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2017年4月9日〜2017年4月15日


4月9日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2017年4月9日】
 朝、深夜映画枠で放映されていた矢口史靖監督『アドレナリン・ドライブ』が終わる頃に目が覚めた。タイマー録画していたので終了と同時に再生して、見た。妙な思い切りから、次から次へと追い込まれて、逃げ回ることになるコメディ。事が起こったあとのがらんとしたかんじの連続がむしろ印象に残る。羅針盤による主題歌は始まってすぐに台詞にかき消されていくので、もったいない。

 日曜午後の大河ドラマ再放送は、先週から『風林火山』。前回の『武田信玄』で西田俊行が演じて注目された山本勘助を主役にした物語で、勘助は内野聖陽が演じている。という訳で、ほぼ同じ時代の話を別の角度から。本放送のときに見ていて、佐々木蔵之介の真田幸隆が印象に残っている。

 午後から外出。駅に行く途中で、コンビニに寄り、届いた通販物の受け取り。チリ・ウィリ・アンド・ザ・レッド・ホット・ペッパーズの集大成盤 "REAL SHARP - A THRILLING 2 CD ANTHOLOGY"。発売前に予約注文したのだけど、何故かなかなか入荷せず、巷では店頭に出ていたなんて話も聞こえてきていたのに、それから一か月近くかかってしまった。届いてよかった。二枚のアルバム、"KINGS OF THE ROBOT RHYTHM" と "BONGOS OVER BALHAM" の全曲と、のちに出た編集盤 "I'LL BE HOME" での初出分を収録し、未発表だった "Papa and Mama Had Love" を追加したもの、とある。1枚目は結局見つけることができず、2枚目しか聞いていない、ということもあって、編集盤の "I'LL BE HOME" には手が出せなかったので、ようやくです。この、なんというか、変なところで義理立て(オリジナルアルバムをちゃんと聞いていないのに、レアトラック集を聞いてよいのか云々)には困ったものだと自分でも思うけど、ある種の防御策なのだろう。

 今日は京都。雨は一応あがったみたいなので、西院で自転車を借りることにした。いつもすぐに北上するので、きょうはまず南に。行ってみたかった五条の店を覗きに。
 最初に「エンゲルスガール」。面白い企画もされているし、京都のレコード市に出品されているのも見ていて、気になっていたのだけど、なかなか機会がなくて。このところあまり見かけないものがちらほら。価格はとんとんというところなので、選んでしまったけれど、ラウンジ・リザーズの1986年2月8日の日本公演を収めた "BIG HEART: LIVE IN TOKYO" とペトラ・ヘイデンの最初のソロアルバム "IMAGINARYLAND" を購入。レジで少し話もさせてもらった。新しめのところも入っていたので、そんなに間を置かなくてもよいかもしれない(買うものがないとつらいタイプ)。
 喫茶店でゆっくり過ごせるオトナになりましょうキャンペーンで、近くにある「喫茶オルガン」にも。友達のMさんがよく行くという話を聞いていて。明るくて簡素な内装のほうがわたしは落ち着くみたい。ヴィンス・ガラルディ・トリオがかかっていたのもうれしかった。本棚には漫画にまじって、『SPレコード蒐集奇談』や『ビートルズ・レコーディング・セッション』が置かれていた。

 大宮通まで出てから北上。二条駅に向かうバス通りではなく、阪急大宮駅の脇の道を北上して、二条城に当たるまで。二条城の周囲でえらい行列ができていてびっくり。ぐるっとまわって、二条公園でしばし桜を眺めたのち、「拾得」へ。西村哲也さん、ライオン・メリィさん、熊谷太輔さんのトリオ、三匹夜会のアルバム発売記念ライヴ。2年前に見たときはまだバンド名は付いていなかったのだけど、バンドとしての活動を続け、曲を持ち寄って、録音とあいなったよう。西村作品は、弾き語りで発表したものの発掘リメイクも含まれている。
 アルバム『三匹夜会』(DVDとのセットを休憩時間に購入)は未聴で臨んだのだけど、それぞれのレパートリーとカバーを3人だけの演奏で躍動感のあるものに仕上げる工夫が面白かった。手は抜かないが、肩の力は抜くというかんじで。熊谷さん作の「チョチョイと三匹」の印象に引きずられてか、ふらっと現れて、事件を解決して、また何処かに去っていく「妖怪人間ベム」や「スーパースリー」が思い浮かぶ。それぞれのレパートリーの中では、西村さんの「ケヴィンのブルース」から「運命の彼のメロディ」の流れが、ひさびさにテクノポップなメリィさんを見る思いで、良かった。

