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2017年5月28日〜2017年6月3日


5月28日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2017年5月28日】
 土曜日は、長岡京での「天神さんで一箱古本市」を覗くことを口実にプチ放浪。きょうは阪急「水無瀬駅」で自転車を借りて。古本市を覗いたあとで、京都市に入ることを計画していたのだけど、入ったとしてもしばらくは寄るところがなさそうなので、折り返し時刻を考え合わせた結果、「向日町駅」までで引き返した。走りながら、歩きなら通ったことがあったなと思い出した。
 西国街道を通ったり離れたりしつつ戻る。あちこち寄ったけど、何も買わなかったので、書かないでおく。

 折り返すまでは、ずっと走りながら、片方の耳で、金曜夜のラジオ関西「夜のピンチヒッター」を聞いていた。なんだか毎回外で歩いたり、走ったり、移動したりしながら聞いているような気がする。
 今回は19時からだったので始まって間もなく帰宅した(実を言えば、乗換駅を寝過ごして予定よりも遅れた)のだけど、radikoが東京につながっていて、リアルタイムでは聞けなかった。夜は午前中の「FM OH!(FM大阪)」「hug+(はぐたす)」の留守録を聞いていた。先週のビバ☆シェリーの公開録音が流れるということだったので。その他ではJ-POPバンドのcannaをひさしぶりに聞いて、やっぱりちょっとええなと思ってしまうところがあった。J-POPだけど。corneliusの「あなたがいるなら」もかかって聞くことができた。これならシングルで持っておきたかった、かも。にじりよるような、淡々としつつも、反転するだまし絵の如く。「夜のピンチヒッター」でもかかりました。

 件の公開録音では、もうひとり、18歳のシンガーソングライターが出演していたのだけど、ご本人は話しぶりとギャップのあるしっかりした歌の持ち主だったのだけど、常連ファンとおぼしきひとたちの幟に愕然。臆面もないアイドル視。歌を聞くのにまったく必要ない。交渉の一様式として許容されるべきなのだろうか。そうした様式が必要とされ、共有されているところではいいのかもしれないけれど。

 木曜日の仕事帰り、一駅分でたらめに歩いていたら、ひさしのテントと軒先に置かれた看板がちがっている店があって、おやっと思ったら古本屋のようだったので覗いてみた。玩具や小物も雑然と並べられているけれど、ちょいちょい珍しいものが混じっている。珍しいものは店主の私物だったものだろう。石森章太郎『竜神沼』(サンコミックス)を買った。石森作品に親しんでいた頃、少女漫画作品集ということで手が出ないまま手に入れ損なったもの。最初に、石森さんによる担当編集者、丸山昭さんへの謝辞が、巻末にはその丸山さんによるエールのような解説が付いていて、パーソナルな自選集の趣きもある。(ツイターで、巻末の解説を書かれている高山英男さんについて、誤って元「少女クラブ」編集部と書いてしまった。古い本なので、つい、全開しないように読んでいて、途中で丸山さんの文に変わっていることに気付かず、「少女クラブ」編集部に居られたのだ、と勘違いしてしまって。すみません。高山さんはこのときは「現代子どもセンター事務局長」です。ツイターの書き込みは削除した。訂正することも考えたけど、流れていってしまうものなので、間があいてしまうと、もういちど同じ話を持ってくることに気が引けてしまって)。

 勘違いと言えば、ヤング・マーブル・ジャイアンツ "COLOSSAL YOUTH" の謝辞に明記されている "Nixon"、今の今までリズムボックスのことだと思っていたのだけど、「33 1/3」本によれば、スチュワート・モクサムがライヴにも連れてきていたという愛犬の名らしい。第4のメンバーという話はどこかで読んだ気がして、それならリズムボックスのことだろうと思い込んでしまっていた。恥ずかし。

 鉄道会社の都合で、通勤定期を「更新」せずに新たに買い直す必要があったのを機に、磁気カードからICカードに変えた。のだけど、区間外の乗り継ぎのしかたがよくわかっておらず、不安が残っている。きょうも、出かける予定にしていたのだけど、定期の運用を明日からにしていたことで、ICカードはチャージしても使えなかった。期間外なら、ただのプリペイドカードになると思ったのだけど。
 という訳で、切符を買えばよいのだけど、行き先を変更できない状態でそこそこの切符代を「前払い」することに迷いが出てしまった。あとから精算するのでも、出ていくお金は同じなのだけど、「結果」だからだろうか、清算のほうが抵抗が少ない。定期の運用が始まればこれまでと同じになるのだろうか。慣れるまでの話か。でも、きょうのところは、ICカードにしたことで出かける気が挫けてしまった。午後は、隣の市まで歩いて、うろうろしただけで帰ってきてしまった。
 途中、Wi-Fiが使える店でしばらく休憩しながら、ビートルズ "Sgt. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND" 50周年記念版の2枚目をつい定額制配信で聞いてしまった。たまたま入った店でBGMとしてかかっていた、という「てい」で。で、1枚分まるまる聞いて、2枚組版(いわゆる竹)を買おうかなと考えていたのだけど、とりあえず、少なくともすぐには買わないことに決めた。作業中のものだし、その様子は "ANTHOLOGY" で既に耳にしているから。「松」のほうなら、資料として聞けるかもしれないけれど、高価。うーん。というようなことも、わざわざツイターには書かない。特に有益な情報ではないし、アピールする必要もないし、買ったひとへの批判のように受け取られることも望まないので。

