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2019年3月17日〜2019年3月23日


3月17日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2019年3月17日】
 パソコンの復旧が宿題みたいになっている。宿題なので…なかなかとりかかれないし、済んでいないと出不精になる。ftpアップローダーの名称を思い出したので、検索して、バックアップファイルから拾い出した。パズルのようにあれこれあてはめて、なんとかftpサーバーにアクセスして、ここを更新できるところまで。Microsoftアカウントの取得で手こずったり(Officeの認証プロセスから枝分かれしたウィンドウでは途中で何を入力すべきなのか表示が拙く、わからなくなったので、Microsoftのウェブサイトから入ってそっちで取った)。メールソフトとウィルス対策ソフト(新パソコンに付いてたお試し稼働中、旧パソコンで契約していたものの移植…できるのか)がまだ。

 ポメラはあったので、パソコンがダウンしている間も、日記は書けたはずなのだが、半分、知り合いへの手紙のようなものなので、発表前提でないと、なかなか書けないのであった。ツイターで小出しにはできていた、ということもある。しかし、書いておかないと、記憶があてにならなくなっているので、あやふやになってしまう。何が。自分が、か。

 そんなあやふやな先週は。ある程度予想はしていたものの、然るべきひとたちが対処しないので、半ば放置、半ば諦めていたことがやはり降りかかることに。それができたのは、予定されていた作業のひとつの締切が2日延びたからだけど、他にもあれこれ予定が変わって、急がなくてもよかったことを急いでやったり、やれたはずのことを諦めたり。打ち上げ延期の件もあり、もやもやしっぱなしでした。

 12日(火)夜、ピエール瀧、コカイン使用疑惑で逮捕との速報。内実や展望を問わない「いかがなものか圧力」を憂慮する。14日(木)夜、イラストレーターの上野紀子さんの訃報。紹介される作風が、親しんでいた頃とちがっていることに戸惑ったけれど、その頃からどれだけ経っているか。その間もずっと活動されていたのだから、当然のことと受け止める。
 テレビはあまり見ていないけれど、NHK-BSで朝、仕事に出る頃に始まるミニ番組『始発物語』は面白かった。母親も楽しんでいた様子。テーマ曲代わりに冒頭で大貫妙子「時の始まり」が流れるので、4回のうち、後半の2回は録画しておいた。テレビで、黒木華主演(と言ってよいのかどうかで揉めたというゲーノーニュースがあった)の『小さいおうち』を見た。録画しておいたものを、その日の夜、眠れなかったので見始めたのだけど、途中で落ちることなく見てしまった。端から見れば、小さな、恥じることのない秘密を生涯抱えて生きたひとの物語。主人公が亡くなったあとの話は、蛇足にも思えたけれど、その秘密を誰かに代わって、赦すために必要だったのだろう。

3月18日(月)
[一回休み]
3月19日(火)
[一回休み]
3月20日(水)
[一回休み]
3月21日(木) 【▼ぐりぐらメモ/2019年3月21日】
 パソコンの復旧。Windows 10の一推し(?)「Mail」の設定がうまく行かず、別のメールソフトで送受信できるようになった。した、と言いたいところだけど、以前のメールソフトでの設定情報を使う場面なく、なんやかんやしているうちに、なった、ので、なったとしか言えない。ともあれ、これで日常使いはできるよになり、通販もできるようになった。あとは、ウィルス対策ソフトの契約問題を残すのみ。細かいところでは復旧できていないことがいろいろあるのだけど、使う必要が出てくる度になんとかすることになりそう。どうだかの喩えだけど、気分は百鬼丸です。
 アイコンの大きさを馴染みのあるものにしようとしたら、全体的に表示を小さめにする必要があり、なんだか、小さい文字と格闘するようなかんじになってます。老眼なのに何をやっているのだか、ですが。それと、キーの大きさが一部細くなっているのと、マウスをつないでいても自動的に切り替わらず、並行して生きているタッチパッドが以前のものより左寄りなので、左手の親指の付け根でうっかり押してしまって、入力途中の文字を変換してしまったり、意図せぬ結果を招くこと、しばしば。

 それにしても、アカウント、アカウントて、何事も登録しないでは進まない傾向が強まっているようで、溜息。店のポイントカードみたい。そんなにたくさんの枚数は持てないし、管理もできへんよ。

 日常使いができるようになったことで一安心、と、CDやBDをかけてみることにしたのだけど、たまたま手近にあったXTC "ORANGES & LEMONS" のBlu-ray Discをかけてみたら…動かない。そう言えば、XTCのBD再生できない問題というのが語られていたような。前のパソコンではいけてたはずだけど、と思い、他のアルバムをひっぱり出して、次々にかけることに。"DRUMS AND WIRES"、いけた。"BLACK SEA"、いけた。"SKYLARKING" もいけた。"NONSUCH" も大丈夫。という訳で、ダメだったのは、"ORANGES & LEMONS" だけだった、と思ったのだが、過去の日記(2015年10月31日)を見たら、前のパソコンでも "ORANGES & LEMONS" は再生できてなかった。記憶が。

