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2018年11月11日〜2018年11月17日


11月11日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2018年11月11日】
 風邪の前兆があり、午後から出かける予定を取りやめ。西宮「大谷記念美術館」での土方重巳展、三宮「旧マンダリンパレス宴会場」での青山大介さんの鳥瞰図展、から、Otomi Chieさんが出る元町「space eauuu」という神戸方面コースを予定していたのだけど。という訳で、以下メモ。

 土曜日は、京都「出町座」での鈴木卓爾監督、と言うよりも、映画美学校アクターズ・コース参加者による『ゾンからのメッセージ』。一週間の上映で、穏便に見に行ける回は14時からのこの回だけ、「出町座」には前売りやネット予約の仕組みはないとのことだったので、早めに出て、席を確保した。チケットが小さくて、財布に挟んだものの、上映時刻まで歩き回っているうちに失くすのではないかと財布をにぎりしめたまま歩いていた。

 上映時刻まで、「ホホホ座」まで往復。途中で昼食。なんどか行ってる店だけど、前に掲げてあった看板がなくなっているなと思ったら、昼は定食一択になっていた。「ホホホ座」で、子供の頃に読みたかったけど読めなかった石森章太郎「アニマル・ファーム」を収録したちくま文庫『アニマル・ファーム』が並んでいるのを見て、思わず掴んでしまった。併録も「くだんのはは」、「カラーン・コローン」と良い組み合わせ。この頃の「マガジン」は見ていたのだけど、当時は知らず、後年、と言っても数年後だけど、現在に至るディスコ/ビブリオグラフィ趣味の発動で、知り、読みたいと思っていたのだ。全集には入っているのだろうけど、高いということもあり、眼中に入れてなかった。それと雑誌「フリースタイル」40号。

 『ゾンからのメッセージ』は、謎の現象によって20年前に周囲から孤立してしまった町を描いたものだけど、孤立状況については描かれていない。そこのとこどうしているのか、という気持ちはあるけれど、自給自足しているらしい。それよりも、町の中しか知らない少年少女と、状況を諦めて受け入れているように見える大人たちの佇まいが中心。終了後の鈴木監督並びに出演者(が実作業や宣伝も行っている)の舞台挨拶で、監督が触れているように、『惑星ソラリス』や『ストーカー』のテイストが感じられなくもない。お金をかけずに、というのも変な言いかただけど、アイデアである状況を作り出すことを試した作品という気もする。音楽はyumboの澁谷さん。「花の街」が高柳あゆ子さんのヴォーカルで流れます。サントラ盤は、塩屋でのyumboのライヴのときに買ったのだけど、映画を見るまで聞かないようにしようと思っていたので、やっと聞けます。あの時点では、関西での公開の話は出ていなかったのだけど。
 映画の感想が寄せられたボードが階段に貼られていたのだけど、狭い階段なので、通るひとの邪魔になってしまい、読めなかったのが残念。

11月12日(月)
[一回休み]
11月13日(火)
[一回休み]
11月14日(水)
[一回休み]
11月15日(木)
[一回休み]
11月16日(金)
[一回休み]
11月17日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2018年11月17日】
 ゆっくりできてない、かもしれない。忙しくなってきていて、帰りもそこそこではあるけれど遅く、ゆっくりできる店は残り時間わずか。帰ってからは母親の爆音視聴と相槌に困ることしばしばの話に、ゆっくりする前に眠気に襲われる。眠気に襲われることもあるし、フテ寝のこともあるのだけど、フテ寝であることを察知した母が「これ見てたんとちゃうん」と訊いてくる番組がことごとく見てない番組というのがまた返答に困る。確かに、母の視聴優先にしているので、見られそうにないものは録画しておくのだけど、録画していることがわかると「何録画したん」と訊かれる。「クローズアップ現代?」「ちがう」てなやりとりを続けるも、答えませんでした、『獣になれないわたしたち』とは。

