目次に戻る

2017年4月23日〜2017年4月29日


4月23日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2017年4月23日】
 繁忙期がようやく過ぎて、定刻以降の予定は立てやすいはずなのだけど、それを見越して通院の予約を入れたりしていて、何もなかったら行ったのに、と悔やまれるライヴも。行くつもりだった村元武さんのトークショーは、片づけを始めていたところにかかってきた電話で捜し物をしなければならなくなり、間に合わず断念した。結局、その捜し物はどうやら「最初から存在していなかった」のだが、3年前の話で、その経緯を調べるだけでもそこそこ時間がかかってしまった。

 いつ来るかわからないけど来たらすぐに対応という案件が続くので繁忙期には中断を恐れて手を付けないでいた長期課題にようやく取りかかったことで、時間の調整はつくのに心が晴れないということもある。長期課題は、いろいろ思案しなくてはならないので、切り替えが難しく、勤務時間以外もどこかずっとどうしたもんだかと考えてしまっているので。いまだと休みがとれない訳ではないけれど、心が晴れないので、休んでもしかたがないと思ってしまうのだ。

 世を忍ぶ仮の定額制配信または通勤音楽。今週は、プレミアタ・フォルネリア・マルコーニ、PFMの聞いていなかったものをいくつか。聞いていなかったBBC放送用録音を集めた "PAPER CHARMS: THE COMPLETE BBC RECORDINGS 1974-1976" が何かの拍子に出てきたので。
 PFMのライヴ録音は、博多に居たときに手に入れた4枚組があるので、"COOK" の拡張盤もこのBBC盤も見送っていた。"PAPER CHARMS" に収録されている二つの録音の最初のほうは、75年のもので、"COOK" の別バージョンのような趣き。後半は76年の "CHOCOLATE KINGS" 発売時期のもので、メンバーも異なっていて、同じ曲で聞き比べると、演奏が高速化している。高速演奏の気持ちよさというものはあり、それを実現するために練習したり腕利きを迎え入れたりすることは、技術のひけらかしではないと思うけど、破綻気味のような気はする。
 "PAPER CHARMS" の後半を受けて、実はちゃんと聞いたことがなかった "CHOCOLATE KINGS" を。これはちょうどあれこれ聞き始めた頃に「新譜」として出たもので懐かしくはあるのだけど、当時はそれまでの「名作」を聞くことで手一杯で、手が出なかった。その次の "JET LAG" は「待ちかまえて」いたので、ラジオをはしごして聞くことができ、そのおかげでいまでも愛聴盤なのだけど、そこでも聞けるベルナルド・ランゼッティのヴォーカルは、ロジャー・チャップマンを思わせて、ファミリーを経由した今では違和感なく聞ける。スタジオ録音だと、高速演奏にもうねりが感じられるし、ミニマリズムを思わせるところもある。ただ、それまでの「PFMっぽさ」を高速化したという印象はずっと拭えなかった。"Out On The Roundabout" が良かった。
 で、勢いをつけて、もう随分前に無くなってしまった市内の中心部にあった古本屋にずっとあって、見かけるたびに一応思案していた "MISS BAKER"(1987年)もあったので聞いてみた。…買わなくてよかった。「そして3人が残った」ジェネシスを思わせるポップカンツォーネ路線でした。なんでこうなったのだろう。途中の作品も聞いてみなくては、と思いかけたけど、そういう聞きかたはよくないな。

 金曜日。自宅最寄駅近くの駐輪場から細い道を通って広い道に出るところで少し段差があって降りる形になるのだけど、降りようとしたところで、右手から無灯火の自転車が来ていることに気付いて、あ、と思って急ブレーキをかけた…ら、勢い余って前のめりにひっくり返ってしまった。ハンドルは握ったままだけど途中で飛び降りたので、倒れた自転車に覆い被さるかんじになった。左手と左膝で衝いて、なんとかふんばったけど、膝は少し擦り剥き、自転車のカゴはひしゃげてしまった。
 土曜日、昼の買い物のついでに自転車屋にカゴを替えてもらいに行った、ら、後輪もつるつるなので替えたほうがよいという。ううむ。思わぬ出費。車体も少々軸がずれたりしていたようで、修理に時間がかかり、昼過ぎまで外出できず。

