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2017年2月5日〜2017年2月11日


2月5日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2017年2月5日】
 「スペクテイター」38号(特集 赤塚不二夫 創作の秘密)はフジオプロに参加していたアシスタントや編集者へのインタビューを中心にして、赤塚作品がどのように制作されていたかを描くとともに、キャラクター紹介、関連事典、漫画作品再録、書誌といった仕掛けで、赤塚作品への窓口を用意している。
 72年頃、フジオプロの若手がローリング・ストーンズを題材にした漫画を準備中という新聞記事を読んだ。ストーンズのことなど知りもしない9歳の頃の記事を覚えているのは、そこに掲載された準備中の作品の一部("BEGGARS BANQUET"の見開き内側の写真を下敷きにしたもの)の印象が強かったことによる。72年というのは、同じページに掲載されたヒットチャートの1位が5人組の頃のチェリッシュの「なのにあなたは京都へゆくの」だったことを記憶していたので、あとから調べて記憶し直した。発売は71年だけど、ヒットしたのは72年だったらしい。で、それから、その後がずっと気になっていて、それらしい作品が出ていないか、赤塚不二夫についての回想録に記述が出ていないか、探していた。去年、元アシスタントのてらしまけいじさんの回想録が出たということを最近知って読んでみようと思っていたところ、今回の「スペクテイター」誌にもインタビューが掲載されているので、最初に読んだ、ら、そこに72年当時の話として「木村正夫くんといって、ストーンズにかぶれてたアシスタントがいました」との発言が。ストーンズについての漫画は完成しなかったのだろうか。
 冒頭に根本敬さんへの赤塚作品についてのインタビュー記事があるのだけど、その記事だけ、各ページの最後に(続く)という表記がある。それも、毎ページに。最初のは次ページが広告なのでそれでかと思えるけれど(ただし、見開きではなく1ページなので、めくれば続きは目に入る)、次はふつうに次のページに続く。ここだけなのが不思議です。

 「2時の壁」は越えられなかったが、スーパーと図書館とクリーニング店に寄ってから、きのう寄れなかった梅田の「茶屋町画廊」「第49回漫画展」に。石井章さんと森元暢之さんが参加されている。森元さんは水無瀬駅前漫画。石井さんは高校生のときに描いた映画ポスターと装丁デザイン仕事のファイル。森元さんの「チュー星人」はふちがみとふなとが歌にしているし、石井さんのファイルには、ふちがみとふなとがカバーしたうらたじゅんさんの「赤い実のなる木」のカセットカバーが収められているので、隣り合わせで、ふちがみとふなとつながり。
 その後、書店とレコード店をまわるも、探しものは見つけ出せず。

2月6日(月)
[一回休み]
2月7日(火)
[一回休み]
2月8日(水)
[一回休み]
2月9日(木)
[一回休み]
2月10日(金)
[一回休み]
2月11日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2017年2月11日】
 月曜日。排水管工事の立ち会いのため、休みをとって、「三ツ沢通信」改め「ミツザワ通信」栗鼠冬号を読みながら、朝から待機。立ち会いだけなので、特に何かをする訳ではないのだけれど、ごろごろはできないので、それなりに作業感あり。

 工事が終わってから、少しだけごろごろしたのち、昼から仕事場へ。がらがらの電車でだらだらしながら移動。仕事場最寄駅近くのセルフサービスの簡易カフェで昼食。仕事帰りに寄るといつも売り切れているサンドウィッチを頼むも、チェーンで製造しているできあいもので、「おもてたん」とちがってました。一角を会議室代わりに占拠している一団あり。出張先にしては大人数だし、不思議。セキュリティもコンプライアンスもあったもんじゃないけど、そんな横文字よりも、ただただうるさい。仕事なんだからいいだろ、的な横柄さも感じる。

 午後からの作業は二時間少しで終えることができるはずで、実際に15時過ぎには予定は完了したのだけど、先週完了している作業にやり直しが発生して、それを待っていると、結局20時近くになってしまった。夕方から映画にでも、ああ、でもちょうどよい時間にいいのがないな、しかたない、南森町から天神橋筋、あるいは京都のほうにでもなんてあれこれ思案していたことは内緒です。誰に。

 帰宅すると、suemarrさんの『泥水は揺れる』が届いていた。先週の金曜日にカードを持って出るのを忘れて、振り込みが土曜日になってしまったので、月曜の朝を待って連絡したのだけど、既に発送してくださっていたのでした。ライヴを見に行ったときにでもと思っていたのだけど、スケジュールを見てみると、2月3月に関西方面での予定がないようだったので、注文した次第。先行発売されたLPに続いてのCDで、収録時間の関係で削られた部分も入っているという。とは言え、エルド吉永氏の色っぽく、翳りのある劇画調のイラストレーションをあしらったジャケットがよくて、大きなサイズにも憧れる。きちんと作られたものは、手にすることがうれしい。所有欲や物欲とは別の話。手にすることで、作る、生まれる、そこにあるということのいきさつをたどることができるからだと思う。

 火曜日は、次の仕事の準備作業で、あやうく最後のひとりに。そこまでして不明点をまとめて翌日連絡したら、担当の方が長期休暇に。もうひとりの担当の方も来週から長期休暇に。確かに納期は先だけど、うーん。

