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2017年12月10日〜2017年12月16日


12月10日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2017年12月10日】
 早朝、bikke+近藤達郎『1992年』をやっと聞いた。デュオでの録音とバンド(水銀ヒステリアの西村睦美さん、山田由美子さん、積極的な考え方の力の林慈郎さん)での録音が収録されているけれど、バンドでの2曲、「月の誓い」と「世界で一番好きな顔」についても近藤さんのプロデュースのようです。デュオでのライヴには当時出会えなかったけど、ここに収められた9曲は、1992年を通じて演奏されていたもののようです。ラブジョイの母体になった篠田昌已さんを含むスペシャルユニットの11月28日のライヴでもこの9曲が演奏されている(+「跡形も無シ」)。まだあまり冷静には聞けてない。ラブジョイになってから演奏されなくなったのか、「川辺で」と「Augenblick」をきちんと聞いたのは初めてだと思うど、鎮めるように歌う声を聞いていると、あたりまえのことなのだけど、ただただ、bikkeさんの歌だ、という思いがする。

 昼から「芦屋市立美術博物館」での「小杉武久 音楽のピクニック」展に。今回は阪神電車で。それでもそこそこ歩く。展覧会は、活動を振り返る資料とサウンドインスタレーション作品の展示。資料編では、グループ音楽、フルクサス、草月ホール、タージ・マハール旅行団と、同時代の様々な作家たちとの共同作業が改めて浮かび上がってきて、時代の記録にもなっている。それだけ、ある分野の活動に必ず小杉さんが居た、ということなんやな。先日なんも考えんとネットで映像を見ていたシャーロット・ムアマンが出てきて、そやったそやった、フルクサスのメンバーだったのだと思ったり(うっかりなだけ)。フルクサスの集合写真には、アル・ハンセン(ベックの祖父)やメレディス・モンクの姿も。ディック・ヒギンズの姿は初めて見たかもしれない。メレディス・モンクもフルクサスだったのか。
 冊子などの印刷物は、展示とは別に、該当部分のコピーが置かれていて、ありがたし。ゼロックスの「グラフィケーション」誌には2回にわたってタージ・マハール旅行団が登場している。栗津潔さんの関係か。
 「Catch Wave」としても知られる「Mano-dharma, electronic」などのサウンドインタレーション作品、会場内にあった言葉で云えば、オブジェ・ソノールがそこかしこで響いていて、見終わったあとも、しばらく音だけ聞いていた。のだけど、そんな会場でぺちゃらくちゃらぺちゃらくちゃら仲間内で雑談してる一団が。そこで集合待ちしていたみたいだけど、いろんな意味で閉口してしまった。

 タージ・マハール旅行団が出演したフェス「ICES 72」のプログラムに、Lady June's Linguistic LeprosyとPortsmouth Sinfoniaの名を見つけた。レディ・ジューンさん、LP以前にその名で活動していたのですね。資料編はついつい枝葉の興味で見てしまい、すみません…。

 18時から、心斎橋「FUKUGAN GALLERY」で、アンソニー・ムーアさんの5chサウンドコラージュ作品「重力の波」を、宇都宮泰さんが開発に加わったハーフワン・スピーカーで聞く会「Gravity Waves + Half One」に。ムーアさん来日時は仕事で行けなかった日に行われた音の展示です。セッティングも宇都宮さん。作品は、静的な音の繰り返しではなく、約50分の「ある時間」の経験と言うべきか。あちこちに、Arpさんとの共作などで聞かれるフェイズ作品が登場もする。
 19時からはハーフワンスピーカーとフィルターソフトWaveGeneを使った宇都宮さんのホワイトノイズ切り出しによる作品の実演。昼に目にしたオブジェ・ソノールの語を思い浮かべつつ、数字と操作と音と耳の関係にくらくらしてました。illustratorによる描画も連想。行為をなぞるのではなく、成り立ちを解析して、それを操作することで、成り立ちそのものに迫る。WaveGeneはフリーウェアだそうだけど、重そうやなぁ。ワークショップも計画されているそうです。

 通勤音楽など。ブライアン・フェリー "THE BRIDE STRIPPED BARE"、を聞く前に、"LET'S STICK TOGETHER" を。ロキシー・ミュージックの1枚目収録曲のリメイクを含む企画盤なのだけど、これを聞いた直後に、1枚目の45周年記念盤の告知を見たのでした。未必の故意、的な。マイケル・マントラー "THE HAPLESS CHILD AND OTHER INSCRUTABLE STORIES" は、ECM作品の配信が始まったということで検索してみたら。ロバート・ワイアットがヴォーカルをとるエドワード・ゴーリー作品をモチーフにしたアルバムということで、昔から気になっているのだけど、マイケル・マントラーの音楽のねちっこさがあまり好きではなくて、延ばし延ばしにしているうちに再発盤も見かけなくなり、そうなると、と中古盤コーナーをチェックしたり。いや、でも、やっぱり、ねちっこさと急き立てられる感じがうーん。