 音楽ファイルは外付けハードディスクにまとめておこうかと思い、移し替え作業もぼちぼちと。昔々にDLしたものなど、残っていてよかった。寺尾紗穂さんの出光興産CMソングとか。と、あれこれ聞いていたら、また退職の知らせ。餞別CD-Rをどうしようか、と思う。音楽の話はしたことがないのだけれど。イケガミさんじゃないけれど、いい質問をするので、これから一緒に仕事していくことを楽しみにしてました。

 ハル・ブレインの訃報。ハル・ブレインは、セッションドラマーで、昔のレコードにはちゃんとした演奏者クレジットがないことが多いので、そうだ、と言われて、そうらしい、というあやふやな情報しかないのだけど、フィル・スペクター関連やアヴァランチェズなど、好きな演奏がたくさんあります。
 ディク・デイルの訃報も。映画『パルプフィクション』で使われたことで "Misirlou" が再び広く流れるようになった頃(それにしても『パルプフィクション』はそんなにヒットしたのだろうか)、小学校の運動会のかけっこのBGMに使われていたのが楽しかった。

 午後から、「シャングリラ」でのクルアンビン Khruangbin のライヴを見に、梅田に。去年の10月、Tiny Desk Concertの動画配信で見て、ようやく、ピンと来たのとほぼ同時に来日公演のニュースが来て、そうしたタイミングは大切にしたいほうなので、申し込んだのでした。
 左から、ギターのマーク・スピアー、ドラムとキーボードのドナルド・ジョンソン、ベースのローラ・リー。むさい長髪のマーク氏、いかつい体格のドナルド氏、一見こわもてのローラさんと、三者三様の雰囲気だけど、それぞれの演奏は繊細で、にもかかわらず、まとまると、しっかりとした塊りのようになる。演奏が巧いのは確かだけど、その巧さをフォーマットを作ることに活かして、ざわっとしたギターの余韻に、いろんなメロディー、いろんな音楽の要素を溶かしていくようなかんじでした。繰り出されるメロディーの中には、「花嫁御寮」や「上を向いて歩こう」があったような気がするけど、気のせいかもしれない。クラウデッド・ハウスの "Don't Dream It's Over" を思わせるようなものもあったし(細馬宏通さんが3月19日21時49分に「バブル前夜に感じていた厭世的な気分を、Everybody wants to rule the world と Don't dream it's over で思い出す。どちらも名曲だなあ。」とツイートされていたことを連想した)、ディック・デイル追悼ということか、"Misirlou" もちらり。1時間半くらいノンストップ。満員の中、前のひとが仰け反って踊りまくったりもしていて、身動きがとれなかったけれど、ゆったり聞きたいような、一方で好きな子と踊れたらええよな、そんな気持ちで聞いていました。
 ステージにキーボードが見えなくて、ドラムだけ?と思っていたら、脇に置かれていたようで、時折、スティックを1本脇にはさみ、右手でドラムを叩きながら、左手で弾いてらした。アンコールの1曲目がキーボード主体だったので、ドナルドさんの歌を期待したけど、今回はなかった。アンコールでは、"Fire Cracker" も。エキゾチカやなぁと思ったけど、帰りにチラ見したセットリストには「YMO」と書かれていた。

 エントランスに出たところで、見に来られていたひとと遭遇、「よかったねぇ」と話す。聞いている間はひとりでいいけど、聞いたあとは「よかった」と話したい気持ちになるので、話せて、よかった。駅に向かって、歩き出したら、もうすぐ無くなる線路の彼方のビル群が霧に包まれて霞んでいた。靄と霧のちがいってどうだったっけと思いながら、短くなった地下道を通って、帰宅。

3月22日(金) 【▼ぐりぐらメモ/2019年3月22日】
 流れこんでくる空気が冷たい。連休の中日で、間借りしている事業場が開店休業状態なので、有給休暇をとった。午前中、郵便局など月-金でないと行きにくいところなど。午後から、宝塚市清荒神へ。なかなか行けなかった福島杏さんの店「casimasi」に。駅から参道に入って、少し行って、交わる道を左に折れて、また少しだけ歩いたところに。予想よりも、すぐでした。

