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2017年10月8日〜2017年10月14日


10月8日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2017年10月8日】
 昨日に続いて、閉校になった京都の小学校跡地に。木屋町の立誠小学校は閉校後「元・立誠小学校」として地域の共同スペース、イベント会場、映画上映会場として使われていて、ライヴや映画などでよく行ったのだけど、この10月末でスペースとしても閉鎖されることになったようで、映画上映を運営していた「立誠シネマプロジェクト」主催で昨日からクロージングイベントが行われている。レコードと本の市が構内で開催されているので、覗いてきた。初日には、音楽好きで知られる作家が来られていたとか。
 きのうと同じく15時に会場に着くくらいの気持ちであれこれ用事を済ませてから。探しているレコードは見つけたい、が、モノはあまり増やしたくないという矛盾した気持ちなので、もう中古盤市、古本市といっても、がんばりません。初日の早いうちだなんて、探してるレコードがたくさん見つかる可能性が大きいリスクは避ける。出遅れて、それでも残っていたら、それはうちに来る運命だったのだと受け入れるという消極的な作戦です。棚まわりをめぐってはいろいろあるが、それも人間観察だと思うことにする。
 という訳で、それでも絞って、3枚。探していたもの1枚、知らなかったし状態はよくないけど安いから聞いてみよかという気にもなるもの1枚、気の迷い1枚。

 ザ・ロスト・ジョッキーのEP "Professor Slack/Rise & Fall/Animal Behaviour & Crude Din" は、1982年にクレプスキュールのイギリス支社?Operation Twilightから出た10吋だけど、見つけたのはBattersea Recordsというところから出た12吋の再発盤、でもいいのです。縁が無くて、気になっていたのに、新星堂からアルバムが日本発売されていたことにも気付かず、その後も見かけることなく。見つけることができて、うれしい。二度見した。たぶん。

 コンパクト・オーガニゼーションのオムニバス "PENS, GUNS AND RIFFS"(1985年)は、状態が悪かったのだけど、安かったので、まぁよいかと。"A YOUNG PERSON'S GUIDE TO COMPACT" は聞いているけれど、レーベルに詳しくないので、このオムニバスがどういう位置づけのものかわかっていなかったのだけど、これより品番が若い2枚組 "DO THEY MEAN US" と被っている曲も多い。マーク・ネヴィン、エディ・リーダーら、つまり後のフェアグラウンド・アトラクションズのメンバーが居たジ・アカデミー・オブ・ファイン・ポピュラー・ミュージックが1曲入っている。

 ベベ・ビュエルの4曲入りEP "COVERS GIRL"(1981年)が気の迷い、というのは、彼女がこのレコードを作ったことが、ではなく。買い物には、こう、なんというか、アホなものを「いっとく」ことを混ぜたいという気持ちがあり。ベベ・ビュエルは、元プレイメイツ(「プレイボーイ」誌でヌードがフィーチャーされるモデル)。「ブレイボーイ」誌に登場した1974年当時は、トッド・ラングレンと付き合っていて、同誌にはトッド・ラングレンも彼氏として写っている。のだけど、1977年に出産した女の子の父親はスティーヴン・タイラーという…。トッドはそれを承知で戸籍上の父親として養育したが、いまその女の子はタイラー姓で女優として活躍している。いや、当事者間の実際のところはわからないのだけど。というようなことはともかく、表紙の女の子とカバーする女の子をかけたタイトルのこのEPを買ったのは、カバーの選曲が理由。マンフレッド・マンの "My Little Red Book"、ナイトクローラーズの "The Little Black Egg"、イギー・ポップ "Funtime" をやっている。プロデュースはA面をリック・デリンジャー、B面をリック・オケイセックが担当していて、バンドもそれぞれのメンツが固めている。残りの1曲はわたしには縁がないトム・ペティ作品 "The Wild One, Forever"。10月2日に亡くなったことが頭をかすめなかった訳ではないけれど。

