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2022年1月23日〜2022年1月29日


1月23日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2022年1月23日】
 金曜日の夜は、あれやこれやの家事を翌日に回して、ゆっくりするつもり…で居たら、好きな曲を次から次にかけているうちに、眠くなってきてしまい、寝落ちしていた。

 土曜日、一週間ぶりに雨戸を開けて、母の部屋の窓も開けて、風を通した。

 早朝、ウェブ企画「CROSSCUT ASIA おいしい!オンライン映画祭」のアンコール特集で無料配信された、ジョン・ピロジー監督『カンボジアの失われたロックンロール DON'T THINK I'VE FORGOTTEN: Cambodia's Lost Rock'n'Roll』を見た。意図的なものかもしれないけれど、タイトルにはいささか時期の混同がある。描かれているのは、カンボジアのポップスの歴史。海外の影響を受けながら、地域の文化を継いでいくのは、20世紀のどこの国にも起こったことのように思う。カンボジアが特異だったのは、ベトナム戦争の影響で起こった内乱とその結果のポル・ポト政権による圧政があったこと。情勢が変わるたびに、音楽の扱いが変わる。「ニューロック」が戦闘的な国威発揚歌として使われたり、ジェイムズ・テイラーのカバーが人気を得たり、スローガンのみのもの以外は禁止されたり。

 午前中、後回しにしたあれやこれやの家事を片付けていたら、電話が鳴った。入院先の母からで、びっくりした。ウイルス蔓延対策で、リハビリが進まないことから、入院を延長した、と。いったん帰宅する選択肢もあったけど、自分が動けないのでは、わたしが困るだろうという配慮から。申し訳ない。病院の固定電話は時間制限があるみたいで、途中で切れて、二回かけ直してもらった。3分だろうか。もっと短く感じたけど。病院から連絡があるべき(サイトには一部制限するという話は載ってるけど詳しいことはわからない)と思うけど、声が聞けたからええことにしとく。病院が大変なのもわかるし。
 それと、外来者は、受付も全面禁止になったと。携帯電話の充電が切れたということで、(最初から一緒に渡しとけよという話なのだが)、持っていくつもりだったのに。

 昼、京都へ。「大丸ミュージアム京都(大丸京都店6階)」での「堀内誠一 絵の世界」展を見に。堀内誠一さんの今回の展覧会は、タイトルどおり、絵に焦点を絞ったもの。若き日の肖像画や絵画作品と、絵本、デザインの仕事の底に見られる絵画への志向が一覧できるものでした。デザインの仕事も好きだけど、絵本を制作するときも、デザインを念頭に置いていることがわかるし、デザインするときも準備には絵があった。うちには、堀内誠一さんの絵本はなかったのだけど、幼稚園などで目にはしていた。今回、すっかり忘れていたけれど、『たろうのおでかけ』(1963年)の原画を見て、溜息が出てしまった。わたしが初めて覚えた英語が「Esso」であることは、我が家では(あたりまえだ)有名な話なのだけど、Essoのガソリンスタンドが描かれていた。親戚に、Essoのタンクローリーのおもちゃをもらったのとどっちが先かわからないけど、絵本を見て、Essoやと叫んでいたこともかすかに記憶していた。堀内さんの絵本だったのか。『たろうのおでかけ』は1967年に改訂版が出ていたことも知らなかった。見ていたのは63年版だと思う。

 70年代に入ると、絵本は見ていなかったけど、初めて知ったものでは『ねびえ』が気になった。物販コーナーにはなかったけど、探して手に入れようと思う。デザインにつながる仕事では、雑誌掲載のための手描き地図がたくさん展示されているのがよかった。公開を前提とされていない旅のスケジュール表もすっきりとした様子で、よかった。これは図録に載っていないかもしれないと思い、何度も見返した。図録は、会場内でどんなか見られるようになっているとありがたい。ライヴと一緒で、あとで見返せると思うと疎かになるかもしれないけれど。
 今回の展覧会に合わせて作られた図録はなく、2009年の展覧会で作られた『堀内誠一 旅と絵本とデザインと』が図録として販売されていた。これは、展覧会には行けなかったのだけど、一般書籍として発売されたので、あとで買っていた。ポストカードと、ちょうど発売されたばかりの堀内さんの絵が付いた谷川俊太郎さんの詩集『モーツァルトを聴く人』の文庫版を買った。これには、堀内さんが絵を担当した未刊行絵本『ピアノのすきな王さま』も収録されている。゜
 