 「casimasi」は本と雑貨の店。福島さんが選んだ本、靴下、石けん、箒、布・革小物が置かれている。本は、生活周りのものもあるけれど、それだけでなく、美術や建築、生活史など。オリタさんの古本も。話を聞きながら、ひととおり。面白そうな本がたくさんあるけれど、まずはお薦めのものを、ということで、三浦哲哉『食べたくなる本』、古本から、読もう読もうと思っていながらまだだった梯久美子『狂うひと 「死の棘」の妻・島尾ミホ』と折田さんがツイターで紹介していたのを読んで気になっていた1918年から1992年にかけてのプラハのトピックを1年1ページで紹介した冊子『Prague: 1918-1992』を。後者は確かチェコの公的な紹介機関で配布されていたものだったと思うけど、折田さん、そのまま、0円で出されていた。…「casimasi」に出しておいたら、いつかきじまさんが手にとるだろう、という罠が仕掛けられていた可能性もあるな、なんつて。それと、店内で流れていた寺尾紗穂さんのミニアルバム『君は私の友達』、店頭に置かれていた杉本さなえさんのポストカードを。

 清荒神から、気になっている「シネピピア」がある売布(めふ)まで歩く。来週から、大阪・京都で見損ねたピアソラの映画がある。「casimasi」に行くのに、ついでの用事になるなと思っていたのだけど、期間中の土曜日に「casimasi」が開いているとは限らないので、きょうはこっちは下見ということで。駅前の市の出先機関とスーパーが一体化したビルにありました。何か時間が合えば見ていこうという気もあったのだけど、タイミングは合わず。チラシ棚を見ていたら「月刊トドロキ・ユキコ」が置かれていて、オドロキ。2019年3月17日発行の第40号。

 さて、宝塚と川西で迷った末、川西方面に向かって、歩くことにした。趣味の知らない町の知らない道歩き。映画『ROMA/ローマ』のサントラを聞きながら。巨木が植えられている更地、柵が低すぎるJR線などを眺めたり、途中で「ドムドム」を見かけたのでつい寄ったり、以前デザインが気になった阪急「川西能勢口駅」駅前の「栄南(さかえみなみ)団地」の中を歩いてみたり。
 

3月23日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2019年3月23日】
 ひさしぶりに、姫路に。ゑでぃまぁこんの企画で、yumboの澁谷浩次さん、工藤夏海さん、高柳あゆ子さんのトリオのライヴがあることは、去年の年末に、yumboの20周年記念冊子「yumbon」をお願いしたときに澁谷さんから聞いていて、楽しみにしていました。会場の「ハルモニア」も、よく名前を聞いていて、気になっていました。
 本当は二部に分かれていて、昼から映画『ゾンからのメッセージ』の上映と鈴木卓爾監督と澁谷さんの対談があり、夜の第二部がyumboトリオとゑでぃまぁこんのライヴ。『ゾンからのメッセージ』は既に見ているし、12時前に姫路に着くように出る自信がなかったので、夜のライヴだけにしました。

 とは言うものの、せっかく姫路に行くし、場所もあらかじめ確認しておきたかったので、少し早めに、と昼前に出発。旅の友/供は、昨日、現物よりも一足先に送られてきていたyojikとwanda『ナイトレイン』通販特典の架空ラジオ番組「よーわんRadio #2」。ほんとは、昨日の夜、寝ながら聞くつもりだったのだけど、再生ボタンを押すこともなく、寝落ちしてしまった。でも、電車に揺られながらで、よかった。おふたりのひととなりがうかがえるバラエティコーナー、あまり聞くことがない曲を含むスタジオライヴ、yojikさんのwandaさんの曲への思いなどを、一時間半、中断しないで、じっくりと聞くことができて。聞き終えて、少しして、「まもなく姫路駅」のアナウンスが流れた。

 姫路に着いてから、まず場所の確認。歩いて、ちょっと曲がるべき角を行き過ぎたりしつつ、たどり着けた。ゑでぃさんがツイターで、レンタル自転車の紹介をされていたのだけど、自転車を置く場所もありそうだ。という訳で、姫路駅に戻って、遅めの昼食をとってから、自転車を借りた。翌朝までで、350円。閉まるのが23時なので、ライヴが終わってからでも十分、というか、それまでに戻っていないと終電に間に合わない。

