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2021年1月24日〜2021年1月30日


1月24日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2021年1月24日】
 月曜日、朝、フィル・スペクターの訃報。スキーツアーのバスの中で、凍えながら、"BACK TO MONO" ボックスのカセットコピーを繰り返し聞いて、ダーレン・ラヴの歌に気持ちが救われたことを思い出す。それらを聞きながら、出勤しようと思うも、イヤホンを家に置き忘れて出るという失策。耳に合わないイヤホンを、仕事場の机の引き出しに、予備として置いてはいるのだけど、帰りにそれを使ってみたものの、やはりダメでした。耳の穴が小さいのだろうか。けっ、耳の穴の小さい野郎だな、と詰られたりするのだろうか。会社関係で、なんだかなと思うことがあって、うなだれていたのだけど、その話はいずれまた。

 書店を覗くために途中下車した駅で、「大阪こども本の帯創作コンクール」作品展をやっていた。いくつか課題図書があるのだと思うけど、複数のひとが対象に選んでいた本が、帯から面白そうだと思って、帰ってから、確認した。アラン・グラッツ 作(ないとうふみこ 訳)『貸出禁止の本をすくえ!』。出版社のサイトにある紹介文には、「ある日、お気に入りの本、『クローディアの秘密』が、図書室の棚から消えていた」とある。確かにそれは一大事である。読んでみたくなった。
 それで、本の帯コンクールに興味を持ちそうな知り合い、『クローディアの秘密』が好きな知り合いに向けて、ツイートしたら、見知らぬひとにも反響が少しあり、驚いた。リプライで、推薦してこられたひとも。ただ、「読んでみよう」と書いていることに対して、関係者でもなさそうなのに、面識のないひとに「いい本だから、読んでください」と言ってくるということには、どう応対したらよいのかわからなかった。申し訳ないけれど。

 火曜日、イヤホンを無事持ち出して、日曜日(1月17日)に配信が始まった橋野桃子さんの新譜『未知の星』を聞く。今回、何故か、momohashiという、銘菓を思わせる名でのリリース。何か事情があるのだろうか。でも、はしのももこ名義のツイッターで発表しているし、youtubeのアカウントはmomoko hashinoなので、橋野さんの二作目と書いても大丈夫、ですよね。
 前のめり気味、かつギター弾きまくりのパワーポップ「Circulation」で始まって、少し虚を突かれたけど、『23』のつぶやくような歌を、勢いのあるバンド演奏仕立てにしたかんじの曲が続く。ハードなロックンロールもあるけれど、よどみがちな心を、さりげなくゆっくりと流し、動かしていくような佇まいがいいなと思います。ギター弾きまくりということで、聞き終わってから、ビ・バップ・デラックスとかクリス・スペディングを聞きたくなりました。

 急いで帰って、19時からの『東区役所』、もとい『健康で文化的な最低限度の生活』に合わせた。母が珍しく気に入っていたようなので、バラエティを見始めてしまう前にと。残念ながら、この日で最終回だったのだけど、終わってから、「よかった」と言っていたので、よかった。続編をやってくれへんかなぁ。

 桑本正士さんの写真集『幻植物園』が届いた。はちみつぱいの活動初期から撮影をしていた写真家で、ミュージシャンの写真を多く手がけているけれど、なんといっても、パフアップレーベルや、その流れを受けたオフノートレーベルのジャケット写真の仕事が印象深い。ずいぶんあとになってから知ったのだけど、つれれこ社中のメンバーでもあった(桑畑繭太郎という名だった)。桑本さんは、2016年11月26日、「ビレッジプレス」五十嵐洋之さんと同じ食道癌で亡くなられている。この写真集は、生前計画されていた作品集で、死後、刊行を託された住吉千砂さんにより自主出版されている。ポートレートはなく、ひと気のない植物園をモノクロームで撮影したもの。そのうちの一枚が、飯島晃さんの発掘録音アルバム『COMBO RAKIA'S』のジャケット写真に使われていて、とても印象的だったので、この写真集のことは気になっていました。

 水曜日深夜、五十嵐さんの訃報を知り、木曜日、仕事が終わってから、仕事場最寄駅近くのカフェで、五十嵐さんのことを思い返していた。吐き出すという訳ではないけれど、書いておきたかったし、書いておかないと、何も言えなくなりそうだった。
 帰りに、radikoのタイムフリーで聞いたKBS京都「26回のホら話」で、吉田省念と三日月スープ「フラガール」がかかり、ゲストの小田晶房さんの話を聞いて、サイツの演奏と長谷川健一さんの歌を聞いて、少し、楽になった。