 水曜日は歯科受診。終わってから、コンビニで、ナリモ『うぶ毛』とロンサム・ストリングス『ロンサム・ストリングスの映画音楽』を受け取り。イートインコーナーでコーヒーを飲みながら、手にした作品を眺めていると(証拠隠滅のために段ボールを片付けていると、とも言える)、ワカモノの一団が隣に。「隣、すみません」とことわりはあったけど、騒ぐことには変わらず。外は寒いからな、とは思えど。月曜日に会議してた一団も変わらない。オトナなんだからよりタチがわるい気がする。

 ナリモは、岩井美佳さんのピアノと西田有里さんのガムランのデュオ。音階が異なるからだろうか、それぞれの音が見え隠れして聞こえてくる。余韻や響きを追いかけていると、別の音が顔を出す、というかんじで、どんどん奥地に進んでいく。歌が流れに棹さして、ほどよい緊張感もある。静謐ではあるけれど、湿度や野生を感じさせる点で、アンビエントに本格的に取り組み始めた頃のイーノさんを思い出した。
 『ロンサム・ストリングスの映画音楽』は、映画音楽のカバー集。と言っても、『去年の夏』、『ビリー・ザ・キッド 21歳の生涯』、『白昼の幻想』、『ジャック・ジョンソン』、『砂丘』といったUHF局の昼の映画劇場でやってるのを録画したいラインナップ。今回は桜井芳樹さんのライナーノートもなく、なんで映画音楽集なのだろうと思っていたのだけど、最後に入っている、それだけ知らない映画やなぁと思っていた『裏切りの街』が、桜井さんが音楽を担当している、ちょうどいま関西で上映中の映画なのでした。

 金曜日。心配事を抱えつつ、少し残業して、帰宅。仕事場から駅までは降っていなかったのに、乗り換えのときには吹雪いていて、駅から自宅までの道は既に雪が積もり始めていた。

 きょうは午後から梅田に。「ヒルトンプラザウエスト」にある「ニコンプラザ大阪」での原久路・林ナツミ写真展「少女シリーズ」。梅田の高層ビルのオフィスエリアは苦手なのだけど、浮遊写真で知った林ナツミさんとバルテュス研究が気になっている原久路さんの作品展示ということで。外側の壁を利用した簡素な展示で、作品集など置かれてはいなかったのが、少し残念。
 続いて、肥後橋「Calo」でのコーペラティブ・クラテル・インベルティド「出版と活動」展。メキシコのアーティストグループの活動紹介。アトリエでの共同作業から生まれた作品を簡易印刷によるポスターやミニコミのような冊子にしている。メキシコへの関心もあり。企画した内山幸子さんが在廊されていたので、彼らの活動について詳しく話を聞かせてもらった。見て感じたのは、アート作品の発表というかんじでも、アジテーションというかんじでもなかったこと。独裁のあとの麻薬戦争、揺り戻しの中で、争いや抗議はごめんだという気持ちがあるのかもしれない、と。場所を作るということ、そこで、情報や勉強の成果を共有していくこと、そのためのツールなのだということだった。ほんとの意味で共有することがむずかしい状況だからこその共有志向が作品にもあらわれていると思う。トン・ゼーについての冊子は面白そうやな。
 「Calo」では、「murren」20号(特集=WANDERVOGEL)を購入。

 東へ移動して、「雲州堂」に寄って、「雲州堂新聞」2月号、その他チラシを。「LONG WALK COFFEE」にと思っていたので、「雲州堂」は中には入らなかったのだけど、「LONG WALK COFFEE」は満員だった。そのまま天神橋筋の古書店をまわった。某官能小説を探してのことだけど、ひさしぶりなもので、ここで遭ったが百年目的なものをいろいろ見つけてしまった。「遊」1004号(1978年12月 特集=道気・北斗)、1007号(1979年6月 特集=量子説・夢仮説)、1012号(1980年4月 特集=化学幻想・神道)、「同時代音楽」1号(1979年3月)。つまりは10代後半の頃、見送ったものということで、どやねんと思えど。それと、読もうと思いつつ、地元の図書館でも置いているところに遭遇できていなかった中山千夏『芸能人の帽子 アナログTV時代のタレントと芸能記事』(講談社、2014年11月)。

 世を忍ぶ仮の定額制配信メモ。『舞妓はレディ ミュージカル・ソングス&サウンドトラック・コレクション』。予告編を見て気になったのに、見逃している映画。テレビで「舞妓」の文字を見るたびに「おっ」と思うのだが、『舞妓Haaaan!!! 』ということが続いている。最近、よく見かけるようになった上白石萌音という俳優の名前に見覚えがあったのは、この映画ででした。タイトルからわかるように『マイ・フェア・レディ』の翻案らしい。盤は前半が劇中歌、後半が劇伴という構成。ポップだけどドラマティックなソロ曲もいいけど、かけあいの歌がとてもいい。長谷川博己と富司純子の「一見さんお断り」、長谷川博己と上白石萌音の「京都盆地に雨が降る」など。映画も見てみよう。
 2月9日はブライアン・ベネットの誕生日ということで、ロン・ギーシンがあったのなら、と検索したら、やはりあったアラン・ホークショウとのデュオによるkpm盤 "SYNTHESIS"。1974年作品ということで、エマーソン・レイク&パーマー風のものもあれば、スティーヴィー・ワンダーのようなファンキーなものもある。それにしても、kpm盤は他にもあるのに、1969年の "THE ILLUSTRATED LONDON NOISE" はないとは。

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2017 Kijima, Hebon-shiki