 大丸京都店7階に屋上遊園があった。何度か来ているはずなのに、初めて気付いた。とは言うものの、園芸ショップの売り物が少し並んでいるだけで、遊具はない。かつてはあったがなくなってしまった、のだろうか。芝生の広場と回りに少し子供が遊べる施設があるくらい。屋上の巨大な空調装置などが剥き出しで見えるのがなかなかワイルドでよかった。雪が少し溶け残っていた。

 河原町まで歩いてみたが、少し足が痛むこともあり、早々に帰りの電車に乗った。もともと、病院の受付時間が短くなったことで、早めに帰らなくてはならなかったのだけど、その必要がなくなったのに、だいたい予定していたとおりの時刻に帰ることになってしまった。展覧会には、県外の友人を誘っていたのだけど、誘ったときには思いも寄らなかった感染蔓延で、今回は来てもらうことは見合わせることになった。ゆっくりできなくなったということもあったのだけど、ふたを開けたら事情が変わっていたということが続いている。

 今日は、病院にも行けないし、居住市内の地図で見つけた店に行ったり、その足で墓に寄ってみるつもりだったのだけど、午後から雨になってしまった。また、延々と好きな曲を聞いたりしていたのだけど、ちょっとうとうとしたときに電話が入っていた。心当たりがない番号だったけど、市内なのでかけ直したら、病院の看護士さんからだった。入院するとき、というか、救急外来に向かったとき、とりあえずサンダルを持って出たのだけど、それではリハビリに適さないということで、靴を持ってきてもらえないか、と。向こうから要請があったときはよいのだろう。もう時間切れになっていたけど、待っていてもらって、15分遅れで届けた。土曜日に用意していた携帯電話の充電器も一緒に。あきらめていたので、手紙は書いていなかったけど、携帯メールが復活すれば、なにがしかの様子はうかがえると思う。

 Instagramはあまりフォローしていないのだけど、数少ないフォロー先のひとつが「teeny_tiny_vinyl」こと、ペーパークラフト作家のローリー・シノット Laurie Cinottoさん。長らく休まれていたけど、先日復活されていた。ご家族の看病のことを書かれていたので、そのためと思っていたけれど、ご自身も目の手術を受けていたそうです。復活されて、よかった。シノットさんが投稿されているLPライブラリーのミニアチュアは、ミニアチュアの楽しさもあるけれど、好きな音楽が近いので、参考にさせてもらってます。過去の作品に好きなものが多いのだけど、最近の人や作品も取り上げられていて、聞いてみたら、ぐっとくるものが結構あって。
 たまたま好きな作品が近いからではあるけれど、取り上げているアルバムが好きだということがわかるから、ええんよ。たぶん、シノットさんをフォローしていることからだと思うけど、LPコレクションを投稿しているひとがよく薦められる。でも、趣味がちがうと言えば、そうなのかもしれないけれど、ぎっしり詰まった棚、立派なオーディオ機器、広いリスニングルームを背景に掲げられるLPが面白くない。どんな形でも聞けるものをわざわざLPで。あるいは、レアなものを。好きなことにちがいはないだろう。でも、音楽よりも、それを「持っている」ということをアピールするものはつまらない。掲げることで、持っていることや知っていることのアピールになることを、意識的ではないかもしれないけれど、シノットさんのミニアチュアは避けている。

 Instagramでやっている2/5計画は、ことさらLPを掲げることを皮肉った遊びではあるけれど、LPだけじゃないよと、あたりまえのことを示しているつもりです。

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