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2019年5月26日〜2019年6月1日


5月26日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2019年5月26日】
 暑い日が続いている。少し前まで、朝晩は寒かったのに、とか、衣替えよりも、記憶が混乱させられて、アタマの切り替えがうまく行かない。
 木曜日の帰り、「どうしたんですか、疲れた顔して」との指摘。指示どおりに、文字を直して、ちょっと線を引き直すくらいの簡単なお仕事です、ということだったのでついでで引き受けた作業の更新依頼が来たのだけど、「指示どおりに」の指示を把握する段階で手こずって、妙に時間を取られてしまうので。いつものことだけど。自分で作業するとすれば、の前提がないからだろう。
 疲れた顔は、声かけても大丈夫だろうかという不安顔だった可能性もあるか。先に歩いていて、追い付いた形だけど、驚かせたくないので。なんにしても、話して楽しかったし、ちょっとは元気が出たのだから、「おかげで元気が出た」くらいのことは言えんのかね。

 土曜日は、昼前から外出して、北加賀屋での「KITAKAGAYA FLEA 2019」に。出がけに、駅前のコンビニに届いた通販物の引き取り。ニルヴァーナ "RAINBOW CHASER: The 60s recordings (The Island Years)"。タイトルどおり、アイランド期の2枚のアルバムを合わせたもの、と去年発売されたときに告知を見かけた気がしたけど、そんな風に受け取って、スルーしていたのだけど、先週のクリーム/ゴドレイ "CONSEQUENCES" 再聴の余波で、ジュディ・ハクステイブル主演で、ニルヴァーナが主題歌を担当した映画『タッチャブル/性の狩人』(どうやら日本公開もあったし、テレビで放映もされていたみたい)の予告編をYoutubeで見たりして、ディスコグラフィを眺めたところ、この2枚組が発掘未発表曲満載であることがわかって。52曲のうち、オリジナルアルバム2枚の22曲、アルバム未収録シングル曲7曲、過去に発掘された1曲を除く、22曲が今回初収録とある。定額制配信でも聞けるので、とりあえず聞いてみたのだけど、発掘曲の内容もとても良くて、「これは買いや」となった。
 "The Touchable (All Of Us)" だけでも、歌詞が映画用に書き換えられる前のバージョン("Omnibus"と題されている)、インストゥルメンタル、映画の出演者たちが歌っているバージョンが収められている。ゾンビーズの "" と並ぶ二大「ハッ」曲のひとつ、"Oh! What A Performance" も "Oscar" と題された1分近い長いバージョン(スプーキー・トゥースが演奏に参加しているらしい)が2テイク。シングルテイクに近い#1もいいけれど、よりバンド演奏っぽい#2は聞けて良かった。特に好きという訳でもなかった曲だけど驚かされたのが、"The Show Must Go On"。もともと時代劇のほのぼのシーンに流れそうな日本的な抒情を感じさせる曲だったけど、アルバムではインストゥルメンタルだったのが、歌の入ったものが発掘されて、アレンジを変えたら、そのまま必殺シリーズの主題歌になりそうで。その他、大好きな "You Can Try It" の誘惑度が強まったテイクや "Rainbow Chaser" のフェイズシフターがかかっていないテイクなど、聞けて良かった別テイクばかりだった。
 犬伏功さんが「芽瑠璃堂」のサイトで連載している「Another Tricky Day」で、録音の保全の大変さについて書かれていた回「音楽の物理的「寿命」について考える」(2019年5月14日)で、話題としては、CDの劣化問題が注目されたと思うけど、もひとつ注目してほしいと思ったのが「アナログへの回帰は数々のアルバム未収録曲を見捨てるという弊害ももたらせた」というくだり。シングルの時代という意味では、パンク以後も同じなので、そやねんなーと肯いていたのだけど、このニルヴァーナの2枚組はその意味で理想的でした。高価なセットではないこともありがたく。もちろん詳細な解説と図版が付いている。

 という訳で、北加賀屋に戻る。二日間のイベントだけど、初日の音楽コーナーの出演者が、POLY!、タダオと横沢、オニさんと気になるひとたちばかりだったので、土曜日に行ってきた次第。去年行ったときに、よかった台湾の出版物や、同じように面白いと思える出版物にまた会えるかなという楽しみもあった。
 安田謙一さんのブース「ダン・シャーリー」を覗いてから…と思っていたら、すぐにコップを渡されて、そのままステージの近くに。非楽器アンサンブル POLY!は、紙コップや紙製の筒を使って、いろんな風に音を出して楽しむワークショップ兼セッション。ちびっこたちの反応がよかった。あそびやもん。勝手に楽しんだり、飽きたりも含めて。その反応を見ているのも楽しい。司会のおねえさんの司会ぶりもほれぼれするものでした。