 金曜日、自宅最寄駅のコンビニで、通販で頼んでいた伊藤亜紗著『ヴァレリー 芸術と身体の哲学』(講談社学術文庫)の引き取り。とあるミッションへの協力もあり、注文した本があって、一冊というのも申し訳ないと思って、頼んだのだけど(通勤路の書店では見つかりにくそうな気もして)、先に届いてしまった。一緒でいいのに。以前、『目の見えない人は世界をどう見ているのか』という新書が面白かったひとのヴァレリー論が、文庫になって、手が届くようになった。

 土曜日と日曜日は、終日、雨。なんとか買い物には出たものの、不在票が入っていた郵便物の受け取りには行けず。再配達してもらっても、そのときに母が気付くとは限らないし、申し訳ないで、引き取りに行くことにしているのだけど、居住市の本局は、駅からは歩いて15分かかるわ、近くにこれといったバス停もないわで、雨の日となると、どうしようもない。おまけに、ウイルス感染防止策として、早くに閉まってしまうので、仕事が終わってから、急いで(二駅乗り越した上に、往復30分かけて歩いて)行かなくてはならない。年末から捜しものを続けているのだけど、出てこない。早く、棚を揃えて、収納したい。本やCDの横置きを解消するというのが、2021年の目標(のひとつ)です。

1月25日(月) 【▼ぐりぐらメモ/2021年1月25日】
 予告どおり、定時退社して、急いで、居住市の郵便局本局へ。Vacation Threeのアルバム『One』を聞きながら、片道15分を歩く。Vacation Threeは、日曜日に、ノラオンナさんが配信番組「ノラバーサンデーモーニングコンサート VOL. 25」にゲストで出演していたパーカッション奏者のおきょんさんが参加しているトリオで、番組で、現在制作中の新作からの曲として歌われた「美しい朝」がとてもよかったので、聞いてみよう、と。番組では、スティールパンによるNRQ「うぐいす」のカバー演奏もあったけど、ギターをつま弾いて歌われる歌もとてもよくて。大久保由希さんとのデュオを何度か見ているけれど、コーラスはされていても、ソロで歌われているのを聞いたことがなかった。
 Vacation Threeは、ギターの中村大、サックス仲本興一郎、パーカッションおきょんのトリオ。メインヴォーカルは、ちょっと高野寛さんを思わせるところがある中村さんだけど、デュエット曲もあるし、ソロで歌われる曲もあった。1曲目はパキッとしたかんじだったけど、ギターがベン・ワットを思わせることもあって、"PILLOWS & PRAYERS" 感がありました。

 郵便局では、免許更新日に手続きした銀行関係を引き取ってから、使うあてもないのに、つい、レオ・レオーニとトーベ・ヤンソンの記念切手を1シートずつ買ってしまった。シート買いが前提のセットとは言え、切手を集めていたのが小学生の頃だったので、感覚として、「金持ちー」と思ってしまう。

 金持ちーと言えば、同じようなことは、『ノンスタンダードの響き』がきっかけで、その頃のエアチェックカセットを掘り出していて、感じていた。レコードが買えなかったので、カセットでエアチェックしていたのは確かだけど、カセットにしたって、たくさん買えた訳ではなかった。いつも調達するのに苦労していた。母がスーパーの買い物で集めたスタンプのいくらかをカセットテープと交換してもらったりして。思い出すと、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。昔のラジオ番組の話になると、番組ごと残っていないかと言われるのだけど、そんな訳で、DJのしゃべりまでまるごと残すなんてことはありえへんのであった。レコードの代わりだから、残すのは曲だけ。同じような理由で、ノイズまじりのAM放送は、端からエアチェックの対象外。阿木譲氏の「FUZZ BOX IN」は聞いていたけど、録音したことはなかった。

 Shi-Shonen「バイ・バイ・ユピー・ボーイ」の謎。検索をかけると、どうも、坂本龍一氏の「サウンド・ストリート」でかかったときに、そのように紹介された可能性が高い。わたしもたぶん「サウンドストリート」で録ったのだろう。坂本さんが、プレスリリースか何かを参照したのだろうか。レコードを持ってるひとから、ツッコミが入らないかなと思って、ツイターに投稿したのだけど、反応はない。