 帰りに、「ブックファースト」大宮店を覗いた。めあての本は見当たらなかったけど、「最新号が置いてない」と話している声を小耳にはさんでいた「雲遊天下」はありました。ただ、棚差しで、背表紙しか見えないので、うーんと(大きな声では言えませんが、背表紙に誤記がありまして)。

4月10日(月)
[一回休み]
4月11日(火) 【▼ぐりぐらメモ/2017年4月11日】
 朝、出て、間もなく、大粒の雨に。風が強くて、電車が少し遅れていた。外を見ると、台風実況中継のように、傘が裏返ったりしながら歩いているひと多し。道端には、討死したビニール傘たちが累々と。終日、降ったり止んだり。

 定時退社して、京都・烏丸に。「磔磔」での長野友美さんの『時のたてがみをつかんで』発売記念ライヴに。阪急烏丸駅から地下道をつたって、「磔磔」にいちばん近い12番出口から出るとあるエスカレーターが動いているところにひさしぶりに遭遇した。
 なんとか開演に間に合った。コーヒーも始まる前に届いた。1曲目は、アルバムと同じく、岡林和歌さんのクラリネットとのデュオで「歌の途中」。すっと始まるはずが、出だしを失敗して、やり直すというわちゃわちゃなかんじでスタート。歌の気高さと、ひとの気取りのなさが共存している様子がいつも楽しい。続いて、「なのに愛は」。第1部は、参加メンバーを紹介していくように、それぞれをフィーチャーした曲が続く。フルートの森部直枝さんを加えて、「こもかぶりの歌」。今作ではクラリネットの印象が強いけれど、前作で印象的だったフルートも欠かせない。ギターの栗本英明さん、ドラムの伊藤忠さんとMPBカバーを2曲。最初のミルトン・ナシメント "Ponta De Areia" でのラウドなギターと長野さんの歌の共演がかっこよい。スティールパンのめめさんと「ほうき星のうた」。節目でぴゅんと鳴るのが可憐な曲。最後に、アルバムプロデューサーでもある船戸博史さんと「夕暮れに湖面を歩く」。湖面とあるように、琵琶湖の景色が織り込まれているのだそう。

 第2部は勢揃いで、前作に入っていた「夜明け」から。「春」「めばるつり」「滑走路」「片想哀歌」と、アルバムではバンド編成でなかった曲も、時にラウドにざわつかせるように、時にシャープに切り出すように、歌をとりかこむ。「めばるつり」は、静かな海にぼたん雪が舞い降りる光景を歌ったものだけど、船戸さんは海の中視点でアレンジされたのでは、と。最後に「時のたてがみをつかんで」。長野さんの声は低いけれど、軽やかで、バンドの演奏も、騒然としていながら、周りを圧することがない。聞いている側も、歌と一緒に動いているからかな、と思う。アンコールは、おひとりで、「羽根がはえるよ」。曲順はアルバムとは異なるけれど、この順番もいいなと思える全曲演奏+アルファでした。

 入場時に手渡された入場記念プレゼントの3曲入りCD-R。1曲は、「カフェすずなり」でノンマイクで歌われた「海の中の海」。あとはカバーソングとのこと。2月22日、「磔磔」での録音。ライヴ中の話も少し入っていて、楽しい。ミシン縫いで縁どられたジャケットに収められているのだけど、縫いながら行き詰ると、「楽しいな 楽しいな」と「ゲゲゲの鬼太郎」の吉育三バージョンを口ずさんでしまって、「労働歌だ」と思ったという話が面白かった。

