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2017年8月6日〜2017年8月12日


8月6日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2017年8月6日】
 午後から京都だったのだが、暑さのため、自転車も河原町も諦めて、直接、左京区まで電車で。京阪「神宮丸太町」で降りて、「誠光社」にまず。「誠光社」でも「ホホホ座」でも「恵文社」でも「三月書房」でもそうなのだけど、そこでしか見つけられない本がありすぎて、買う段になると、欲しいかどうかに加えて、他で見つからないものかどうかで迷ってしまい、時間はかかっているのに、選択結果にいまひとつ納得できていないというかんじになるのが困る。あまり最初からつぎ込むこともできず。次に行くまで見送ったものを覚えていればよいのだけど。迷った末、岡本仁『ミュージックダイアリー』を購入。「カフェディモンシュ」店主発案で企画されたオムニバスアルバムのライナーノート代わりに添付されたエッセイを集めたものとのこと。このオムニバスアルバムシリーズのことは知らなかったのだけど、ライナーノート集好きとして。
 時間の余裕があれば寄りたかった「Hi Fi Cafe」発行の「NEW WORLD SERVICE」vol.21や「花椿」#816などフリーペーパーもここで入手することができた。

 「かもがわカフェ」で一服するか、先に移動するか、移動するのもバスか歩きかでいろいろ迷ったのだけど、時間があったので、歩き出してしまった。前に丸太町から白川通に歩いたときは、寺が密集している山道を越えるかんじになったけど、きょうはそこはやりすごして、住宅街から東へ移動するかんじで。歩いているうちにどんどん雲が厚くなり、ごろごろ言い出した。
 「ホホホ座」で、前回売り切れていた「架空」15号を。それと宮谷一彦『ライク・ア・ローリング・ストーン』も。店内に居るときに、少し降ったようだった。まだ時間が少しあるので、近くの喫茶店にでもと思ったのだけど、開いてない。いまにも降り出しそうだし、あまり離れたくなかったが、結局、北白川の交差点を越えてしまった。喫茶店で涼みつつ、とにもかくにも一服して、カバンを整理。
 また降り出していたけれど、折りたたみ傘をさして、錦林車庫前の「外」に急いだ。ら、開場10分前でまだひとりしか並んでいなかった。雨も着く頃には止んでいた。もう少し喫茶店でゆっくりしてもよかったかな。でも、涼しい風も吹いてきたので、それを楽しんだ。

 きょうは「かえるさんとシブヤくん in 京都」と題されたかえる目の細馬宏通さんyumboの澁谷浩次さんの共演ライヴ。第1部は交互にそれぞれのレパートリーが、第2部は仙台「火星の庭」での共演のたびに蓄積されてきた共作曲が演奏された。澁谷さんのソロをナマで聞くのは初めてか。『鬼火』収録の「薬のように」で始まったのだけど、アコースティックギターと高柳あゆ子さんのヴォーカルで奏でられたyumbo版に対して、ピアノと澁谷さんのヴォーカルによるソロ版は、コードの連なりがもたらす鎮静作用がより感じられた。細馬さんは造船所の歌などカバーをはさみつつ。サン・ホセへの道をたずねる歌では、たずねる様子も伝わってきて、ひょっとしたら、プレザント・ヴァレーについての歌が作者たちの念頭にあったのかもと想像したり。トーク&ライヴと言ってもいいくらい、おふたりの間で交わされる話が面白い。

 共作曲は、一方が作詞、他方が作曲というものだけど、澁谷さんの詞がより具体的で諧謔味をもったものに、細馬さんの詞がよりちょっと聞いただけでは何のことを歌っているのかわからないものになっているようで、相互の作品の批評がベースになっているようなかんじもあった。各年から1曲ずつピックアップし、最後に今年作られたという4曲を。澁谷さんは昨日東京で披露しているけれど、細馬さんは初めて演奏する曲もあったそう。ここでも、曲作りをめぐって交わされる話が楽しかった。アンコールは、細馬さんによる孤独の持ち主についてのめちゃくちゃ力が入っているのに脱力してしまうカバーで締めくくり。

 澁谷さんのソロでも披露された、喧嘩のあとに作られた3曲を収めた『衝突トリロジー rehearsal versions』CD-Rを購入。2017年7月21日に「火星の庭」で行われたyumboのリハーサルで録音されたものとのこと。

 雨は止んでいた。5系統のバスで河原町まで行き、帰宅。特急がちょうど停まっていて、座ることもできたのだけど、隣に座ったのがこちらに足裏を向けるように足を組んだうえに、やたらとソファを手で叩く。なにやら呟いたり、わたしが開いていた本を覗きこんでいるようなかんじもあったので、なんやねんな、かまってほしいのだろうかと思うと、耐えられず、乗り換えの各停が向かいに止まっている駅で降りたら、まだ桂だった。えらく長く各停に乗ることになってしまった。うーん。コンビニのイートインや駅の休憩コーナーでも、他にいくらでも空いているのに横に来て、こちらに半身を向けて座るのが居て、気詰まりになることに閉口している。

8月7日(月)
[一回休み]
8月8日(火)
[一回休み]
8月9日(水)
[一回休み]
8月10日(木) 【▼ぐりぐらメモ/2017年8月10日】
 月曜日は、進行速度が遅く、うろうろしている印象の台風5号が近畿に接近。朝、雨戸を閉めて、駅まで歩いて、と台風モードで一日を始める。昼過ぎには、15時までに退社するようにとのお達しが出た。15時には和歌山に上陸したとの報も。…なのだが、フレックス扱いというので、排出量取引的にノー残業でやっている者には、ここで帰ると、返すあてのない借金になる。という訳で、いつもどおり、定刻まで。電車が止まったら止まったで、ま、その程度なら、と。帰る頃も、電車はとまらず、雨もそんなに強くはなく、地下道の冠水もしていなかった。日曜日に忘れていて、「会社帰りだと覚えているのにな」と思っていた買い物は、忘れた。

