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2017年9月3日〜2017年9月9日


9月3日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2017年9月3日】
 取り急ぎ、メモだけ。一年に一度の愉しみのひとつ、もとい、ふたつのために、神戸方面へ。

 まず西宮の「大谷記念美術館」での「ボローニャ国際絵本コンクール原画展」に。近づいた時点でまたも鉛筆とメモを忘れてきたことに気づく。受付で鉛筆を借り、かばんに入っていた簡易うちわにメモをとる。詳細は後日。

 三宮に移動して、今年は「港町ポリフォニー」をやっていない「KIITO」に。長島有里枝さんの滞在制作の記録『「縫うこと、着ること、語ること。」日記』をもらいに、だったのだけど、開催されていて、ちらっと覗くだけのつもりだったロバート・フランク展が思いの外おもしろくて、ずっと見てしまった。写真家ではあるけれど、写真を見せるというよりも、たくさん制作された本に焦点を当てたもの。フィルムの上映もあり、ストーンズやハリー・スミスを撮ったものもあった。新聞形式のカタログも買ってしまった。

 海岸通に沿って西に歩き、メリケンパーク前で北上して、元町の高架下に。「ドグマ書店」に、ウェブで見て、絵が好きだし、物語も面白かった香山哲『心のクウェート』を購入。香山さんと翻訳担当の方がちょうど店におられました。向かいの中古盤店では、時間がないときの流儀で、サントラコーナーだけ。山積みになっているものを片づけながら全部見た、けど、探しものはなし。

 さらに北上して、兵庫県庁をぐるっとまわって、神戸市立相楽園での「にわのあかり2017」に。ワヤン・クリは、広場ではなく、会館で。去年は家族行事があったので行けなかったのだけど、去年もそうだったらしい。いちど雨になって、急遽会館で行われたことがあったのだけど、それを考えると、寂しいけれど、そうなるかな。ダランはインドネシア、ジョグジャカルタから来られたスマルヨノさん。ご夫婦というワヒュー・クリスナワティさんの歌がとてもよかった。ワヤンの動きとリズムがばしっばしっと力強く呼応していて、新鮮だった。ダランの歌も低く力強く響いていて、演奏もそれに応じて、ものすごかった。ダランは指揮なんやな、と改めて。

 関西に来られていた吉上さんご夫妻に会場でお会いすることができた。十年以上ぶり。吉上恭太さんの文章やツイートはずっと目にしているし、『ある日の続き』も愛聴しているので、ひさしぶりというかんじはないのだけど、ひとに話すと、改めて時間を感じるとともに、不思議な気持ちになった。

9月4日(月)
[一回休み]
9月5日(火)
[一回休み]
9月6日(水)
[一回休み]
9月7日(木)
[一回休み]
9月8日(金)
[一回休み]
9月9日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2017年9月9日】
 メモだけ、と言いながら、なにひとつ詳述できなかった。月曜日はまた腰がぎっくりいきそうな予感があって、そろりそろり。水曜日、朝には小さなサプライズがあったけれど、夕方、お客さんからの「誤送信メール」と見誤ってスパムを踏んでしまい、検査に3時間近くかかってしまった。来るはずのものもあったので待ちながらではあったけれど。歯科の予約をキャンセルすることになってしまった。帰りは、軽く茫然としてました。駅のホームまでIDカードを提げたままだった。来るはずのものは木曜日にも来ず、締切の金曜日の朝にようやく。下準備はしていたものの、一か月の間に古くなってしまって(一か月の間に指示が変わってしまうということが問題なのだが)、昼休みもつぶして、バタバタと。昼休み前には、「昼休み時間を残業時間に振り替えてくれていいから」と電話がわざわざかかってきたのだけど、うちはそういうシステムになっていないので。それに金曜日の夜は、ひさしぶりの新人の歓迎会なのでした。

 風は涼しくなってきたものの、雨空だったり、湿度が高かったり。集中豪雨があった日は、通勤読書していた津村記久子さんの『ウエストウイング』で、ちょうど集中豪雨で往生してしまう場面にあたっていた。5年前に発表された小説だけど、景気の悪さからくる閉塞感は、今も続いている。その中で、同じ雑居ビルに通う3人の主人公は出口の微かな光を意識しながら、なんとか居場所を確保しようとしている。「言ってしまわない」抑えた描写にいつも感嘆する。主人公のひとりが誰かを「音楽好き」と判断するときの根拠が面白い。「バンドや曲の名前を言う時の彼の発音が何か、自分を守る呪文を唱えるようであったから」。わたしもそうなってるかもしれないなぁと思いつつ、それはそれで恥ずかしいなと思ったり。わっえばしーぶりんぐずういしんぐ、とか。
 この本を買ったことを書いてなかった。先週、肥後橋に出た帰りに天満橋まで歩いて、そこで。文庫化を知ってから、通勤途中の書店を覗いていたのだけど、見つけられなくて。文庫化を知ったのは、表紙イラストを担当された北澤平祐さんのツイートを見て。北澤平祐さんはレミ街のジャケイラストを描かれていることで知ったひとだけど、Light In The Atticから発売される日本語のふぉーくとろっくオムニバス『木ですら涙を流すのです Even A Tree Can Shed Tears: Japanese Folk & Rock 1969-1973』のジャケットが印象的なので調べてみたら、北澤さんで、そのついでに津村さんの文庫の情報を得たのでした。ツイートで、作中に出てくるレコジャケを表紙にあしらっているというので、作中で遭遇するのを楽しみに、見ないよう書店カバーをかけたまま読み始めたのだけど、電車の中で取り落としたときにうっかり見つけてしまった。

