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2019年10月6日〜2019年10月12日


10月6日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2019年10月6日】
 不祥事にも、だけど、不祥事をないことにするどころか、正当化したり、責任転嫁して、恥じない、むしろ(勝ち)誇っている応援(のつもりもないかもしれない)者たちを見て、どこから、どういう風に話せばいいのだろうなどと悩んでしまうのは、ほんとにお人好しだ、と思う。彼らにはいやがらせしかない。たかが一政権の維持のために、ルールも前提も道理も配慮も壊して気にとめない。彼らは、人種や民族や性別や場所で排斥しようとするけれど、そうした「やりかた」こそ、共存が難しい。鬱々としていたら、あれやこれやの準備を忘れていて、土日は、フテ寝していた。

 木曜日の帰り、雨が降っていたことで、「雨が降っていても電車に乗ってしまったら傘をささずに行ける」と思い立って、水無瀬駅構内の「長谷川書店」に帰りに寄ってみた。大竹昭子さんの対談シリーズ「カタリココ」を書籍化した『高野文子「私」のバラけ方』を置いているということで気になっていたのだけど、遠回りになるので、延ばし延ばしにしていた。
 しかし。思い付きで行ったもので、財布の補充をしていなかったのが失敗だった。買おうと思っていた永井宏さんの散文集『サンライト』が店頭に出ていた。しかし。それを買うと、目的のカタリココ文庫が買えない。他にも目移りさせるもの多数。で、やむなく、しかし、やはりいつも買ってる「フリースタイル」43号とカタリココ文庫を買って、ひきあげることに。すごすご。

 何かのきっかけで思い出して長年の懸案を検索かけたらいつの間にか出ていたということがよくあるのだけど、むかしNHK教育の海外ドキュメンタリー枠で見て、また見たいと思っていたスティーヴン・オカザキ監督の『収容所の長い日々 Days Of Waiting』がInternet Archiveにあがっていた。第二次世界大戦中、日系二世の夫と共に日系人収容所に入ったエステル・イシゴウさん(ずっとイシゴだと思っていたけれど、国会図書館の日系移民関係資料によればIshigoは石郷らしい。そう言えば、NHKで放映されたときはどうだったのだろう)の回想録『Lone Heart Mountain』をもとにしたドキュメンタリー。Internet Archiveなら、許可をとっての公開だと思う。
 内容にもちろん感銘を受けたのだけど、当時、使われている音楽にもびっくりした。最初にペンギン・カフェ・オーケストラ、途中にハンス・ヨアヒム・レデリウス、最後にサンディ・デニー "Like An Old Fashioned Waltz" のカバーが流れた。また見たいという気持ちには、そのことを確かめたいという気持ちもあった。映画データベースサイト「imdb」にも使用楽曲についての情報は掲載されていなかった。最後に使用曲についてもクレジットが出たのでメモした。

Penguin Cafe Orchestra "Air"
Gideon Kremer & Keith Jarrett "Fratres"
Hirokazu Sugiura "Ozatuma"
Hans-Joachim Rodelius "Zuversicht"
Staatsorcheser Stuttugart "Cantus In Memory Of Benjamin Britten"
Svend Asmussen "My Blue Heaven"
Mark Izu & Ray Collins "Sheng Illusion"
Hans-Joachim Rodelius "Legende"
Hans-Joachim Rodelius "Ansinnen"
Hans-Joachim Rodelius "Betrachtung"
Emmylou Harris "Old Fashioned Waltz"
サンディ・デニー曲のカバーは、エミルー・ハリスによるものだったのか。エミルー・ハリスがこの曲を歌っていることも知らなかった。1990年の制作(同年、エステル・イシゴウさんは亡くなられている)なので、それよりも前に出ていたのだけど、デビュー時には注目していたエミルー・ハリスさんはこの頃にはすっかり聞かなくなっていた。エステルさんが当局の依頼で描いた収容所内の出来事を描いたスケッチや水彩画も、日系アメリカ人博物館のサイトなどで見ることができた。なんという世。便利さによって得たものを生かしていかんとあかんな、と改めて。
10月7日(月)
[一回休み]
10月8日(火)
[一回休み]
10月9日(水)
[一回休み]
10月10日(木)
[一回休み]
10月11日(金)
[一回休み]
10月12日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2019年10月12日】
 今週は特に問題発生も会議もなく(居てもしかたないものを二件断ったけど)、仕事は粛々と進むも、このところ、張り合いもなくて、もやもや。金曜日の帰りは、台風19号(ハギビス、タガログ語で「速いもの」という意味らしい)接近に備えて、買い出しや土曜日にやる予定にしていたことをできるだけやってしまわなければと大急ぎで。土曜日、台風は、暴風域のへりにかかるくらいで、雨はずっと降っていたけれど、去年のようにものが飛び散ることもなく、夜には治まった。うちらへんは、ずいぶん前だけど、浸水したこともあるので、警戒だけはしていたけれど。風景は変わってないし、大規模な工事の記憶はないけど、上流や途中で治水対策はなされていたかもしれない。

