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2017年1月22日〜2017年1月28日


1月22日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2017年1月22日】
 午前中、ばたばたと家の用事を済ませてから、難波へ。出かける前にテレビでやっていた1973年のドラマ『それぞれの秋』(脚本:山田太一)で、高沢順子扮する主人公の妹の部屋に、クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングのポスターが貼ってあった、ような気がする。

 「ベアーズ」で、渚にてのライヴ。12時開場、12時半開演で、2時間以上、休憩なしで。昼からだけど、やはり超満員なのでした。座るのと立つのとどちらが楽かというところだけど、楽をしようというのがそもそもまちがっているかもしれない。新しいアルバム『星も知らない』の発売記念ライヴなのだけど、うっかり検索すると、定額制配信サービスにあがっていて焦った。見なかったことにした。せっかくだから、ライヴ演奏で初めて接したいと思って。

 ステージは、左からベースの山田隆司さん、ドラム竹田雅子さん、ギター(と司会進行と自己紹介されていた)柴山伸二さん、キーボード吉田正幸さん。ドラムが中央に置かれていて、竹田さんの復帰を印象づける。1曲目から、新しいアルバムの1曲目「光る風」。しばらくアルバム収録順に演奏。時折はさまれる過去の曲も、前々作『よすが』や前作『遠泳』からのもので、現在のラインナップの勢いや充実度の高さを感じさせる。特徴のように言われたこともあるあぶなっかしさは無い。もともと持っていたゆったりとした、でも明確な場面転換を伴う鮮やかなリズムが曲を押し進めていく。柴山さんのギターも吉田さんのキーボードも隅々にまで届く光のように音を放っていた。「星も知らない」の "A Day In The Life" エンディングを思わせるノイズはすごかった。アルバムにも入っていない新曲が2曲最後に。アンコールを3曲も。「本当の世界」も聞けた。出口のところにいた知人が「よかったー」と心底よかった顔で言っていて、よかった。音楽はひとりで聞きに行くけれど、そういう声が聞けるのはいいなと思う。
 アルバム『星も知らない』は開演前に、客席横に設けられた物販コーナーで購入。いっしょに「Naked 渚にて」と銘打たれたワンコインCD-Rもあった。2016年発売の第5集と今年発売の第6集があったので、両方買うことにした。ともに、頭士奈生樹さん参加時のものを含む2015年のライヴ録音から編集されたもの。

 外に出ると雨が降った形跡があった。降ったり止んだりの一日だけど、朝、スーパーに買い物に出たときに少し降られたくらいで、雨に遭わない一日だった。時間が合えば映画でもと思ったけれど、ちょうどよい時間帯のものがなく、摂っていなかった昼食を「holo holo」でとって、駅に向かいつつ、途中の中古盤店を覗いた。ピアソラを探すことに集中していたのだけど、「ワールドミュージック」のコーナーに何故かサイツ『TATTA』があった。

 帰宅すると、先日、眠れない夜に繰りながら見たバーゲンセールで拾い上げたものが届いていた。ベッキーズ "THE BECKIES" はマイケル・ブラウンが亡くなったあとに発売されていたもの。Real Gone Musicというレーベル名はあやしげだけど、サイアー/ワーナーブラザーズからの正式復刻のようです。ハーパース・ビザール "FEELIN' GROOVY" はモノラルバージョンをメインに前身バンドの録音を含む追加曲多数の拡張盤。サム・プレコップ "WHO'S YOUR NEW PROFESSOR" は2005年作品。聞けば好きになることがわかっている音だけど、1999年の前作が良かったので、それだけあればいいかなとあえて手を出さなかったのだ。聞けばやはり良い、のだが。

1月23日(月) 【▼ぐりぐらメモ/2017年1月23日】
 金曜日の夜に海外に投げておいたボールが…今日一日待っても返ってこなかった。そんなに難しい球を放ったつもりはないのだけど。という訳で、そこそこであがることに。
 帰りに、コンビニで通販到着物の受け取り。これも眠れない夜にクーポン期限切れのメールを見て、ずっと気にはなっていたけれど、タイミングを逃していたものをということで発注してた。ちょうど値引きキャンペーンの対象にもなっていたので、クーポンと合わせて3割引で、と長々書いているのはこのところの浪費の言い訳に過ぎない。残業時間を年末の「いたしかたなし休暇」にあてると申し出たのにルールが変わったのでと却下されたので、その分をつぎ込んでいるとも言えなくもない。

 届いたのは手嶌葵『I LOVE CINEMAS: Premium Edition』とコーネリアス『NHK デザインあ』。
 手嶌さんのは、映画主題歌集(ミニアルバム)2枚の2 on 1。見かけていただけの頃はずっとCINEMASをCHRISTMASと見間違えていて、クリスマスソング集だと思っていた。鍼灸院でかかっていた「Song Of Green Mansions」や「Wouldn't It Be Lovely?」を耳にして、誰が歌っているのだろうと流れている曲目から調べたら、これだったのでした。表紙は2枚の表紙を並べたスタンダードな2 on 1スタイル。プレミアムというなら、表紙はアウトテイクでいいから別写真にして、元の表紙はブックレット内に掲載というかたちにしてほしいところ。元の盤にあると思われる映画の解説と手嶌さんのコメントが掲載されているだけでもよしとするか。
 『デザインあ』の音楽は、テレビをふいに点けたときにやっていたとしても、ひきこまれてしまう。うますぎて腹立つ、などと。

 帰宅すると、「雲遊天下」125号が届いていた。夏に出るはずだったものなので、わたしの文章は2016年前半のこと。

 夕食を終えて、ネットにつなぐと、カンのドラム奏者、ヤーキ・リーベツァイト Jaki Liebezeitの訃報。カンでのダイナミックなドラムも好きだけど、好きな曲で控えめだけど刻みに心躍るドラムを叩いていることも多い。