 帰宅すると、日本に来た海外のひとを空港でつかまえて密着取材するテレビ大阪(テレビ東京)の番組『YOUは何しに日本へ』で、大貫妙子さんのレコード探しにきたひとがクローズアップされるという報が。もう始まっているけれど、あわてて録画を始める。あとで見た。youtubeで「くすりをたくさん」を聞いて感激し、『SUNSHOWER』のLPが欲しくなったとのこと。入った店がジャズ専門店だったのだが、テレビの取材ということで、ちょうど入荷したばかりのコレクターの放出品を見てみますか、ということになり、段ボール箱をあけはじめて20分で、発見となった。ぱたぱたとめくっていて、出てきたときに、見てるこっちも力が入ってしまった。瞬間に二度見を何度もやってるな、きっと。えらい喜んでた。よかったねー。一万円とのこと。『SUNSHOWER』だけ買ったかんじだったけど、あれは番組上の演出ではないだろうか。他にも三上寛さんの『BANG!』などをピックアップしてレジに持っていってたから。テレビ取材に協力してのことだから、他のは売らなかった可能性もあるが。

 うちにある『SUNSHOWER』は、1984年に『GREY SKIES』とのカップリングで出た廉価版2枚組なので、まったく胸を張れない。そういうの多いです。ピンク・フロイドの "A NICE PAIR" とか。廉価版といっても4000円だったから、2枚で1000円安いくらいなのだけど、働き始める前だから、それでもありがたかった。それと、ジャケットデザインがすごく好きで。大貫さんの写真も書体もデザインも色合いも。
 大貫さんのことは、『GREY SKIES』が発売された頃に雑誌で見ていて、その後も少しは耳にしていたと思うのだけど、アメリカン志向の洗練された都会派のイメージで、積極的に聞いてはいなかった。シュガーベイブや山下達郎さんも同様。はっぴいえんどは聞いていたけど、系譜として結びつけてはいなかった。聞くようになったのは、高校のときの友人、Tの家に遊びに行ったときに、「きじま向けだと思う」と『romantique』(1980年7月)を聞かせてくれたことがきっかけ。彼の念頭にあったのは、YMOサウンドの「CARNAVAL」だと思うけど、ぐっときたのは、その次に入っている「ディケイド・ナイト」。やさぐれた風景を醒めた視線でとらえたひえびえした音にひきつけられた。その次の「若き日の望楼」もよいけれど、それを聞きながら、Tが「こんなん卑怯や」と言っていたのが強く印象に残っている。音も詞もよいと思わざるを得ないということだと思う。で、次の『Aventure』(1981年5月)は期待をもって発売時に聞き、期待どおりの充実作だった。めちゃくちゃ個人的な話をすると、4月に高校のときの同窓会があって、(改めて)振られた直後とちゃうかったかな。『CLICHE』(1982年9月)、『SIGNIFIE』(1983年10月)がそのまま学生時代に重なっている。前述の『GREY SKIES/SUNSHOWER』は大学の生協で買ったと思う。そうだ、『EARLY TIMES 1976-77』(1981年12月)という編集盤も買った。いまは無き隣市の駅前のレコード店で。坂本龍一さんの「サウンドストリート」(の矢野顕子さんがピンチヒッターで担当された回ではなかったか)で聞いたシングル曲「明日から、ドラマ」と「部屋」が気に入っていて、それで。この時期に出ているということは、『romantique』『Aventure』が好調だったということだろう。「部屋」はシングルのB面で、A面は『SUNSHOWER』のタイトル曲なのだけど、シングルはアルバムよりも軽やかな別テイク。『EARLY TIMES 1976-77』には「サンシャワー」も入っているけど、シングルテイクではなく、アルバムテイクなのが残念だった。シングルテイクも、「サウンドストリート」でかかったのではなかったか。一緒にではなかったけれど、「明日から、ドラマ」や「部屋」ともどもエアチェックしたものを繰り返し聞いていた。

 というような「きじまさん情報」はツイターのようなところに書いてもしょうがないから詳しくは書かないけれど、「思い返した」という記録として。

 今週の定額制配信は、ゲイリー・ウィンド "DOGFACE"。"DOGFACE" と "DEEP WATER" のカップリングCDが知らない間に出ていて、検討のため。ロバート・ワイアット、トッド・ラングレン、NRBQといった好きなひとたちと一緒にやっているひとだけど、サックス奏者ということもあり、いまひとつ個性がつかめない。"DOGFACE" はそうしたさまざまな交流を集めたところがあって、やはりつかめない。遺作 "STEAM RADIO TAPES" も知らない間に復刻されて、知らない間に入手困難になっていたのだけど、それも配信版はあるので聞いてみよう。

 仕事場は今日から、事業場休業に伴い、有給休暇として、休み。部屋の片づけに勤しみながら、最近買ったアナログ盤を聞く。と、その前に、『SUNSHOWER』や『EARLY TIMES 1976-77』も。関根真理「midori」b/w「ao」は、一人多重録音によるエキゾチカ。アルバムで欲しい。Gofish「肺」b/w「ピアノのまわり」、A面の「肺」はゆっくり息を整えるかんじの曲。コーラスは誰だろうと思ったら、イ・ランさんだった。B面はポップスをやってみましたというかんじでまだピンとこない。ゑでぃまぁこん+高橋幾郎「ストロボ」b/w「交信」は、効果音も配した短編映画のような2曲。「ストロボ」の録音は初めて出たのかな。

8月11日(金)
[一回休み]
8月12日(土)
[一回休み]

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2017 Kijima, Hebon-shiki