 田沼正史『日本ロック史』(KAMI books、加美出版、1985年2月)。「円盤」の田口さんが引き取ったデッドストック本とのことで、ダメになっていた表紙カバーを作り直して、販売することになったもの。雑誌付録のような、縦は文庫と同じだけど、幅が小さく、新書を小さくしたようなサイズで、100ページ少し。
 「ロック史観は、現在活動している音楽家の個人史に収斂され、その人脈に関わったものだけが、あたかも当時から社会的に重要な位置にあったかのように曲解、誤解されるようになってしまった」とまえがきにある。このことは確かにそうで、それに対して、田沼氏は、別の歴史の流れを対置して、異議申し立てをする。それで何かを正当化したいという訳ではなく、視点を変えることで、語れるものがある、ということなのだと思う。
 実際のところは、それもまた「あたかも」ものではあるけれど、出てくるものが面白い。中山千夏と佐藤允彦の『ふたりのひとりごと』の斬新さが「ニューミュージック」を生んだ、とか。そこから話が五輪真弓に移る。オレか。書いたのはオレなのか。芸能山城組『恐山』に比肩するものとして、ダンスリールネサンス合奏団『絆』を出してきたり。「井上陽水」がプロジェクトものだという説も。おおまかに言えば、演奏者を触発するアイデアを中心にたどっている。ロックンロールを不良文化を通じて大衆化して、ロック文化を下支えしているという見かたも面白いと思う。「ロックマガジン」とヴァニティレコードも、流れの中で位置づけられている。

 昨日の帰りに、通勤路で唯一、「レコードコレクターズ」誌を置いていた書店に、途中下車して寄ってみたが、無かった。置いていたと言っても、柱の陰の取りにくいところではあったのだが、そこすらも。ビートルズものなので、入荷分が売れてしまったという可能性もないこともないけれど。あったら、勢いで一緒に、タダジュンさん架空装丁の本がたくさん並んだ記事が載っている「MONKEY」誌を買ったのに。惜しいことをしましたね。
 ビートルズが好き、と言うと、必ず優位に立とうと威嚇してくるおっさんがおるので言わない、という若い女性のツイートを読んだけれど、わたしも嫌だし、そういう類と警戒されるのも嫌なので、わたしも言わないし、通勤時に電車でビートルズ関係のものを読むのは恥ずかしい…タイプです。

 午後から外出。睡魔に勝てず、少し出遅れてしまったので、ひとつ取りやめて、肥後橋「Calo」にひさしぶりに。「Calo」にあったら買おうと思っていた本はなかったけど、気になっていたのに忘れていた本が店頭にあることで、気になっていたことを思い出すことができた。武蔵野市立吉祥寺美術館編『はな子のいる風景 イメージをくりかえす』。1950年に「井の頭自然文化園」にやってきて、2016年に亡くなった象のはな子と一緒に撮った写真を、飼育日誌とともに時系列で並べたもの。そら、撮るよな、あるよな、見たらなんとも言えない気持ちになるよな。写真集としては、モノクロで統一されているのだけど、オリジナルの写真のかんじを再現するためかところどころ別にカラーで印刷したものが貼られていたり、入場券や新聞記事や嘆願書が挟み込まれている。

 その前に、マルビルの店に寄って、「レコードコレクターズ」誌と「ラティーナ」誌を買ったのだった。「レココレ」は、白い2枚組特集。DX盤や集大成盤の連発でどうしようか悩み中。「ラティーナ」はピアソラの映画とエグベルト・ジスモンチとジェーン・バーキンとコトリンゴの記事。

 肥後橋から歩いて、天神橋一丁目「音凪」に。福岡史朗&2STONEのライヴ。ライオン・メリィさんがゲスト参加。戸川純さんのサポートで来阪されていたということらしい。福岡さんたちが新しいアルバムを制作されていることは知っていたけど、既にできているとは知らなかった。二部構成で、前半はその『KING WONDA NUG WINDA IA KIKELE』収録曲を演奏。蓋を開けたら、発売記念ライヴでした。1曲目でまるまるドラムスで参加の大久保由希さんがフォーク童謡のような歌でヴォーカルをとり、意表を突かれる。2曲目で、近い位置にいらした松平賢一さんのギターに感嘆しつつ見つめていたらふっと音が途切れた。アクシデント発生。音は途中で復旧したけど、弦も切れたそうで、曲が終わってから張り替えタイム。先日の角銅真美さんのライヴの折、準備中に弦が切れたときの元山ツトムさんの対応のエピソードを思い出してしまった。まずは「夜間飛行」が印象に残った。それと、生まれた子供への讃歌のような「春の歌」も。

 後半も大久保由希さんがギターを抱えて、メリィさんとデュオで1曲自身の曲を披露したのち、これまでの曲から。福岡さんの作品は聞いていないものもいくつかあるけれど、どれも知ってた、のでヒット曲大会だったのだ、と言っていいです、自分に対して。福岡さんの曲には、「ライオン・メリィ」というそのままのタイトルの曲もあるけれど、アンコールまで温存されてました。「Uh la la la」も曲中で名前は出てこないけど、あいつにピアノを弾いてもらおうとイントロデュースするところがあって、ちゃんと演奏してくれたのでうれしかった。
 帰りに、『KING WONDA NUG WINDA IA KIKELE』を購入。

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2018 Kijima, Hebon-shiki