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2019年11月3日〜2019年11月9日


11月3日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2019年11月3日】
 運動不足を少しでも補うためにという大義名分をつけて、駅から自宅までの帰り道を、音楽を聞きながら、自転車を押して歩くことを続けている。駅から自宅まで、ちょうどLPの片面分。自転車を押しながらなので、両手がふさがっており、途中で曲を飛ばすことができないのもいい。長らく親しんでいるアルバムだと、もう、知っている曲をつまみ聞きすることも多いのだけど、じっくり聞いてしまう。
 今週は、トッド・ラングレンの "BACK TO THE BARS" も聞いた。2枚組のライヴアルバムだけど、A面とD面が主にユートピアの演奏、B面とC面が主にソロバンドの演奏になっていて、演奏や音の雰囲気が異なる。このアルバムが出た頃は、もっぱらユートピアの派手な演奏を好んでいて、ソロは地味だと感じて、"Don't You Ever Learn?" や "Never Never Land" など選んで聞くかんじだった。そんなB面やC面も止めずに聞いて、わるくないなんて思えると、その程度には落ち着いたのかなと思ったりもする。

 金曜日の夜は、定額制配信のおすすめにピーター・ゲイブリエルの "FLOTSAM AND JETSAM" なるアルバムがあがっていて、このタイトルなら、レアトラック集だなと思って、選んでみたら、果たして、シングル発売曲、サントラやオムニバスへの提供曲を集めたものだった。懸案の "I Don't Remember" シングルテイクも収録されている。渋谷陽一氏のNHK-FMの番組で、シングルが出たときに両面紹介されたのだけど、アルバムを聞いたら、テイクがちがっていて、がっかりしてしまったのだ。ただ、シングルでも前奏曲としてひとつづきで入っていた "The Start" は省かれていて、残念。他にも、"Mother Of Violence" の虫の羽音が入っていないシングルバージョンなどいろいろ入っていて、これは買いかと思っていたのだけど、なんと、このレアトラック集はストリーミングのみという。残念。アーカイヴものこそ、きちんとした資料とともに盤で欲しいものだけど。

 先週は、高血圧の通院もあったし、生命保険の更改説明や、火災保険の更新手続きなどの放課後ミッション続きで気分的にへとへとだった。仕事の面では、月曜日にひさしぶりに居残りまでして新しい仕事のための作業を行ったというのに、翌日になって、企画変更が告げられ、検討しなくてはならないことが増えてしまった。しかも、企画変更を聞いた時点で思い浮かんだ懸念に関係者の誰もが触れないという怖ろしさ。後で言われると困るので先に押さえておくのだけど、今回携わっているひとたちはそうでないと思うけど、そうした確認作業に「なんで(下請けに)とやかく言われないといけないのか」と苦々しく思っているひとがいることが夏に発覚して以来、懸念を解決することに積極的な気持ちが持てない。

 28日月曜日に俳優、八千草薫さんが亡くなられた。十分すぎる華のあるひとなのに、脇役のイメージが強い。その日、あれこれ見ていて、つい発注してしまったものが二日後に届いたけれど、追悼でそれはいかがなものか。宮内國郎『ウルトラマン総音楽集』。1991年発売の2枚組の中古盤で、安かったのは、ひょっとしたら、いまはアップデートされたものがいろいろ出ているからではないかと思ったけれど、追いかけるつもりはないので、『ガス人間第1号』の音楽がとりあえず聞けるというだけでいいか、と。ユニークなのは、『ガス人間第1号』の音楽がここに収められている理由が、『ウルトラQ』『ウルトラマン』に流用されているからということで、どの曲がどの回に使われているかという研究成果がブックレットに掲載されている。
 『ガス人間第1号』と言えば、2009年に芝居になったものをテレビで見た。高橋一生さんという俳優を意識したのはこれでではなかったか。この後、円谷プロの特撮ドラマ『MM9』に出ていたので、すっかり「こっち」のひとだと思っておりました。

