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2016年11月21日〜2016年11月26日


11月21日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2016年11月21日】
 夕方から外出。阪急梅田駅下の紀伊国屋書店で橘川幸夫さんの『ロッキング・オンの時代』(晶文社)を購入。タイトルどおり、橘川さんが初期の「ロッキング・オン」誌の10年について語ったもの。わたしが熱心な読者だったのは、その後半の5年間で、前半の5年間のことは出来事としては、いろんなかたちで伝えられていたが、橘川さんから積極的なかたちで語られたのは初めてのような気がする。

 本町へ。電車賃をケチろうと、御堂筋を歩くことにしたら、図らずもイルミネッてしまうことに。きょうからだったみたい。途中、聞き慣れたメロディが流れてきたので、おやっと思ったら、コンポステラがやっていた曲だった。ミルフィ・クラリネット・アンサンブルという5人組が寝具メーカーのショールームで演奏するということだったけど、時間が合わず、通り過ぎる。

 きょうは、本町・船場郵便局近くの「HOPKEN」での「ヒゲの未亡人の国内旅行」3日目に。『ヒゲの未亡人の休日』改訂版の発売に際してのツアーで、岸野雄一さんとピアノで作曲家のゲイリー芦屋さん、映像のALiさんのトリオでの上演。きょうは、北村早樹子さんと泊がサポートアクト。泊は、先週に続いてだし、あまり間を置かずに見ているように思っていたけれど、誰かとの合体ユニットだったりして、お二人だけによる演奏はひさしぶりでした。最初に演奏された北村早樹子は、子供のような声で歌う様子を以前ちらっと聞いて、苦手なタイプかもしれないと敬遠していたのだけど、あやうさを感じさせつつも、重心の低い、重さがある歌で、良かった。

 ヒゲの未亡人は、実は、岡村みどりさんの時期しか見ていなくて、ゲイリー芦屋さんが参加したものを見るのは初めて。『ヒゲの未亡人の休日』LPに付けられた「ヒゲの未亡人のしおり」に掲載された対談によると、ゲイリー芦屋さんは再加入ということで、最初のときはまったく知らない。さらに実を言えば、『ヒゲの未亡人の休日』の最初のバージョンは、「わたしの知ってるヒゲの未亡人じゃない…」てな狭量から買わなくて、Mさんに聞かせてもらうまでちゃんと聞かなかったのでした。隅々まで編曲された世界が、即興劇の印象とは異なっていたということで。すみません。
 それはともかく、今回の演奏は、岸野さんがこの間に行ってきたさまざまな試みがしっかり息づいて、ゲイリー芦屋さんの流麗であざやかな編曲とピアノが、ALiさんの映像とともに繰り広げられていました。映像の細かな要素にも反応したくなるところ多し。LPとは異なる曲順だけど、腑に落ちる展開で、隅々まで見ずに/聞かずにはいられなかった。

 帰り。地下鉄「堺筋本町駅」への出入口が閉鎖されていて、焦った。夜遅くなると、出入口を絞るようで。

11月22日(月)
[一回休み]
11月23日(火)
[一回休み]
11月24日(水)
[一回休み]
11月25日(木)
[一回休み]
11月26日(金)
[一回休み]
11月27日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2016年11月26日】
 ミス対策の一部に組み込まれたので、関連業務の見直しを…しているところに、その対策の関係者のひとりが退職するという連絡を受ける。うーん。なんというか、悩む割に考え切れていないところがあって、結果、先方のいいようにされることを繰り返しているので、「考えるのはそこじゃない」等、交通整理をすることで、よい方向に向かうことを期待していたのだけど。という訳で、退職の報を聞くまでは、比較的ゆるいかんじでした。水曜日は休みだったし。

