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2020年8月2日〜2020年8月8日


8月2日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2020年8月2日】
 ジョー・ボイド "WHITE BICYCLES: Making Music in the 1960s" 再読。ボイドは、サンディ・デニーの才能に注目し、彼女が弾き語りではなく、バンドで歌うことを望んでいることから、同じくリチャード・トンプソンの才能に注目していたフェアポート・コンベンションとの組み合わせを考える。しかし、フェアポートには、リチャードのガールフレンドだったジュディ・ダイブルが居た。ボイドには、ジュディのヴォーカルは頼りなかった(そのため、イアン・マシューズを参加させたとも)。またボイドによれば、彼女自身が辞めたがっており、バンドにそのように働きかけていて、その関係はいいものではなかった、という。当然のことながら、ジュディさんはこのことに反論している。当時、ボイドはそのように感じていたことも表に出していなかったとジュディさんは記している。ジュディさんに直接話をしたのは、リーダーであるアシュレイ・ハッチングスだったようだ。
 ジュディとリチャードが別れたとき、ボイドは、それを機会と見て、バンドにサンディ参加を提案する。豪放なサンディにとって、おとなしいミドルクラスの青年たちは物足りないのではないかという懸念もあったそうだけど、結果として、うまくいくことになる。

 ジョー・ボイドにとっては、サンディ・デニーやフェアポート・コンベンションとの出会いは、ピンク・フロイドを中心とする「UFOクラブ」時代の終わりと入れ替わりに起きている。最初に買ったピンク・フロイドのアルバムは、初期作品集の "RELICS" なのだけど、目当てのひとつであった "Arnold Layne" のプロデューサーとして、ジョー・ボイドの名を知った。当時は、事情を知らなかったので、何故デビューシングルだけ、プロデューサーが違うのか不思議に思っていた。 

 "WHITE BICYCLES" には、連動企画として、CDも出ていて、持っているのだけど、ちょっとすぐには出てこないので、手抜きで定額制配信を探した。見あたらなかったのだけど、トゥモロウの "My White Bicycle" が入っているオムニバスがたくさん出てきた。気まぐれにその中のひとつを聞いていたら、サイモン・デュプリー&ザ・ビッグ・サウンドが、マンフレッド・マンの "Day Time, Night Time" をやっているのが入っていた。彼らについては、"Kites" がピンと来なかったので、ちゃんと聞いたことがなかったのだけど、ちょっと興味が出てきて、アルバムに、シングル曲などを加えた集大成盤 "PART OF MY PAST" が定額制配信にあったので聞いてみた。やはり、なんというか、企画次第のようなかんじがした。

 ただ、この副産物で、発見が二つ。ひとつは、彼らが The Moles の変名で出したシングル "We Are The Moles" のPart 2。ずっと、ポップサイケの各種オムニバスで聞いていたPart 1は確かにサイケデリックなかんじで、当時「実はビートルズなのではと噂された」という話もまぁ肯けないこともないのだけど、B面のPart 2はムーディーなコーラスをメインにしたポップスだった。これを聞いて、ビートルズではと思うひとはいないような気がする。「実はビートルズ」詐欺というか、そういう宣伝手段だった可能性もある、と疑っている。

 もうひとつは、"Kites" を越路吹雪がカバーしているという話を以前聞いたことがあり、中古盤店でチェックするポイントのひとつにしていたのだけど、思い出して、定額制配信で検索したら、あっさり見つかった。『世界の恋人たち Vol.1 南ヨーロッパ編』に、「凧」の邦題で収録されている。越路吹雪には興味を持っているのだけど、同じような曲目の編集盤が多く、何というタイトルのアルバムに入っているのかも知らなかった。できればオリジナル盤で聞きたくて、ディスコグラフィが載っている本も探しているのだけど、思い出話がほとんどで、いまだに見つけられないでいる。
 "Kites" がピンとこなかったのは、もともと、「歌謡曲」っぽかったからだけど、越路吹雪によるドラマティックな歌唱だと、しっくりくる。サイケデリックとは感じなかっただけで、歌謡曲、ポップスの文脈だとそのように聞ける。でも、もっと驚くことが、このあとに待っていた。曲目を見ると、「凧」の次のアルバム最終曲は「サンキュー・ベリマッチ」と題されている。もしや、これは…と思いながら、「凧」を聞き終えて始まったのは…やっぱり、スキャフォールドの "Thank U Very Much" だった。知らなかった。越路吹雪がスキャフォールドのカバーをやっていたなんて。それも、とてもナンセンスな日本語詞が付いている。岩谷時子さんのものだろうか。そうしたことがさっぱりわからないのが困るところ。で、なんでよりによって、アルバムの最後に収められているのだろうと思っていたら、「サンキュ ベリマッチ ありがとう あたしのレコードお聞きくださり サンキュ ベリマッチ これでおしまい」。そして、大団円の「サンキュー ベリー ベリー ペーリー…マッチ(ぼそっ)」で締めた。やられた。改めて、盤が欲しくなった。それにしても、このアルバムが復刻されているのは何故だろう。