 特に行くあてはなかったのだけど、地図を見ていて、「ハルモニア」の近くに手柄山中央公園があることがわかり、行ってみることにした。1966年の「姫路大博覧会」の会場になったところで、そのためにモノレールが敷かれていた。テーマ塔として作られ、去年閉鎖された回転展望台も行ってみたかったところだった。
 ほいで、少し自転車を走らせたら、拍子抜けするくらいあっさりとたどり着いた。山というから、坂をのぼるかんじかと思っていたのだけど。しかし。入り口がわからない。最初にたどりついたのはホールのある建物の前だったのだけど、案内板はあるものの、そこから展望台までの道のりがわからない。とりあえず駐輪場らしき場所に自転車を置いて、あてずっぽうで歩き出してみた。車の駐車場のほうに進んだら、奥に、行き先表示の立て札らしきものが見えた。近づくと、木々に囲まれた長い階段があった。長い空中通路も見える。なかなかの秘境である。
 階段をのぼった先に、モノレール手柄山駅を改修した「手柄山交流ステーション」があった。どちらかというと、併設されている水族館の入口の扱いだけど、モノレール展示室もあった。元のプラットフォームらしい。当時の時刻表や看板もある。もしかしたら、そのままなのかもしれない。二両編成の実物、路線や博覧会のジオラマ模型、当時の写真や記事、機器が展示されている。鉄道は大規模事業であり、巨額が動き、利権もあり、厄介なものだけど、同時に生活の足でもあり、個々人にとって賑わいの場でもある。ノスタルジーはないけれど、遺跡にはそうしたものの跡も封印されているような気がする。
 上にあがってよいものなのかどうなのかと思いながら、上にあがったら、パンフレットだけが置いてあるがらんとした階、なのだが、どうもさらに上がある、のであがってみたら、出口で、他の場所につながるのだった。それにしても、案内板がない。手探りで歩いているうちに、いろんな場所に出くわすというかんじで、回転展望台にもたどり着けた。ちょうどその頃、遠くで「蛍の光」が。展示関係は17時までなのだ。しかし、戻りかたがわからない。焦る。進んでいくと、外に出てしまった。外縁に沿って歩いて、最初の駐車場の前にあった建物を発見することができた。

 開場時刻15分前に「ハルモニア」に。バイク店の2階。その隣が小さな公園になっている。手元にある2005年1月発行の地図を持っていっていたのだけど、所在地は公園だったので、公園が無くなり、跡地に何がビルができたように想像していた。2005年の地図にあったコンビニは無かった。たぶん、仏具店が元はコンビニだったのだろう。シャッターを降ろしたバイク店の前に自転車を停めて、公園で休憩。降りかけていた雨はすぐに収まって、よかった。
 出演は、人形劇団ポンコレラ、ゑでぃまぁこん、yumbo trio。人形劇団ポンコレラは、工藤夏海さんが人形造形、操演、声、物語をされている劇団で、今回は、工藤さんと高柳さんの二人で。yumboでは聞けない工藤さんの声、yumboでの歌とはちがった高柳さんの声のすっきりした語り口に、表情が動かない人形たちの思惑が見えてくるようでした。劇団ではないひとに参加してもらう悩み相談でのツッコミ具合も楽しかった。
 ゑでぃまぁこんは、5人編成。『眩暗眩花』収録曲を中心に、聞いたことのない曲もありました。「塵散舞埋」をひさしぶりに、新しいアレンジで聞けたのはうれしかった。ジェファーソン・エアプレインを連想するような、ロック的な曲が新鮮だった。
 yumbo trio。作ったばかりという曲を含めて、虚実が判然としない説明をしながら。説明から既に曲が始まっている、と言っていいかもしれない。岩田侑三さんに捧げられた「幻のできごと」
「みだれた絵」を、澁谷さんのピアノ、工藤さんのホルン、高柳さんの声で聞いて、改めて、じんとした。初めて聞いたときのことを思い出して。
 最後に、ゑでぃまぁこんとyumbo trioの合同演奏。「とらとらいおん」をゑでぃさんと高柳さんのデュエットで、なんて。「ブーメラン」は、ゑでぃまぁこんの曲かな。鋭さと広さのある曲でした。アンコールの声が止まないので、最後にさらっとと「鬼火」を。ゑでぃまぁこんの面々は、「うた本 みんなみてる」を見ながらの演奏で、いつもとちがう流れがありました。
 このライヴを記念して制作された、共演を含むライヴ録音を収めたCD-R『センダイ・ヒメジ オールナイトロング』を購入。「幻のできごと」も「ブーメラン」も、共演の「とらとらいおん」も入ってる。

 最終電車の時刻だけ調べていたのだけど、まだ間がある。駅まで急いで戻ったのだが…結局、最終電車しかないのでした。30分、ホームで待つことに。帰りは、九州朝日放送の特別番組「ありがとう!九電記念体育館」を聞きながら。4時間のうち、前半の2時間。そのまた前半は70年代の来日コンサート、後半は日本のフォーク、ロックの勃興期に焦点をあてたもの。後半に、九電記念体育館で日本のバンドとして初のワンマンを行ったということで、チューリップの姫野さんのコメントが紹介されていた。博多に居たとき、九電記念体育館の横をたまたま通りがかったとき、そのことを思った、そう言えば。中に入ることはなかったけれど。

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2019 Kijima, Hebon-shiki