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2017年1月8日〜2017年1月14日


1月8日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2017年1月8日】
 朝から雨。ようやく、2016年を振り返る、など。年明け早々に老母の手術が決まり、3月まではその準備や入院、退院後のリハビリなど。その後も、夜遅くなることをできるだけ控えるようになり、その代わり、自分比ではあるけれど、明るいうちに映画館や美術館に行くことが多かった。音楽は、ひさしぶりに見る、ようやく初めて見るというひとたちが多かったかな。
1月9日(月) 【▼ぐりぐらメモ/2017年1月9日】
 午後から梅田に出て、中古盤店を見てまわったり、知人と会って近況を報告したり。中古盤店まわりでは、アストル・ピアソラの『モダン・タンゴの20年』を探していたのだけど、見当たらず。でも、「マザーズのRyko盤、"FILLMORE EAST, JUNE 1971" は(一部割愛に釈然としなくて)処分してしもた」なんて歩きながら話していたら、中古盤店に割愛部分が修復された2012年版があったり、きのう東瀬戸さんがツイートしていて、内容を知らなかったので見送っていたけど、「カナダのみの編集盤。デビュー・アルバムとシングルからの選曲で、英語圏向けに新たに付けた英詩をスパークス:メイル兄弟が書き下ろし」とあるのを読んで、聞いてみたくなったリオの "SUITE SIXTINE" の2005年版CDがあったりして…買いました。

 書籍コーナーが大幅にレイアウト変更されていて驚いたタワレコマルビル店で、クリアランス棚から、"THE JAZZ YEARS: THE THIRTIES" も。ビリー・ホリデイ "LADY DAY"(1954年)、ベニー・グッドマン "THE GOLDEN AGE OF BENNY GOODMAN (THE BENNY GOODMAN STORY)"(1956年)、ファッツ・ウォーラー "AIN'T MISBEHAVIN'"(1956年)の3枚の編集盤をまとめた3枚組で、本家から出ているものだし、入門編によいかと。『キャロル』で流れていたビリー・ホリデイの "Easy Living" や色川武大の本で知ったファッツ・ウォーラーの "Ain't Misbehavin'" が入っている。

1月10日(火)
[一回休み]
1月11日(水)
[一回休み]
1月12日(木)
[一回休み]
1月13日(金)
[一回休み]
1月14日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2017年1月14日】
 買い物メモだけでいっぱいいっぱいなのはどやねんな、だけど、ツイターでのやりとりを眺めていると、ただ考えをめぐらせるだけではなく、受け取られかたへの対策を講じる必要があるように感じられ、面倒やなぁ、と。
 「ツイターで健全な議論を」というようなことをプロフィール欄で掲げているひとがたまにいるけれど、そのようなことを言っているひとと健全な議論ができるとはとても思えない。なにしろ公衆の面前で行うのであり、いちいち発言記録も取られる訳で、言ってみれば公開討論なのだ。考え直したり、折れたりすることが簡単にできない状況では議論は成り立たない。公開討論というのは、開陳すべき意見や考えがあるひとによるショーであって、考えを仕上げていくための議論ではない。素養もショーマンシップもない「普通の一般市民」には無理だ。

 若い間には、考え直したり折れたりできる状況で考えを磨きつつ、意見を交わすことの技量も磨く必要がある。名の知れたひととやりとりするのはうれしいことかもしれないけれど、自分の技量とまず相談しないと、公衆の面前で恥をかいて、なおかつそのことを認めないという二重の失敗をすることになる。
 ツイターだけでなく、ネット上には憑依可能な意見があちこちに転がっている。非公開の直接のやりとりなら、手頃な考えに憑依しようとして、その底の浅さを指摘されることもある。考え直せばいいのだ。議論に勝つ、勝ったつもりでやり過ごすために勝てる理屈を集めても、勝ち負けに関係ない課題は解決しない。それでは「考える」意味がないと思う。的の外れた「呟き」をしているひとを見ると心配になるけれど、身近なひとに直接その呟きをぶつけて、そしてたしなめられていることを祈る。

 9日は、という訳で買い物メモしか書いていなかったけど、野中モモさんの『デヴィッド・ボウイ 変幻するカルト・スター』(ちくま新書)を読んでいた。朝から読み始めて、外出の行き帰りに読み続け、外出から戻り、NHK-FMで放送されていた「今日は一日デヴィッド・ボウイ三昧」の最後のほう、"Five Years" が流れているところで読み終えた。
 『デヴィッド・ボウイ 変幻するカルト・スター』は活動を通しで見渡せるように剪定に苦心されたことが窺える本でした。特定の時期を偏重することを避けながら、年齢や同時代人、日本の事情に触れることで、後追いでも、彼が生きていた時間に「合わせ」られるように工夫されている。用心深い「ずるくてかっこいい男」には各人が各人なりに接近するしかなく、そのためのきっかけを作るということなのだと思う。"LET'S DANCE"、というよりも正確にはその次の "TONIGHT" 以降関心が薄れてしまい、レコード店でかかっているのをたまたま聞いてグっと来た "REALITY" まではちらっと聞いては「ちゃうなー」を繰り返していて、事情にも疎く、記されている混乱をそのまま受け取っていたので、すっきりすることができて、ありがたかった。
 NHK-FMの番組はエアチェックしたので、寝付けないときに聞くようにしていたのだけど、いつもそれでも途中で眠ってしまい、まだ安田謙一さんと細馬宏通さんの「しりすぎてるうた レッツ・ダンスのすべて」までたどりつけていない。司会の森田美由紀アナの、"Oh! You Pretty Thing" が「魔法の黄色い靴」を思わせたという指摘は面白かった。"Oh! you pretty thing" と「おー そうだよ 誰にもあげない」、ベースメロディのあてかたが似ている。