 クリアファイルを買って、ようやく今年に入ってからのチラシ類の整理を始めた。行われなかったライヴのことを思い出しながら。

 きのう、辞めた元同僚のひとたちのことを書いていたのに、書き忘れていた。若い頃、この仕事を始めた頃に一緒に仕事をしていたFさんが定年退職で、7月31日が最終出社日だった。場所が離れていたし、メールが届いたときには、既にPCが落とされていたようなので、返事は出せなかったけど。学生時代はアニメーションを作っていて、そのビデオを見せてもらったこともあった。当時は別の会社だったのだけど、当時はクライアントと一緒に複数の会社から来たひとが机を並べていた。その事務所があった建物も、去年の冬に取り壊された。そのとき一緒に仕事をしていたひとたちが今の会社にばらばらに集結した形になって、最後にわたしが残ってしまった。

8月3日(月)
[一回休み]
8月4日(火)
[一回休み]
8月5日(水)
[一回休み]
8月6日(木)
[一回休み]
8月7日(金)
[一回休み]
8月8日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2020年8月8日】
 木曜と金曜は、間借りしている事業場は既に夏季休暇に入っているのだが、夏季休暇明け早々に締切がある作業が立て込んでいるので、出勤。うちは暦どおりだし。しかし、構内は、一日目はまだしも、二日目になると、もう、警備のひととメンテナンスのひとしか見かけないかんじで、申し訳ない気持ちに。事務所が入っている建屋の湯茶室やトイレが使えなくて、別の建屋に借りに行くのだけど、入れることは入れるけれど、真っ暗で、これで施錠されたらどないしよという危機感があった。

 予定していた作業は順調に進み、休暇明け一週間の目処はついたので、来週の火曜と水曜は休むことにし、金曜が夏季休暇前の最終日となったのだけど、出社予定だったのに休みになったひと、昼までで帰ってしまうひと、16時にあがるひとが続いて、定時退社なのに、最終退出者になってしまった。何か忘れていそうで、落ち着かない。今週、もの忘れがひどかっただけに。

 火曜日、ポメラ(テキスト入力機)を忘れた。血圧測定メモをそこから転記するのを忘れていたので、予定していた通院を断念する。というよりも、朝、転記しておけという話。シャドウズ・オブ・ナイトに「高血圧 High Blood Pressure」という曲があったなと思い出し、定額制配信で検索して、聞いた。シャドウズ・オブ・ナイトでしか知らなかったのだけど、帰宅後、調べてみると、これはリズム・アンド・ブルースの古典で、オリジナルは、ヒューイ・"ピアノ"・スミス&ザ・クラウンズ。ボズ・スキャッグスまでカバーしているのには驚いた。ヒューイ・スミスは、ファミリーによるカバーで知った "Rockin' Pneumonia and the Boogie Woogie Flu" の作者でもある。「ロック肺炎とブギウギインフル」(溜息)。

 水曜日、タブレットを忘れる。音楽が聞けないので、モバイルルーターとイヤホンを持ち出した意味なし。帰りに、前日行けなかった通院。今月から、血圧は自分で、機械で測定することに。できるだけ接触を避けるということか。測定値は妙に高い。機械と慣れない操作のせいにしておく。

 木曜日、モバイルルーターを忘れる。音楽が聞けないので、タブレットとイヤホンを持ち出した意味なし。あ、でも、メモリ確保のためにできれば移したのち消したい「たまむすび」のポッドキャスト版を聞いて、またにやにやしていました。マスクしてるから盛大に。定時に終わって、やっと先週の「ひかりのうま」での佐藤幸雄とわたしたたち+こまどりのライヴ配信を見た。今週は、月曜日も珍しく順調に予定どおり作業が進んだので、そこそこで帰ることができたのだけど、帰宅後、一段落したら、油断して寝落ちしてました。目が覚めたら0時を回っていた。

 昔々は、長期休暇前の最終日と言えば、先にあがるひとは残っているひとに「よいお休みを」なんて挨拶していったものだけど、そういうことはなくなってしまった。あ、一足先に休みに入る遠隔地の同僚から、夏季休暇明けに動くかもしれない作業の材料と一緒に気遣いのあるメッセージはもらった。休み明けにバタバタしそうで心配はしていたので、金曜日の作業で目処がつけられてよかったのだけど。

 金曜日の夜に東京ローカルの深夜番組として放映されたフジテレビ「磔磔というライブハウスの話」が、フジテレビの配信サイト「FOD」で見られるということで、見た。40周年記念シリーズライヴ時の取材をメインに、追加取材を行って制作中という映画『SWEET HOME TAKU TAKU』の特別編集版とのこと。そう言えば、番組でクライマックスとして登場する2018年のウィルコ・ジョンソン、近藤房之助、仲井戸麗市揃い踏みライヴのことは、ドキュメンタリーの撮影をかねてという話を聞いていた。「FOD」を利用するのは初めてだけど、生年月と郵便番号を訊かれただけで、登録なし、無料で見ることができた。45分。番組に登場する磔磔の主流バンド、ブルースバンドや熱いパンクバンドを、とは言えないですが、まあまあ行っていると思うので感慨深かった。いろいろ思い出してしまう。これからも続いてもらわんと困る、のですが。

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2020 Kijima, Hebon-shiki