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2018年1月14日〜2018年1月20日


1月14日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2018年1月14日】
 土曜日。疲れているのか、用事を終えて少し横になってはしばらく眠るということを数回繰り返してしまった。タブレットは画面割れで放置中、パソコンも隔離中で起きたときと寝る前に短時間のみということになると、やはり思いつきをネット上に書き込むことが減る。難点は、調べものがすぐにできないことで、記憶力、記憶保持力が弱まっている身では、見聞き書きにも影響して、なかなか進まなかったりする。

 午後から京都。年の瀬に駅貼りポスターで気になった三条高倉「京都文化博物館」での「至宝をうつす 文化財写真とコロタイプ複製のあゆみ」展を見に。ちょうど数日前に切り絵作家のモチメさんが見に行かれていたことをツイターに投稿されていて、弾みがついて。
 「至宝をうつす」展は、京都の出版社「便利堂」の創業130周年記念として開催されたもので、コロタイプ印刷の特性をいかした法隆寺金堂壁画や高松塚古墳壁画、山本作兵衛さんの炭坑記録画などの原寸大複製の展示を中心に、文化財の複製をつくることの歴史やコロタイプの技術を紹介するもの。法隆寺金堂壁画の大きさもさることながら、「見慣れている」高松塚古墳壁画に、絵というよりも、壁に相対しているような感覚になった。撮影も印刷も、複製をつくるという一環した作業として位置づけられていた。

 「便利堂」は、就職活動をしているときに、人事担当のかたに話を聞いてもらったことがありました。その頃は、新卒は募集していないということだったのだけど、担当教授に紹介してもらって、会うだけは会ってあげるとなったのだと思う。かなわなかったのだけど、当時そもそも便利堂の仕事を表面的にしか捉えていなかったのだから、箸にも棒にもかからないかんじだったと思う。思い返すたびに申し訳ない気持ちに襲われる。

 フィルムシアターで行われている「浪花千栄子と沢村貞子」特集の関連でスチル写真の展示を眺めた(上映していたのは『噂の女』。木下恵介監督の太陽族批判映画『太陽とバラ』を見たいけど、仕事日だ)のち、「保存と修理の文化史」も見た。被災の記録、写本、保存の方法や心得など、文書や絵画、記録を、共有財として「残す」営為の歴史をたどるもので、「至宝をうつす」展と呼応した内容だった。開催時期は異なっているので、重なっているのは、1月5日から25日までの間のみ。

 北東に流れて、「三月書房」を覗いたのち、「Hi Fi Cafe」に。サンバを聞きながら、展示のことを思い返したり、チラシを整理したり、そこでまたチラシをもらったり。井上智恵さん(tomoe inoue and her fragile casio)のカセット『tape#1(2017-07-17)』を購入。他にもパイレーツカヌー関連でいろいろあったのだけど、ライヴにも行きたいし、そのときにでもと抑えた。

 さらに北東に流れて、丸太町「誠光社」に。ここは気になるものがありすぎて、ここでないと見つからなさそうなものをといつも選択に迷う。迷いすぎて、きょうは何も買わず。あれば買おうと思っていたものがあれば、それにつられてということもあるのだけれど。

 既に日は落ちていて、どうしようか迷ったけど、浄土寺「ホホホ座」まで歩くことにした。さすがに今回は山越えコースは避けました。遭難しかねない。
 「ホホホ座」では、山川直人さんの『気楽な稼業』と中川右介さんの『阿久悠と松本隆』(朝日新書)を。

 バスで河原町三条に戻り、一応「JETSET」を覗くも、あればと思っていたものが見つからず。最後は締めで、河原町四条の「Book 1st」に。なのだが、1階入り口のエレベーターのところに貼り紙が。1月31日で閉店と。えーっ。帰る前にちょっと寄って、買いそびれたものを買って帰るのが常だったのに。という訳で、きょうも、寄り先で見つけたら買うつもりだったサイモン・クリッチリー(田中純訳)『ボウイ その生と死に』を購入。

1月15日(月)
[一回休み]
1月16日(火)
[一回休み]
1月17日(水)
[一回休み]
1月18日(木)
[一回休み]
1月19日(金) 【▼ぐりぐらメモ/2018年1月19日】
 Bluetoothスピーカー、といっても、音声でやりとりできるいわゆるAIスピーカーではなく、音を大きくするだけのものだけど、聞こえにくくなってテレビを爆音上映しがちな老母が少しでも楽しめるようになるかと思って、持ち運びができて手元で音量を変えられるものを導入することにした。インプットが限られるから、つまらなくなるのだとすれば(推測)、いくらかでもましになるような気がして。タレントの出来不出来に一喜一憂することを見ている者に強要するような番組に爆音で付き合わされるのがつらい、という理由もあるにはあるのだが。それと、いまは放置中だけど、タブレットが復活したら、そこに入ってる音楽を部屋に流すこともできる(はずだ)から。

