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2018年8月19日〜2018年8月25日


8月19日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2018年8月19日】
 頭や喉がどんよりとしていて、風邪気味。きのうもきょうも昼の買い物には出たり、そのついでに図書館に行ったりはしたのだが、暑さと日射しにやられて、帰宅してからは再び出る気力が起らず。映画でも、と思ったが、スケジュールを見ると、時間が早かったり、上映期間が終わっていたりして、果たせず。

 朝、前日のMBSの家を紹介するテレビ番組『住人十色』で、彦根のスピーカー職人「HORA AUDIO」のひとのお宅(指定文化財だそう)が紹介されていたことを、知り合いのツイートで知った。チェリー・レッドのオムニバス "PILLOWS & PRAYERS" が映り、トレイシー・ソーンの "Plain Sailing" が流れたりしていた、と。『住人十色』は、その時刻に家に居たら、なんとなく点いていることが多いのだけど、昨日は見ていなかった。
 金曜日の塚本「エレバティ」でトレイシー・ソーンの "a distant shore" CDを買ったばかりだったので、見たかったな…と思ったのだが、いまなら見られるのでは、と番組サイトを見てみたら、見逃し無料配信があった。見ました。「HORA AUDIO」では気になるイベントも行われていて、どんなところか気になっていたこともあり。文化財の古民家の現状維持を図りつつ、工夫をこらして、母屋を工房とショールームとして使用、リフォーム可能なはなれは元家具職人の技を駆使して、少ないスペースを最大限利用していて、楽しそうだった(やはり現状維持しなければならない蔵はそのままにして使用していないそう)。
 ショールームは木製の立体が積まれていて、音響用かなと思ったら、レコードや本の収納棚になっていた。スピーカーの試聴用と思しきコーナーには、ジャイルズ・ジャイルズ&フリップやロバート・ワイアットのCDが見えた。トレイシー・ソーンの "a distant shore" はかける場面があったし、ジョナサン・リッチマン&ザ・モダン・ラヴァーズの "ROCK 'N' ROLL WITH THE MODERN LOVERS" がたてかけてあったりした。出演者がジャケの中のジョナサンと同じポーズに図らずもなってしもてる場面があったのには和んでしまった。「本棚じろじろ見る奴」ですみません…。

 トレイシー・ソーンの "a distant shore" も聞いた。CDをいまのいままで買っていないのは、ひとつには、対となるベン・ワットの "NORTH MARINE DRIVE" が好きなあまり、比較して詰めが甘いことから、キレイな音で聞き直したいという気持ちが起らなかったことが大きな理由。エヴリシング・バット・ザ・ガールで、ベン・ワットが、いわば裏方に回り、"NORTH MARINE DRIVE" の続きが聞けなくなったことへのわだかまりもあった。
 それでも、何かきっかけがあれば、という気持ちはあって、背中を押してくれるものを待っていたのだった。デラックスエディション待ちとは言ったけど、具体的には、シングル "Plain Sailing" のB面、"Goodbye Joe" が追加されれば、と思っていたのだ。"Goodbye Joe" はトリオレコードの独自編集盤 "OLD PLAYFELLOWS" で聞いた(1989年にバップから発売されたCD版には何故かこの曲は未収録)。CDは、2003年発売の編集盤 "OUR BRILLIANT CAREERS: Cherry Red Rarities 1981-1983" に入っている。8枚組の "I'LL GIVE YOU MY HEART (The Cherry Red Records Singles Collection 1978-1983)" も持ってる。持っていないソーンの編集盤 "SOLO : Songs And Collaborations 1982 - 2015" にも入っていることは、確認していて、初めて知った。でも、なんというか、「この時期」のトレイシー・ソーンでまとめてほしかったのだ。そしたら、気持ちよく買えた、かな、と。身勝手な言い分だけど。

 DJお米炊き廉太郎さんから購入した盤は2001年発売のP-Vine盤。日本では何回も再発されていて、日本でとても愛されているアルバムであることが、「Discogs」の再発履歴からうかがえる。オリジナルは8曲収録。1982年発売のトリオ盤では、早くも、エヴリシング・バット・ザ・ガール名義の "Night And Day" / "On My Mind" が追加収録されている(B1、A5として)。この形は、1985年のバップ版LP、1988年のバップ版CD、1990年のトイズ・ファクトリー版CDでも踏襲されている。CDは、1988年にイギリスの版元でも発売されているけれど、それは8曲収録だった。イギリスでは1997年にクッキング・ヴァイナルから発売されているけれど、それも8曲収録だった。日本では、2006年のテイチク傘下インペリアル版以降、"Night And Day" / "On My Mind" が9曲目、10曲目に収録されるかたちになり、2017年のタワーレコード版でも同様になっている。
 「Discogs」で見た限りでは、海外ではずっとオリジナルのまま発売されているのに対して、日本ではずっと "Night And Day" / "On My Mind" が追加された形で発売されてきたことになる。このレコードの曲目は、Richard Stiwellさんによる手書き文字で記されているのだけど、トリオ版、バップ版では追加曲も、それらしい手書き文字で記載されているのが面白い。トリオ版とバップ版のその文字が同じかどうかはわからない。というか、誰が書いたのだろう。

