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2018年8月5日〜2018年8月11日


8月5日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2018年8月5日】
 月曜日から、外壁と屋根の補修工事が始まった。費用の捻出のため、保険を解約するのに帰宅してから面談があったりと、落ち着かない一週間でした。帰りにどこかに寄るということもなく。工事については、日中は仕事に出ているので、様子は帰ってから聞くのみだけど。
 あとは、youtubeで企業PRのための50年代から60年代にかけての産業映画を見て、音楽担当に驚いたり、真黒毛ぼっくす『アダチダイナマイトレビュー』の印象的なカバー写真をどこから写したのか、Google Mapで探したり(荒川にかかる堀切橋の手前あたりと判明)、ネット依存してました…。

 きのうも、きょうも出かけるつもりにしていたけれど、午前中に買い物行ったり、家事を片付けたりしているうちに、暑さにダウンしてしまった。補修工事のため、覆いがしてあり、窓が開けられないので、日中も締め切ったまま。窓を開けても、熱風しか入ってこないので、同じことではあるけれど、部屋に長時間居られず、片付けも進まない。部屋の片付けの振りをした探しものをしているけれど、探してるものは出てこないのに、最近気になったものの関連は出てくる、という…。それを居所に「持ち帰って」周囲に本とCDの山を築く、ということになってます。

 中村とうよう『地球のでこぼこ』が出てきた。アリン・シップトンによる評伝『ハリー・ニルソンの肖像』を読んでいて、"HARRY" の見開きの写真を中村氏の提案で変更した件について、確かめたくなっていたところだった。"HARRY" は、最初に手にしたのは廉価盤で、見開きや写真付きの歌詞はなかったし、次に手にしたのは 2in1 のCDなので、どんな変更か確かめることができなかったのだけど、そや、いまはウェブというものがあるではないか。検索して、最初の日本盤の見開き内側の画像も見つけた。

 件の写真は、"Mr. Bojangles" の歌詞に添えられたもの。オリジナルの写真は、ホームレスらしき黒人のおっちゃん。それを、中村氏は、Mr. Bojangles の異名をとったビル・ロビンソンの写真に変えさせている。73年に二ルソンが来日したときに面会し、その話をしたとあるから、差し替えは無断で行われたのではないか。レコード会社間では何かあったかもしれないが。日本盤では、裏表紙も、6歳の女の子、ビクトリア・テイラーの文章がカットされ、中村氏の日本語解説になっている。
 中村氏によれば、個人的に面会し、日本語解説を書いていることを伝えた折には、Thank youなんて言っていたのに、その後の記者会見で、油井正一氏が、同席していたRCA社長に、解説を書くための資料を要望したところ、二ルソンが何故解説が必要なのだと日本語解説不要説を唱えたらしい。そこから、中村氏は、二ルソンを、ウラオモテのある人物と見做し、中村氏の日本語解説も、「こっちのほうがいいね」なんて言っていた写真の差し替えもほんとうは面白く思っていなかったのではないかと不信感を露わにしている。

 二ルソンの対応は社交辞令だと思うけど、中村氏は社交辞令も許さないだろうから、そこは(故人でもあるし)諦めるしかない。でも、もし、実際の製品になる前に、この子供の文章を外して、日本語解説を載せたい、写真をビル・ロビンソンのものに変えたいと、二ルソンに申し入れをしていたとしたら、どのような回答があっただろう。いまとなっては確かめようはないけれど、難色を示したのではないか。面会の折も、中村氏に自慢気に語られて、困惑していたのではないか。
 "Mr. Bojangles" について言えば、「ボージャングルス氏を気取って自称している、酔いどれのおっさん」の歌であり、ボージャングルスと称されたビル・ロビンソンについての歌ではない。詞を聞けばわかる。ビル・ロビンソンの写真に変えるなんて、知識によりかかった勇み足だと思う。それに、中村氏は、別稿で、レコードにつける帯について、デザイナーの意向を無視した愚行と断じているけれど、では、写真の差し替えや裏表紙の変更はいいのか。日本語解説については自己弁護のようなことも書いているけれど。このひとの理屈は、言いがかりのようなものが多い、と改めて思う。
 中村氏は、この件で、二ルソンが嫌いになったようで、75年にも「自分がわかってない音楽家」と題して、その後の二ルソンの不調と重ね合わせて、このときの話を蒸し返している。

8月6日(月)
[一回休み]
8月7日(火)
[一回休み]
8月8日(水)
[一回休み]
8月9日(木)
[一回休み]
8月10日(金) 【▼ぐりぐらメモ/2018年8月10日】
 月曜日の夜に、地震のときに壊れてしまった家具を解体していて、生まれる前から締まったままのネジを外すのに力をこめすぎて、右手の親指(先)と人差し指(腹)に水ぶくれができてしまった。なんとか破らずに経過して、ようやくしぼんできたところ。それにしても、言うたら、靴ずれが手の指にできたようなものと思えば、足にかかる力はやはり大きいのだな、と変なところで実感してしまった。

