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2021年3月7日〜2021年3月13日


3月7日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2021年3月7日】
 土曜日、出かけるつもりでいて、午後から逡巡しているうちに、時間切れ。メールを書いたり、momohashiさんの新曲「旅」が、bandcampでシングルリリースされたのを購入したり。

 『未知の星』を出したばかりのmomohashiさんの新曲は、複数のギターのかけあいの間を縫うように、歌が淡々と流れていく穏やかな曲。なのだけど、うねるようなギターの音が、穏やかさから飛び出ていくかんじがやっぱりよいなと思います。間奏のギターが、一本ではないので、いわゆるギターソロではなくて、言葉少なめなかんじなのに、絡み合うことで曲を高めていく不思議さ。絡み合うところが、ふと、スティーヴ・ヒレッジの "Electric Gypsies" の後半を思わせた。bandcamp版には、歌のあとに、ひとりジャムセッションのような演奏が収められている。面白いひとだと思う。

 知り合いに、momohashiさんの音楽を聞いてもらいたいと思って、こんなかんじ…に聞いてますという報告のつもりで、連想したものを書いているのだけど、ヒレッジさんでは離れすぎているかなと思っていたところ、紹介ツイートに見知らぬひとが「いいね」をくれたので、momohashiさんのファンのかたかなと思って、たどってみたら…ご本人の別アカウントだった。本名のアカウントよりも、ちょっとした弾き語りや試作がたくさんアップされていることに加えて、ケヴィン・エアーズやゴングについてよいかんじの感想を書かれていたので、すっかりうれしくなってしまい、ヒレッジさんを連想した話も素直に書くことにした。

 きょうは、きのう果たせなかった外出を。何が「リバウンド」や、感染が蔓延した状態を基準にした物言いしやがって。と思いつつ、休みの日に出かけることへのプレッシャーがあるのだけど、毎日の通勤がOKなら、同じように「対策」するだけのこと。わたしが出かけるような場所は、仕事に出るよりも安全(変な使いかた)だろうし。

 「向日市文化資料館」での「寿岳文章 人と仕事」展+「寿岳しづ 書いて、暮らして、ともに生きて」展へ。ウィリアム・ブレイクの翻訳、研究で知っていた寿岳文章さんの仕事ということで見に行ったのだけど、ただテキストを扱うのではなく、「本」というものに取り組まれていたことがわかる展示でした。ブレイクやダンテの翻訳は、本のリメイクまで含めたもので、そこから妻とふたりでの私家本の制作、和紙の研究・調査へと広がっていく。展示の後半は、援助を得て和紙制作の現場を取材・研究した『紙漉村旅日記』に記された各地の和紙の実物と寿岳さんの論評を加えたもの。和紙について詳しいひとなら、もっとちゃんと見られるのではないか。妻の寿岳しづさんは、文章氏とともに「向日庵」で活動したひとだけど、小説家であり、新聞の人生相談なども務められていたひととのこと。別枠の展示では、女性が押し込められている現状を変えていこうと道を探る様子をたどることができた。

 向日市に行くことには、もうひとつのミッションがあった。阪急「東向日」駅からJR「向日町」駅まで歩いたら、阪急「烏丸」駅から地下鉄に乗り換えるよりも、JR「京都」駅までの運賃が安くなるのではないか、と。それが現実的なコースなのかどうか、ちょっと歩いてみようと。

 「美術館「えき」KYOTO」で、「永遠のソール・ライター」展。プリントされないままの写真も多いソール・ライターの新たに発掘された写真や前回の展覧会とは異なる視点でのセレクトで。セルフポートレートのシリーズが、窓や鏡を使ったもので、他の作品との連続を感じさせつつ、ユーモラスでよかった。

 バスに乗って、祇園へ。バスも空いているし、道も混んでいない。祇園のギャラリー「祇をん小西」での望月めぐみさんの「交(まじらい)  CROSS」展。水の流れ、そこに浮き沈みする龍、髪、表情、どれも繊細で、かつ、動きが感じられた。額と同じモチーフで、部屋をいっぱいに使った作品を目にしたとき、思わず声が漏れてしまったけど、さらに奥のはなれに、いままでとはまたちがった作風のおおらかな流れを感じさせる立体作品があって、また声が漏れてしまった。灯りを消すと、ぼうっと浮かぶ様子が、生えているようでした。部屋をいっぱいに使った作品の影が障子に映っていたのだけど、上のところに顔が来ているのがまたよかった。

 いろいろ見ることができて、モチメさんとも話ができて、よい一日になったので、それからはどこにも寄らずに帰宅した。

3月8日(月)
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3月9日(火)
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3月10日(水)
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3月11日(木)
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3月12日(金)
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3月13日(土)
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