 講堂ではDJが行われていて、ちょうどキング・ジョーさんの回だった。しばらく聞いてから帰ったのだけど、別のところで同じ頃、長濱礼香・風間晴賀デュオの演奏もあったようで、知らずに聞き逃したことを後悔。人出が多くて、しんみりする余裕も失くしてた。
 他にもあちこち寄るつもりでいたけれど、歩く元気なく、京都をあとに。

 帰宅前に、自宅最寄駅前コンビニのイートインコーナーで、大声出して(なんでわざわざ)喧嘩している老夫婦を背に、荷物を整理しながらツイートを確認していて、bikkeさんと近藤達郎さんのデュオによる1992年の録音がCD化されるというガラボックスからのニュースを見て、SUPER FUJI DISCSの藤井暁エンジニア・ワークス・シリーズとはちがうのか、でも発売記念ツアーがあるようで楽しみと思い、出先なのでリンク先は見ないでメモと回覧だけした。帰宅してから、リンク先のガラボックスのページを見て、息をのんでしまった。

「ラブジョイからのお知らせ」
ラブジョイは活動を終了いたしました。
長きにわたり、ありがとうございました。
bikke(vo&g) 近藤達郎(key) 服部夏樹(g)
松永孝義(b) かわいしのぶ(b) 植村昌弘(drs)  
とっても良いバンドでした。
ありがとうございました!
http://disx.galabox.net/bikke+kondotatsuo/


新しいアルバムを制作されていると思っていたのだけど。何も言えないです。劇的な何かがあった訳ではないけれど、ラブジョイの音楽を聞くことで、音楽の聞きかたがゆっくりと変わってきたところはあると思っています。聞いているそのときに気付かなかったことにあとから気付く、とか。何も言えないと言いながら、書き連ねてしまいそうなので、ひとまず。

10月9日(月) 【▼ぐりぐらメモ/2017年10月9日】
 きのう、元・立誠小学校でレコードをかたっぱしから(という書きかただとなにやら乱暴な取り扱いを連想させるかもしれないけど、至っておとなしく)めくっていたら、「右見て左を連想」したり、ぼんやりとした傾向を思い浮かべたりしたのだけど、メモするのもおぼえておくのも面倒なので、途中からそのときだけの楽しみとして、おぼえておかないことにした。
 似たようなことは、あれこれの随想、追想にもあって、仕事をしていても、何かを見たり聞いたりしても、思うところはいろいろあるのだけど、そのときにメモしたり書いたりできる状態にないと、思い浮かべたことや考えたことの具体的なことは忘れてしまう。たまに別の文脈で「あのときあのように考えた」ということを思い出すことはあるけれど、さてメモしておこうかというときには出てこない。それが幸いしていることもありそうだ。

 午前中の用事を片付けて、昼食を早めにとったけど、梅小路公園でのゆうきの演奏には間に合いそうにない。あきらめて、また元・立誠小学校のさよならイベントに。きのう上がらなかった3階の展示を見て、「sonota」でどのみち買うつもりだったレイモンド・スコットの "THREE WILLOW PARK: Electronic Music from Inner Space 1961-1971" を購入した。このあたりの作品を大手の店の店頭で見かけることがほんとうに少なくなった。こちらも「ある」ことを期待できなくなっているので、あったとしても、通販で改めてと思ってしまうことがある。店のマジックを感じなくなってきているのだ。

 歩いて、丸太町「誠光社」に。きのうは断念したけど、がんばって。でも、目当ての「花椿」はもうなく、買おうと思っていたアルバムもなかった。代わりに「屋上野球」第3号を見つけたので買う。特集は「野球は、ラジオで」。その近くにあった「ほんほん蒸気」第2号は一年前に発売されたものだけど、見れば、郷田さんが書いているやんか。安田謙一さんも書いている。郷田さん、言うてくれれば…て、きっとその当時言っていたのを聞き漏らしているのにちがいない。で、買いました。店のマジックは、個人でやられている店にはもちろんある。

