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2017年2月19日〜2017年2月25日


2月19日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2017年2月19日】
 今日も二時の壁に阻まれてしまった。勢いをつけるため、いつもは午前中に行く買い物を正午過ぎからにしたものの。という訳で、直で恵美須町へ。で、中古盤を見ていくことになるのであった。一か月前に見かけ、迷って見送ったものはさすがに姿を消していたけれど。マイケル・グレゴリー・ジャクソン "COWBOYS, CARTOONS & ASSORTED CANDY..." を見つけたときは既に18時を回っていて、あわてて精算した。昨日も同じようなことをしていたな、そう言えば。

 がしがしと歩いて、「難波ベアーズ」に到着したときは、まだ開場時刻まで15分ほどあった。ちょっと引き返して、電器量販店に。カフェでもあればと思ったのだけど、あったのだが、書店コーナーもあったのでついそっちに。毎年、総索引のために3月号だけは買っている「レコードコレクターズ」誌を購入。二の次ではあるけれど、できれば読めるものであってほしいと思っている特集は、ブリティッシュ・ハードロック。ギリ、というところか。はちみつぱいのボックスセットの詳細が出ていた。幻のシングル「ビンボーダンス」は、「酔いどれダンスミュージック」ではなく「ラム亭のママ」の初期形だそう。かしぶち哲郎さんの「春の庭」のはちみつぱいバージョンも収録されているらしい。

 今日の「難波ベアーズ」は、ann ihsaの安田さんの企画「CO-OP Vol.3」。ann ihsaの他、7FO、ゑでぃまぁこん、ふちがみとふなと。ゑでぃまぁこんも、ふちがみとふなとも、少しご無沙汰してしまっていたので、ただもう聞きたくて。水無瀬「長谷川書店」で聞いて、奈良公園のピクニックライヴのときにもソロを聞いて、なんだか気になったann ihsaもちゃんと聞いてみたかった。

 ann ihasaの歌は、自信がありそうでなさそうで、でも意気込みがあって、頼りなさげな歌が、演奏をむしろ引き出しているかんじがした。聞く耳も、そんな風に引っぱられているのかもしれない。7FOは、電子音とギターによるドローン音楽。うねりはなく、漂わせるかんじ。ところどころ、うーん、その音かぁと思うところあり。前半はよかった。ゑでぃまぁこんは、ひさしぶりということもあり、初めて聞く曲多し。初めて聞く曲なのに口ずさみたくなる。きっちり編曲されているようで、和やかな緩さも感じられる。いつものことではあるけれど、不思議です。ふちがみとふなとは、めいっぱい力を込める「犬も食わない」を初めて聞いた。渕上さんが歌い、動き、こちらも立っているので、合わせて身体を動かす。船戸さんは見えない位置だったのだけど、ベースの音は鋭く響くかんじで。特に弓弾きのとき。PAの保海さんはもうすぐ「ベアーズ」をやめられるとのこと。「エッグプラント」にもおられたそうです。
 現在のann ihsaとは編成がちがっていますが、Yasuda risa trio名義の『mado no soto』、ゑでぃまぁこん『フェルトの月』を買って帰った。

2月20日(月)
[一回休み]
2月21日(火)
[一回休み]
2月22日(水) 【▼ぐりぐらメモ/2017年2月22日】
 週明けから、然るべきところが迅速に動いてくれないので、しびれを切らして、しかたなく発表されている書類をもとに動いたら、発表されていない事情があるのだとあとから言われ、話がややこしくなってしまって、どんより。収拾を図ろうとしていたら、頭越しに先方に下駄を預ける話が出て、二日間いろいろ動いたことがなかったかのように仕切り直され、骨折り損の草臥れ儲けになってしまった。その件を含めて、来週の前半までスムーズにいかないことが予想される作業が山積み。週末には送別会もある。月末ということもあり、通院も重なる。気が重い。

 スラップ・ハッピーの来日公演が始まっている。東京のみなら諦めもついたのに、一日だけ大阪でもある。どうにもこうにも動けないことが予想される日に。エアポケットにでも入ったら、店の前まで行くだけ行ってみようかと考えていたのだけど、うーん、考えるだけでしんどい。またきちんと録音されていることを期待しています。

