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2017年4月30日〜2017年5月6日


4月30日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2017年4月30日】
 西院で作った「阪急レンタサイクル」の貸出カードが、上新庄駅でも使えるらしいということで、上新庄駅で降りて、自転車を借りた。上新庄と言えば、「ミュージックボックス」という中古盤店があった。閉店したり、再開したりしつつ、今はない。駅前のビルにあった頃はポイントカードまで持っていた。その頃は通勤途上だったのだな。
 今日のテーマは、服部緑地まで行けるかどうか、どれくらいで行けるか、どんなかんじで行けるかの確認。地図の上では行けそうでも、行き止まりになっていたり、坂がきつかったりということがあるので。所要時間は40分くらいだろうか。北大阪急行沿いの坂はきつかったけど、ルートによっては楽なところがありそう。

 「Blackbird books」という気になる店があるのだけど、場所を控えていくのを忘れて、失敗。あのあたりはマンションの森のようなものなので、ちょっと走ってみれば見つかるという気がまったくしなくて。

 走りながら、「夜のピンチヒッター」第6シーズン初日の留守録を聞いていた。定額制配信に加入してから、オンラインでのファイル転送が面倒になったので、ラジオを直接持って、右耳用がもげてしまったイヤホンで。初めて通しで聞いた「春ラ!ラ!ラ!」の歌詞に疑問符だらけになったり、水前寺清子の「ありがとう」主題歌の初期バージョン(と思われるコンセプトアルバムの一曲)が聞けたり、石野卓球作のハリウッドザコシショウの曲に丸尾末広の漫画を思い出してしまったり。30分間違えていて急遽選曲されたというチャック・ベリーのカバー特集では、ウィルソン・ピケットの "Memphis, Tennessee" がよかった。ニーナ・シモンはやっぱりちゃんと集めよかな。

5月1日(月) 【▼ぐりぐらメモ/2017年5月1日】
 間借りしている仕事場が休みで、かつ、去年のようにひとりでこつこつやりたい課題もなかったので、有給休暇をとった。タイミングが合わなくて見に行けていない映画に、と思ったら、気になっていた作品の多くが上映が終了していた。調べると、梅田「ガーデンシネマ」で『[牛+古]嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』で上映されていた。1991年の初公開時にも映画館で見ているけれど、今回はデジタル処理で修復を行っているだけでなく、そのときにカットされていたらしい約50分を戻した香港での公開時のノーカット版ということで。それにしても、長い間見ていないということはあるにしても、印象深い作品であったにもかかわらず、こんなくだりあったっけと思うところ多し。初めて見たときは、少年少女たちの動きを追い過ぎていたかもしれない。と思って、帰りにパンフを開いたら、『ハッピー・アワー』を監督した濱口竜介氏が「どうしてこんなにも忘れてしまうのだろう」という一文で始まる評論を寄せていた。いまとなっては、うすぼんやりとであったことが判明してしまったけれど、まがりなりにも結末を知っているから、個々の出来事に注意を向けることができたのかもしれないとは言え。
 中国本土から国民党派が移住してきてから十年が過ぎた1960年代初めの台湾。そうした外省人の家に生まれた少年少女たちの生活や抗争を描きながら、さまざまな対立や過去のしがらみに絡めとられている姿を描いている。記憶から抜け落ちていたのは、主に大人たちの事情で、父親の拘留や暗闇の中で行われる大がかりな襲撃の顛末など、確実に結末へと主人公を追い込んでいる出来事について、無頓着であったことに自分でも驚いた。懐中電灯とともに、繰り返し触れられる古いラジオについては、初公開時にカットされていたエピソードとのこと。懐中電灯と同様、未来へと開くものであるとともに、壊れたり失われたりする運命にあるもののようだった。主人公はどこにも属していないゆえに、弾き出される。どこにも属していないことが存在理由だったのだ。