 火曜日、11月にスチュワート&ガスキンの来日コンサートがあることを知った。東京だけだけど。で帰り。駅を降りる直前に定額制配信で "THE BIG IDEA" を聞き始めた。駐輪場に向かったものの、止めるのが惜しくなった。そや、自転車を押して、歩けばええんや。歩かなあかんとは思うものの、押して歩くのもなぁと思っていたのだけど、音楽を聞くためや、となれば、
 という訳でA面("Levi Stubbs' Tears" から " Heatwave" まで)聞けた。"Levi Stubbs' Tears" の3分33秒あたりで、いつも目がうるむ。トレイラーの運転席で、聞き終えたフォー・トップスのカセットを取り出し、ラックに戻すところ。若干、勝手に場面を想像して、脚色してますが。ビリー・ブラッグ原作のこの歌は、一編の映画になりそうな物語がある。苦難の人生をたどる主人公は、フォー・トップスの歌を聞くことで、なんとか持ちこたえているのだ。「世界が壊れてしまったとしても、変わらないものはある。たとえば、リーバイ・スタッブスの頬を伝う涙」「ノーマン・ウィットフィールドとバレット・ストロングが間違いの全てを直してくれる。ホーランド=ドジャー=ホーランドもあんたなら大丈夫ってうけあってくれる」
 木曜日も、自転車を押して、歩きました。ビリー・ブラッグのボックスセット(知ってたら、買ってたのに)を聞きながら。

 和田誠さんが亡くなった。文字を見ただけでも、あ、和田さんのや、とわかって、手に取りたくなる。そんなグラフィックのひとでした。岩瀬成子『オール・マイ・ラヴィング』もそやったな。デザイナーとしての回想録を読んだ記憶があって、はて何処で、となっていたのだけど、このサイトの過去データを検索して、わかりました(とほほ)。雑誌「フリースタイル」連載「自分だけのデザイン史」。もう書いておかないと、なにも思い出せない。いや、「思い出している」とは言えないか。「自分だけのデザイン史」は、どこかにまとめられているのだろうか。

 10月10日は、キング・クリムゾン "IN THE COURT OF THE CRIMSON KING" とフランク・ザッパ "HOT RATS" 発売から50年だったらしい。そうとは知らずに、おすすめにあがってきた武生商業高校吹奏楽部コントラバス二重奏による "21st Century Schizoid Man"(2017.1.14)を見てました。たらりらったりたらったら(リボンの騎士か)のあたりからちょっとあやしくなっていますが、完走。ご来賓の方々の表情も見たかった。

 おすすめ動画と言えば、しょうもないのや広告はかたっぱしから気に入らないと報告していっているのだけど、あるときふとファッションショウのランウェイ映像を見てから、割と見てます。ファッションに縁がないのに、と思われるやもですが、色っぽいおねーさんが見られるということもあるのだけど、おっさんのニヤニヤ顔や仏頂面が苦手なので、歩くときの表情のイメージトレーニングになるかな、と。
 あと音楽がよければいいけど、後からの差し替えが多いことを見始めてから知った。のだけど、「SHAI SHALOM」というブランドのウクライナでのショウで流れていて、ええかんじやと思った曲は、どうも差し替えっぽくない。あれこれ調べてみたけど、ウクライナ語のサイトばかりで出てこない。と思ったら、最初に見たのとちがう配信元からの映像で、より音楽がはっきり聞こえるものがあり、そのためか、Youtube側が権利関係を表示させていた。JULINOZAさんの「Drakosha」。イケイケだけど、カンタベリーっぽくもある。ブランドはウクライナではないかもしれないけど、このひとはウクライナのひとの模様。ユリア・ザポロジェッツさんのユニット名ということで、インタビュー映像を見ると、ジュリノザだったり、ユリノザだったりするけど、ユリアさんなら、ユリノザでいいかもしれない。ジャズヴォーカル曲もあるけど、奇妙なテイストの曲もちょいちょいあって、面白そうです。「Drakosha」は配信のみのシングルみたいです。Apple Musicにもあったので、押さえといた。

 ここへんは、夜になって、暴風域から外れた。台風の被害があまり出ないようにと祈るしかなかったけど、関東や東北では川の氾濫による浸水が各地で出てしまった。顔見知りで避難所に避難したひともいる。一方で、ホームレスのひとたちを避難所が住民優先を唱えて断ったというニュースが流れてきた。公的機関が堂々と言ったのなら、事件ではないか。件の自治体のサイトには、ホームレスお断りと書いていない。書いてないから、そんなことしていない、やったという証拠がないとか言い出すひとがいるのではないかと思うと、やりきれない。既に、キャパがあるから、納税者じゃないからと、断ったことを正当化する「つぶやき」が湧いている。憶測だけど、そんな連中が、杉原千畝のユダヤ人へのビザ発行を「日本の手柄」だと賞賛するのだろう。暗澹たる気持ちしかない。できないことはあるだろう。でも、申し訳ないという姿勢すら見せられないのか。正当化する材料や言葉を集めて、いい気持ちになって、それで満足か。ちゃんとしろという言葉を、やめろということだろうとしか受け取れない、なんて。

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2019 Kijima, Hebon-shiki