 火曜日、預けた下駄が戻ってこないまま、気分転換もかねて、北浜「雲州堂」に。歌とギターのデュオ、カーテンズの「火曜ラボラトリー」第13回に、Otomi Chieさんと長野友美さんが出演ということで。長野さんは土曜日に続いてになって、追っかけみたいになってしまった。長野さんは、きょうは、アルバム発売記念ライヴの際に来場者に配布する盤のためのカバー中心の公開録音を「磔磔」でされていて、通院がなければ、作業を放って行ってたかもしれない。
 Otomi Chieさんのライヴハウスでの演奏を聞くのは、この「火曜ラボラトリー」第1回以来。今回はソロで、カラオケとギターとキーボードと歌。シンプルな曲想の新しい曲や、不思議だけどおおっとうなる展開の、たぶん聞いたことがなかった曲も。「Super Stainless」では声もよく通ってた。
 長野友美さん、土曜日に学習したからか「ぐぜり」という言葉が歌われることに気付いた。新しいアルバムに入っている「春」という曲。土曜日も演奏されたかもしれないけど、気付かなかった。「ベーリンジア」が聞けた。長野さんの、神話や物語が背景に感じられる歌がとても好きです。予感と所在なさと意志の強さを、歌の主人公に感じて。最後は客席に降りて、アイルランド古謡をアカペラで。空気がしんと納まる。
 尾崎康平さん、田中陽介さんのデュオ、カーテンズはギターのアンサンブルが繊細で、でも、巧さを感じさせないところがいいなと思います。歌も、いろんなざわつきをさらっと描く心持ちがある。
 前に見たときと同じく、終了後、4人が舞台にあがって、トークショーが行われた。影響を受けたレコードの話やアルバム制作時のエピソードなどを聞くことができた。Otomiさんと長野さんが、黒パン(ライ麦パン)好きということで意気投合されたり。最後に各出演者持ち寄りのおみやげ抽選会。カーテンズ田中さんが用意された「パティスリー・フラワー」の「南河内こころ」が当たりました。

 先週からの通勤読書、中山千夏さんの『芸能人の帽子 アナログTV時代のタレントと芸能記事』を読み終えた。回想録ではなく、中山千夏というタレントについて書かれた雑誌記事をてがかりに、当時の状況やタレントの位置付け、その周辺にいたひとたちのことを分析しながら、たどったもの。メモしておきたいことがたくさん書かれているけれど、540ページを読み返すのは少しあとにする。真面目と出鱈目の境目で立ち止まる姿が印象に残る。
 通勤音楽は、月曜日にイヤホンを忘れたことで(月曜日の落胆にはその影響もあった)火曜日から。先週の土曜日が生誕百周年だったカーソン・マッカラーズの伝記ミュージカルに主演したスザンヌ・ヴェガの "LOVER, BELOVED: Songs From An Evening With Carson McCullers" をようやく。マッカラーズの時代に流れていたと思われるかんじの歌の他、物語を進行させる演劇的な歌もある。"Instant of the Hour After" やポップな "We Of Me" など後者の曲が特にいいなと思う。月曜日の夜にCDを聞いて、定額制配信にもあったので、通勤時にも聞いたのだけど、配信版に追加されてる "We Of Me" のKyserike Mixは要らんかったなぁ。
 それと、ボブ・ディラン "DESIRE"。今週のKBS京都ラジオ「レコ室からこんにちは」が、エレクトロニカや静謐なピアノもののイベントやリリースを手がけられている「night cruising」の島田達也さんで、初日にインド音楽に続けて "One More Cup Of Coffee" がかかって、なんやインドのポップスみたいに聞こえて、こんなんやったっけ、と(そのあとは小室等 sings 武満徹)。ちゃんと聞くのは、ほぼ40年ぶり。"Hurricane" は当時よく聞いたのだけど。少しばらけたかんじの演奏は面白い。エミルー・ハリスが同じ頃注目されていたのは知ってるし、それで聞いていたけれど、このアルバムがきっかけだったとは知らなかった。確かに気になるな、これ誰だろう、と。

