切ない。

 サクセスストーリーにつきものの縛りがないからか、音楽活動の描写に腑に落ちるところがたくさんあります。サクセスストーリーにつきもののの縛りに無縁のひとたちをいつも聞いているからかな。

 『ROCA 吉川ロカストーリーライブ』はその日のうちに読み終えたのだけど、実在のファド曲が登場するので、翌日も持ち歩いて、メモをとりながら、定額制配信で探して、プレイリストというものを作ってみた。ファドといっても、「コインブラ」、("よせばいいのに"船上ライブの1曲目)「暗いはしけ」くらいしか知らなかったのだけど。まずはファド歌手と言えば、このひとしか知らなくてすみません、なアマリア・ロドリゲスで探してみて、4曲。アマリアさんで見当たらない曲を検索したら、マリーザ Mariza さんというひとのベスト盤に3曲入っていたのでそれらも。日本語タイトルの曲を検索したら、ガーネット・クロウの曲がいくつもヒットして、「?」となった。どうも歌詞から引用してるみたい。
 というところで、ファドの曲は実在するよ、これを機会に聞いてみよう、というつもりでツイートしたら、なんと、マネージャーの方から返信をいただき、カバーの見返しにあったセットリストの出典をメモした画像を送っていただいた。感謝と感激を並べると、ふざけているみたいになってしまうけれど、ほんとに。ツイッターの効用と言われたよいことなんて、そうそうないけれど、これはとてもうれしい出来事でした。

Maria Lisboa - ファド曲スタンダード
海神 - ファド古曲かの歌詞から 曲名不詳
シークレット・ライフ - ガーネット・クロウ(以下ガネクロ)「ミステリアス・アイズ」の歌詞から
Barco Negro - ファド曲スタンダード 映画「過去を持つ愛情」挿入歌(「暗いはしけ」として知られています)
Roasa Branca - ファド曲 マリーザのアルバムから(以下マリーザ)
Loucura - ファド曲 マリーザ
月光 - ファド古曲名
金色に光る海 - ガネクロ「バタフライ・ノット」歌詞から
次の場所へ - ガネクロ「ミステリアス・アイズ」歌詞から
君のいない街 - ガネクロ「Elysium」歌詞から
Recusa - ファド曲 マリーザ
一夜の恋 - ファド古曲歌詞から 曲名不詳
JaMe Deixou - ファド曲 マリーザ
Primavera - ファド曲スタンダード
花の雨から降る - ガネクロ「夢みたあとで」歌詞から
 大切にします。印刷して、はさんでおこう。

 あまり大きな声では言えないけれど、先週から、お客さんのひとつに人事異動があって、「なんでおたくらその仕事を(勝手に)やって請求してくるん?」というよな話になっていて、どんよりしています。やってください、支払いますからと言われたから、やっているのだし、ちゃんとした指示が出てこないけど、やらんと(わたしらにではなく、先方に)支障が出るから何も言われんでもやっているのだけれど。潮時かな。

 土曜日、てあしくちびる『ARAMASHI』発売記念ライヴを聞きに難波「ベアーズ」に。目の前でパズルが組み上げられていくような演奏に驚きつつ、その表情が同時にパズルを解いていくような嬉々としたものであることにわくわくさせられた。演奏しているところを見ていたい二人でした。
 開演は12時半。まず企画のいかめがねすーすー。リズムがタイトになっていて、繰り出されるフレーズがいきいきとしていた。それにともなって、歌も、ひとりごちるかんじはなくて、よかった。AUX(エーユーエックス、と呼びかたを書くのは、はじめてラジカセを手にしたとき、AUX端子を何と呼ぶかわからなかったことで人前でなかなかそれに触れることができなかった過去から)はライヴを見るのは初めて。記憶よりも、ソリッドで、ファンキーでびっくりした。びしっとした空気が流れていて、心地よかった。
 終演後、てあしくちびるのベスト盤『ARAMASHI』と、ドラム入りのライヴ録音カセット『Visitant Live』を購入。

 「ベアーズ」は地下なので、真っ昼間であることは気にならなかったけど、終演後、外に出たら、かっと照っていて、まぶしくて、めちゃくちゃ暑かった。もう秋じゃなかったっけと思ったくらい。夕方には帰ると言って出てきたけど、少し時間がある。北へ向かうか、東へ向かうか。(西へ向かう選択肢は、遅くなるので、迷ったけれど、諦めた)。
 東へ。「FOREVER RECORDS」に。右手の指は、詰め詰めのハードな棚をめくるにはまだ充分ではなかったみたい。東瀬戸さんに、いろいろ話を聞いたり、資料を見せてもらったり。雑誌「FEECO」4号、FORMER_AIRLINE "CONTROL FACTOR" と…中身を見せてもらって、迷っていた中村泰之監修『AGI 2/ENO』(きょうRECORDS、2022年6月)を購入。阿木譲氏がイーノについて書いたものを集め、阿木氏にとってイーノについて書くということはどういうことだったかを検討した論考を添えたもの。

 きょうも、先週と同様、昼から、起きられず、ぐったり。朝は、起き出す前に「GYAO!」で、映画『真木栗ノ穴』を見たりしていたのだけど。今週は、他にも、映画『花芯』(アコーディオンによる「ジムノペディ」が印象的だと思ったら、熊坂路得子さんだった)や見逃したドラマを、つれづれに見ていた。

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