目次に戻る

2022年7月3日〜2022年7月9日


7月3日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2022年7月3日】
 今週のコレット・マニー入門は、ほぼ休み。Disc 5 "1977" から前半の "VISAGE-VILLAGE" を聞き、 中村隆之『魂の形式』第4章「政治主義の彼方へ」の途中まで読んだ、のみ。"VISAGE-VILLAGE" の、柔らかく、包みこむような感触の音と、変わらず爆発的な瞬間のある歌唱の組み合わせに圧倒されてしまい、ちょっとすぐに、"1977" 後半の発掘ライヴ録音に進めることができないでいたら、一週間経ってしまった。

 今週の通勤音楽は、通天閣近くのうどん屋の看板を流用していることを安田謙一さんが指摘していた(既に、本人の解説動画もあがっていたのだが)モーマス "ATHENIAN"、検索やツイッターの記事などで出てきたマルコ・マルシェ MarcoMarche(初期のベン・ワットを連想)、カレント・ジョイズ Current Joys(微妙にイーノ好きなのではないかという疑いあり)、ホース・ガール Horse Girl(もうちょい鋭さが欲しいけど、面白い。このあたりを紹介するジンの誌名が「Hallogallo」というのも面白い)、橋野桃子さんが練習で "Feel Like Makin' Love" を弾いていて、好きな曲なので反応したら、橋野さんが好きなバージョンとしてマリーナ・ショウ版を教えてくれて、収録されている "WHO IS THIS BITCH< ANYWAY?"。マリーナ・ショウのこのアルバムは、ジャケットはよく見かけていたけど、聞いたことがなかった。ストーリー性のある構成で、一編の映画のようなアルバムでした。

 "Feel Like Makin' Love" は、むかしはよくあった内袋に印刷されたカタログで見たロバータ・フラックの同名アルバムを見て、ジャケ惚れした。カバーイラストを描いたルー・ストーヴオール Lou Stovall(同じ姓のひとについてストーバルという表記が一般的だけど、制作風景を映したドキュメンタリー映像を見ると、Stov-allと聞こえる)について、検索をかけてみたら、今年の2月に、作品集『Of the Land: The Art and Poetry of Lou Stovall』が出ていた。"FEEL LIKE MAKIN' LOVE" のジャケット同様、円に囲まれた作品が収録されているようなので、気になっています。

 今週に入って、体温並みの気温が続いている。土曜日の午前中、片道20分ほど歩いて、用事しに出かけたけど、帰ったら、汗だくになってしまった。右ひざのリハビリもかねて、できるだけ歩くようにしているけれど、この炎天下では、歩くのも考えものかもしれない。昼から、十三「第七藝術劇場」にヤン・ヨンヒ監督『スープとイデオロギー』を見に行って、いつもなら、十三から梅田まで、橋を歩いて渡るのだけど、橋の途中でよろけて、落ちでもしたらと思うと、怖くて、やめた。

 『スープとイデオロギー』は、ヤン・ヨンヒ監督が、生野区生まれの在日コリアンのお母さんについて撮影したドキュメンタリー。特別な日に手間暇かけて作るスープと娘のヨンヒさんには理解しがたいところがあった北朝鮮との関係(イデオロギー)を、同じように受け止める様子が描かれている。家族に国家が介入して、離ればなれにされながら、家族を維持するために国家を頼り、翻弄される姿が痛ましい。つらい出来事を思い出すことがきっかけとなって、認知症が進んだかのようになるのも、つらい。どこにスウィッチがあるかわからない。何がスウィッチになるのかもわからない。それはいつも思っている。

 本筋には関係ないことだけど、重要な登場人物のひとり、監督と結婚する「カオルさん」の最初のTシャツが、「ぼかしを入れなくていいネズミーのTシャツ」で絶妙やなと思いました。結婚の挨拶のためにスーツを着て訪問し、挨拶が終わったところで、着替えて出てきたのがそれで。