 いまメインで使っているプロバイダーのネット接続サービスが1月末で終了することに伴い、新しい接続サービスに申し込む必要があったのだけど、そのプロバイダーで継続してもメールアドレスの変更は避けられず、料金プランを見ても今の使用状況だと割高になってしまうので、メールアドレスのために残しておいた休眠アカウントを復活させることにした。火曜日に申し込んで、金曜日にモバイルルーターと案内が届き、夜中に設定したのだけど、メールの送信がなかなかできなくて、ようやく送信できた頃には、いままでの受信メールが消えていた。プロバイダーに問い合わせないといけないこともまだいくつか。

 「編集工房スワロウデイル」の記事で知った『SELECTED SONGS by SLAPP HAPPY』がReR Megacorpから届いた。スラップ・ハッピーの歌から採った詞にピーター・ブレッグバッドのイラストを添えた小さな本。元になったスラップ・ハッピーの詞も後半に掲載されている。これは是非欲しい!と思ったわくわくポイントは、テキストが、プレッグバッドさんの書き文字を元に作られたフォントで組まれているということでした。プレッグバッドさんの文字がとても好きなので。
 ReR Megacorpでは4枚20ポンドのセールをやっていて、つい、ついでに、というか、ついでに、つい、何かないかと探してしまった。買ってないボックスセットの端物などあり、迷ったけれど、最終的には、「CDで持ってなかったやつ」メインに。
 リンジー・クーパー "RAGS / THE GOLDDIGGERS"(背表紙と盤面は Goldiggers になっている) は、1980年の "RAGS" と 1983年の "MUSIC FROM THE GOLD DIGGERS" のカップリングCD。ただ、"THE GOLD DIGGERS" からは収録時間の関係から2曲、"Celeste's Dream" と "The Ballroom" がカットされている。2013年に亡くなったリンジー・クーパーへの追悼盤 "RARITIES VOLUMES 1 & 2" は気になっていたのだけど、買えていなかった。購入特典のカセットやシングルで発表された録音、オムニバスアルバム参加曲、未発表録音を収録している。
 ハイナー・ゲッベルス/アルフレート・ハルト "HOMMAGE/VIER FAUSTE FUR HANNS EISLER & VOM SPRENGEN DES GARTENS" は、タイトルどおり、1977年と1979年のアルバム2枚をセットにした2枚組。
 それと、いかめがねすーすーによるカバーを聞いて思い出した、ような気がしなくもないホモセクシュアルズの "THE HOMOSEXUALS' CD"。3枚組の集大成盤も気になりつつ逃してしまったので、落ち穂拾いのようなかんじで申し訳ない気持ちですが。1984年の編集盤 "THE HOMOSEXUALS' RECORD" に5曲追加したもの。

 通勤読書で、サイモン・クリッチリー『ボウイ その生と死に』。詞を中心に、デイヴィッド・ボウイの作品に現れるモチーフについて、自身が聞いてきた経験を踏まえて、随想し、分析したもの。特に「無 nothing」という言葉を際立たせ、その移り変わりを追っている。詞が話題の中心ではあるけれど、聞いている著者の姿を通じて、音楽についても触れられている。1960年生まれということで、わたしは少し後追いになるけれど、捉えかたは似ていると思う。"LOW" が出る前にジャーマンロックに触れ、"LET'S DANCE" はまだしも "TONIGHT" 以降の80年代作品にはいい顔をしていない。90年代以降の作品については是是非非というかんじだけど、"REALITY" を好んでいることに共感する。80年代半ば以降はきちんとは聞いていなかったわたしが言うのもなんだけど。聞いている著者の姿が挿入されているせいか、詞に触れられている際も、歌が頭の中に浮かぶ。いっしょに歌っているかんじになるのが楽しかった。80年代前半までの曲のほとんどを知っているからとは思うけど、音読みを時折ルビにして振る触れかたにもよると思う。
 読みながら頭の中で歌ってた、のは、タブレットが使えないことで、出先で音楽を聞くことができないから、でもある。"ZIGGY STARDUST" や "DIAMOND DOGS"、"ALLADINE SANE"、"STATION TO STATION"、"LOW"、"HEROES" がどれだけ頭の中で鳴ったか。通しでの記憶が曖昧になっている "SCARLY MONSTERS" を聞き直したいと思ったことか。

 という訳で、Bluetoothスピーカーの導入、モバイルルーターのリニューアルを済ませたので、次はタブレットの修理をしなければ。いや、その前に眼鏡の新調だろうという声も聞こえてきそうだけど。

 通勤読書、もう一冊は気分転換に、推理小説のイメージがない作家による1950年代後半の推理小説。贋札が事件のキーになっているけれど、容疑者にはコロタイプ印刷の技術者が含まれている。先日の便利堂の展覧会で、コロタイプ印刷はもうほとんど残っていないということだったけど、いつ頃からだろうか。働き始めた30年ほど前には、写真を主にした限定本、卒業アルバムや記念誌はコロタイプ印刷だったように思うのだけど、その時点で既に名前だけだったのだろうか。

1月20日(土)
[一回休み]

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2018 Kijima, Hebon-shiki