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2017年3月19日〜2017年3月25日


3月19日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2017年3月19日】
 昨日の書き忘れ。エマーソン北村さんの演奏を聞きながら、指の甲に、微かなしびれのような、ひんやりじんわりしたものを感じていました。指先を見ながら聞いていたので、指先から音が出ていることに勝手に乗り移ってしまったのだと思います。

 千鳥橋、といっても、博多のではなくて、大阪市此花区の、に。「モトタバコヤ」での投げ銭ライヴ。この日のために、日々コゼニに崩してました。いや、くずさなくてもと思われるかもしれませんが、あとのほうになってコゼニがなくなって、出すに出せないということがあるので、予算を出演者数で割って各人の基本料金を設定しておかないと申し訳なくて。あとは気持ち次第ということで。
 千鳥橋は以前バス路線図で名を見て以来、降り立ってみたかった、ので、大阪駅からバスで行ってみた。のだけど、「此花朝日橋」の次で、前に行った「うたかた珈琲」と同じ筋、つまり、「此花朝日橋」のほうが近いのでした。ちょっとだけ早めに行って、付近を歩き回ってみたので、それはよいのですが。

 今回のライヴは、交代制の店「モトタバコヤ」で、カレー店をされている「バアルカリー」小山さんの企画なのだけど、入院されているということで、skypeで中継されていた由。この後、引っ越しされるということで、食べてみたかった「バアルカリー」はついに食べられずじまい。代わりに、猫山カリーを。
 畳の和室で、矢野一希さん、クロエ×バチカ、猫山慎吾とこいしょうゆ、野崎ハウス、melagukan(ムラグカン)の演奏を。クロエさんのギターとバチカさんのベースのそれぞれの音を出してる寄り添ってない感がよいかんじ。猫山慎吾とこいしょうゆははじめて聞いた。カレーしばりでレシピを朗々と読み上げたり、回文を集めたり、といろんな趣向でびっくりした。野崎ハウスの「ウヌクチュンチュン チラーウンウン ワンニャチャースガー」(と聞こえた)歌、よかった。ひさしぶりのmelagukanは、短めの曲をたくさん。最後は、出演者が持ちよりで、「モトタバコヤ」のCMソングを。

3月20日(月) 【▼ぐりぐらメモ/2017年3月20日】
 家の用事もあったので、おとなしく。合間にデータを整理したり、聞けていなかったレコードを聞いたり。長野友美さんの『時のたてがみをつかんで』も。クラリネットとアカペラのデュオで歌われる「歌の途中」から、くりぬく、と言うときついけれど、ぽっかりと穴が開いて、風通しよく歌が響いてくる。バンド編成で奏でられる「めばるつり」や「時のたてがみをつかんで」は、そこから吹き込んでくる風が歌を取り巻いて上昇したり下降したりするかのように、スリリングだけど軽やかで、かっこよい。スティールパンが寄り添う「春」や「ほうき星のうた」が描く空気がきらきらしてくるような風景も気持ちよい。そしてまたクラリネットが印象に残る「片想哀歌」で身を引き締めて終わる。哀歌とあるけれど、飄々としていて、暗くはない。どこでも、どんな状況でも、しっかり周りを見つめて進む姿が思い浮かんだ。
3月21日(火) 【▼ぐりぐらメモ/2017年3月25日】
 今日で歯の治療は一段落。毎週早く帰れそうな日をそれに充てる必要がなくなり、少し気が楽になった。このところ、仕事のある日にも、できれば聞きに行きたいライヴがあることが増えてきているということもあり。仕事場から「磔磔」に19時は定時退社してもぎりぎり。「アバンギルド」19時30分は30分の猶予が、「ザンパノ」19時30分は15分ほど猶予がありそう、だけど、15分30分なんてすぐなので、ぎりぎりのつもりで。でも、間に合わない訳ではないようなので、とにかく夕方に会議を入れないようにしたい。
 昨日は、投げかけに対する回答待ちで一日。その間に翌週締切の作業を済ませることができたけれど、水曜日締切分の不明点が決着したときには17時を回っていた。

 帰宅すると、ピーター・ブレグヴァドの本 "KEW. RHONE."(Uniformbooks, 2014)が届いていた。発売前に予告を見た記憶があったけど、すっかり忘れていたのを、スラップ・ハッピーの日本公演に行けなかったことで思い出して。水曜日には、定額制配信で "KEW. RHONE." を一時DLして、通勤時にひさしぶりに聞いた。"KEW. RHONE." 収録曲の再演を含むジョン・グリーヴスの "SONGS" もひさしぶりに。読めてはいないけど、聞きながら気になることがあると、ひっぱり出して見てみるかんじで。

 ドラマ『カルテット』最終回を見ていたら、ペンギン・カフェ・オーケストラの "Music For A Found Harmonium" を劇中のカルテットが演奏していて、おっと思ったのだけど、これまでの回でもレパートリーしてたびたび演奏されていたらしい。でも、番組公式サイトでは Traditional 扱いになっていて、うーん。