 さて、本当は「誠光社」を出てから、梅小路公園芝生広場で柴田聡子さんが歌うまで、一時間とる予定で、一時間あれば「歩けるだろう」と思っていたのだけど、既に15分過ぎている。一時間あれば歩ける、が、45分だととても無理となる見積もりは自分でもよくわからないが、間に合わないのは確かだ。予定を変更して、贅沢にもバスを使う。目的地までの便はないので、京都駅か大宮駅に行くもので先に来たものに乗ることに。京都駅行きの17系統に間に合った。烏丸七条の京都駅に14時55分。そこから大宮七条まで歩いて15分。開演5分前に到着した。ステージ前は既にたくさんのひとで埋まっていた。
 金色のプリーツスカート姿(うーむ)の柴田さんはギターも歌もバッキバキで、力強かった。昔のような、なんだかわざとひっかきまわすようなかんじもない。そんなことしなくても、きちんとした歌だけで十分聞いているひとの気持ちをざわつかせることができると体感されたのではないかと想像している。奇妙な歌も、物怖じすることなく、堂々と歌っていた。ギターもよく鳴っていた。イベントには珍しくアンコールがかかり、「いきすぎた友達」を歌ってくれて、うれしかった。
 それにしても、なんやなぁ、もう、老人が「柴田聡子が」とか言える雰囲気ではないな。前に『ちはやふる』の話をしていて、弟に映画の主演は誰だったっけと訊かれて、知ってはいるが、答えるのに躊躇したことを思い出した。広瀬すず、て口にするだけで恥ずかしいわ、とかそんなかんじがする。

 知らない道を歩くシリーズで、梅小路公園から七条通りを西へ西へ。中心から遠ざかると、パチンコ店は並ぶわ、庶民的なスーパーは出現するわ、道は細くなって、「安心して歩ける七条通に」なんて貼り紙が現れたりする。どこかで阪急と交差するというぼんやりしたあてで歩いていたのだけど、先週近くに行っていながら行かなかった西京極のアクアリーナの南端に行き当たった。北を見れば、西京極球場の照明が見える。一昨日は持って出ていた地図を今日は忘れていて、地図を見れば、もう少し冒険したかもしれないけど、うん、ここで引き上げるか、と区切りをつけた。何か子供のスポーツ大会が行われていたと思しき「アクアリーナ」内を通って、西京極駅にたどりつき、帰途に。それにしても暑かった。梅小路公園では、出店のアイスを買おうと思ったが、すぐ始まりそうだったので、見送った。

10月10日(火)
[一回休み]
10月11日(水)
[一回休み]
10月12日(木)
[一回休み]
10月13日(金)
 [一回休み]
10月14日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2017年10月14日】
 仕事は火水木金の四日間だったけど、健康診断はあるわ、一段落した案件の新課題が発生するわ、レイトショーでストゥージズについての映画『ギミー・デンジャー』を見に行くわ、長く休んでいた同僚の復帰祝いはあるわ、でミッションが多く、あわただしかった。
 復帰した同僚が牡蠣を口にしたときの表情が良かったな。どやねんなメンツで申し訳なかったけど、あれで許してもらえるかと。メニューを見て目を輝かせて注文したら昨日のメニューで本日は入荷しませんでした、と断られた金目鯛があったらどんな顔が見られただろうか、と思う。店が福島だというので、話題が途切れたときのネタとして、福島が舞台だったようなと出がけにカバンに突っ込んだ小説。行きの電車の中で改めて読んだら大正区だった…。まちごた。でも、ま、『ウエストウイング』を読んだところなので、改めて、ヒロシのその後を読み直すのもよいかもしれない。

