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2021年6月6日〜2021年6月12日


6月6日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2021年6月6日】
  土曜日、昼の買い物から戻って、しばらくして、呼び鈴。玄関を開けると、配達員から「郵便受けに入らないので」と30cm四方の段ボールを渡される。届いたのが、土曜日でよかった。母がだいぶ聞こえにくくなっていて呼び鈴に気付かないことが多く、月から金はほぼ受け取りができない。それに、金曜は雨がひどかったから。配達員のひと、区域で同じひとだと、もしかしたら、この家、受け取れないのに、30cm四方の段ボールをよく注文してるよなとあきれられているかもしれない。
 届いたのは、ドイツのMorr Musicが企画・発売したyumboのベストアルバム『間違いの実 The Fruit Of Errata』、アナログ盤の2枚組。CD版もあるのだけど、収録されているであろう曲は、CDでほとんど持っていることから、アナログにしようと思ったのだった。LPで持ってるやつをCDで買い直したり、ベスト盤CDでお茶を濁すときの言い訳の逆やな。

 アナログでベスト盤、というだけで注文したので、選曲は確認していなかった。yumboの曲で、最初にぐっときた「強い風」が入っていて、おおっとなる。最初の2枚から4曲がA面、残りの3面が(主に)『これが現実だ』と『鬼火』からとなっている。ベスト、というと、2014年9月20日に京都「UrBANGUILD」で行われたリクエストライヴを連想するのだけど、そのときは、リクエストした「強い風」は少数派だったらしく、アンコールでメドレーの1曲として演奏された。本編で演奏された13曲のうち、今回のベストアルバムと重なっているのは、「九月の歌」「家」「シブヤくん」「来たれ、死よ」「人々の傘」「ある日以降、その他」「サーフィン」「さみしい」「鬼火」の9曲。入らなかったのは、「黒い国」「わたしはからっぽ」「反響」「鉄棒」。そう言えば、リクエストライヴのときは「ケーキ」や「間違いの実」は入らなかったのか。このとき、「ある日以降、その他」に票が多く入っていることについて、澁谷さんが意外だと発言されていたけれど、当時も「いやいや、意外ということはないよ」(多くのひとがぐっときて当然)と思っていたので、今回選曲されていることが感慨深い。

 朝、NHK総合「目撃!にっぽん」("家族"の記録〜写真家・植本一子 心を刻む〜)を見る。植本さんの『個人的な三ヶ月 にぎやかな季節』を読んでいるところだったけど、中に取材を受けていることが書かれていたので、この番組のことかと思い当たった。読み終えたところの「実際の映像はこちら」的に映像が流れるので少しとまどった。上の娘さんがほんとにしっかりしている。番組を見終わってから、わずかだった残りを読み終えた。植本さんの日記に対しては、『かなわない』の小冊子版をたまたま手にとって買ったときから、読みかたは変わらない。賛成とか反対とか見守るとか心配するとかではなく、自分を突き放しつつ、客観視もしないで、陥っている状態をわかろうとして、仮にいっときだったとしても乗り越える、その様子を追わずにいられなくて。追うのがしんどくなりそうで、読んでいない本もある。こちらはなにも言葉を持ち合わせていない。

 youtubeのおすすめ動画で、アメリカのバンド、パールベルタ Palberta を知る。「Tiny Desk (Home) Concert」シリーズのひとつだったけど、トリオで楽器を持ち替えながらも、ぎゅるぎゅるしたギターやつっけんどんなリズムセクションが一貫していて、とても好きなかんじ。番組内でも話しているように、もう8年やっていて、調べると、アルバムも何枚か出していて、メンバーのソロもある。いろいろ聞いてみたくなった。一聴して、連想したのは、DNAなのだけど、今のひとが今演奏している音楽に、ノーウェイヴやらポストパンクといった時系列あって初めて意味を持つ言葉を使うのは、しのびないので、個人的にはやめておきたいと思う。彼女たちについてはよく知らないけれど、たとえ本人たちがそれらに影響を受けていたとしても。