8月20日(月)
[一回休み]
8月21日(火)
[一回休み]
8月22日(水)
[一回休み]
8月23日(木)
[一回休み]
8月24日(金) 【▼ぐりぐらメモ/2018年8月24日】
 震災後の補修工事が完了。手配と現場の意志疎通不足から、老母が不信を募らせて、一か月続いたもやもやと鬱屈気味の日々もようやく終わり。台風20号が接近した昨日、まだ要るのか要らないのか要領を得ない足場を解体させた、らしい。結果的には要らなかった、ようなのだが、だったら、という気持ちが残るのは無理もない。
 昨日は、午後から急遽決まった会議に入っていたのだが、途中で、先方から「15時で帰宅せよという話が出ている」と聞かされ、うちはそんな話なかったなー、と思いつつ、15時に会議を半ば強制終了させて戻ったら、うちも同様の指示が出ていた。しかし、この日のうちにやっておかなあかん作業が残っている。会議が入ったので手がつけられなかったのだ。という訳で、いたしかたなく、気象情報と交通情報をにらみつつ、定刻より30分だけ早めに切り上げて帰途についたのでした。台風は夜中に通り過ぎていった。

 「この日のうちにやっておかなあかん」かったのは、今日に来るはずの作業がたくさんあったからで、時間を空けておく必要があったからなのだけど、その肝心の作業が来ない。そのうちのひとつの担当者からは午後遅くに、材料が揃うのが月曜日の朝であると連絡があり、量的になんとかなると判断して了承した。問題はもうひとつで、こっちに訊かなくてもいいことは訊いてくるのに、予定の連絡がない。「いまやろうとおもってたのに」で不満を募らせるのもなんなので、一応、待つことにはしている。のだけど、こちらの作業を考えると、限界やな、というところで訊いてみた。なにをいつまでにこっちにつながなあかんかの判断ができてない。そこはええねん、と課題を絞って、用意させて、とりかかれたときには18時を過ぎていた。という訳で、いやー、わかいひとばっかりやろからなー、と及び腰ではあったが、チェックはしていたスーパーノアの「フレイクレコード」でのインストアライヴは見送り。いや、こうなることは予想していたので、ええんですけど。

 スーパーノアは、やわい声のポップロックだけど、ネオアコリバイバルのような、絵に描いたような青春っぽさ、さわやかさからは距離を置いているように思えて、まだ曲単位で見てしまうけれど、ええかな、と。

8月25日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2018年8月25日】
 今日は、地震から始まった鬱屈をお祓いするような一日でした。早くから買い物など。台風一過、というか余波で風があることで少しは過ごしやすくなったような気もしたけど、錯覚でした。日射しはきつく、暑い。

 午前中に出発して、千林と森小路の間をつなぐ京かい道商店街の駐車場で行われるライヴイベント「HOIP夏のフリーライブ2018〜大阪編〜」に。地下鉄「千林大宮駅」で降りたのは初めてかな。千林商店街は何度か歩いているけれど、京かい道(街道は不可なのか)商店街は行ったことがない。行ったことがないところに行ってみるシリーズでもあるし、聞いたことがないひとたちの音楽を聞いてみるシリーズでもある。「HOIP」は、普段は名古屋の鶴舞公園で開催されている企画だそうです。それで、大阪編。商店街のお祭りと連動していたのかな。お祭りのチラシにも掲載されていた。
 例によって若干迷いつつ、12時には会場に辿り着けたのだけど、まだ始まっていなかった。押している、とのことで、商店街をぶらついてみた。川村結花さんが「カワムラ鉄工所」で歌っている、その鉄工所の跡の前も歩いてみた。歌詞にある「大阪市旭区森小路5丁目2番地」は今はないのだけど、区割りが変わったのか、歌詞にするときに架空の番地にしたのか。出た頃には、商店街でかかったりしていたのだろうか(うちの近所の商店街では、地元出身のシンガーソングライターの曲を半年間くらい繰り返しかけていた)。