12月11日(月)
[一回休み]
12月12日(火)
[一回休み]
12月13日(水)
[一回休み]
12月14日(木)
[一回休み]
12月15日(金)
[一回休み]
12月16日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2017年12月16日】
 月曜日。証拠隠滅のために、仕事場近くのコンビニを受け取りに指定したら、仕事が休みの日曜日の早朝に届くの刑。一日くらいは、ということで、仕事帰りに引き取り。XTC "BLACK SEA"(1980年9月発売)の The Sorround Sound series という名のデラックスエディション。パッケージの「地」には、LP発売当時、ジャケを包んでいた紙袋の薄緑が使われている。
 このあたりはまだ「ラジオで聞いて、そのエアチェックテープを繰り返し」聞いていた時期が長い頃なので、親しんでいる曲とそうでもない曲の温度差があるのだけど、とは言うものの、A面の "Respectable Street"、"Generals and Majors"、"Living Through Another Cuba"、"Love at First Sight" までの流れは染みついている。もともと親しんでいた曲が並んでいるので、アルバム入手後、印象を更新したのかもしれない。…というか、"Rocket from a Bottle" にいまひとつ馴染んでいないだけか。発表当時は、ダブっぽい音処理と力強いリズムがとりわけ印象的だった。同じ年の初め(2月)に、ダブアルバム "TAKE AWAY / THE LURE OF SALVAGE" を出しているので、その延長線上にあると受け取っていたように思う。

 このシリーズは、パッケージ上で収録曲に番号が振られておらず、わかりにくい書きかたになっているのだけど、今回はCD編が、オリジナルのA面5曲、B面5曲に追加収録曲が8曲が新ミックスで。従来のCDにも収められていたシングル "Generals And Majors" のカップリング曲3曲 "Don't Lose Your Temper"、"Smokeless Zone"、"The Somnambulist"、映画『タイムズ・スクエア』の "Take This Town"、モーガン・フィッシャーの企画アルバム "MINIATURES (A Sequence Of Fifty-One Tiny Masterpieces)" 収録のアンディソロ "The History Of Rock 'N' Roll"、"Respectable Street" のシングルバージョンの他、アウトテイクとして "Ban The Bomb" が初出かな。"Towers Of London" の初期バージョンはどうだろう。聞き比べをしてみないとわからない。というようなことはどこかを見れば、ここで書かなくてもわかることなのだけど、自分で整理しないと、「入っている」ことが把握できなくて。
 ちなみにyumbo澁谷さんによれば、

・"Generals and Majors" アウトロが2小節長い
・"Living Through Another Cuba" アウトロが約9秒長い
・"Travels In Nihilon" アウトロが約18秒長い
・"Towers Of London"初期バージョン 冒頭の声が約4秒長い
そうです。"The Somnambulist" をひさしぶりに聞いて、ええなー、となっております。

 BD編については、毎回あきらめてます。今回はまだ聞けてません。パソコンの光学ドライブが壊れているので、母親が寝静まったあと、ビデオレコーダーで聞くしかなく。その頃にはわたしも睡魔との戦いになり。ざっとパッケージの情報を整理すると、オリジナルミックスを含むミックス違いがいくつか(こっそり、"Rocket from a Bottle" の未発売シングル用ミックスが入っている)、インストゥルメンタルミックス、「Phonogram Recordings」と銘打たれたスタジオデモ13曲、アンディのデモ6曲、ビデオ3曲。
 ここでも、yumbo澁谷さんの確認結果をメモ。「Town Hall Recordings」のアンディデモ3曲の表記が間違っているそうです。

・[誤]Jumping The Gap→[正]Spy In Space
・[誤]Spy In Space→[正]Walking To Work
・[誤]Walking To Work→[正]Jumping The Gap


 水曜日、歯科へ。掘り返されたところの舗装。これで一旦終了。何回か通わなあかんかと思っていたのだけど。木曜日は鍼灸院。先日の階段落ちの打ち身は心配なさそう。金曜日は職場の忘年会。忘年会ではカラオケに行く流れになったら、町あかり「○○○ ○○」「ちょっとバタバタしてまして」、鈴木慶一とムーンライダーズ「スカンピン」をと考えていたのだけど、特にカラオケにという話にならなかったので、ビール一杯でへろへろだったこともあり、二次会には行かず、帰宅。
 通勤読書、前半は五木寛之『恋歌』(1967年)でした。通勤文庫にあったもの。昔の好きだった頃の講談社文庫ということ、タイトルに「歌」があることから手にとり、ぱらぱらとめくったら、主人公のひとりが、レコード会社の学芸部のディレクターで、新しい子供の歌を作ろうとしている描写があったので。

 町あかりさんの2曲はカラオケに入っていないようだけど、「スカンピン」はあるようだ。というのは、現在公開中の映画『探偵はBARにいる3』で「大道芸人」と「大寒町」が使われているらしいという話を聞いて、調べていたら、公式情報にはまったくそのあたりが見当たらないのだけど、前作の『2』では「スカンピン」が使われていたらしく、それならカラオケになっているかもと思って検索かけた、ら、あったのでした。ムーンライダーズ関係は結構あってびっくり。
 「大道芸人」や「大寒町」が使われているのならそうとちゃんと言うてくれたら見に行かんでもなかったかもしれないのに、公式情報にないのが残念。なんも知らんと見てて流れてきたらそのほうが印象深くはあるけれど。昔、深夜のドラマを途中からぼぉーっと見てたら、最後に「午後のレディ」が流れてきて驚いたことがあった。岩井俊二監督『夏至物語』で、当時、海砂利水魚の名で活動していた上田晋也氏が最後にちらっと登場する。

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2017 Kijima, Hebon-shiki