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2018年6月17日〜2018年6月23日


6月17日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2018年6月17日】
 昼から、「国立民族学博物館」での「音楽の祭日2018」に。クラシックギターの杉浦光政さん、ボサノヴァとショーロのBicho Papao、口琴や炊飯釜、ホーメイによる瓜生山オーバートーン・アンサンブル、ジャワガムランのダルマ・ブダヤを聞きました。ダルシマーのPulse氏とスチールパンのパンチアウト・スチール・オーケストラは少しだけ(聞けた部分では、ポピュラリティのあるレパートリーを演奏していた)。雅楽青葉会も気になったけれど、重なっていたので聞けず。催しそのものは午前中からやっていて、タイ、インドネシア、ネパールなどの音楽もあったようです。
 瓜生山オーバートーン・アンサンブルは、ドローンのような倍音にホーメイや口琴が流れ込む即興演奏で、面白かった。ところどころハッとさせられるところもあり。ダルマ・ブダヤは、結婚式でよく演奏されるという曲を舞踏とともに。最初の曲の声がとても良かった。「かじゃでぃ風節」(改めて見てみると、件の番組では、アナウンサーが「かぎやでふ」と発音していた)と響き合うものを感じた。

 戻ってきて、コンビニで、5月末発売だったのにやっと届いたワイヤーの…デビュー40周年企画?であるEMI期の3枚の特別版(Special Edition)を引き取り。7インチサイズのパッケージは予想外だった。"PINK FLAG" は2枚組、"CHAIRS MISSING" と "154" は3枚組で、バイオグラフィと各曲の歌詞、詳細、コメントを掲載したハードカバー本仕様です。音のほうは、これまで発掘されていなかったデモやリハーサルテイクを多く収録して、お蔵出しといったかんじになっている。ワイヤーも…なんというか聴取生活に転機をもたらしたバンドのひとつなので、お返しのような気持ちもあるのだけど、それだけでなく、聞けば、やはり、「聞いて」しまう。

 3枚とも、1枚目はオリジナル盤、"PINK FLAG" を除いて、2枚目がシングル集、残り("PINK FLAG" は2枚目)がデモやリハーサルを収録したものになっている。ライヴ録音、BBCセッションは含まれていない。EMIとの契約以前のデモも未収録。
 デモ録音を集めた "BEHIND THE CURTAIN" が発売されたとき、録音時期に誤記の疑いがあった(それを真に受けて、日本盤にボーナストラックとして追加した盤が出た)ので、録音時期を推測で訂正する目的で作ったのが、ミニコミ「ヘボン式」3号(1995年11月)で、Webページを始めたときに、増補改訂版として作ったのが「ワイヤーの発掘音源」(2002年2月)です。取り急ぎ、気になっていたところを答え合わせ。16年目(または23年目)の。

1. デモセッション時期は推測どおり
2. 新たに発掘されたデモ曲は、エデン氏の評伝にあったとおり
3. "Chairs Missing" という曲は、消去法どおり、"Used To" 原曲(まさかのシャッフルリズムで始まる)
4. "Finisaire" は "Marooned" ではなく、"Mercy" の原曲
評伝を書いたケヴィン・S・エデン氏は、"Finisaire" を "Mercy" の原曲だと書いているのだけど、"BEHIND THE CURTAIN" に入っているそれは "Marooned" だったので、エデン氏の誤記と断じたのだが、つまり、"BEHIND THE CURTAIN" の表記が誤っていた、もしくは、"Finistaire" を収録するつもりで間違えて "Marooned" を入れてしまっていた、のでした。
6月18日(月)
[一回休み]
6月19日(火)
[一回休み]
6月20日(水)
[一回休み]
6月21日(木)
[一回休み]
6月22日(金) 【▼ぐりぐらメモ/2018年6月22日】
 月曜日の朝、自転車を預けて、「8時発のに乗れるかな」と思いながら駐輪場を出たところで、激しく揺さぶられた。駐輪場のゲートがシャーッと鳴っていた。揺れた、というよりも、揺さぶられたと感じたのは、その音のせいかもしれない。
 状況がわからないので、とりあえず駅前までそのまま歩いた。電車の運行見合わせが告げられ、駅の周辺でみんなが電話したり、スマートフォンを覗きこんだりしていた。携帯電話で家に電話をかけてみたけど、つながらない。のちに「災害時に電話したら回線がパンクするだろ」という嘲笑が出回っていたけれど、そのときに電話しないで、何のための電話だ、と思う。80歳の老母に、他の選択肢はないではないか。電話する必要がない者をきちんと特定しやがれ。という訳で、駐輪場に戻って、自転車を引き取り、帰宅することにした。道端には壊れたレンガなどが散乱していた。

 会社は休む。うちは、フレックスが基本なのだけど、朝礼がある本社に合わせて、月曜日だけはフレックスが使えず、間に合わなければ「遅刻」になる。だから、それなら、休んだほうがまし、という判断になった。戻っても、安心してもらう、くらいしか役に立たないけれど。

 帰宅すると、食器棚が開いて、食器が飛び出ていて、母が片付けを始めたところだった。同じ市内に住む義妹から電話があって、姪ともども無事と伝えられたとのこと。会社に電話したけれど、つながらない。上司にメールだけ打っておく。携帯メールで弟と連絡が付く。倒れた箪笥や鏡台など応急処置的に片付けて、10時半頃、やっと仕事場に電話がつながった。自転車で来ているMさんに休む旨伝えた。電車は各社とも動いていない。自室はひどい状態だけど、余震の可能性もあるので、しばらくそのままにしておくことにした。