 午後から天神橋3丁目「なかい山」での「山びこショー」(はやあしさん企画)に。たぶん近隣への配慮で並ばせないためだと思うけど、開場時刻に行くと既に満席に近いということが何度かあったので、少し早めに覗いてみたら、まだ開いていなかった。ので、近くの古本屋に。矢追純一『第三の選択の謎』(二見書房 サラブレッドブックス217、1982年4月)なんてのを見つけてしまい、しばし迷った末、ブライアン・イーノ関連資料と言い聞かせて購入。帰りにざっと目を通してみたけど、イーノのことは何も書かれていない。いや、書いているなんてことはなかろうと思っておりましたが。これは、イーノの "MUSIC FOR FILMS" にテーマ曲 "Alternative 3" が収められている同名のテレビ番組についての本。環境破壊で住めなくなることが予測される地峡から、火星への移住が「第三の選択」として秘密裡に計画されている、というフェイクドキュメンタリーで、1982年1月に、矢追純一氏担当の「木曜スペシャル」で放映されている。知ってか知らずか、矢追さんは持って回った記述で、嘘とは言い切れないという話に持っていこうとしていて、番組もそのへんぼかしていたようだ。当時見た記憶はないけれど、見ていたとしても、イーノの音楽が流れる「配役」が表示されるエンディングロールはカットされていた可能性が高い。

 「山びこショー」、開会式は止めたらしい。出演は、小西大樹、垣井しょうゆ、藤井邦博の三組。魚座の藤井さんを聞いてみたかったのと、のこぎり演奏でたびたび耳にしている垣井さんはどんなひとなのかという関心から。小西さんは、若手シンガーソングライター。ゆったりしたギターで空気を温めてから歌い出すだけど、曲にスピード感があって、演奏を追い越していくかんじが面白かった。作りこんだら、エミット・ローズみたいになるのではないか。垣井しょうゆさんは、前半はギター弾き語り。とてもきれいな声で、70年代半ばのフォーク歌手のようだった。後半は自作含むカラオケを流しながら、のこぎりというカオス。その前にもっとカオスな身の上話が語られて、いや、そんなたくさん話すひとだということに驚きました。藤井邦博さんは、「日陰」という曲があったけど、陽の移り変わりに応じてできる陰に沿って、歌うような、そんなかんじでした。陰にとどまることなく、すっと逃れていくようなところがよかった。

 帰宅して、『いだてん』。脱税事件を起こしたチュートリアル徳井が女子バレーの大松監督を演じているということで、出演場面のカット(できるわけないやろ)が噂されていたけれど、顔も声も出ていた。細かいところでたとえば、正面のアップやセリフはカットされていたのかもしれないけれど、不自然なところはなくて、安堵した。

11月4日(月)
[一回休み]
11月5日(火)
[一回休み]
11月6日(水)
[一回休み]
11月7日(木)
[一回休み]
11月8日(金)
[一回休み]
11月9日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2019年11月9日】
 急に寒くなった、とは言え、油断して、風邪を招いてしまった。それも、よりによって、インフルエンザ予防接種日の前日に。高血圧の薬が支障ないかどうかも確認しそびれていたので、早めに帰って、自宅近くの病院まで聞きに行った。高血圧の薬は、インフルエンザ予防接種には影響しないとのこと。ひとつクリア。

 ほっと一息ついてから、自宅…へはすぐには帰らず、戻って、コンビニで通販物の引き取り。HMVで5枚注文したら、35%引きというキャンペーンにつられて、5枚揃えたのに、よりにもよって、いちばん最近出たものが既に版元品切れで入荷せず、遅れに遅れていた。
 届いたのは、ゴング "LOVE FROM THE PLANET GONG: The Virgin Years 1973-75"、マンフレッド・マン "RADIO DAYS Vol.1: The Paul Jones Era"、"RADIO DAYS Vol.2: The Mike D'Abo Era"、チャン・ギハと顔たち "WHO'S GOOD AT THEIR OWN LOVE?"。しれっと書いていますが、ええっと、枚数にすると、18枚。ちなみに、入荷しなかったのは、ドラッグディーラー "THE END OF COMEDY"。そのままファストフード店に駆け込んで、開梱、のち証拠隠滅を図ろうかとも思ったのだけど、風邪でしんどかったので、あきらめて帰宅。開封は夜中に目が覚めたとき。