 木曜日に先々週に続いて、ひとり退職。ずいぶん前に星新一を面白く読んでいると話していたので、評伝を餞別に。本を減らしたいだけでは…という声も聞こえてきそうだけど。餞別コンピを2種。ひとつは本人にまつわるエピソードから90年代前半の英米もの。奥さん(元同僚)がブラーのファンだったという話から、うちに1枚だけある "MODERN LIFE IS RUBISH" から1曲選んで、そこを起点にいろいろと、のつもりだったのだけど、地震後の散乱部屋で(地震後のといちいち前置きするところが言い訳がましい)見つけられず、起点なしで。SNSの10枚選ぶ企画でyojikとwandaのwandaさんがあげていたことで思い出していた「Volume」誌に、あの頃、世話になっていたのだな、と改めて思ったり。ハイ・ラマズを知ったのは同誌でだったし、Lの字のラッシュにぐっと来たのも、"Outdoor Miner" 入りのシングルを買ったのとどちらが先かだけど、「Volume」誌で聞いたのも大きかった。もう1枚はせっかくなので数珠つなぎ話で。
 と、なんというか、音楽にまつわるウダ話だったら、書ける、ので。手紙は書けないけど。

 仕事場を間借りしている事業場が閉まるので、自分の会社は休みではないけれど、有給休暇をとって、休み。とは言うものの、朝から補修工事のひとが来るので、うだうだとはしていられない。それと銀行関係。で、午前中で用事を済ませると、午後から起き上がる気力がない、という…。

8月11日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2018年8月11日】
 補修工事が引き続き。うだうだできないので、休んでもらいたいような、でも、途中で止まったままなのも困るので、続けてもらいたいような。昼、ストレスをためこみつつある老母を伴って、しばらく前、いやかなり前に近所にできた焼肉店に。歩いて行ける範囲で、行けるところを作っていかないと。ちょっとしたことでケチをつけがちだったり、妙にこだわったりするので、むずかしいけれど。

 作業が終わるのを待って、まだ暑い中、外出。気になっているレコードを買おうと、直行はやめて、梅田に出た。ひとつめの店では札のみあり見当たらず。売れてしもたか。やはり気になっている雑誌も見つからず。しかたがない。はしご。で、ふたつめの店、では、札もなかった。やはり雑誌もない。大型店でも、売り場面積が縮小されていっているので、いままで余剰にあずかっていただけなんやなと落胆する。
 無料の小冊子「記憶の記録 Vol.6 大貫妙子」(日本音楽制作者連盟)と「LPの手帖 Vol.2 イギリス音楽の伝道者 評論家 三浦淳史とディーリアスの世界」をもらったのみ。

 旧ムジカ・ジャポニカがあった扇町ビル(囲いがされていた)の前を通って、天神橋筋商店街に。4丁目にあるライヴハウス「para-dice」は、「para-」が付いてからはたぶん初めて。いつの話や、ですが。「DICE」の頃はよく行っていた。淺野大志さんを初めて聞いたのも「DICE」だったし、水中ショウ、ソラネコ、プララ、カンガルーノート、12チャンネルといろいろ聞いた。
 よしこストンペアのイシダストンさん企画「地下の山小屋ホールオブフェーム」。出演は、順に、へちまカラー(小川賀子、藤代敦)、雨市、イシダスタン(イシダストン、板山朋也、今田晴久)。

 へちまカラーは、小川賀子さんとキーボードの藤代敦さんのデュオ。12年ぶりだそう。名前だけは見たことがあったような気がするけど、聞いたことはなかった。いまはあまり演奏されないという小川さんの初期の曲やトレーニングボイジャーのカバーを交えたおふたりのうたは、おしまいのところで話されていた水の底から空を見ているという描写がぴったりの、はつらつとしつつも、翳りやほんのりとした苦みを感じさせるものでした。

 雨市は、なんどか見たことがあるけれど、やはり、かなりひさしぶり。その頃からメンバーも変わっているみたい。でも、豪気なロックであることは変わらず。静かに放電していくような曲もあり。昔見たときは居られなかったドラムスの森光子さんのヴォーカルが加わるのもよいかんじでした。トレーニングボイジャーと対バンしていた頃のイシダさんについてのいい話を(本人が居ないと勘違いして)披露する一コマも。

 イシダスタンは、イシダさんが自身の曲をバンドで演奏したいと、元トレーニングボイジャーの板山さんに声をかけ、新たに今田さんをドラムに迎えて結成された新バンドとのこと。ちょうどトレーニングボイジャーのCDの在庫僅少になっていたことから、全曲集を作ることになり、その発売記念という形で今回のイベントになったようです。ピアノ、ベース、ドラムスのピアノトリオ編成による力強いポップロック。ホール&オーツやトッド・ラングレンを思わせるところもありつつ、いろんな角度から場面転換していくのが楽しい。かつての曲と新しい曲、あまり演奏する機会がない曲をやってらした。仲間の結婚式のために作ったという「ボヤージュ」がとてもよかった。
 結婚相手の盆に参加したような、知らなかった昔の話をたくさん聞かされたような、そんなかんじもありましたが、楽しかった。Have a good BON!(賀子さんから)な一夜でした。

 それにしても。同じ時期に近いところに居た、はず、なのに接点がなかったことを不思議に思う。耳にしたら、絶対ひっかかるはずなのに。ガツガツとチェックすることは避けたいと思っているものの、ただのうっかりぼんやりさんの可能性もあるよな、と思えてきました。
 トレーニングボイジャー『GOLDEN RECORDED ONES』を購入。12曲のうち、「ルフラン」「白い夕暮れ」「夕方会合」「汽笛」「最後の日曜日」「くちばしview」は2007年8月8日発売の『街レコード』収録、「木星マン」「虹のたもと」は2008年11月1日発売のシングル。他に「今宵のアカツキ」「忘れかけた午後」「斜光カラー」「ナキノ」を収録。

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2018 Kijima, Hebon-shiki