 大阪市内方面に行くのなら、と母からリクエストがあったので、お気に入りの菓子を買うべく、梅田に移動。せっかくだから、前日に開店を知った「バナナレコード」を覗いた。いまひとつ整理されていないけれど、価格は穏便。実物を見たことがなかったものはさすがに、の値段だったけど。ブライアン・パットンの最初のアルバムとか。"Music from the Original Sound Track: FAR FROM THE MADDING CROWD"、"RECOMMENDED RECORDS SAMPLER" LP版、Sakana『LITTLE SWALLOW』の最初のバージョンを購入。
 それから、阪急百貨店の「島々の染と織 インドネシアの染織」展と「第4回 日本財団DIVERSITY IN THE ARTS公募展」を覗いた。「島々の染と織 インドネシアの染織」展の関連イベントとして、ジャワ舞踊とワヤン・クリ(ダイジェスト版ラーマーヤナ)が行われているのだけど、既に終了していた。

 きょうは、yumboの澁谷さんが仙台から大阪に来られるというのに、朝から雨。予報では、夕方からとなっていたのに。時間が経つにつれて、雨は強くなってきて、8時45分くらいには豪雨に。いろいろストックが切れてきているのに、買い物にも行けない。と思っていたら、9時過ぎに急に小雨になった。一応、出られる用意はしていたので、すぐに(うちからいちばん遠い)スーパーに。9時から開いていて、助かった。さすがにお客さんも少なくて、重いカゴを持ったまま、列で待つこともなく。戻って、しばらく、10時を過ぎたら、また雲行きがあやしくなって、豪雨。なんてこったい。珍しく、選択と決断がうまくいった例になった。

 14時半くらいに外出。前日に間に合わなかった阪急百貨店9階祝祭広場でのジャワ舞踏とワヤン・クリの上演を見に。しかし。10階で「紙博」が開かれていることに気付いて、ぎりぎりまで見て回っていたら、戻ったときには、席が埋まっていた。今回の舞踏の演目は、1970年万博で、インドネシア館で上演するために作られたものらしい。それがレパートリーとして残っているんやね。ワヤン・クリは、20分の超短縮バージョンだったけど、それでも、中休みにさしかかったところで、時間切れになり、申し訳ないけど、その場を離れた。雨がどうだか中に居るとわからないけれど、時間的にも歩きでは間に合いそうになかったので、地下鉄で東梅田から北浜まで乗ることにした。出口を間違えて、橋までかなり歩くことになってしまった。

 「音凪」企画、「雲州堂」での澁谷浩次『Lots of Birds』発売記念コンサートに。福原悠介監督によるアルバム制作ドキュメンタリー上映、Moon Face Boysの演奏、最後に澁谷さんソロ。澁谷さんソロには、後半、元山ツトムさんが客演。
 澁谷さんソロ、最初に「めそめそしたやつ」と話されていたけど、yumboの「薬のように」「失敗を抱きしめよう」でスタート。予定していなかったが、麓健一さんが最近カバーしたということで「嘘の町」も。ランディ・ニューマンのピアノで、ワイアットが歌っているような感触。澁谷さんのピアノは、伴奏でも、ピアノソロでもなく、道路標識のように、歌が行く方向を示して、導くかんじがする。それから、『Lots of Birds』の曲に。映画を見て、歌の内容が頭に残っているから、いい。元山さんは、アルバムでの参加曲の他にも参加し、ベースも弾かれていた。最後はyumbo「家」と「鬼火」、そして、Moon Face Boysも参加しての全員による「In a Limited Time」で幕。アンコールは「石が降る」。曲の説明のようでいて、聞く者の耳をリセットするかのようなユーモラスな語り口も、ひさしぶりに聞けて、楽しかった。

 雨も結局降らず、そんなに暑くもならず、助かった一日でした。

7月4日(月)
[一回休み]
7月5日(火)
[一回休み]
7月6日(水)
[一回休み]
7月7日(木)
[一回休み]
7月8日(金)
[一回休み]
7月9日(土)
[一回休み]

目次に戻る

2022 Kijima, Hebon-shiki