1月24日(火)
[一回休み]
1月25日(水)
[一回休み]
1月26日(木)
[一回休み]
1月27日(金)
[一回休み]
1月28日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2017年1月28日】
 うまくできてる…のかどうか、12月半ばから一か月続いた厄介な一連の仕事がようやく落ち着いてきたと思ったら、入れ替わりにこの冬いちばんの大変な仕事の詰め段階に。それと同時に春からの仕事の準備も本格化。この週末も空けておいたのだけど、きのうの時点では動けず。

 月曜日の夜に届いた「雲遊天下」125号。去年の夏に出る予定だったものが半年遅れて発行になった。とは言うものの、友部正人さんは『1976』について、中川五郎さんは80年代の編集行と永井宏さんと組んだ20th Century'sなどについて、豊田勇造さんはハンク・ウィリアムスについて、特集は高田渡さんについて、と過去のものと大川渉さんの小説、保光敏将さんのイラストエッセイ、山川直人さんの漫画、カニコーセン堤雅彦さん、田川律さん、大塚まさじさんのエッセイなど時期に縛られないものが並んでいる。時期が絡むのは、平山亜佐子さんのツイート記録と2016年前半について書いたわたしのものくらいかも。発行が遅れたことでよいタイミングになったのが渡部幻さんの和田誠『倫敦巴里』についての文章。つい先日、復刊されたばかり。南陀楼綾繁さんの文章は、「ヒトハコ」発行の動機につながるもので、「本や読書を無条件に礼賛する風潮には乗れない」という一文は先に読んでいたほうがすんなり腑に落ちたかもしれないけど、もちろん、別に遅いという訳でもない。

 通勤読書。前半は、岩瀬成子『くもりときどき晴レル』(2014年2月、理論社)。ほのかなラブストーリーの中に、「知らないところで起っている」ことへの畏れや好奇心がない交ぜになった感触が綴られている。後半は雑誌を読んだり、読みかけていたものをばらばらと。ある殺人者についての記録は、読んでいて、わかりやすすぎる、といっても共感できる、理解できるというものではなく、「面白いもの」を何一つ見つけられないとこうなってしまうのだろうというありさまにうんざりしてしまい、なかなか読み進められない。あかんやつウォッチングが苦手なもので。

 通勤音楽。家で聞くのはLPやCDで聞けるもの、外で聞くのは定額制配信で聞けるものになりつつある。定額制配信はiPad miniで受けているのだけど、手持ちのCD→PC→iPad miniへ移す際には配信を一旦オフにする必要があり、そうすると、一時ダウンロードしているものがすべて消えてしまい、やり直さないといけなくなるので、面倒なのだ。
 という訳で、通勤音楽は定額制配信で、ということになるのだけど、今週は、CDも入手した渚にて『星も知らない』も。ライヴに行く前に定額制配信にあがっていることを知り、露骨に見て見ぬふりをしましたが、ライヴに行って、CDを手に入れて、帰宅して3回聞いて、翌日からは通勤時に。地面すれすれと上空はるか彼方を行き来しながら、見下ろしたり見上げたりすることなく、同じ目線で歌にしてる。聞いてるこちらは、その行き来に、もうひっくり返るしかないようなかんじで聞いてる。タイトル曲「星も知らない」のエンディングはライヴで聞いたのと比べると、さっと終わるのだけど、地上に引き返すためのように思える。「ベアーズ」で一緒に買った「NAKED」は家で。2015年1月31日録音の第5集には「Sad Town」として「光る風」、「Down By This River」として「空の孔」が、第6集には2015年11月22日の「星も知らない」が収められている。
 ヤーキ・リーベツァイト、言うても昔のしか聞いてないので、近作を聞いてみようと検索してたら、ロバート・コインというシンガーソングライターとのデュオ作品にあたった。もしかして、と思ったらやはりケヴィン・コインの息子さんだった。少し聞いてみると、よさそうだったので、"THE OBSURE DEPARTMENT"(2013年)を聞いてみることに。引き締まったドラムとギターのみ。ケヴィンさんのようにしゃがれた声ではないけれど、時折、偲ばせるものもあり。いろいろ聞いてみよう。
 ヤーキさん関連では、聞いたことがなかったものを聞いてみたシリーズで、カンの78年作品 "OUT OF REACH" を。初めて買ったカンのレコード "CANNIBALISM" のあとに出たものだけど当時は見つけられなかったし、ホルガー・シューカイが離れてあまり良くないという評もあったので積極的に聞こうとしてこなかった。元トラフィックのロスコー・ジーとリーバップが参加しているということで、半分をトラフィックみたいなリズムアンドブルースが占めている。カンのそれまでの音楽とはちがうけれど、これはこれでわるくない、と鷹揚に楽しんで聞ける、のは今だからかも。続く79年の "CAN" も聞いたけど、こちらのほうがとりとめないような、いや、とりとめないのはカンらしさでもあるけれど、ひっかかりが少なかった。最後の "Can Can"、"Can Be" の駄洒落卓袱台返しに呆気にとられたからかもしれない。
 金曜日の帰り、駅で。知人がツイートで紹介していたジュリアン・ベイカー。リンクされていた1曲を聞いたら、良かったのと、リンクがiTunesへのものになっていたので、オンライン時はアルバムが開くのであった。で、結局、駅でアルバム "SPRINED ANKLE" を1枚まるまる聞いてしまった。エレクトリックギターの内省的な弾き語りで、マーク・コゼレクに通じるかんじもある。帰宅してから調べたら、1995年生まれ。まだ20歳そこそこで驚いた。芯が強そうなので。

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2017 Kijima, Hebon-shiki