 土曜日。「レコード屋の日」ということで、心斎橋周辺の行ったことのない店を中心にレコード店を回ってみることにした。「レコード屋の日」というのは、ごくごく一部の店で、ごくごく少部数のイベント用アイテム(アナログ盤)が販売されるといベルナルド・ランゼッティうもので、正直なところ、題目どおりのものになっているとは思えない。レコード市のような形にして、イベント用アイテムは運営側が販売し、イベント運営費に回す見本市スタイルのほうがいいと思うけど、「レコード屋に行く」という趣旨に沿わないか。
 という訳で、基本、イベントには関係のない店を回っていたのだけど、一応、イベント参加店も一店だけ寄ってみた。気になっていたアイテムは見当たらなかった。気にはなっていたので見たら気が変わるかもと思ったものはあったけど、あまりに値が張るので気が変わらなかった。ブームだとは言うけれど、昨今のアナログ盤はとても高い。サントラになると、好事家向け価格と相まって、往時の倍くらいする。意気に感ずるところがあればいいのだけど。
 アオツキ書房で、TONGS Internationalから3月22日に発売された7インチ2枚、エマーソン北村&浦朋恵「飲み歩くおばけ」b/w「消えた赤バス」、イコマ「山ちゃんの朝は早い」b/w「アイスバイン」、「ミツザワ通信 栗鼠 春号」を購入。
 それと、別件(というのもなんだけど、フリーペーパー入手目的)で寄ったNU茶屋町のタワーレコードで、ジェフ・パーカー "THE NEW BLEED" の日本盤を。map小田さんのツイートがきっかけで聞いてみたら、ソフトマシーン "6" meetsヒップホップの趣きでとても気に入ったのだけど、定額制配信だと、うしろめたくて、聞くたびに借りが増えてる気分になっていたので、日本盤が出たのをよい機会だと思って。ところで、それ以前から一応探してはいたのだけど、見つけられなかった。ポップス&ロックのコーナーやトータスの札のところを見ていたのだけど、ジャズのコーナーにあったのだ(たぶん)。今回は日本盤が出たばかりということで、棚上に面出しされていたことで気付いた。余談。もらいに行ったフリーペーパーはもうなくなっていた。

 きょうは、遠出するつもりにしていたのだけど、きのうの予定外の出費が痛かったのと、考えていた場所が思ったよりも移動手段的に「遠く」、帰りが遅くなることが予想されたため、断念した。代わりに、通勤路沿いなので遠出というほどではない茨木市の中央図書館に併設されている「富士正晴記念館」に。中央図書館には何度か行ったことがあるけれど、「富士正晴記念館」には入ったことがなかった。記念館が発行している資料整理報告の最新号が、富士さんが毎日放送の朗読番組のために書いた物語をまとめたもので、表紙と挿絵をうらたじゅんさんが担当されたことから、その原画が展示されているということで。

 記念館は、茨木市にあった氏の住居の書斎を再現と生涯と関わりのあったひとたち、出来事をまとめた展示スペース一室から成っている。展示スペース手前の陳列ケースが企画展の展示になっていて、現在は、『おばあさんのアルバム』の展示と、「同人誌大好き!」と題された、どちらかというと、富士正晴さんと交流があった川崎彰彦さんの同人誌活動を紹介した展示。わたしは無粋で詩は解さないので、川崎さんのことはほとんど知らないのだけど、安治川隧道について書かれているという「安治川の三丁目渡船場」(1985年)、70年万博についてのレポート「鉄砲および鉄砲水」(1970年)、川崎さんが大阪に住むにあたって勇気づけられたという小野十三郎『大阪』は読んでみたい。
 展示を見終えてから、非売品の『おばあさんのアルバム』と来歴をまとめた『富士正晴文学アルバム』をゆっくり読んだ。富士正晴資料整理報告書は図書館のほうで読めるようだけど、記念館にも常備すればよいのに。他のものも読んでみたくなった。
 『おばあさんのアルバム』は、作中は「若い哲学者」と呼ばれている鶴見俊輔氏から聞いた話を元にしたもので、ロシアからの亡命者であるおばあさんが持っていた家族アルバムが、グラフ雑誌「LIFE」からの切り抜きで埋められていたというもの。失われた写真の代わりに、見ることで思い出すことができるものを選んで作っていたのだ。富士さんは天井の隙間などを「LIFE」誌のページを貼り付けてふさいでいて、寝っころがってそれを眺めることがあったことから親近感を持ったということだけど、再現された書斎はそのようにはなっていなかった(写真に映っているステレオ装置も見あたらなかったけど、時期や場所がちがうのかもしれない)。
 今日は図書館には入らずに、エントランスの休憩コーナーできのう手に入れた「ミツザワ通信」を読んだり、向かい側の工事風景(元は、一時は海外賓客の見学コースになっていた松下電器のテレビ工場があった)を眺めたりして閉館まで過ごした。