 郵便局から、元来た道を戻るのはもったいないと思い、にぎやかな方面に歩いて向かった。前にひさしぶりに訪ねたら、もぬけの殻でびっくりしてしまった書店は、近くの百貨店に移転したということで、行ってみたかったのだが、百貨店は閉まっていた。大きな書店は近辺にあと二つ。もうひとつの百貨店に入っているほうはやはり閉まっているかなぁ、と思いつつ、もうひとつのほうに。買おうと思っていた「フリースタイル」46号が入っていることを検索機で確認して、探した(場所はお尋ねくださいになっていた)。尋ねずに発見した。特集は毎年恒例の「THE BEST MANGA 2021 このマンガを読め」。毎年、これで面白そうなマンガを知っては、結局読まずに一年が過ぎるということを繰り返しているが。ランキング式になっているけれど、ランキング紹介では最低限度のストーリー紹介と選者のコメントが抜粋されているだけで、メインは、各選者のアンケート回答。回答を読みながら、複数のひとが選んでいる作品があったり、評が気になったりするのが楽しい(これは毎月載っているレビューコーナー「One, Two, Three!」も同様)。とりあげられた作品の表紙がすべて五十音順に並べられているのもいい。南陀楼さんと村上知彦さんがうらたさんの全作品集を選んでくれていて、うれしかった。

1月26日(火) 【▼ぐりぐらメモ/2021年1月26日】
 やはり急いで帰宅して、自宅近くの診療所への通院。診療所で計ると、いつも高めの血圧が初めて平常値だった。体温は、35度以下。体重だけがどうにもあかんかんじなので、外出自粛を言い訳にしただらだらを改めねばと思う。と思って、翌日から、日中、水を多めに摂るようにしたのだけど、「近く」なって、いけませんな。素通りしているのではないか。
1月27日(水) 【▼ぐりぐらメモ/2021年1月27日】
 仕事場最寄駅のスーパー内にある書店を「一応」覗いてみたら、買おうと思っていた本が三冊ともあった。ありがとう、ありがとう、ありがとうの気持ちで、同じスーパー内の「Holly's Cafe」に寄って、コーヒーを飲みながら、買った本をめくった。岸政彦・柴崎友香『大阪』(河出書房新社、2021年1月)、常盤新平『片隅の人たち』(中公文庫、2021年1月)、石ノ森章太郎『石ノ森章太郎 初期少女漫画傑作選』(ちくま文庫、2021年1月)。岸政彦・柴崎友香『大阪』は、雑誌連載時にたまたま見かけたことがあって、気になっていたところ、単行本化にあたって、表紙に小川雅章さんの絵があって、おおっと。石森さんのアンソロジーは、サンコミックス『龍神沼』+『あかんべえ天使』の趣きだけど、まとめられていることがうれしくて。
1月28日(木)
[一回休み]
1月29日(金) 【▼ぐりぐらメモ/2021年1月29日】
 休日に出かけにくいということ、仕事日はどのみち出てしまっているからという諦めから、帰りに、遠回りして、中崎町のギャラリー「イロリムラ」に、石井さんや森元さんが参加している同人による「第53回漫画展」を覗きに。石井さんのポートフォリオで、映画『夢で逢いましょう』のサントラカセットがあったことを知る。音楽担当は、向井千恵、小間慶太、He Wasら。上映会場で販売されていたのだろうか。見落としてた。

 そのまま梅田方面に向かって歩き、「ディスクユニオン」へ。レコード売り場は密なので長居はしなかった。蔦木俊二さんへのインタビューをまとめた冊子『突然段ボール 蔦木語録』があったので、それだけ購入。他にも気になる本が出ているのだけど、このところ、本をよく買っていて、読むのが追いついていないので、見送った。帰りの電車(各駅停車)で、『蔦木語録』を読んだ。好きなバンド、影響を受けたバンドとして、ワイヤー、ヘンリー・カウ、ホリーズ、ソフト・マシーン、アソシエイションといったところをあげてられていて、単純に、おんなじや、とうれしくなってしまった。

1月30日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2021年1月30日】
 月曜日に続いて、郵便局本局に、不在時配達物の引き取り。雨が降っていないので、自転車で。帰りに、月曜日には閉まっていた百貨店に移転した書店へ。山と渓谷社創業90周年棚に遭遇、90周年とは別に毎年やっているらしい「ヤマケイ文庫・新書 山積みフェア」で、二冊買うと防滴バッグをもれなくプレゼントというのに、しっかり、つられて、いや、元々手元に置いておきたいと思っていた本ではあったのだけど、二冊。矢口高雄(原作 戸川幸夫)『羆風/飴色角と三本指』、白土三平(画 岡本鉄二)『シートン動物記』を。1000ページと590ページ。

 夜、0時40分くらいに、通信はできているようなのだけど、サイトにアクセスできなくなる。何故かGoogle関係(Youtubeや翻訳サイト)はつながる。

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2021 Kijima, Hebon-shiki