目次に戻る

2018年4月22日〜2018年4月28日


4月22日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2018年4月22日】
 金曜日、仕事場の送別会。異動になってから、仕事上の絡みはなかったし、その前も担当がちがっていたので、そんなに、ではあったけれど、真剣な部分と笑いの部分のバランスがよい、次世代のリーダー格だった。居ることで、ちょっと安心するようなところがあったので、残念な気持ちが強まるのはこれからかなとも思う。

 餞別コンピは結局渡した。渡すことを想定しながら、選んだり作ったり解説を書いたりすることそのもの、そうして振り返ることで、わたしにとっての餞別コンピの意義は尽きている。返事しなくていい、というのも、押し付けにはちがいないのだけれど。

 帰りにひさしぶりに一緒になったひとと、どんな経路で帰るかの話をしていて、乗り換え駅でダッシュするひと、の話題に。このあいだ、いつもと反対の方向から改札に向かったら、まさに前から突進してきて怖い思いをしたばかりだったので、笑ってしまった。その話を持ち出す「とっぴょうしのなさ」にも。とんちんかんなのは困るくせに。でも、とっぴょうしもないのと、とんちんかんなのの差は、こちらの好感によるのではないかと自分を疑ってもいる。好感を持っていると、とっびょうしもなくと受け取り、その逆の場合は、とんちんかんと受け取るのではないか、と。

 きのうは、ビルの取り壊し決定による立ち退きから、移転、新装オープンとなった「ムジカジャポニカ」に。会場に向かう前に、そうであった、忘れてた、のレコ屋の日だったので、一応、取り扱い店に。アイテムの事前チェックもしないで、ま、なんかあれば、と。チェックしていて無かったらなんやかんや言うてもダメージをくらうので。スナッチの復刻盤と、そう言えば告知ツイートを見た…と思うけど、レコ屋の日アイテムだったのか、笹倉慎介さん+ex.森は生きているのメンバーから成る新グループ、Old Days Tailorのシングル「晴耕雨読」b/w「南の窓から」を購入。スナッチのLPは発売当時知らなくて、探しているけど見つけられずにいたもの。中古で出てきても、これくらいはするかもなぁと思って、あきらめて。お祭りの夜店で買うような感覚で。Old Days Tailorは、ラベルには Old and Young と記されている。そうだ、告知ではそんな名だった。と思ったら、バンド名変更についてのお知らせがはさみこまれていた。
 それと、ロバート・レンタルとグレン・ワリスの1979年録音の発掘盤 "UNTITLED LP" は、お祭りとは関係なく。

 レジで会計待ちをしているとき、隣のレジの女性店員の名札に「ギルモアが好き」「ロジャーも」と書いてあることに気づいた。へぇー、と思いつつ、自分の番が回ってきたときに担当してくれた店員の名札には「インディーロックとマンボが好きです」と見えて、おおーっとうなったら、マンボではなくマンガだった。ツイター上でちょうど話題になっていて、ええよね、という話になった。ふつうに音楽が好きなひとが働いてるんやな、ということがわかると、レコ屋で働いてくれて、ありがとうという気持ちになった。

 「ムジカジャポニカ」で、加藤千晶とガッタンゴットンリズム(ほんとうはガッタントンリズムだけど、告知の表記が間違えていたのを加藤さんがそのまま拾って、この日だけはガッタンゴットンリズム)『嘘つきと音楽のはじまりに』発売記念ライヴ。まだ移転先も決まっていない頃に告知が出たときにはえらく先の話だと思って、その「えらく先」の感じだけをずっと持っていたのだけど、気がつけば、「今週末やん」となって、あわてて予約を入れたのが水曜日の早朝。返事がなかなか来なかったけど、オープンに向けて追い込みをされていることが伝わってきていて、直前に連絡したことを申し訳なく思っていた。とりあえず行くだけ行ってみようと思っていたら、金曜日の深夜に連絡が来ていた。すみません…。送別会のビール一杯でふらふらになっていて、たぶんブチ二日酔いで、うんうんうなっていたので、メールもチェックできていなかった。

 これまた移転後の「バナナホール」の二階ということで、「バナナホール」に行ってみたものの、二階への入り口がわからない。同じように付近をうろうろしているひと多数。あっちいったりこっちいったりしているうちに看板を発見。二階と行っても、一階はいろんな店が入っていて、つながっているとは思えないようなところに入り口があった。二階にあがると、さっきうろうろしていたひとたちも並んでいる。「バナナホール」に戻って、いまなおうろうろしているひとたちに声をかけようかとも思ったけど、おせっかいなかんじもする。あいだをとって、一階に降りて入り口と「バナナホール」の位置関係がわかる写真をとって、ツイートすることにした。あれを見てたどり着いたひとがいれば幸い。たどり着いたひとは誰ひとり戻ることがなかった、というのが奇譚めいていて、楽しくなってしまった。