 午後から外出。ひさしぶりに「音凪」に。pocopenさんを迎えた二日間の二日目で、トウヤマタケオさんとの組み合わせ。トウヤマタケオさんもひさしく聞いていなかったし、pocopenさんとの組み合わせも楽しみだったので、思い切って。思い切らなあかん状況がうらめしい。着いたら、通りをはさんだ正面が更地になっていて、びっくりした。
 最初にトウヤマタケオさんソロ。ワーリッツァー(エレクトリックピアノ)で、短い曲を次々と。クラシックの情景集や組曲の趣き。『展覧会の絵』のピアノ版を思い出していた。最後に2曲歌を。最後の曲はブラジルのひとのカバーだっけ。
 pocopenさんは、新曲やあまりやっていないという曲を前半に、後半はトウヤマさんとのデュオで、名曲選。エレクトリックピアノの厚みのある雲のような音で、「Sky」や「Rockin' Chair」が奏でられるのが聞けて、よかった。「たとえば」も、あまり演奏されていないらしい。かなりアレンジが変わっていた。これまでのアレンジに納得せずに、毎回改めて取り組む姿勢が健在。アンコール用に、トウヤマさんとのデュオを(急遽)用意されていたようなのだけど、どうするか逡巡されてから、その前に1曲弾き語りをと、「ゼロ」を歌ったくださった。(小声で。以前、リクエストを募られたときに「ゼロ」を挙げたわたしのことを覚えてくださっていたらしい)。これまたMPB的なアレンジの試行錯誤が感じられて、四苦八苦されていたけれど、つなぐためのスキャットものびやかで美しかった。

6月7日(月)
[一回休み]
6月8日(火)
 [一回休み]
6月9日(水)
 [一回休み]
6月10日(木)
 [一回休み]
6月11日(金)
 [一回休み]
6月12日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2021年6月12日】
 ここで仕事の話を書くのは、「レコードや本のことばかり考えてる気楽な身分ではないぞ」ということを一応示しておくためと言っても過言ではないのだけど、それにしても、投げかけに対して返事がない、連絡がないまま予定が変わっているということが多くて、閉口している。月の初めに「今月ですよね」と連絡しているのに、そのことに返事がないまま、もうぎりぎりというところで「そろそろでは」と訊ねると、9月に延びた、とか。明日までにと言われて、用意して、納めたのに返事がなくて、その日の夕方もしくは翌朝になって仕様が変わったので延びたと連絡が来るなんてことを一週間のうちに三回繰り返すとか。
 先方が在宅勤務だと、直談判できないのがつらい。自宅だと思うと、電話もしにくい。メールは無視されるし。そう言えば、今週は、わかってはるかなという念押しのために問題点を連絡したら、そのまま、わかってはるひとに「ここ問題ですよ」と転送されてしまうという事件もあった。転送先のひとはわかってはるねん。そんなことはこっちは知ってるねん。

 木曜日、通販物の受け取り。ザ・ジスト The Gist "INTERIOR WINDOWS"。日本独自企画盤 "ANOTHER WAY OF BEING" のテキストがあまりにもダメなので、「買い直し」た。なにやってんだか。"ANOTHER WAY OF BEING" は、日本語解説が妙ちくりんなだけでなく、元の盤にあった各曲についてのメモをばっさりと切り捨てていた。発掘ものというのは、当時正式には発表されなかったもので、発表されなかったことには理由があり、その経緯を示す必要があると思うのだけど、日本語解説でほとんど触れていない。曲が聞ければいい、曲を聞いて判断するのが純粋なリスニングで、背景や事情を知ろうとするのは邪まだとでも言いたいのだろうか。それでも、そうだよねなんて共感してくれる仲間内を相手に書いているようなネオアコ好きの文章が苦手だ。その結果、勝手なストーリーをでっちあげたり、そりゃそうだろうなことを意外なことのように書いたりするのだ。"This Is Love" が、もともとアリソン・スタットンが歌うことを想定して作られた、レコーディングもヤング・マーブル・ジャイアンツとして行われたなんて大事な話をなんですっ飛ばせるのだろう。