3月22日(水)
[一回休み]
3月23日(木)
[一回休み]
3月24日(金) 【▼ぐりぐらメモ/2017年3月25日】
 渡辺亨さんの『プリファブ・スプラウトの音楽』を読み終えた。木、金は定額制配信で2枚目を、せっかくなので、"TWO WHEELS GOOD" 版(内容は "STEVE McQUEEN" と同じだけど)で聞きながら。パディ・マクアルーンのルーツがT.レックスとか、"Faron Young" のカントリーフレイバーがデイヴィッド・ボウイの "YOUNG AMERICANS" に触発されて先を読んだものだったとか、知らなかったこと多し。レコードを聞いて触発されて、演奏者の他の演奏を聞き、歌詞の言葉を調べ、影響されたと思われる音楽を聞き、同時代の他の音楽家との交感を探る。音楽を聞くという行為のドキュメンタリー。タイトルに「の音楽」とあることが納得できる内容でした。集大成ボックスに付いている詳細なライナーノートと言ってもいい。
 しかし、なんやね、月曜日に、NHK-FMで「今日は一日“失恋ソング”三昧」というのをやっていて、単純にかかりそうにない、けど、ええなと思ってもらえるんではないかと思う曲のリクエストを出そうとしたのだけど、リクエストフォームの最後の欄「曲にまつわる失恋エピソード」に「必須」とあるのを見て、我に返った。失恋ソングはいろいろあるけれど、リアルなのでは、プリファブ・スプラウト "JORDAN: THE COMEBACK" のいくつかの曲もそうかなぁ、なんて。そう言えば、"Wild Horses" で聞こえる囁きが『殺人鬼の森』のジェニー・アガターだったとは知らなかった。ウェンディ・スミスだとばかり。
3月25日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2017年3月25日】
 良い選択肢が複数あるとき、どれかひとつを選べなくて、どれも選ばないということがよくある。山羊か。山羊座の生まれか。という訳でもないのだけど、きょうは市内で家の用事。帰りに、ずいぶん前、やはり家の用事の帰りに見つけた二軒のセコハン店のうち、そのとき時間がなくて寄れなかった方に行ってみようと思ったら、ドンキホーテになっていた。前に寄った方はパソコン関係の店に。諸行無常。噫無情。

 用事の合間に市の中心部にある書店に寄って、山田参助編『バロン吉元 画侠伝』を購入。『昭和柔侠伝』は、あがた森魚さんの歌を始めとして、周辺には触れているものの、実はちゃんと読めてないので、とっかかりになればという気持ちもあり。
 泊とケバブ・ジョンソンによる音楽(DLコード)が付いているということも後押しになっている。先週、「モトタバコヤ」で野崎ハウスの演奏を聞いたあと、その余韻と勢いで、まだ開いていた梅田の丸善ジュンクに寄ったのだけど、検索機で表示された場所に見当たらず、閉店10分前に店員に訊ねるのも気が引けたので断念したのでした。

 昼に、新聞代の集金があり、玄関に出ると、郵便受けに、アストル・ピアソラ "ASTOR PIAZZOLLA 1944-1964: 20 ANOS DE VANGUARDIA CON SUS CONJUNTOS"(モダン・タンゴの20年)が届いていた。家の者に知られずに回収することに成功する。
 このアルバムは、アストル・ピアソラの活動20周年記念で制作された過去の作品のリメイク集。年末年始に部屋の片付けをしながら、録音しておいて聞けていなかったラジオ番組を聞いていたら、KBS京都「大友良英のJAMJAMラジオ」(2016年10月22日放送回)で、大友さんが昔ラジオで聞いたきりで探している曲があるという話をされていた。ちょうど手元にあった斎藤充正さんの『アストル・ピアソラ 闘うタンゴ』を開いて、たどっていったら、大友さんが話されていたと思しき曲があり、しかもピアソラ自身による演奏を収録したレコードは1枚しかないということがわかった。リメイク集だけど、新曲として収められていたのだ。それがこのアルバム。『闘うタンゴ』ではCD復刻もされておらず、現在は入手困難ということだったけど、検索をかけてみたら、刊行後の1998年12月にオーマガトキから復刻CDが出ていた。放送から日にちが経っていたので、もう情報は何処からか入手されているにちがいないと思いつつ、もし未だなら大友さんに伝わればいいなと、その旨をツイートしたところ、拾ってもらい、無事入手したとのお返事をいただいた。
 その「バンドネオン、ギターとベース Bandoneon, Guitarra y Bajo」は、youtubeで検索したら、他のひとの演奏ではたくさんアップされていて、聞くと、曲には聞き覚えがあった。でも、ピアソラ自身の演奏があるのなら、やはりそれを聞きたいし、持っておきたい。と、今年に入ってから、新星堂や中古盤店で探していた(「○か×」で、当時発売された日本盤は見つけたのだけど、アルゼンチンの街角を描いたイラストジャケだったこと、値段もそれ相応だったので見送った)。というところに、先週3月17日の「JAMJAMラジオ」で、この曲がかかった。やはり良いなぁと改めて検索して、ディスクユニオンが出品しているのを見つけて注文した次第。

 近所だけど、ふだんあまり通らない道を選んで帰ったら、知らなかったコンビニが2軒できていて、驚く。そのうちのひとつには少しだけイートインコーナーがあったので、コーヒーで一服。薄い上着で出てきてしまい、寒くて。BGMで、マキシン・ナイチンゲール "Right Back Where We Started From" のミューザック版がかかっていて、びっくりした。

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2017 Kijima, Hebon-shiki