 電気は来ているので、テレビでニュースを点けて、余震に備えて、様子を見ることにした。風呂に水はある。午前中は水道が使えたので、補充して、とりあえずトイレに行っておいた(食事しながら読んでいるひとがいたら、すまぬ)。ガスは止まった。飲み水は、2Lのペットボトルが少し。母が健康食品を通販した際に、しかたなく頼んであった長期保存用のものが一箱あったのだけど、保存期限が近づいているということで、少しずつ飲んでいて、残りわずかになったところで、来てしまった。
 昼前に買い出しに出かけたけれど、近くのスーパーは閉まっており、パン屋さんだけが開いていた。コンビニからは水もパンもおにぎりも無くなっていた。

 近くの小学校で悲しい事故があった。前日もスーパーからの帰りに通った道だった。朝すれちがう子たちの中のひとりかもしれないと思うと、つらい。本当なら、その小学校がいちばん近い避難所になるのだけど、封鎖されていたので、少し離れたところにある中学校へ、捨てる前のペットボトルを持って、飲料水をもらいに。
 その足で(自転車で)周囲をまわってみるも、主だったスーパーは閉まっていた。開いていた店で、電子レンジでできるものと練り物を調達。いったん戻って、また水をもらいに。列が長くなっていて、暗くなってくるわ、雨は降ってくるわ、給水車は空になって補給に戻るわ。

 火曜日。朝、ひどい雨。主要な鉄道は復旧したけれど、ルートの一部が復旧の見込みが立っていない、ということで、2時間前倒し進行で。映画『庭にお願い』で菊地成孔さんが話していた「最小限の水で体を洗う倉地久美夫さん」のエピソードを思い浮かべながら、ポットの湯をうすめながら体を拭く。ケチケチしてしまうなぁ。
 1時間半前倒しで駅に。素通りすると報道されていた駅も再開しているという。しかし、となると、一旦そこに寄らなければ、振替輸送票が入手できないのではないか。最寄駅での説明は覚束なかったので、正攻法で行くしかない。乗り換えに戸惑いながら、倍かかって、仕事場に。まだ誰も来てない。鍵を取りに門まで戻ったのは、休日出勤以外では初めてだと思う。こんなときに仕事、と思われるかもしれないけれど、離れた地域では、被害はそれほどではなく、物資調達のためという隠れたミッションがあったのでした。仕事を終えて、家に電話すると、通知は来ていないが、近所のひとに水道が復旧していることを教えてもらったという。食料も少し調達できたというので、買い物はほどほどに。水道が復旧していなければ、帰りに銭湯に寄るつもりで調べていたが、水が出るのなら、なんとかなる。それよりも、早く帰ったほうがいい。

 帰宅して、ガスの復旧状況を調べていたら、どうも、その時点での供給停止地域から外れている。これも通知は来ていないけれど。揺れたときに、自動的に止められていて、それは手動でリセットする必要がある、ということで、夜中に裏に回って、ガスメーターをリセット。これでいわゆるライフラインは揃った。でも、もう風呂を沸かして入る元気がない。

 水曜日、朝から風呂。まだ通勤路は復旧していない。心の余裕もまだほとんどない。鍼灸院の予約を入れていたのだけど、当初の予約時刻には間に合わないということで、前日、最終の回に変えてもらった。本当は片付けが終わってからのほうがよかったかもしれないが。帰宅してからは、朝が早いということもあり、何もできないのだが、うとうとしかけると、揺れる、ということの繰り返し。
 木曜日、振替輸送の乗換駅の近くで、とても見たい組み合わせのライヴがあった。でも、帰りが遅くなるのは避けたいし、途中で抜けるのも避けたいということで、近くまで行ってみたが、結局、付近を歩いただけで駅に戻った。顔を見たかったけど、聞かずに帰る奴の顔を見せてもなぁ、と思い、離れたところからそっと見ただけにした。何をやっておるのか。

 今日も、どこにも寄らずに、帰宅。乗り慣れていないということもあるけど、時間が読めない。今日の帰りは長かった。そう言えば、書いていなかったけど、一週間前の水曜日には、帰りの電車が止まってしまい、二駅歩いたのだった。家は建っているし、怪我もしていない。無事と言うほかないのだけど、情報不足に焦る心をなだめるのも大変だった。なんやねん、情弱て侮蔑語。弱者を侮蔑する情報化社会なんて、たいしたことないな、と思う。
 通勤に、片道30分から45分くらい長くかかってしまったことで不幸中の幸いだったのが、火曜日から金曜日の4日間で一冊読めたこと。音楽もほとんど聞かなかったので、読むことに勤しむことができた。エロ歌謡についての本、ということが若干問題ありそうな気がしなくもないけれど、振替輸送票をしおり代わりにして読んだことは忘れられないだろうな、と思う。明日には復旧するという話。来週の月曜日からは、また同じ列車にいつも乗り合わせるひとの姿を見ることができるかな。そしたら、気持ちが元に戻れるかもしれない。

6月23日(土)
[一回休み]

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2018 Kijima, Hebon-shiki