 ジストの "INTERIOR WINDOWS" は、2017年に発表された発掘盤 "HOLDING PATTERN" に続く、発掘シリーズの2作目。デザインは共通しているけれど、デジパックだった前作とちがって、見開きの簡易紙ジャケになっている。サイズも小さい。シリーズなのに、なんでやねん。

 "HOLDING PATTERN" は、3枚目で最終作となったシングル "Fool For A Valentine" のA面の他、その後にラフ・トレードからのリリースのために行われたものの未発表に終わったデモセッションから、"Assured Energy"、""Big Dirty City"、"Night By Night"の3曲、のちにソロアルバムでリメイクされる "Yeah x 3"("SIGNAL PATH")、"The Loving Cup"("RANDOM RULES")、"God Knows"("CARS IN THE GRASS")、バーバラ・マニングに提供された "Here Comes Love" が収められている。"Night By Night" も "CARS IN THE GRASS" でリメイクされている。このあたりの内容は、ジストが活動終了してから、ソロで復活するまでの間をつなぐ作品集というかんじがする。"Fool For A Valentine" B面で、ファミリー・フォッダーのメンバーが参加している "Fool For A Version" が入っていないのが残念。
 "EMRACE THE HERD" に収められていた "Clean Bridges" の本人の記憶にないイントロが付いた初期バージョンや "Carnival Headache" の別バージョン "Bongo Headache" もある。音楽的に、YMGとジストの中間と記されている "Old Mannerisms" も興味深い。
 ピアノを弾いた初めての曲という "Being True" はソロ作品に近いかんじがする。タイトルとなっている "Holding Pattern" は最近の作品のような書きかたがされているけれど、どうなのだろう。レゲエシンガー Jah Scouse との異色の共作、"Killer Bird" も収められている。どの曲も、細かい録音日は書かれていないけれど、ラフ・トレードのための最後のデモセッションには、Drew Moxham (bass)、Dean Broderick (drums)、Spike Reptile (guitar)、Debbie Debris (vocal)が参加しているとある。その他は、基本的に、スチュワートさんの演奏ということなのだろう。"Assured Energy" は、Spike & Debbie の共作で、ふたりによるバージョンもある(後述)。
 
 発掘第2作 "INTERIOR WINDOWS"。最初のシングルのAB面、"This Is Love" と "Yanks"、それに音楽紙「NME」企画のカセットで発表され、編集盤 "NIPPED IN THE BUD" に再録された "Greener Grass" が収められている。この3曲は、"TESTCARD EP" になったセッションで録音されたもので、歌詞のあるものは、アリソン・スタットンが歌うことを想定して作られたものだったという。つまり、ヤング・マーブル・ジャイアンツとしての録音だったのだ。ただ、Phil Moxhamは参加しておらず、Lewis MottramやDave Andersonが担当しており、謎は残る。あれっ、"This Is Love" のベースはPhil Moxhamではなかったか。誤記だろうか。このセッションからは、"This Is Love" に似た感触の "The Landmark" も収められている。。全部で5曲あるようだけど、ここに収められているのは4曲。
 "HOLDING PATTERN" で日の目を見たラフ・トレードのための最後のセッションでは4曲録音されたということだったけど、残りの1曲、"Stones And Sunlight" が収められている。演奏にも参加している Spike Reptile と "Debbie Debris の共作。この曲は、二人が The Pepper Trees として録音したバージョンも収められている(スチュワート・モクサムは参加していない!)。
Spike & Debbie の発掘録音集 "ALWAYS SUNSHINE, ALWAYS RAIN" (2018) には、Table Tableとしての "Stones And Sunlight" と "HOLDING PATTERN" 収録の "Assured Energy" が収められていらしい。ところで、経緯はわからないけれど、"INTERIOR WINDOWS" では、Spike Reptileは Spike Williams、Debbie Debrisは Deborah Pritchardと記されている("EMBRACE THE HERD" では Debbie Pritchardと記されていたが)。
 "EMBRACE THE HERD" 関係では、Wendy Smithがヴォーカルをとっている "Public Girls" のデモが収められている。のちにリメイクされた曲としては、"HOLDING PATTERN" にも収められていた "Here Comes Love" の別バージョンと "You Were The One" がおさめられている。後者は、Anthony Silvestros (bass)、Drew Moxham (drums) による演奏。同じメンツで、"HOLDING PATTERN" で発掘された "Being True" の別バージョンも収録されている。"Working It Out" や "Mistakes In Love" は、ソロに近い感触。後者は、ジストとして録音したそうだけど、ジ・オリジナル・アーティスツ(ソロ名義でのバンド)のメンバーになっていて、過渡期の作品のようだ(実際の録音時期はやはりわからないけれど)。
 "How To Be" はドゥーワップスタイルのポップス。やってみた、というか、やってみたかった、というかそんなかんじなのだろうか。残りの "C Me"、"Unsettled Hash"、"Piano Piece" はスケッチのような録音。