 入り口すぐのところにカウンターがあり、対面奥がステージになっている。広さはどうなんやろ。わたしはまた柱の陰を見つけて、そこに。加藤さんが中尾さんに隠れて見えない。どちらにしても、鍵盤の上を流れるような指先までは見えないけれど。向かって右から、加藤千晶さん(p,vo)、中尾勘二さん(tb)、Aketa Minoさん(tp)、橋本剛秀さん(t.sax)、鳥羽修さん(g)。後ろに高橋結子さん(ds)、河瀬英樹さん(b)の7人編成。Aketa Minoさんは、加藤家に居ついた猫の化身として。常に全力疾走のスウィング楽団。こってりとブルージーでもある。それでいて、押せ押せにならないのは、加藤さんのヴォーカルが潤滑油のように耳と心をなめらかにしているから、かな。しばらく機会がなかったし、新譜も予習なしで臨んだので、「アレンジの変化」は『ドロップ横丁』からの曲でしか実感できなかったけど、いつも現在形であることに感嘆します。聞いているほうもくたくたになるけど、心地よい疲労でした。『嘘つきと音楽のはじまりに』を購入して、帰宅。

 帰りに、旧ムジカの跡に寄った。まだビルはあり、看板などそのままになっていた。始まるまでの間、「たむろ」していたことを早くも懐かしく思う。

 きょうは、音楽の日か何かか地域ぐるみでフェスなのかと思えるくらい、あっちこっちで見たいライヴが目白押しだったのだけど、午前中に用事をばたばたと片付けて、やはり5月に閉まる阿倍野「流流」に行くことにした。見納めを兼ねて、長野友美さんの全曲ライヴ「中つ火に輪になって」を聞きに。3枚のアルバムの全曲を弾き語りで演奏、という。岡林りえさんによる羽のついた種の展示に囲まれて、14時スタートの3部構成。あれ聞きたかったけど聞けなかった、ということはないし、あまり聞けてない曲の再発見もあるかも、と思い。なのだけど、最初から順番にではなかったので、「チェック」は諦めて、1曲1曲をただただ聞くことに。ひさしぶりに聞く曲も、しっかりと耳に残っているし。いい曲がやっぱり多い。曲が多いので、話は短めにということだったけど、曲作りについて、こんなかんじで作ろうということがないというのが納得でもあり、驚きでもありました。物語性のある迷宮に誘うような作品は、70年代イギリスのややこしい曲多数のバンドのアルバムに収められた穏やかで優しい歌を思わせるけれど、同時にそのへんで酔いつぶれているひとの様子も連想させるから。

 終了し、アンコールがかかるも、「今日はアンコールなしとお伝えするのを忘れていました…」と告げたところで、客席からの指摘により、1曲忘れていることが発覚(いや、わたしも、薄々)。居残りのようだ、と言いながら、デビュー前の幻の録音(があるらしい)から、彗星のようなうたうたいについての詩の朗読と、その忘れていた「片想哀歌」、そして、まだアルバムになっていない「ブレーメン」を歌ってくれました。それにしても、『時のたてがみをつかんで』の1曲目「歌の途中」で締めて、忘れていたのが最後の「片想哀歌」というところが、なんというか。朗読も、別役実の童話を連想しました。
 始まるまでに、前回、食べなかったドライカレーを昼食にして、あがったことのなかった二階のギャラリーも覗いた。ドーナツもひとつ。名残りを惜しみつつ、後にしました。

4月23日(月)
[一回休み]
4月24日(火) 【▼ぐりぐらメモ/2018年4月24日】
 ハンネ・ヒュッケルバーグ "LITTLE THINGS" が届いた。連絡のあった到着予定日から一週間遅れ。二週間経って届かなかったら連絡するつもりだった。3月31日のNHK-FM「世界の快適音楽セレクション」(「半分の音楽」特集)で聞いて良かったので発注したノルウェーのひとで、2004年に発売されたものに1曲追加して再発された2008年版です。ラジオでかかったのは "True Love" という曲で、ヘンリー・カウの "Half The Sky" に続けてかかったのだけど、フリージャズを思わせるとっ散らかったアンサンブルから麗しいストリングスに流れていく歌が、カウと続けてかかっても、まったく違和感がなくて、おおっと乗り出してしまった。楽器でない音が鳴るものも多用。エレクトロニカは背景的なものに対する思わせぶりを感じることがあるのだけど、ハンネさんの音楽はそういうものがなくて、もっと軽やかで、音そのものが飛び跳ねている。検索をかけると、「世界の快適音楽セレクション」では2017年10月14日の「ひとかけらの音楽」でもこのアルバムから "Words & A Piece of Paper" がかかった模様。やはりチチ松村さんの選曲かな。