 前半の通勤読書は、橘川幸夫さんの『ロッキング・オンの時代』。ROの最初の十年を、創刊メンバーを突き動かした出来事や関心を確かめながら辿っている。10号までのROの目次や橘川さんの音楽についての文章も再録されている。わたしがROを読み始めた1977年には、橘川さんは音楽について書いていなかった、のだけど、何の違和感も持っていなかった。「ロキノン系」という言葉が揶揄する対象として、橘川さんの志向を指すとする見立てが引用されているけれど、橘川さんが離れる前後でそのようなことがROの内部で語られていた記憶はないし、そのような言葉もなかったと思う。そもそも、橘川さんや岩谷さんは「音楽について」語ってはいなかったけど、「私語り」ではなかった。揶揄の対象になっているのは、もっとあとに出てきた文章傾向だと思う。
 私語りでなかったのは、「へんなとこで潔癖」だったからではないか。律儀というか。自分を許すように書くのと、自分を矢面に立たせるように書くのとは異なる。それが文章にも表れていた。ビジネス志向と言われる渋谷陽一さんについても、商売とは別の潔癖さがたびたび語られている。異なる志向を、試行錯誤の中でメンバーそれぞれが見つけていく過程がいいのだけど、潔癖さや律儀さが異なる志向を結びつけていたのだと思う。
 橘川さんや岩谷さんが離れたときにROを読むのをやめた、と言いたいところだけど、実際はもうしばらく続けていた。他に同じ領域をカバーする音楽雑誌を買っていなかったので、情報誌として。だから、インタビュー記事は読むけど、ライターの「芸風」や「楽屋落ち」が目立つ文章は詰まらないので読まなくなっていった。

 水曜日は、普段の日曜日と同じように家の用事を片づけたあと、買い物ついでに近辺をぶらっと…するつもりが、隣市のシネコンに再入荷しているだろうという予測で買いに行った『この世界の片隅に』はやはり売り切れたままだったことから、ふらふらと「知らない道を行く」遊びをやっていたら、次の駅に着いてしまった。日が落ちる時刻が近づいていたので、帰る、ただし戻らずに別の道で帰る方向を探していたら、「CD、LP買入」の文字が見えた。えっ?と思い、行ってみると、絶滅危惧種のような中古盤店がそこに。夏に広島で寄った「GROOVIN'」を思い出した。中古盤がメインだけど、新譜が混ざっていて、紛らわしい。いわゆるレア盤はそれなりの価格を付けている。そんなかんじなので、「掘る」楽しみはそんなにないのだけど、山積みされた音楽関係の古本から、三井徹『ロックの美学』(ブロンズ社、1976年)と植草甚一『ニューロックの真実の世界』(晶文社、植草甚一スクラップブック21、1978年)を掘り出す。後者はたぶん持ってなかった、はず。前者は羽良多平吉さん装丁。

 金曜日、仕事が終わってから、京都「パーカーハウスロール」に。ここだと、仕事終わりでも、19時になんとかぎりぎり行ける。まだ開場していなかったけど。種ともこさんの30周年記念ライヴ。このところ行けてなかったので、がんばって。バンド編成もいつ以来か思い出せないくらい。Tomokoまで3mの距離。最初の2曲「てのひらの地球」「チャリンコ」でもう感極まる。30周年記念ということもあり、新旧、特に初期の曲や、合わせて発売されたレアトラック集『DAILY BREAD』にも収録されたテレビアニメの主題歌なども交えた選曲。コードを力強く押さえていく演奏に加えて、バンドなので初期の曲では、歌に専念して、種さん踊りまくりでした。芳垣安洋(Dr)、鹿島達也(B)、菅原弘明(G)、葛岡みち(Key)から成る安定感と鋭さを兼ね備えたDaily Bread Special Bandも良かった。
 ヒットパレード大会でうれしかった、というよりも、改めて、種さんの曲が好きなんやな、と改めて思った一夜でした。『感傷』のために準備していながら、リハーサル中に起きた阪神淡路大震災のためにお蔵入りになった「東京で地震があったら」などいくつか初めて聞く曲もあったけど、どれもよくて。
 行けるかどうかわからなかったので出さなかったけど、今回のツアーでは事前にリクエストを募ってらした。特定の曲に票が集中することなくあがったのが70曲。その結果がうれしいと言うてはりました。絞り切れなくて会場アンケートも出さなかったけど、1曲リクエストするとすれば「Mighty Love」かな。
 会場で、「あの頃の想い」ピアノ弾き語り再録を収めたCDをいただく。『DAILY BREAD』と春に出たライヴアルバム『種からつなげよう 笑ってて』を買いました。

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2016 Kijima, Hebon-shiki