 ゴングのボックスセットは、Radio Gnome Invisibleシリーズ "FLYING TEAPOT"、"ANGEL'S EGG"、"YOU" とアレン&スミス脱退後の "SHAMAL" の4作品に、同時期のラジオ出演、ライヴ、デモやアウトテイクを集めた、いわば "LIVE ETC."拡張版を加えたもの。Virgin Yearsとはいうものの、あと2枚、ピエール・ムーラン主導で出ているので、正確には監修にあたったスティーヴ・ヒレッジ在籍時というべきだけど、版権を持っているらしい Charly から適当なかんじで出ていたものに比べると、力が入っているようなので、思い切った。"LIVE ETC."拡張版編は、BBC録音と1973年8月21日エディンバラで1枚、1973年5月20日バタクランで2枚、1973年8月17日ローヌで2枚、1974年6月28日ハイドパークで1枚、1975年9月9日・10日マーキーで2枚。DVDは "YOU" の4ch版で、映像集ではないのがちょっと残念。
 まったく初出なのはハイドパークでのライヴ録音のみで、あとは部分的に "LIVE ETC." に収められていたけれど、1975年9月マーキーでのヒレッジ "FISH RISING" 収録曲と "SHAMAL" 収録曲は、"LIVE ETC." では省かれていたので、アレン本人に激しい抗議を受けたアルバムだけど、マイク・ハウレットは彼なりにアレン時代に敬意をもって編集していたことがうかがえる。驚いたのは、Mantraからアルバムとして出ていたバタクランでのライヴが「初の正式な発表」と銘打たれていると。Mantraのは、アレンのイラストを使ったりしていたけれど、承諾なしだったのだろうか。

 マンフレッド・マンは、タイトルどおり、BBCなどラジオ出演時の録音を集めたもので、それぞれ2枚組。RCAロゴ書体を使ったタイトルや、Artist Approval(本人承認済)と大きく書かれているところが、かえって、パチもんくささを出してしまっているけれど、定額制配信で少し聞いてみたら、よいかんじだったので。

 チャン・ギハと顔たちは、ハングル表記なので、定額制配信にあがっていた英語タイトルを仮に。これも定額制配信で聞いて気に入ったけれど、盤は当時どこでも扱っておらず、来日ライヴにはタイミングがあわなくて行けなかったところ、直後に解散してしまい、機会を失ってしまった、と思っていたところ、思いがけず、検索にひっかかってきたので、ダメ元で発注したのでした。

 レコードのことだけ書いていると気が楽だ。実際には、連日、政治がらみでひどいありさまが伝えられていて、帰宅して、そうしたものをひととおりさらうと、もう楽しいことを話す気がなくなってしまっていた。そうして、書きそびれているうちに、タイミングを逸してまうこともある。

 月曜日は、長濱礼香さん企画「<daub> vol.12」で、小山景子さん、柴山伸二さん、長濱礼香さんの歌を聞きに「喫茶アオツキ」に。行こうと思っていた「磔磔」での渚にてのライヴが台風で行けず(開催はされた。帰りの電車を心配して取りやめた)残念に思っていた柴山さん、ソロは初めてだったけど、エレクトリックギターも歌も、渚にてのときと変わらず、振り切れていた。もしかしたら、ソロの分、ギターを堪能したかもしれない。小山景子さんは、声がとてもよくて、歳を取って高い声が出せなくなったので、出せる声に合わせて作ったという歌のその低い声もとてもよかった。ピアノはシンプルなのに、それがビオラのように聞こえたり、歌と溶け合うように響いたりしていた。今回は長濱さんのリクエストでギターの弾き語りをされた他、柴山さんが昔聞いたカセットテープでよかったからと「パントマイム」をリクエストしたりと、今回に向けた特別なプログラムになっていた。シンプルな演奏でも、重層的なのは、ビジョンがしっかりしているからだと思うけれど、弾き語りのままでもよいような気がした。…あ、そうだ、当日のライヴ録音が改めて配布されるということでした。楽しみ。

 「喫茶アオツキ」で、「ミングル」でのライヴのときに買いそびれたゑでぃまぁこんのシングル「少女」と、「ミツザワ通信」鬼天秋号を購入。

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2019 Kijima, Hebon-shiki