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2019年2月10日〜2019年2月16日


2月10日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2019年2月10日】
 昨日は、2019年に入って、初めての京都行。京都は、うらたさんと初めて話をしたということもあるし、「磔磔」や「拾得」でよく遭遇したり、「トランスポップギャラリー」で個展をされていたということもあるからだろう、うらたさんの声がするような気がする。

 15時半開演と早い時刻なので、いつものように四条河原町から、ぶらぶらと歩いて「100000t アローントコ」(何故か迷って、アーロントコとまちがったほうを選択しがち。検索除けではない)や「ワークショップレコード」「三月書房」「誠光社」を覗き、たまに「ハイファイカフェ」や「かもがわカフェ」に寄ったりしつつ、山(黒谷町)を越えて、浄土寺方面に出るというコースをとらず、バスで直行することにした。タイミングよく、バス停に辿り着いて間もなく、5系統のバスが来た。キング・オブ・観光地の連休初日ということで、満員で乗れないことも覚悟したが、それほどでもなく、それでも二回、揺れたときに、ひとの足を踏んでしまった。身を縮めていると、安定性も失われる。

 「錦林車庫前」で降りて、少し北に向かって歩いて、川沿いの交差点を渡り、東へまっすぐ。かつてのコンビニが郵便局になっていることに驚いたけど、反対側の川藤幸三のラーメン店も別の店になっていた。少し広めの道路に出て、バス停があるのを確認して、左(北)に曲がる。区間ひとつ歩いた南田町停の近くに、天五から「喫茶イノが移転したので、そこで昼食をとることにして。副菜の切干大根の梅肉あえもおいしかった。店内ではインドネシアのポップスがかかっていた。去年発売された井上智恵さんのアルバム『in flight #1』を購入。今回から、曲名が通し番号ではなくなったことが、多くのイノウエファンがざわついているかもしれない。

 少し南に下って、バス通りに向かって東に折れると、「ホホホ座」に出る。バス通りからではない、反対側から行ったのは初めてかもしれない。うらたさんの「五月の風の下」も収録されているちくま文庫のアンソロジー『老境まんが』を買う。この日に入荷したばかりだったらしい。それと、山川直人さんの『地下室 初期の山川直人漫画集』を。自主制作本で発表した作品のうち、単行本に収められなかったものを収めた、レアトラック集。

 バス通りに出て、南に進んで、「錦林車庫前」前の「外」に戻った。佐藤幸雄さんと細馬宏通さんの「洋楽・ロック訳詩集と その先」。洋楽を訳して歌い直す佐藤さんの企画の出張編で、細馬さんとは、去年10月に東京で既に行われている。
 佐藤さん、細馬さん、休憩をはさんで、佐藤さんは自作、細馬さんは引き続き訳詞もの。最後にアンコールとして、というか代わりに、おふたりで。訳詞ものとは、ざっくりした言いかたになるけれど、カバーとは少し異なるかんじがして。それぞれのライヴで、いくつかの曲は聞いているのだけど、カバーとはちがうという感じがしたのは、この機会ではじめて。カバーは、文字どおり、「代わりに」その歌を聞かせているというありかたがどこかにある。自分なりにやるとしても、歌が主になっている。でも、訳詞することは、歌を聞かせるよりも、歌について解説する、伝えるという意味あいが強い。歌を伝えるのではなく、その歌がどういう歌かを伝える。実際に歌ってみせることも、歌を聞かせるためではなく、どのような歌かを改めて伝えるために行われている。細馬さんについて言えば、実録『うたのしくみ』といったところ。佐藤さんと細馬さんは、それぞれのやりかたで、どういう歌かを伝える。何故よいのか、も一緒に。意外さを楽しむものとは違う。

 細馬さんが話していたように、日本語だと、同じ分量に少ししか収まらない。佐藤さんは、日本語を工夫して、元詞に含まれている内容を、連想させたり、語り直すことで、伝える。日本語という土に植え直すようなかんじで。細馬さんは、ただの言葉ではない決めのフレーズを当たらずとも遠からじな言葉に置き換えて、歌にある勢いを保持する。決めのフレーズの溌剌さが残っていることで、洗濯物をぱりっと干しているような気がした。「eyes」は「合図」にすると、だいたいうまくいきます、なんて、トッド・ラングレンの "I Saw The Light" を引きながら(弾きながら、でもいい)話されていた。うっかり、その気になるな、それは。
 デイヴィッド・ボウイとジョナサン・リッチマン、多め。時節柄、のクイーンもあり。佐藤さんの「ダンスに服は要らない」、「洪水」をやっと聞けました。細馬さんの「ほしひとでコーヒー」は細馬さんの歌として聞いてしまうくらい好きですが、初めて聞いたものでは「Shout To The Top」が訳詞ならではでした。曲がスマートすぎるからといって、よくもカフェでかかるものだ、な、「ざけんなよ」な歌として聞けた。最後は、「Shipbuilding」をそれぞれの訳で。佐藤さんは沈んでいくことの、細馬さんは続いていくことのやるせなさに、より焦点を当てているように思いながら、聞いていました。
 「外」のチラシは「雄 馬」と名から採られた漢字が二つ大きくあしらわれていて、「星飛(ほしとび)」という苗字をつけて、そういうユニットにしようか、なんて話も。

 佐藤さんが、『ジギタリス』のレコードにも入ってる「夢で逢う I'll See You in My Dreams」をちらっとだけ歌われていた。うらたさんに話したい気持ちです。

 誠光社まで歩こうかと思ったけれど、18時をまわって、既に日が落ちていたので、出町柳に着く前に、タイミングよくやってきたバスに乗り込んで、三条河原町まで戻った。ベイルートの新譜が出ているはず、と、ひさしぶりに「タワーレコード」に寄った。だいぶレイアウトが変わっていた。京都を中心に関西のミュージシャンの新譜を集めていた棚がなくなっていたのが残念。ベイルート "GALIPOLI"、ピーター・ブロデリック&フレンズ "PLAYS ARTHUR RUSSELL" を購入。ベイルートの新譜が、4ADからということで、4ADのサンプラーをオマケでもらった。最近のやつばかりかなと思っていたら、19曲中、6曲まで、「わたしの知ってる4AD」でした。いま日本盤が出ていないものもあると思うのだけど。

 自宅最寄駅に戻って、駅前のコンビニで、イナラ・ジョージ "DEAREST EVERYBODY" を受け取った。アナログ2枚組と配信で発表されたもののCD化。アナログ盤は、盛んと言っても、割高で、一度だけ店頭で見かけたときは、7000円を越えていた。定額制配信でしかたなく聞いていたので、CD化はうれしかった。

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