 ハンネ・ヒュッケルバーグ "LITTLE THINGS" は世を忍ぶ仮の定額制配信 Apple Music にもあったのだけど、例によって、そのことに思い至ったのは注文を済ませてから。定額制配信も結局、LPやCDで持っている作品ばかり聞いているような気がする。ベンキョーやシチョーで聞くのを避けたいという気持ちもあるからだけど。きのうは、朝、駅に向かって自転車を漕ぎながら頭の中で "Season Cycle" が流れた。駅に着いてから実物を聞いた。ありがたし。そして満員電車の中で「Earn Enough for Us」を聞くことになるのでした。

4月25日(水)
[一回休み]
4月26日(木) 【▼ぐりぐらメモ/2018年4月26日】
 仕事場の宴会。三週連続になってしまった。今週は直前になって一名キャンセルが出たということで、急遽、補填要員です。誰が出るのかも聞いてなかったけど、幹事が困っているようだったので。幹事によっては断った、のかよ、ではありますが(はい、たぶん、というか声がかからなかったと思う)。歓送会などり仕事場の宴会には割と出てるけど、宴会が好きな訳ではない。呑まないし。業務以外での同僚とのやりとりがほとんどないので、その機会のため、あとは賑やかしのため、です。話したいひととはあまり話せなかったけど。

 早めの時間だったので、帰りに梅田に回って、まだ開いているレコ屋と書店に。「フリースタイル」38号が駅ナカの店にあったので、購入。今号は、読もうと思いつつまだ読めていない『AMETRA』の著者、デーヴィッド・マークスさんへのインタビューがメイン。雑誌が主導し、憧れをキーに広まった日本の若者ファッションが、それ故にスタイルとして残されているということをパラレルワールドのように見ているのが面白い。鏡明さんの連載「45RPMから始まる」は「ポップス」について書くとして、補助線としてクリス・カトラーの『ファイル・アンダー・ポピュラー』とシャドウ・モートンのエピソードを置く。シャングリラスの "Remember" については次号で、になる模様。

 書店では、研究活動が気になっていた新井紀子さんの『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』も見つけたので、勢いで買うことに。AI技術ができることとできないことについての研究から派生して、というか、別の目的の調査とつながって、「AI技術にはできないが、人間にはできる」と考えていた読解力が実はそうでもないのではないかという疑いがある、ということを話されているので、そのあたりの経緯が述べられているのではないかと思い。読解力について、教育分野の研究をほとんど参照していないという批判もあるけれど、取扱説明書に携わる者としてはAI技術と読解力は差し迫った話なので。

4月27日(金)
[一回休み]
4月28日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2018年4月28日】
 NHK『半分、青い。』は、主人公がいいこではないれど、わるいこでもなく、むじかくなこであることを、なんとなく受け入れて見ている。自覚はないけど、感じてはいる、から、いろんな場面でそのことに直面したとき、どう転がるかが気になっている。原田知世さん扮するおさななじみの母親が「にこにこしとるけど底知れぬ怖さがある」と描写されていたけど、どきりとする台詞が多くて、面白い。言わずに躊躇することを、はっきり言って、その直後に、意味が伝わるよりも先に起こしてしまう嫌な感じを自分で(あるいは谷原章介扮する夫が)指摘する。指摘しても嫌な感じは残る。でも、意味も伝わる。そんな話しかたをする。「感じ悪かったらゴメンね」「嫌味が嫌味に聞こえない」等。
 今週から、くらもちふさこさんの漫画が登場。くらもちふさこさんと言えば、曲先(意味がちがう)で気に入ったちわきまゆみ「Little Susie」の作詞がそうだと知ったのは、聞いてからずいぶん経っていたのだけど、驚いた。ソロデビューEPの「A-Girl」は、くらもち作品が先なので、テーマ曲のようなものだったのだろうか。それにしても、いまさらだけど、「Little Susie」はシングルとちゃうかったんか。

 休みに入ったものの、いろいろ迷うところあり、宴会続きで金欠ということもあって、予約を入れておらず、そうすると、出かける気もなくなって、夕方までうだうだ。映画とか絵とか予約しなくてもいいものを見に行けばよかったのだけど。

目次に戻る

2018 Kijima, Hebon-shiki