 イギー・ポップがジム・ジャームッシュ監督に依頼して作られたというストゥージズについての映画『ギミー・デンジャー』を「シネリーブル梅田」に見に行った。20時25分からの最終回。サービスデーということと、上映後に安田謙一さんとキングジョーさんのトークがあるということで。そういうことでもないと、なかなか見に行かないから。
 伝説は置いといて、まっしぐらな音を鳴らし続ける人たちのまっしぐら振りにやられる。自ら依頼したということもあるだろうけど、イギーさん終始上機嫌で、笑いも朗らか。よいとこあったら「よぉやった!」と肩たたくよな。その代わりバカにするやつぁ忘れない。ステージでのアクションを含め、バンドと一緒のときはオトナにならなくてよいのだ、と言いたげだった。イギーの実家がトレイラーハウスだということに驚いた。トレイラーハウスに住むひとたちのことは小説で読んだことがあるけれど、行く末はあまり考えていなかったから。
 安田謙一さんとキングジョーさんのトークでは、「犬」にフォーカスした話が次から次に。犬まっしぐら。ロン・アシュトンが晩年に取り組んでいた野犬保護活動を続けている「ロン・アシュトン基金」で販売しているTシャツには、可愛い犬のイラストに「I wanna be your dog」と添えられていると聞いて、爆笑するとともにしんみりしてしまった。「"No Fun" はパンク世代にとっての "Louie Louie"」という話も出て、ちょうど「屋上野球」3号のスクービー・ドゥMOBYさんの記事で「セーフコフィールドで7回表終了後に流れる」という話を読んで、脳内リピートしてたところだったので、面白く。野球好きのうちの弟はセーフコ・フィールドに試合を見に行ったことがあるけれど、そんな話は聞いたことがなかったなぁ。というか、キングスメンの "Louie Louie" を知らんか。今度うちに来たら黙ってかけてみようか。あ、あれはあのとき球場で流れてた…とはならへんか。

 「シネリーブル梅田」に行く前に、「タワーレコード」NU茶屋町店にひさしぶりに寄った。また、かなり棚が変わっていた。アレシャンドリ・アンドレス "MACIEIRAS" を購入。ハファエル・マルチニとのデュオ作もあったけど、ひとまず。それと、「レコードコレクターズ」もひさしぶりに。ザ・スミス特集。ラフ・トレードがえらいプッシュしてるけど、普通やんという印象から、ちらちらと聞いてはいるけれど、じっくり聞いてはこなかったので。グレッグ・オールマンの追悼特集も同様かな。アメリカンロックの中でもとりわけ南部ものには縁がなかった。他に、フー "TOMMY"、ボウイさんの1977-1979箱(買わないですが)、矢野顕子、ベルウッドといった馴染みのある記事もある。

 遅くに帰ると、ブタペストから郵便が届いていた。はて、そんな発注したっけと思って開封したら、ザ・ジスト "HOLDING PATTERN" でした。レーベルはブタペストにあるのだろうか? 当初、6月に配信開始、8月に盤リリースと告知されていたけど、ようやく。スチュワート・モクサム筆のブックレットとボーナストラックのDLコードが付いている。音は9月9日配信開始されたもので先に聞いていたけれど、収められている録音がどのようなものかよくわからなかったのでブックレットが楽しみ。基本的には過去に録音されたものだと思うけど。

 マウスのクリックの反応がおかしい。過敏になっている。いままでもあったけど、OSが更新されると、直っていた。OSの問題なのだろう。しかし、困る。ツイターアカウントを閲覧しようと思ったらそのつもりはないのに「フォロー」してしまったり、閉じるつもりのないタブをまとめて閉じてしまったり、開くつもりのないファイルを開いてしまったり、選択しただけ(のつもり)なのに最大化してしまったり。フォローの件は履歴が残るから不審でしかなく、申し訳ない。でも、とりあえず、自分にとって読む必要があるもの、読みたいものは絞らないと読み切れないもので。

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2017 Kijima, Hebon-shiki