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2022年6月19日〜2022年6月25日


6月19日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2022年6月19日】
 きょうの午後は、どうにも起き上がれなかったけれど、今週の帰宅後は、おおむね、そんなかんじだった。

 月曜日、「ボレロ」のカセットを朝、母に預けていったけど、操作方法を忘れてしまっていて、消すのを恐れて、帰宅するまで待っていた。で、帰宅して、さてと、老母がいつもラジオ深夜便を聞いているラジカセでかけてみたのだけど…カセットが動かない。早送りも巻き戻しも、うんともすんともなんとも。まさかのカセット故障。しかたなく「実は…」とラジカセを新たに購入したことを白状し、それでかけてみた。音、わるっ。音が撚れたりもしてる。母にすら「音わるいね」と言われる始末。となったら、元のCDをかけるしかない。聞いた。テレビと同様、爆音で。もう何年も、家で自分が聞くときに、こんなに大きな音でかけたことないよってくらい、爆音で。
 カセット化計画は頓挫し、聞きたくなったらそのラジカセでCDを聞くという結果に。Bluetoothで飛ばしたものをカセットに「エアチェック」できるので、定額制配信などで、老母のリクエストに幅広く応えられると踏んでいたのだけど、うーん。

 週の前半の通勤音楽はコレット・マニー入門。10枚組を配信で順番に聞き、途中で止めて、中村隆之『魂の形式 コレット・マニー論』を読み、聞いたところまで読んだら止めて、続きを聞く、という手順で。[1](1963-1965: Les annees CBS)を聞いて、第1章「フランスのブルーズ歌手」を読み、[2](1965-1966)を聞いて、第2章「政治的シャンソンはフリーを目指す」を読む。[2]に収録のEP「Bura Bura」(原爆ぶらぶら病に由来)、そのモチーフを発展させたLP『"Avec" Poeme』、続くEP「Snarkose」の不定形な演奏、ヴォーカル、電子音に聞き入ってしまった。ブリジット・フォンテーヌやデイヴィッド・アレンを連想したけど、交流はなかったのだろうか。
 [3](1967-1970)で、"Colette Magny"(通称 "Vietnam 67")、"Magny 68/69"、を、[4](1971-1972)で "Feu Et Rythme" を聞いて、『魂の形式』第3章「"六八年五月"からブラックパンサー党との共闘へ」の途中まで読んだ。水曜日の帰り、発掘ライヴ盤 "Avignon 69" を読んで、一区切り。この時期の作品は、時に咆哮や激しい笑いを交えた語りのような歌だけど、演劇的というよりも、中村さんの本にもあるようにドキュメンタリーに対するナレーションの役割。弁士や講談師に近いかもしれない。

 金曜日、休みをとって、用事は朝イチでさっと済ませて、京都へ。ブライアン・イーノのインスタレーション展「AMBIENT KYOTO」へ。阪急電車の「洛西口」で降り、歩いてJR「桂川」に乗り換えると、JRだけで行ったり、地下鉄に乗り換えるよりも約100円安いというせこい節約をやってみました。桂川の「イオン」で映画のチラシをとってきたりしつつ。
 「BRIAN ENO AMBIENT KYOTO」の会場は、京都駅近くの「京都中央信用金庫 旧厚生センター」。いや、そのまんまでした。入り口で止められた。入場者が多くて、制限している、と。ええーっ。いわゆる平日なのに。と言ったら、係のひとも笑っていた。同じことを考えるひとが多い、ということで。ただ、そのときは待っているのはわたしひとりで、ほどなくして、呼ばれて、入場することができた。
 最初に大音量でアルバム "THE SHIP" の会場用ミックスを聞くの巻。中に入ると、真っ暗闇。既に音楽は鳴っている。闇に慣れてきたところで、開いているところを探して、座った。音がいろんなところから鳴っているので、場所を変えたりしつつ。近年のイーノのアルバムはあまり聞いていないのだけど、"THE SHIP" は歌があるということで購入して聞いていた。途中から聞いたので、終了後も聞いたところまで聞いてから、出た。昔の映画館みたいなことをしてしまった。字幕が欲しかった。というか、ちょっとうとうとしたとき、字幕が映し出される夢を見てしまった。
 次に、"FACE TO FACE"。モーフィングで、映し出されている顔が少しずつ変化するというもの。"LIGHT BOXES" は、その照明版のようなもので、光の色の組み合わせが移り変わっていく作品。最後の大作 "77 MILLION PAINTINGS" も、移り変わっていくという点では同じコンセプト。ここで、はたと気付く。インスタレーションの「ための」音楽だから、切れ目なく隙なく続くものになっているのでは。変化を支えるための時間をキープするものとして。とすると、それはアンビエントとは言えないのでは。"LIGHT BOXES" は綺麗だったし、"77 MILLION PAINTINGS" は、ふかふかのソファが用意されていたので、うとうとしつつの気持ちのよい時間ではあったけれど。
 休憩室などでも音楽が鳴っていて、"The Lighthouse" という作品として位置付けられていた。未発表作品からとのことだったけど、ちょっと面白そうな音楽があった。これは、もう少し意識して、滞在してもよかったかもしれない。滞在時間は、2時間。

 遅い昼食をとれるところを探しながら、付近をうろうろ。これといった店が見つからず、あきらめて北上。五条と四条の間くらいで昼食。四条烏丸の「十字屋」で、なかなか見つけられなかったNRQ『こもん』と坂本慎太郎『物語のように』を見つけて、購入。アナログ盤コーナーが増えていて、ややこしめのCDはもう扱っていないのではないかと危惧してしまったけれど、よかった。

 土曜日は、天神橋筋一丁目「音凪」で、田中亜矢さんと畑下マユさんのライヴ。澄んだ声の穏やかな歌ばかりだけど、闇をくぐり抜ける感触が田中亜矢さんにも畑下マユさんにもあって、それがほのかにブルージーだったり、力強いものを感じさせたりする。ヴァシュティ・バニヤンのように、というテーマが今回あって、畑下さんはヴァシュティのカバーを3曲。田中さんも、以前からカバーされている曲を、畑下さんとデュエットで披露された。田中さんは、歌は、若いときに作ったものでも、いつまでも歌えるのがいいですね、と話されていたけれど、いつまでも歌える歌を若いときに作られたということで、それは得がたいことなのではないかと思います。畑下さんのいまの歌も同様に、きっと、いつまでも歌える歌になっていくのだと思います。

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