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2017年1月15日〜2017年1月21日


1月15日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2017年1月15日】
 世を忍ぶ仮の定額制配信サービスで聞いている分を、「浮かしている」と取るか、「借りをつくっている」と取るかと言えば、借りをつくっている気持ちが大きい。なにがしかは行っていると思いたいけど、微々たるものだし、種々の名前に始まって、調べなければわからないことが多いので、手応えがないというこちら側の事情もある。紹介したいときに、編集盤を作るのが手間ということもある。まったく勝手な理屈だけど、昔からレコードを買うときには、紹介することを念頭に置いているところがある。いまはタイトルだけ告げてあとは検索してください、というのが普通なのだろうか。メールやSNSならリンク付きで。

 相変わらず「アナログ盤は持っているけれど、CDで買い直しをしていない」ものを配信サービスで聞くことが多く、何をやっているのだか。そんな中で、先週は、map/なぎ食堂の小田晶房さんが紹介していたジェフ・パーカー "THE NEW BLEED" がよくて、通しで繰り返し聞いていて、借りがどんどん増えてる気分になった。"SIX" の頃のソフトマシーン meets ジーサティスファクションの趣きがあって。ずらされたリズムに眩暈がする感覚にわくわくさせられた。トータスのギタリスト、とのこと。トータスはちゃんと聞いてなくて、メンバーの名前も知らなかった。レコード店に行ったときに探してはみるものの、見つけられずにいる。通販はいまだ最後の手段という気がしてならない。とか言っているうちに在庫切れになってしまうのだが。

 朝起きたら、外はまっしろだった。この冬、初積雪。午前中には道路の雪は溶けていたけれど、その後も断続的に降っていた。雪は雨の一形態のはずだけど、明るくても降る。キツネの嫁入りの一形態なのだろうか。つい傘を持たずに出てしまいそうになるけれど。
 夕方、用事のついでにひさしぶりに図書館に。図書館で本を借りると、その本を読むことを優先させるので、買った本がなかなか読めないので、しばらく控えてました。先週は、そんな訳で、ようやく、細馬宏通さんの『介護するからだ シリーズ ケアをひらく』(医学書院)を読んだ。認知症高齢者グループホームでの観察、音遊びの会への参加を通じて、自身を含む動作の成り立ちを発見し、再認識する。見方を変えれば、地続きだとわかることもあるけれど、見方を変えるのは、発想力ではなく、勝手な想像をしても確かめることができない場面で課題を解決しようとすることから。
 …と、本のうしろにある広告ページからいくつか読みたくなったものを図書館で探すつもりでいたことを今思い出した。行ったらそのことが頭から飛んでた。ダメだ…。

1月16日(月)
[一回休み]
1月17日(火)
[一回休み]
1月18日(水)
[一回休み]
1月19日(木)
[一回休み]
1月20日(金)
[一回休み]
1月21日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2017年1月21日】
 月曜日、歯の治療の本番。数年前に直したときは麻酔をかけるのも削るのも抜くのもほとんど痛みはなく、麻酔が醒めたときにわんわんしたことくらいしか記憶していない。技術の進歩は素晴らしい、と思っていたのだけど、今回は結構大変で、途中で麻酔を何度も追加投入するはめになった。ひどくなる前に処置してもらおうと思い切ったのだけど、朽ちてない分てこずらせてしまったみたい。ただ覚悟していた麻酔から醒めたときの痛みはなく、処方してもらった痛み止めはまだ使っていない。いつでも飲めるようにとペットボトルに水を入れて常備しているのだけれど。ただ、麻酔追加投入の影響かどうか、処置中の歯の近くで口内炎が発生して破れて傷になり、その痛みに苛まれてました。
 仕事のほうも、一ヶ月続いたナンギな海外の仕事の最後のヤマで、なおかつ担当者がやむを得ない事情で不在になるという状況で、帰宅してからもすぐに眠ってしま(って夜中に目が醒めるとい)うかんじでぼんやりした一週間でした。それにしても、なんら確認できる材料を提供してこなかったのに、たまたま見つけた矛盾を指摘すると「いままでどのように確認してきたのか」とは。