 梅田に着いて、(満員札止めになると思っていたから)先に映画のチケットをとってから、戻って、レコード店を回ったのだけど、あれば買おうと思っていたものはことごとく無かった。
 帰宅すると、注文したことをすっかり忘れていたフランスのバンド、オブジェ Les Objets の2枚のアルバム、"La NORMALITE"(1991年)と "QUI EST QUI?"(1994年)をまとめた2枚組CD "L'INTEGRALE" が届いていた。餞別コンピに、オリビエ・リボーを選曲したあとで、中古盤店でフランスの別バンドのCDを見かけて、オリビエ・リボーが居たのはこのバンドだったっけと思い、確認のため調べたら、勘違いであったことと共に、この編集盤が去年出ていたことを知って注文したのでした。モノクローム・セットのカバーを含むシングルB面2曲、2作目録音時の未発表曲1曲が追加されている。1枚目は「WAVE」で推していた記憶があるけど、ネオアコやスミスの影響が強く、当時は食指が動かなかった。ルドヴィック・トリエールが実はオリビエ・リボーという名であることを知り、そこからこのバンドのことを、そう言えば、そんなバンドがあったと思い出した。機会があれば聞いてみようと思っていた。

5月2日(火) 【▼ぐりぐらメモ/2017年5月2日】
 岡崎公園「細見美術館」での「杉浦非水 モダンデザインの先駆者」展を見に京都に。明治末期から昭和初期にかけて活動したグラフィックデザイナーで、三越百貨店などの広告、雑誌や書籍のデザインを手がけている。スケッチや旅行の際に資料として持ち帰ったメニューや時刻表(表紙はカッサンドル)なども合わせて展示されている。当時の表現方法ではあるのだけど、構図が作り出す空気の澄んだかんじとどこか物憂げな人々の表情が印象に残る。6月11日まで。愛媛県美術館での展覧会の際に制作された図録と百色折紙を購入。

 帰りにあちこち。誠光社は中央の棚のレイアウトが大きく変わっていた。「JETSET」には、「レコ屋の日」商品で気になっていたジョウ・ヘッドのベスト盤が残っていないか覗きに。無かったけど。記念品みたいなものなので、どうも残りを通販してまでという気にもなれず。数曲youtubeで見て気になっていたビル・ウェルズのユニット、ナショナル・ジャズ・トリオ・オブ・スコットランドの "CHRISTMAS ALBUM" のアナログ盤があったので、買うことにした。楽しいクリスマスソングがことごとく物憂げなものに変貌していて、切ない。いつも扱っているのかどうか記憶になかったのだけど、「フリースタイル」誌の35号があったので、それもここで。
 未練がましく、河原町OPA内のタワーレコードにも。やはり無い。でも、前日見つけられなかったもののひとつであるドゥルッティ・コラムの "domo arigato: live in japan" のDX版があった。1985年に発売された同アルバムとビデオ(DVD)に、素材を改めてミックスし直した全長版20曲に1984年の「Music Epave」のときの録音8曲を加えた2枚のCDを加えた4枚組、なのに3000円。カットされた曲の中には、"Party" や "Never Known"、"Conduct" といったものも含まれている。購入特典でポストカードがついていた。別にポストカードなんてと思ったのだけど、"LIVE At VENUE" のジャケに使われていた写真だったので、少しだけぐっときてしまった。ミーハーや。 

5月3日(水)
[一回休み]
5月4日(木) 【▼ぐりぐらメモ/2017年5月4日】
 前日の夜更かしが原因だと思うけど、風邪気味で終日頭痛。なだめながら、データ整理や半径1m整理。
5月5日(金) 【▼ぐりぐらメモ/2017年5月5日】
 大阪のディープサウスへ。立ち呑み屋でのライヴを覗いてみようかなという気持ちもあったのだけど、店の前まで行って、あまりにストレートに立ち呑み屋だったので、呑まない身にはハードルが高く怖じ気付いてしまった。そのまま、阪堺電車に乗って、もうひとつの目的地である我孫子に直行した。用事らしい用事ではないのだけど、事前にいろいろ確かめておく必要があって。用事を済ませたあとは、「大友良英のJAMJAMラジオ」ポッドキャスト版を聞きながら、付近を散策。大和川を越えて堺に渡ったところで、「北花田駅」から地下鉄に乗って帰った。
 「北花田駅」にはイオンと阪急が合体した要塞があり、雨合羽を調達しようと思って寄ったのだが、探し出せなかった。
5月6日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2017年5月6日】
 「服部緑地公園野外音楽堂」での「祝春一番2017」第3日に。今年も見事に聞きたいひとたちがばらけていて、迷った末の最終日だったのだけど、週間予報で早くから「雨」となっていた。ほんのりとぱらつきつつも、到着するまでなんとかもっていたのだけど、最初の弦楽五重奏団、オーケストラめいろの演奏中に突然大粒の雨が降ってきて、わらわらと身支度することに。結局、雨合羽を調達することができなかったので、ゴミ用の大きなビニール袋を3枚持っていき、上、膝、カバンにあてて、しのいだ。ただ、ほどなくして小降りになり、その後はぱらついたり、やんだりを繰り返すも、土砂降りは免れた。