4月24日(月)
[一回休み]
4月25日(火)
[一回休み]
4月26日(水)
[一回休み]
4月27日(木)
[一回休み]
4月28日(金)
[一回休み]
4月29日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2017年4月29日】
 小さなヤマが前半にあったものの、後半は急ぎの仕事なく、投げかけに対する担当部署は動かざること山の如し。ぼちぼちと連休明けの仕込みをして、終了。というような一週間だったけど、夜は起きていられないことが続いていて、損した気分。23時から翌1時までの間がもっとも寝ている確率が高い、という。
 火曜日のNHK-BS『名盤ドキュメント』「太田裕美『心が風邪をひいた日』木綿のハンカチーフ誕生の秘密」は見ることができた。太田裕美という素材を前に独自のものを作ろうとして、作詞者、作曲者、編曲者、ディレクターが実験を積み重ねた記録。「木綿のハンカチーフ」については、詞先、それに応えた変則的な楽曲、長い曲を持たせるためのアレンジ、さらにシングル化にあたってのさらなる工夫と制作現場の挑戦を描いていて、楽しかった。他の曲についても、コンセプト作り、歌を引き立てるための工夫、歌手としてのかかわりなど盛りだくさんで、自作自演型でない作品の制作にていねいに迫ったものになっていました。

 7.e.pレーベル15周年記念777円均一セールで頼んだビル・ウェルズ "AUTUMN DREAMS"、"BILL WELLS PRESENTS LORNA GILFEDDER"、レイク(米)"GIVING & RECEIVING"、"LET'S BUILD A ROOF/THE PLACES WE WILL GO" の4枚も届いた。yumboの京都公演の際、幕間BGMでかかっていて気になったものがあり、ツイターで呟いたところ、7.e.pの方から返事をもらい、レイクの新作 "FOREVER OR EVER" とビル・ウェルズの "BILL WELLS PRESENTS LORNA GILFEDDER" であることがわかった。ビル・ウェルズ作品はどれもよいのでいつも気になってはいるのだけど、収録曲を耳にするということが少なく、ためらいがち。レイクは、同名の日本のバンドが好きなので、自分の中で面倒になることを避けようとしていたのか積極的に聞こうとすることがなかった。
 "FOREVER OR EVER" は定額制配信にあったのでそれでyumboのライヴのときに気に入った曲を確認したのだけど、iPad miniがフリーズして復旧させたら、聞けなくなっていた。フリーズしたこととは関係なく、日本盤発売に合わせて調整があったのかもしれない。いずれにしても、これも買うつもりです。

 金曜日、仕事を終えてから、定刻退社(今回もいちばん最初に出ることはできなかった。何人に抜かされたか)して、京都・元田中へ。なのだけど、時計代わりにもしている携帯電話を忘れて出てしまい、困った。元田中までは通勤路にまったく被らないふだん利用していないルートで、時間も開演に間に合うかどうかというぎりぎりのところなので、乗り換えを間違えられなくて。おかげで、車内アナウンスに神経を尖らせ、何度かあった乗り換え選択の度に迷わされることに。乗り換えたほうが早いのではないか、このまま乗っていて大丈夫なのか等々。ネット依存はないけれど、乗換案内依存は認めざるを得ない。

 元田中「ザンパノ」での山本精一さんと佐藤幸雄さんのライヴ。何度かライヴを見に来たことがあり、この場所で佐藤さんの歌を聞いてみたいという気持ちがありました。山本さんはギターを含め、流さず、流れを作らず、断ち切るような演奏と歌で、いま歌われた歌がすぐに過去になってしまうような感覚になった。置き去りにしていく、ような。続けて聞くと、対比してしまうのだけど、佐藤さんは、歌をできるだけここにとどめておいて、見極めるようなかんじがあった。聞き手を待つ感覚というか、そのために散らばっていくものをたぐり寄せるような。
 去年10月に一か月、小川町のレンタル会議室で行われた「基本毎日」の折に、投げ銭代わりにおみやげとして販売された1曲入りCD-RWをまとめた24枚組『名前はまだない』を購入。

 きょうはどうしようかと迷ったのだけど、昨日の演奏の余韻が消えていないこともあり、おとなしく家の用事をあれこれ。外に出るつもりではいたけれど、結局、買い物以外には出なかった。『名前はまだない』を聞き始めるも、2、3回聞いてしまったりして…思っていたよりも進まない。12枚分聞いたところで、一旦置くことに。ライヴで聞くことができた歌のタイトルがわかるのがありがたい。

目次に戻る

2017 Kijima, Hebon-shiki