5月29日(月) 【▼ぐりぐらメモ/2017年5月29日】
 ミサイルとNHK-BS『ひよっこ』の顛末を気にしながら、いつもより早めに出た。ICカード定期券は何事もなく無事に(二重表現)改札を通過した。昨日の改札拒否(んな大層な)が効いていて、実際に通るまで半信半疑でした。行きは財布から出して、帰りは財布から出さずに。おお、通れる。できるだけICカード専用改札を通ります、と誓いながら。いや、その、ICカードのひとが、ICカード専用改札が空いているのにIC/磁気共用改札を通ろうとすることを残念に思っているので。

 帰りに駅前のコンビニで、通販到着物の受け取り。CDが1枚、本が1冊。CDはオランダのデュオ、バウアー Bauer の "BAUERESQUE"(2004年)、本はジョー・ボイドの回顧録 "WHITE BICYCLES: Making Music in the 1960s"(2006年)。
 バウアーは、ソンニャ・ファン・ハーメルのことを知って、調べて、参加していたユニットということで聞いてみたくて、ずいぶん前にいちど注文を入れたことがあった。のだが、届かないまま、たぶんキャンセルされてしまったのだと思う。キャンセルしましたというメールを見た覚えもないのだけど。思い出したように、というか思い出して検索をかけたら、前述の通販サイトとは別なのだけど、1枚在庫があるとあり、あわてて発注した。だから、これも届くかどうか半信半疑だったのだけど、何事もなく無事に届いた。思い出したのは、"Sgt. PEPPER'S" のおかげと言えなくもない。スティーヴ・ヒレッジの "Getting Better" を聞きたくなり、安易に定額制配信で検索をかけたところ、バウアーが表示された。同名異曲の "It's Getting Better" という曲があるからでした。定額制配信にあるのかと思って、アルバムまるごと仮DLして聞いたら、やっぱりよくて。ツイターで検索をかけても、日本語でソンニャ・ファン・ハーメルのことを話題にしているひとが他に居なくて、相性でしかないのか、と落胆しているのだけど、好きなんだからしょうがない。ほいでダメ元でまた通販サイトで検索をかけたという次第です。ちなみに、ウェブ全体で検索をかけても、ソンニャさんについての日本語で書かれた記事は、全日本コーヒー協会のサイトにあるコーヒー好きのグラフィックデザイナーとしてのものだけです。

 バウアーは、ベルベット・アンダーグラウンドの影響下にあるギターポップバンドとして、そこそこ知られていたベティ・サーヴァートのメンバー、ベレンド・デュッベ Berend Dubbe のソロプロジェクトとしてスタート。最初のアルバムのデザインを手がけたグラフィックデザイナーでもあるソンニャ・ファン・ハーメルがその次から参加してデュオになった模様。解散して、ハーメルはソロに、と思っていたのだけど、今回検索をかけて、去年の暮れに新しいアルバムを出していることを知った。デュッベのソロのようなかんじだけど、ユニットとしては、新しいパートナー、グウェン・トーマスとのデュオとして活動しているみたいです。
 デュッベの曲もハーメルの曲も、収まりがわるくて、不安なかんじを残したメロディなのだけど、点々と絵の具を置いていくようにしてできた連なりをたどっていくうちに、腑に落ちるし、鮮やかに見えてくる。ポルタメントを多用することも関係があるかもしれない。ハーメルのソロからもうかがえたけど、ディヴァイン・コメディやハイ・ラマズに通じる感覚があります。

5月30日(火)
[一回休み]
5月31日(水)
[一回休み]
6月1日(木)
[一回休み]
6月2日(金)
[一回休み]
6月3日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2017年6月3日】
 服も部屋も衣替えということで、あれこれまとめてクリーニングに出したり、カーペットを干したりと、少しだけバタバタ。買い物の帰りに、自宅とスーパーの途中と言えば途中にあるコンビニで通販物の引き取り。思惑どおりに、土曜日に届いてくれて、穏便に引き取ることができた。以前、自宅最寄駅と自宅の途中と言えば途中(さっきからなんだというかんじですが、どちらも少し遠回りしなくてはならないので)のコンビニを指定していたせいで時間がかかってしまい、何処かに寄ったのではという疑惑を招いてしまったのでした。土日に届かなければ、仕事帰りにかなり遠回りしなくてはならなかったのだけど(ゆるいクイズの問題か。答は、駅、コンビニA、自宅、コンビニB、スーパーの順)。