 ハルイチは盆ではないけれど、なんとなく郷里で祭りに顔を出すといった風情になっている。地元の知り合いに会うかのごとく、ひさしぶりに中川五郎さんや沢知恵さん、小谷美紗子さん、ハンバートハンバートや夕凪の演奏を聞いていた。若い衆に引き継がれつつあるかんじもあった。おそらく、そうした若い衆のファンや友人たちと思われる年齢層も客席に多く、ちびっこたちの姿も多かった。世代交代という言葉が浮かぶ。
 若い衆で印象に残ったのは、以前も「祝春一番」で耳にしたROBOWとリトルキヨシ氏。ふだん聞くタイプの音楽ではなく、ややこしいところはないのだけれど、ありがちなかんじもなく風通しよいかんじが新世代なんやなぁなどと隠居モードで思ったり。実際に、引き継ぎというか、ひとは死んでも歌は残るという意図が感じられる企画が最後に設けてあった。夕凪の演奏が終わり、残すは出演者リストにあったものの、他は記されているメンバー名がなく謎だったザ・ウィンドのみ。実体は、やはり若い衆で初出場のロックバンド、アフターアワーズにリトルキヨシ氏、ROBOWのメンバーがヴォーカルを担当するというものだった。最後にヴォーカリストとして登場したのは中川五郎さんで、徐々に出演者たちが加わっていった。
 福岡風太さんも触れられていたけど、客席からも、いつも見ていた顔が見られないということがあった。それだけ長い間持ちこたえてきたということでもある。
 世代交代とは言うものの。中川五郎さんの『どうぞ裸になって下さい』制作メンバーによる「どうぞ裸にトリオ」で出演された沢知恵さんのピアノと声の切っ先は鋭かった。迷いがない。というか、迷いがあったとしても、表に出すときにはそれを感じさせない。小谷さんはひと区切りを意識されていたのか、攻めるよりも居住まいを正すようなかんじだった。

 今回は、ビレッジプレスの五十嵐さんに前売券を確保してもらっていた。一緒に「雲遊天下」の最新号を受け取った。物販コーナーでは、村元武さんの新刊『プレイガイドジャーナルよ 1971〜1985』を購入。村元さんは、「春一番」に連なる動きを見てきたひとでもある。その辺りもきっと触れられているだろうと思う。「雲遊天下」も村元さんへのインタビュー記事がメイン。今回の出版に合わせて行われたのかと思ったけれど、南陀楼綾繁さんが2013年に行いながら未発表になっていたものとか。記事にするにあたって、考慮はされていると思うけど、基本的には本で書かれたことを前提としないインタビューになっているようです。ここでも、世代交代について触れられている。印象的なのは、村元さんがそれを「実験」と呼んでいること。世代交代は実験なのだ。

 服部緑地までの道のりは、雨の予報が出ていたので、事前確認したもののさすがに自転車は取りやめて、でも、いつもとはちがって、モノレールで千里中央、千里中央から北大阪急行を使って。帰りに、「blackbird books」を探すも、見つけられず。閉店時刻まで30分なかったので、せめて場所だけでもと思っていたのだけど。通りに番地の表示がほとんどない。各マンションの名称がわかる案内掲示板も見つけられなかった。

 帰宅すると、森雅之さんの『僕の金魚』が届いていた。1980年代半ばから90年代半ばにかけて、こども向け雑誌などに描かれた作品を集めたもの。200部限定は少なすぎるなぁ。
 漫画と言えば、伊藤重夫さんの『踊るミシン』新装版発刊のためのクラウドファンディングが立ち上がっているのを知り、一口(だけですが)乗らせてもらうことにしました。知ったときは目標額まであと一口というかんじだったので、ささやかながら、それだけにしたのだけど、その後も参加者が増えている。

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2017 Kijima, Hebon-shiki