目次に戻る

2019年7月21日〜2019年7月27日


7月21日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2019年7月21日】
 このところ、メモをいざ書こうとすると、書けないでいる。選挙に絡んで飛び交う言葉、18日(木)に起きた「京都アニメーション」への放火殺人事件などについて考えていると、それだけで疲弊してしまっていたということはあるかもしれない。「弁」狭窄。なんなんだ、なんなんだと念仏の如く。個別に罵倒、もとい意見して思い直すのならそうしたいくらいだけど、言葉はもう無効かもしれないという気持ちに襲われる。いっそのこと「有無を言わさない」「言葉に頼らない」方法をとるということもわからなくない。そのことのあやうさを思うけれど、言葉によって自家中毒を起こしているような状態では、毒を持って毒をとも思う。音楽もあまり聞いていなかった。先週は、火水と二日間もイヤホンを持って出るのを忘れた。
 通勤時に提げているカバンには、仕事で必要なものはほんのわずかで、ほとんどは移動中か昼休み中に必要なもの。しんどくなると、雑誌が増えるというのも常で、「スペクテイター」や「幻燈」や「ラティーナ」が常駐している。他に単行本や文庫も紛れこんでいることがある。読めもしないのにどやねん、という気はしなくもないが、言うても束の間の居場所のような気がしなくもない居間の周囲に本やCDを積み上げてしまうのと同じで、気になったら見る聞く、気がついては確かめるという習性による。

 先週のメモ。月曜日は休みだったけど、買い物行ったり、食事しに出かけたりした他はひたすら倒れてた。探しものは見つからない。どこや。

 先週のメモ。水曜日の帰り、遠回りして、水無瀬「長谷川書店」に。「幻燈」15号が入荷したと聞いて。「長谷川書店」のコンパクトな店内では気になっていた本がすぐに見つかるので、選ばなくてはならなくなるのが、「うれしい悲鳴」なのだけど、この日は展示「精霊蟲を探して」も行われていたくぼやまさとるさんの『ニセ蟲図鑑』、それとここでなくてもよいのだが気が付くと次号が出ているということが多い「ラティーナ」を。
 「幻燈」15号は、うらたさんの追悼号。「幻燈」作家でもあるおんちみどりさん、甲野酉さん、うらたさんの3人で2016年10月に行われたイベントでの鼎談、うらたさんから編集部に送られた手紙の抄録、「冬のプラネタリウム」再録、原マスミさんやつげ忠男さんらによる追悼文、たのまるさんのトリビュート漫画、内島すみれさんによる評論で構成されている。うらたさんの手紙の中には、「長谷川書店」のことも出てくる。
 くぼやまさとるさんの絵は初めて見たのだけど、水彩で、別世界の蟲たちへの細かな思いめぐらしに基づいた風景がよかった。

 先週のメモ。木曜日、伏見の「京都アニメーション」ビルが放火され、30名が亡くなるという痛ましい事件が起こった。犯人と思われる人物も搬送されており、事情は聞けていないが、目撃者の証言によると、「小説を盗作された」という恨みが動機ではないかと推測されている。その真偽は検証を待つしかないとしても、起こした事件とのつりあいがとれない。自分の行動がどのような結果になるか、「わかってなかった」のではないかと思うと、いっそうやりきれなくなる。

 「スペクテイター」で田口史人さんが「WEBが人々の生活に与えた最も大きな影響は、時間の感覚を麻痺させていったことだと思います」「時間の奥行きを気配として察するのではなく、情報として処理し、現在への有効性で採・不採用を決定していくということ」「時間を感じられなくなるということは、あらゆる気配を察する能力が失われていくということ」と書かれている。わたしが、言葉が無効になっていると感じることに通じていると思う。先日のしょうもない「明文化」をめぐるいざこざのとき、「これまでの経緯」を説明しても、相手側に継承されておらず、わたしの勝手に決めているルールのように扱われたことに驚いたのだけど、そうなると「言葉が通じない」のだ。

 先週のメモ。土曜日は家の用事など。あれこれ不備あり思うように行かず。消費税率引き上げによる値上げの前に、を口実にふだんほったらかしにしている服や靴を新調しろと言われ、そう言えば自転車もガタが来ているし、健康管理に必要な(のかどうかわからないのだけど医者がひつこく言ってくる)機器のこともある、と少し前に引き出しておいた別予算は…本に化けていってます。

 先週のメモ。日曜日、参議院議員選挙の投票を済ませてから、天神橋筋一丁目「音凪」に。「佐藤幸雄と山際英樹のふたり会」。オープニングアクトとして、確か以前、pocopenさんかsakanaの(見に行ってない)ライヴの企画者として名を見たことがあるちあきひこさん。ちあきひこさん、割礼のメンバーである山際英樹さんはギターインストゥルメンタル。ちあきひこさんは、前半がアコースティックギター、後半がエレクトリックギターだったのだけど、前半のマイク・オールドフィールドを思わせる景色が続いていくかんじがよかった。山際さんのソロは聞いたことがなかった。憂いのあるメロディに、がさっとした音も背景やリズムとして溶け込ませていっていた。佐藤幸雄さん、選挙の大阪の結果(維自維公の改憲勢の改選議席独占)を受けてか、「大東亜の在日人」で着地点を探しているようなかんじがしたけれど、そこから折り返して、ジョナサン・リッチマンやデイヴィッド・ボウイの訳詞で地面を確かめて、自身の歌で踏みしめるような。そんな一直線のストーリーではほんとうはなく、聞き手のこちらの聞きかたを重ね合わせているのだけれど、山際さんとのデュオによる「かくもの/かかれるもの」で息を吹き返しました。)

7月22日(月)
[一回休み]
7月23日(火)
[一回休み]
7月24日(水)
[一回休み]
7月25日(木)
[一回休み]
7月26日(金)
[一回休み]
7月27日(土)
[一回休み]

目次に戻る

2019 Kijima, Hebon-shiki