 "HOLDING PATTERN" には、おまけ録音集が付いていた。ジストだけでなく、スチュワートさんのソロやプロジェクト、Spike & Debbie(Bomb & Dagger、The Pepper Treesを含む)、Alison Statton & Spike などが収められている。音はよくなくて、あくまでも参考というかんじだったけど、ここから、"Here Comes Love (Fast Percussion Mix)"、"How To Be" が救出されて "INTERIOR WINDOWS" に収録されている。残りのジスト名義の曲は、"Splott Afternoon"、"Love At First Sight (Psyche Vocal Demo)"、"Turkey Inna Straw"。この中から、「オクラホマ・ミキサー」のレゲエバージョン "Turkey Inna Straw" が、日本企画盤 "ANOTHER WAY OF BEING" にボーナストラックとして収録されている。
 "ANTOHER WAY OF BEING" のボーナストラックは、"Turkey Inna Straw" の他3曲。"Here Comes Love" の別バージョン(R&B version)、"Night By Night" の別バージョン(alternative version 2)、そして、"HOLDING PATTERN" に収録されているレゲエシンガー Jah Scouse の "Merge"。alternative versionと記されているけれど、ジストのアルバムには original version は収められていないので、説明がないと、どういうことだかわからない。Jah Scouseの名もないし。"Merge" は1984年にシングルとして発売さていて、Stuart, Phil, AndrewのMoxham Bros.が演奏を務めている。"Killer Bird" はこのときの没曲なのかもしれない(2019年発売のJah ScouseのCDにも収められているようだ)。

 ところで、ジストの "EMBRACE THE HERD" のRykodiscからの復刻CDには、4曲のボーナストラックが追加されていた。2枚目のシングルA面 "Love At The First Sight" のデモ、B面の "Light Aircraft"。"Light Aircraft" でクラシカルなヴォーカルをとっているSheila Loweryについては不明。未発表だった "Problem Attics" と "Four Minute Warning"。未発表だった2曲については、詳細情報なし。というか、いまのいままで気にしていなかったけど、Rykodisc版の曲順の記載が間違ってる。"Love At The First Sight" と "Light Aircraft" はわかるし、未発表曲の2曲はインストゥルメンタルなので、曲名をぼんやりとしか受け取ってなかったらしい。ぼーっと生きてるな。
 ぼーっと生きてると言えば、ようやく "Greener Grass" が復刻されたのだけど、この曲を収録した "NIPPED IN THE BUD" が日本盤だけだったと今更知って、びっくりしている。海外盤は、"Yanks" が入っていたらしい。知らんかった。なんでそんなことに。

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2021 Kijima, Hebon-shiki