 通勤読書は、「レコードコレクターズ」誌、「フリースタイル」誌、『もう一度倫敦巴里』。「フリースタイル」誌「マンガ時事放談」での雑誌の読者年齢の話が面白い。読者が卒業しないでいるために対象年齢をあげて、新しい読者がつかなくなるので、若年層向けの新しい雑誌を作る、という。キープしたいという意向が先細りを招いてしまっているという。
 通勤音楽は、世を忍ぶ定額制配信サービスで、パット・メセニー・グループ "FALCON AND THE SNOWMAN" サントラ、ミッキー吉野『Me & '70s』、パンタ&ハル『1980X』、ライル・メイズ "LYLE MAYS"。LPで持っているけどCDで持ってない盤を持ち出しで聞く分には気が楽だけど。ミッキー吉野『Me & '70s』は初のソロアルバムとして19歳のときに制作されながらお蔵入りになっていた作品と初期ゴダイゴのデモ録音をカップリングしたもので、今度ソロのほうだけ発売し直されるというので今のうちに2枚組を買っておくべきかどうかの参考に。ゴダイゴの初期録音はニューロックを本格的にやるという意図がうかがえるもので、その点ではゴダイゴとしての特色はあまり感じられなかった。インストゥメンタル作品のソロは初めての作品ということでさまざまなスタイルを試している。最後の「Ultimate Future」は『男たちの旅路』の音楽に転用されている。ソロだけでもええかな。

 出かける予定はなかったのだけど、チラシの整理をしていて、「ポップアップショップ」てどんなことをするのだろうという疑問をほったらかしにしていた阿波座「space_inframince(スペース・アンフラマンス)」での「Table Top: DUST TO DIGITAL」を覗く機会が今日しかないことに気付き、午後から出かけた。「DUST TO DIGITAL」は、発掘の対象になっていない分野のレコードを独自の視点で掘り起こしているレーベル。見かけて面白そうだったら買う、くらいだけど、つまり、どこに置いてあるかわからない種類の作品が多いのだ。
 ポップアップショップは、一時的に開かれる店のことなのだけど、場所はふだん美術作品の個展を行っているギャラリーのようなかんじなので果たして。面白そうだと思ったけど、様子がわからないと、ひとに伝えることもできなくて。日曜日が休みで、28日(土)までなので、情報としては遅くなってしまったけれど。
 看板はなく、硝子扉に店の名が印字されているだけなので、一回通り過ぎて確認し直してしまった。Tqble Topというのは平置きということで、Dust To Digital作品が見やすいかたちで並べられていました。展示の様子はなく(あとで店のひとにうかがったところ、最初は装丁を手がけているデザイナーの作品の展示との同時開催を考えていたとのこと)、「きちんとした物販コーナー」の趣きでした。知らなかったのだけど、見かけていたCDパッケージだけでなく、書籍のかたちで出されたものも多い。一部は中を見ることもできた。図版もデザインも丁寧で溜息が出る。ぱっとは読めないけれど、これなら文章も行き届いているだろうと思わせる。ただ、書籍のかたちで出ているものは値もそこそこなので、ギリシャのフォーク音楽にするか、コントラバスの歴史にするかと迷った末、ベトナム、ラオス、カンボジア、タイ、ビルマ、マレーシア、シンガポール、インドネシアの20世紀前半(1905年から1966年)の録音を集めた "LONGING FOR THE PAST: The 78 rpm Era in Southeast Asia"(272ページ本+4枚組)を買うことに。誕生祝いしてなかったので、いいか、と。せっかく企画してくださったことでもあるし。
 「space_inframince」は、自社開発製品を含む流通をされている会社の実店舗ということで、録音作品も置かれていたので訊ねてみたところ、特色のある電子音楽レーベルの紹介をかねた展示をこれまでも行っているとのことでした。

 西に移動して、「HOPKEN」に。面白いものを入れてくれている店でちゃんと買い物したいと思うのだけど、ライヴなどのイベント時にはゆっくり見られない、といって、生活圏内でないのでなかなか来られない。買うものはできるだけ分散させたいと思うけど、「ホホホ座」「誠光社」「アオツキ書房」で去年買い漏らしていたものは買ってしもたしなぁ、何か…というところで思い出した。ウェブであがっているものを聞いて気になった千紗子と純太のマキシシングル(死語か)「夢の海 b/w 落花有意 流水无情」が出ている頃ではないか、と。二階にあがると、ありました。
 千紗子と純太は、CASIOトルコ温泉のMTGさんとneco眠るのBIOMANさんのデュオ。それぞれのユニットの音楽とはちがう、春風駘蕩としたおおらかなエキゾチシズムをしのばせたポップスで、音は今風だけど、1976年の蛍の光二部作(三部作になるはずだったという話も)を思わせるところがある。B面もとてもよかった。
 二階では「音楽と演劇の年賀状展7」が開催されていたので、天井から吊るされているハガキを一枚一枚見せてもらった。主催者のところにリアルに投函されたものが展示されています。普通に他のひとにも出されているのだろうなと思われるものもあれば、展示のために工夫を凝らされたものもあった。デザインがいいなと思ったのは表現というユニットのひとのもの。fの記号でニワトルを描いていました。冬支度安田さんのものは「ふ」ではなく「や」のコーナーに。

 恐喝しても強姦しても「合意がなかったとは言えない」から罪ではないとは。日本スゴイ。罪の認定は他者を責めるための材料とちゃうぞ。

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2017 Kijima, Hebon-shiki