 仕事場では、今居る部署に30年近く在籍し、部署の文化を作ってきたとも言えるひとに突然の辞令が出て、二日後に異動という急展開があった。新規の仕事に力を入れたい→できるひとを異動させて投入→異動先でなんやかんやあって退職、かつ異動後に引き継いだひとも人が減っていることもあり行き詰って退職ということが続いているので、気が重い。

 きょうは、いろいろたくさん聞かれていることで知られているFMN Sound Factoryの石橋さんが、フリーマーケットで整理のためにCDを300枚ほど放出すると告知されていたので、先週果たせなかった用事もあり、京都に。
 フリーマーケットの会場である「アバンギルド」に向かう途中で、「元立誠小学校」の前を通ったら、ひとだかりが。今日は何をやっているのだろうと入り口に近付いてみたら、「立誠シネマ」で『この世界の片隅に』をやっているのでした。ちょうどこれから上映というタイミングで、「次の回はあとはもう立ち見」の声が聞こえてきた。あ、そうだ、見に行ったとき売り切れていて買えなかったパンフレットが増刷されているかもと思い、受付で訊ねたら、ありました。やっと買えた。

 「アバンギルド」でのフリーマーケットの石橋さんのコーナーは既にひとだかりが。珈琲とマフィンを注文して落ち着くのを待った。7枚購入。いずれもアナログ盤でしか持ってないとか、曲が多いとか、逆に曲が多い改訂版しか持ってないものの元の版とかそういうものばかりではあるけれど。スパークス "PLAGIARISM"(1997年のセルフカバー集)、"LIL' BEETHOVEN: Deluxe Edition"(3曲+映像追加)、フレンチ・フリス・カイザー・トンプソン "LIVE, LOVE, LARF & LOAF" 1987年版(2曲追加)、フレッド・フリス "CHEAP AT HALF THE PRICE" 1991年版(2曲追加)、ランディ・ニューマン "SAIL AWAY" 2002年版(5曲追加)、ジェネシス "SELLING ENGLAND BY THE POUND"(1994年のそのまま復刻) 、ドノヴァン "DONOVAN IN CONCERT"(1990年のそのまま復刻)。

 「アバンギルド」を出て、歩き始めると、御池通あたりで雪がちらつき始めた。地下街「ZEST」に避難。「ふたば書房」の大きめの店があるとは知らなかった。「レコード・コレクターズ」2月号がクリムゾンの80年代3部作の特集だったので、購入。他にヘロン、四人囃子、リイシューベスト。

 先週寄れなかった市役所隣の「ワークショップレコード」と「100000t アローントコ」に。引き続き、『モダン・タンゴの20年』は見当たらず。「ワークショップレコード」で、ジャケットにポエムのような日本語が散りばめられた編集盤を見かけ、日本編集なら、日本でのライヴ録音が紛れこんでいるのではと手に取った。その様子はなさそうだったけど、インナーシートにもポエムは散りばめられ、星加ルミ子氏のどうでもいいかんじの談話といい、広告ページのようなデザインといい、珍品として思わず「買います」と言ってしまった。
 1982年発売の「ゴールデンメモリーズ」というベスト盤シリーズ企画の一枚で、1969年の "SUNSHINE SUPERMAN" から1974年の "7-TEASE"(曲に添えられた解説には『70年代』との記述がある)までのエピック作品から独自に選曲されたもの。前後の品番を調べてみると、広告ページのようなデザインと一面にポエムのような日本語を散りばめたデザインはシリーズの統一デザインらしい。解説ならぬ「コピー」はTORu-OFF-ICE(uにウムラウト付き)、デザインはMATZDA OFFICEとある。MATZDA OFFICEは、松田行正さんの?ちなみに、検索で判明したシリーズの他のラインナップは、映画『グローイング・アップ』使用曲オムニバス、ボビー・ヴィントン、トリオ・ロス・パンチョス、エンゲルベルト・フンパーディンク、ミシェル・ポルナレフ、フランソワーズ・アルディ、サルヴァトーレ・アダモ。

 「100000t アローントコ」では、fontecの『伊福部昭作品集』。ラジオで聞いた井上道義指揮、東京交響楽団による「ピアノと管弦楽のためのリトミカ・オスティナート」(1983年2月10日)などの録音が2枚組にまとめられている。

 「モーリスビル」を出ると、道路は白一色になり、雪は吹雪に変わっていた。雪の降る中、丸太町通まで歩いて、先週に続いて、「誠光社」に。しかし、やはり、『珈琲のはなし。』は見当たらず。和田誠『もう一度 倫敦巴里』(ナナロク社)を購入。『倫敦巴里』の増補復刻版。

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2017 Kijima, Hebon-shiki