 「KITAKAGAYA FLEA」は、「ASIA BOOK MARKET」が半分だし、本のイベントのように思っていたのだけど、ほんとに縁日、おまつりみたいにひとであふれていて驚く。食べもののコーナーでは、先日、塩屋に行ったときは(やはりイベント出店で)閉まっていた「ワンダカレー」があったので、カレーとサモサで昼食。

 昼食後、3階の「ASIA BOOK MARKET」を覗く。去年買った台湾の「Bacon Press」や「BIG ISSUE TAIWAN」は来られてなかったようで、残念。今回はやはり台湾の「本冊」を運営している「ARTQPIE」のブースで、パン屋を開店した恐竜くんがお客さんに来てもらうためにチラシを作るという設定で活版印刷を紹介する『小恐龍的秘密任務 活版印刷入門秘笈』と台湾のイラスト旅行記『季節禮物 挿畫家的台湾旅行記事』を購入。
 2階に戻ったら、タダオと横沢の演奏が始まっていた。最初は遠巻きに聞くつもりにしていたのだけど、シタールを使ってはいるものの、伝統的なインド音楽ではなく、インドっぽくもなく、激しくソリッドなリズムもありのオリジナルだったので、引き込まれて、ステージのほうに引き寄せられてしまった。

 あまりの暑さに、何か冷たいものをと思って、フードスペースに避難したら、前に「ちょうちょぼっこ」次田さん企画で行ったことのある粉浜の「コチカフェ」がかき氷を出していた。初かき氷。いや、ほんま、少し前に、「枚方」の前を通りがかったときは「いくらなんでもまだ早い」と思ったものだけど。
 そう言えば、次田さんに会ったのでした。その後、真治さん、郷田さんにも会った。ちょうちょぼっこ3/4。いいことあるかな、なんて。「次ちゃん、来てたんだって?いつ?もう帰ったかな?」と訊かれて、「だいぶ前」と答えたら、「だいぶ前から居るんだ」と呆れられた。そういうとこ逃さへんよな、真治さん。

 2階の店を改めて、覗く。ステージ脇のブースで、栗田咲子さんを特集した冊子を見かけて、購入。出店していたのは「サロン・モザイク」といって、天満でギャラリーをされているという。この冊子は、つい先日まで京都で行われていた栗田さんの京都「ギャラリーモーニング」での個展に際して作られたものだそう。知らんかったー。「サロン・モザイク」は帰ってから調べたら、元「駒鳥文庫」があった場所だった。「音凪」からの帰りにいつも前を通っているとこやん。

 オニ(佐伯真由美)さんの演奏。赤犬/みにまむすのぐっちーさんがパーカッションでゲスト参加。ガットギターから放たれる激しい音に感嘆する。しっとりした歌もいいけど、激しい音で奏でられる悠々とした歌が好きです。
 最後に、安田謙一さんとこに改めて。ざっと見ているけれど、追加も期待しつつ。秋田書店「まんが王」1970年新年特大号付録「ビッグマガジンSF」と1980年のプレイガイドジャーナル編『ピープルズクロニクル』を。

 今日は、午後からぐったりしてしまったけれど、夕方、なんとか起き上がって、茨木市中央公園北グラウンドでの冬木遼太郎氏の展示「突然の風景」を見に。「HUB-IBARAKI ART PROJECT 2018-2019」の一環というかハイライトということで、気になりつつも、「突然の」の語から、事前にあれこれ調べることなく行ってみた。グラウンドに、かなりの数の車がランダムな方向を向いて並んでいる。そして、開始時刻。無人の車からクラクションが鳴る。別の車でも続けて、クラクションが鳴る。それが「上を向いて歩こう」であることはすぐにわかった。
 車が動けないである状況に立ち会うことがあるかもしれない。自分が取り囲まれるということもあるだろう。あちこちからクラクションを鳴らされることもある、だろう。ほいでもって、そのクラクションが、音楽を奏でているようにに聞いてしまうこともあるかもしれない。そしたら、そのメロディに気持ちを乗せて、その場から去ることができるかもしれない。そんなことを思いながら、聞いていた。
 ひととおりメロディが終わったとき、ちびっこが小さな拍手をした。わたしはと言えば、呆気にとられて、まだ何かあるのではないかと待っている心境だったのに。小さな子のほうが正解でした。特に、何も告げられず、この突然の風景は終わっていたのでした。

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2019 Kijima, Hebon-shiki