 届いたのは、新津章夫『I・O(イオ)』とマイク・ウェストブルック・コンサート・バンド "MARCHING SONG"(Vol.1、Vol.2、ボーナスディスク "WHEN YOUNG")。新津章夫のことはまったく知らなかったのだけど、ラジオ関西「夜のピンチヒッター」インストゥルメンタル特集で、安田さんが選曲をしていると、目に付くところにこのアルバムが置かれていたため、「忖度して」かけたという「オレンジ・パラドックス」がとてもよかったので、ちゃんと聞きたくなった。1978年発売で、2003年にCD再発されているというのだが、某通販サイトだと高い値を付けた中古盤しかなく、廃盤かとうなだれていたら、再発した「ブリッジ」のサイトでは廃盤表示がなかった。で、廃盤扱いになっていない別の通販サイトを探して、ダメ元で発注した次第。
 早い段階で発売予告を知ると、発売される頃には忘れてるということがよくあるのだけど、そのひとつだったマイク・ウェストブルック・コンサート・バンドの1969年作品をまとめたものを一緒に注文した。"MARCHING SONG" は気になりつつも、なかなか手が出なかったアルバムで、今回は文庫版セット(廉価盤ボックス)のフリをしつつ、シングルバージョンと関連未発表録音を付けるという充実した編集になっている。

 通販箱をかばんに放り込んだまま、軽く昼食をとった後、外出。14時からの「横尾忠則現代美術館」でのAyuoさんのトーク&ミニライヴ「子どもの目から見たサイケデリック文化」を聞きに、王子公園へ。電車の中で、通販箱を開封して、新津章夫『I・O』が横尾忠則さんのアートワークであることを知った。ICカードにしてから初の乗り継ぎなので、ひやひやしつつ、自動改札に。出られた。
 「横尾忠則現代美術館」では「ヨコオ・ワールド・ツアー」と題して、横尾さんが海外での出会いや刺激に触発された作品展を開催中。転機のひとつと言っていい、1968年のニューヨーク行きの際、母親が現地コーディネーターをしていた関係で、小学生のAyuoさんは横尾さんと出会い、当時、一緒にコンサートによく出かけたという。Ayuoさんの小学生の頃の話は折に触れて読んでいて、やはり交流から早熟だったのだろうなと思っていたのだけど、きょうの話では、ニューヨークで子供が地域から隔離されたのは危険になってきた80年代からで、それまでは普通に子供の周囲にロック文化があった、ということだった。ドアーズがアイドルだったというのは、シングル盤と写真だけで接している少女たちの間でのみかと思っていたけれど、そうではなく、コンサートにも入れたし、行っていた、と。ニューヨークでは、なのかもしれないけれど。マリファナやLSDといったドラッグは現在よりもオープンなものだったとも。ただし、アメリカでそうだったのは、冷戦の中で、東側には自由を宣伝するため、自国の若者には戦争から目を逸らせるためという目的があった可能性もいまでは指摘されていると話されていた。
 ライヴは沢田穣治さん(ベース)とのデュオで、朗読とコーラスに田沢麻紀さんが参加。エレクトリックウクレレでグリッサンド奏法を聞かせたり、シド・バレット(Ayuoさんは「シッド」と発音されていた) "Late Night" をカバーしたり、近年取り組まれているという読み聞かせのような曲を披露したり。短い時間の中で、過去の作品を思い起こし、現在の作品の片鱗をうかがわせるものになっていた。

 テーマがヨコオファン向けかなと思って、今日は展示のほうはええかと思っていたのだけど、話の中で、横尾さんの愛聴盤72枚を並べたコーナーがあり、そこからAyuoさんが選曲して、流しているということを聞き、覗いていくことにした。ポップアート、ビートルズとインド、レコードジャケットの仕事など、関連の他者作品も含めての展示。ジョン・レノン "JOHN LENNON/PLASTIC ONO BAND" の内袋に、ジョンのサインが入っているのだけど、"To Yoko with Love" とあり、続けて、"To Yokoo, too" とある茶目っ気が楽しい。愛聴盤コーナーは、3階入口脇の小部屋。クッションが置かれていて、くつろげるようになっていた。愛聴盤の半分はうちにもあるもの。ビートルズ、ピンク・フロイド、タンジェリン・ドリーム、ラヴィ・シャンカール、アリ・アクバル・カーン、フリー、サード・イヤー・バンド、ロキシー・ミュージック関係が多かった。ビートルズメンバーのソロでは、ジョージ作品が多めであることに納得してしまう。音楽は天井埋込型スピーカーから流れていて、もやっとした音だけど、ニコやイエス、フリー、キャット・スティーヴンスと続くので、楽しく聞いてしまい、なかなか立つことができなかった。

 17時からの回は遠慮して、少しあちこち寄ってから、王子公園を後に。鉄道のICカード、圏外からの乗り継ぎについて駅で訊ねた。切符だと清算できないので、やはりチャージした上で、ICカードで入ってください、とのこと。残額は改札を通過するときに改札機に表示されるだけなので、覚えておかなくてはならないのが面倒だけど、ちゃんと定期区間外からの計算になっていた。

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2017 Kijima, Hebon-shiki