 会場は、「ふとんのおぐら屋」東側の駐車場。演奏スペースにはテントがあるけれど、見聞きするほうはテントも椅子もない。昼早いので、隣接する建屋による影もほぼ無し。車止めに腰をおろしてみたけれど…暑い、だけじゃなくて、熱い。この夏、きじまさんだけで流行している日射し除けは用意していたけれど。耐熱ライヴになりそう。

 最初は、大阪のバンドとのことだけど、知らなかった漁礁(ぎょしょう)。ギター、ベース、ドラムのトリオ。商店街でこんな激しい音出してええの、とたじろぐ。プラスティックスをバンド形式でやっているようなかんじで、弾けた歌とミニマルなインストゥルメンタルの組み合わせが面白かった。インストゥルメンタルは好きなかんじです。
 聞いたことがあったようななかったようなの笹口騒音ハーモニカ改めYAOAY(ヤオヤと発音されていたような)。高い声の弾き語り、だけど、ぼやく、ぼやく。なんするー、じゃなくて、なんすよー、のほう。
 内田修人(しゅうと)さんは、地元枠というか、この商店街で店をされているそう。そっとしぼりだすような歌で、時間がやわらかくなる。けど、こちらも、ややぼやく。

 「HOIP」は名古屋の企画、ということで、名古屋のバンドも。紙コップスは気になりつつ、直に聞く機会がなかったので、楽しみにしてました。キーボード、ギター、ドラム(犬小屋?と思ったが廃材をいろいろ組み合わせているらしい)のトリオながら、それぞれがいろんな役割を1曲の中で切り替えていて、しかも、すっきり平然とされているので、こじんまりとしてなくて、スケールが大きい。コーラス含め、アレンジが練られていて、演奏力もある。最初、クラシック歌曲のような歌で始まったので、驚いてしまったけれど。最後の曲のひとつ前の曲がとてもよかった…きっといちばん新しいアルバムに入っているのだろう…が、こういうときは、もしかしたら手に入れにくくなるかもしれないものから…という難儀なレコ買い癖が出て、『紙コップス1』『紙コップス2』を購入。オトナ買いに照れてしまったが、『紙コップス3』も買っておけばよかったと少し後悔している。
 井手健介さんも直に聞くのは初めて。録音物ではちょっとこっちに来ないかんじがあったのだけど、どうなんやろ、と。お祭りのリハーサルが始まってしまい、ところどころかき消される不運があるも、「おてもやん」では、小さな音の弾き語りで、しっかりダンスチューンになってた。スライのカバーも。バンドだと、もっとソウルフルだったりするのだろうか。最後に、yojikとwandaのふたりを招いて、3人で某カバーを。

 最後にyojikとwanda。暑い?熱い?からか、進行がわちゃわちゃになって、歌の中でそれを直していくなど、起ることを次々に受け入れて、演奏に生かしていくかんじ。ああ、こういうかんじも、yojikとwandaのええところやったなーと改めて思ったり。wandaさんのギターとyojikさんの音頭で、盆踊りが始まったりして(参加しました)。楽しかった。

 会場から商店街に出ると、「角屋」さんという甘味処があるのだけど、昼、開店前から行列ができていて、びっくりした。wandaさんも、見に来られていた冬支度の安田さんも、並ばないと買えないのだと思って並んでいたら、持ち帰りはすぐに買えた、という話をされていたけど、並ばせる何かがあるのか。帰りがけにアイスモナカをひとつ買いました。持ち帰りで、並ばずに。

 千林大宮駅に戻り、とりあえず用を足してから(みんなどこでどうしていたのだろう)、一本やりすごして検討したら、間に合いそうだったので、東梅田へ。そこから阪神電車で元町に行き、「相楽園」での「にわのあかり」に。いつもは土日の二日間行われるジャワ舞踏とワヤン(影絵芝居)は、今回は土曜日だけ、だけど、野外公演が復活。既に席は埋まってました。撮影目的のひとも多数居て、若干閉口させられるのだけど、始まる前のていねいな前口上で、そのあたりにも触れられてた。日も落ちて、風は涼しかった。ワヤンの演目は『鬼娘アリンピの恋』。妹思いの兄鬼の決意が哀しい物語。途中の閑話休題コーナーが楽しい。
 国立民族学博物館で、ジャワ舞踏とガムランの演奏を聞いた翌日に地震が起こった。あの日以来、閉館していたみんぱくも、先日、まだ一部補修中だけど、再開した。ようやくひと区切りついた、というか、つけたい、というか。日に焼け、盆踊りに参加して、夏の夜を楽しんで、一日で、やり残した夏をやったようなかんじでした。

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2018 Kijima, Hebon-shiki