2月23日(木)
[一回休み]
2月24日(金)
[一回休み]
2月25日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2017年2月25日】
 午後から仕事場に。月曜日にやらなあかんはずの作業の材料はまだ手元に来ていないのだけど、手元にあるその他の作業をやれるだけやっておこう、と。送別会&壮行会に出ていなければ、残業してやった、くらいのことしかできないけれど。
 17時に切り上げて、南森町の「天満教会」礼拝堂でのジュルジオ・トゥマのコンサートに。繰り返しよく聞いたレティシア・サディエールの "Release From The Center Of Your Heart" の作者として知ったイタリアのミュージシャン。レティシアさんのも、トゥマ氏の曲は作者自身が演奏を担当していて、本人名義のアルバムも模型のように作り込んだものになっている。そんな作り込むタイプのひとがどんな風に演奏するのだろうという関心もあったし、よく聞いた曲を作ってくれたことへのお礼のような気持ちもあって、聞きに行くことにした。18時からの開演にぎりぎり間に合った。

 今回の来日公演は、ギタリストのジュゼッペ・マンタ Giuseppe Manta 氏とのデュオ。2階の礼拝堂の正面に、ほのかな灯りが置かれていて、その間に並んで演奏。ギターの音も歌う声もとても慎ましい。曲そのものは、そんなにいりくんだものではなくて、おおらかで柔らかなフォークソングのようだった。"Release From The Center Of Your Heart" も歌われた。本人名義のアルバム "THIS LIFE DENIED ME YOUR LOVE" にも入っているけれど、ほぼゲスト参加のレティシアさんの声しか聞こえなくて、アレンジも基本は同じなので、別テイクのようになっていた。同じ、というのは、それがベストだと考えているという点で誠実ではあるのだけど、本人の声で聞きたかった。礼拝堂の響きの具合で、拍手をすると、大きく響きすぎ、演奏し始めたときに感謝のサインを出すことができないことには少し困った。
 (内緒だけど、前の席のひとで、始まる前に大きな声でしゃべっていたのに、最初から最後まで、演奏が始まるとうつらうつらして、曲が終わると拍手で起きて、みなと一緒に拍手するというひとがいて、曲のリズムとは別のリズムで視界に振り子が入ってくることにも困った。寝るなら寝るで、じっとしておいてくれればよかったのに。)
 一時間ほどでコンサートは終了。来日記念で発売された "Releas From The Center Of Your Heart" の7インチ(B面は、"Let's Make The Steven Cake!!!" と "Flying Bicycles To Reykyavic")を買い、サインをもらった。

 まだ早かったので、梅田まで歩いて、DUとNUを覗く。買おうと思っている7インチはどうにも。タイミングがわるい、予約なり通販なりしないと手に入らないということなのだけど。NUで、買おうと思いつつ、見当たらなかった剛田武(このペンネームはいただけないと思う)著『地下音楽への招待』があったので、勢いもあって、やはり読むつもりでいた植本一子さんの『家族最後の日』、ポストクラシカル/チェンバーミュージックを特集した「ラティーナ」3月号、ついでに趣味の谷口蘭さん掲載誌集めで「装苑」3月号を。ガラケー対応のお知らせメールが無くなってからポイント10倍には無縁だったのだけど、レジのひとのご厚意で付けてもらえることになった。

 「ラティーナ」誌の向風三郎さんの連載で、BYGレコード、セルロイドレコードの創設者、ジャン・カラコスが1月に亡くなっていたことを知った。カラコスが関わった詳しくは知らなかった「ランバダ」スキャンダルについても詳述されている。

  帰宅して、中西俊夫さんの訃報を知る。プラスティックス以降は、ビジュアルも含めて、お洒落のセンスについていけなくなってしまって、聞いていないのだけど、ウォーター・メロン・ミュージックは聞いておけばよかったな、と、その副産物のようなヤン富田さんの選曲による行き届いたマーティン・デニーのベスト盤を聞いたとき思ったものでした。

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2017 Kijima, Hebon-shiki