4月12日(水)
[一回休み]
4月13日(木)
[一回休み]
4月14日(金)
[一回休み]
4月15日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2017年4月15日】
 今週の後半、頭の中では、長野友美さんの「ほうき星のうた」がよく流れていた。スティールパンがころころと転がるように鳴る愛らしい曲で、中村八大の「雨の遊園地」や「いつもの小道で」、あるいはエンゲルベルト・フンパーディンクの「ラスト・ワルツ」といった曲を思わせるところも少し。仕事中もふいに流れていたことを思うと、作業はそこそこ順調だったのだろうか。長期課題にとりかかろうとして調べものをしていると、細々とした別件が発生して、それに追われてしまうというかんじではあったが、「楽しいな 楽しいな」と言い聞かせなければならないほどではなかった。
 金曜日は、福岡出身のSくんの送別会。仕事では短期間しか絡まなかったけど、トウヤマタケオさんや東京ローカル・ホンク、ロドニー・グリーンバットの話など、あれこれ。送別会では、めぐる因果な話とか、とんでもないやつ列伝とか、やめたひとたちの近況とか、心配なこととか。

 今週は、そんなに忙しくはなかったが、帰宅して、しばらくすると睡魔に襲われて眠ってしまい、目が覚めたらまだ1時とか2時で、これはいかんともう一回寝直して、起きたら6時であとはばたばたの繰り返しで、連絡事があまりできていなかった。メールを一本入れるのに、気力を振り絞ったりして。津村記久子さんの小説を元にしたドラマの第一回も見損ねてしまった。

 昼まえと夕方、二回、外で雨に降られた。昼から、京都で、あちこち寄るつもりで西院で自転車を借りたのに、「恵文社一乗寺店 コテージ」での「ぽかんのつどい」をちらっと覗いて、「ザンパノ」でひとやすみして、さてと走り始めたら雨が降ってきて。止むかどうかわからなかったので、ほうほうのていで、どこにも寄らずに帰途に。
 「ぽかんのつどい」は、辿り着いたら、既にトークショーの準備が始まっていて、ごった返していたので、新しく出た第6号とイベントのための冊子だけ買ってきた。わたくしは、「ぽかん」のいわゆる黒歴史みたいなものなので、もう、いつもすみませんと云うしかない気持ちではあるのですが。

 昼まえに買い物に出かけたついでに、本の疎開先に寄る。「Lマガジン」2008年4月号のCD新譜ページに書いた長野友美さん『何もない日々』紹介文をやっと再読した。長野さんの歌を改めて聞くようになって以来、どんな風に書いていたか確かめようとずっと思っていました。とんちんかんなこと書いてたら顔向けできないから。謝るにしろ何にしろ、先に内容を知っておかなくては、と。160文字なので、ほぼ基本情報のみなのだけど、少しでも実感や追加情報を込めようと思って書いていたけれど、肝心のところの記憶が曖昧で。「しっとりした声のアコギの弾き語りはなにげなさそで、大きなうねりに聴く者を包み込む」と書いてあった(ひとごとか)。ふぅ。セーフと言ってよいのでは。でも今の感じはまったく予想してなかったやろなぁと思います。それに、こんな風に記事を書いたのに、この後、聞く機会がなかなか無くて、セカンドアルバムが出たのも知らずにいたのでした。

 夜、チェックしていなかったのだけど、老母の目を盗んでチャンネルを回して、NHK-BS「それでも人生は続く〜熊本と歩む映画プロジェクト〜」に目が止まった。震災からの復興を後押しするプロジェクトの様子を伝える番組だと思っていたら、去年、隣市で上映会のポスターを見かけたものの、既に日にちが過ぎていて見られなかった行定勲監督『うつくしいひと』を作り出したプロジェクトのことで、震災直前に公開された本編と、震災後に撮影された続編の『うつくしいひと サバ?』をともに全編放映するものだった。熊本の美しい風景を過去への想いに重ねる『うつくしいひと』と倒壊してしまった町で活動する人に過去の記憶を新たにする『うつくしいひと サバ?』と、同じ構成で重ねかたを逆転させていた。

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2017 Kijima, Hebon-shiki