 『木ですら涙を流すのです』は、SPIN CDのお知らせメールで見たジャケが印象的で、それで気になった。アメリカのひとに日本のフォークロックがどんなかんじで聞かれるのだろう、と。収録されているのは、遠藤賢司、山平和彦&ザ・シャーマン、金延幸子、古井戸、加藤和彦、はっぴいえんど、西岡たかし、南正人、浅川マキ、布谷文夫、細野晴臣、よしだたくろう、赤い鳥、愚、斉藤哲夫、ジプシーブラッド、はちみつぱい、加川良、ディランII。シングルB面曲がちょいちょいはさまってることや、日本で組んだら一緒にはしないであろう、古井戸やよしだたくろうが入っていることが面白い。以後、日本のポップ音楽についての続編を出していくらしい。既に吉村弘さんや杉林恭雄さんの電子音楽作品なども関連レーベルから出しているようで、サイトのウェブログには細野晴臣、浅川マキとともに吉村弘の名が先駆的存在としてあげられていた。こうした「ちがう見方」に興味がある。選曲者のひとり、ジェイク・オラル氏による別バージョンのような選曲には、高石ともや(ナターシャーセブンも)やチューリップも入っていた。

 訃報続き。9月3日、ウォルター・ベッカー(スティーリー・ダン)。9月5日、ホルガー・シューカイ(カン)。スティーリー・ダンは出会いかたがよくなくて、疎遠なまま現在に至る。中学生のときに、"THE ROYAL SCAM"(幻想の摩天楼)が出て、ラジオでかかったのを聞いたのだけど、先に知っていたジャケットデザインの印象と音がちがっていたから。当時のわたしには、典型的な「アメリカンロック」にしか聞こえていなかった。その後、新譜には興味が持てず、初期のヒット曲に親しむ程度でした。という訳で、今週は定額制配信で、初期のアルバムを順番に聞いているところ。
 ホルガー・シューカイ Holger Czukay は読みかたでもやもやさせられてきたけど、それはともかく。カンを聞き始めた頃は、既に、一歩退いていた。最初のソロアルバム "MOVIES" は、FM大阪「ザ・ミュージック・ネットワーク」で聞いた。"Cool In The Pool" と "Hollywood Symphony" の2曲がかかったのだけど、オーバーラップさせたつなぎがとてもよくて、レコードでもそうなっていると思い込んでた。ラジオの音をふんだんにコラージュしたアルバムだけど、ラジオで聞いたということもあり、夕方の、ぼっかり空いた時間を聞くたびに思い出す。

 カンの "SOUNDTRACKS" に収められている音楽が提供されている映画(『早春』以外)を、youtubeで探してみた。ローランド・クリック監督『デッドロック』、ロジャー・フリッツ監督『色情愚連隊』(えらい邦題がついてるなぁ)、トマス・シャモニ監督『アイン・グローサー・グラウブラウワ・フォーゲル』(imdbによると、『ボトム』は仮題とのこと)の予告編、レオニダス・キャピタノス『クリーム』全編を見ることができた。おそろしい。サンテレビの午後の映画劇場で放映されないかな、と番組欄を見ていた頃を懐かしく思う。

 きょうは出かけるつもりでいたのだけど、午前中の用事を片付けて、ごはんを食べて、横になったら、起き上がることができなかった。猶予があるとあかんね。もろもろのハードディスクの整理など。録画したものの整理もしたけど、クラシック音楽の番組は途中で、あ、これは好きなやつだと思い、そこから録画し始めるので、切れ端ばかりで、DVDに落とすかどうか迷って、ハードディスクに溜まっていっている。夜中のドラマは、見る時間がないのと、起きていられず、録画そのものを忘れてしまうことがあり、続かない。

 9月8日19時8分付けのメールで、ザ・ジスト "HOLDING PATTERN" のデジタル版リリースのお知らせが届いた。気付いたのはきょうの昼で、早速、音だけダウンロードした。盤の発送については未だ何も。詳細は不明だけど、コーラスのミックスの加減か、どこか遠くで鳴っているようなかんじだった "EMBRACE THE HERD" と比べて、むしろメリハリがはっきりしていて、ファンキーな印象すらある。

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2017 Kijima, Hebon-shiki