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2016年6月5日〜2016年6月11日


6月5日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2016年6月5日】
 新発売のもので気になるものがいろいろあるのだけど、それ相応の店に行かないと、大型店でもそれらを入手できるかどうか定かでなく、となると、乗り換え不要なカジュアルコースでは出かける甲斐がないということになる。そんなかんじで、億劫な気分のまま、梅雨入りしてしまった。きのうは出かけるのを断念して、髪を切ったり、買い物をしたりしているうちに雨になった。

 朝になっても、まだ雨は降っていたけど、空は明るめで、母親のリハビリ部屋の模様替えなどしていたら、雨があがった。神戸・王子公園の「横尾忠則現代美術館」で、エレクトリックギターによるスティーヴ・ライヒ作品の演奏会があると聞き、くすぶりがちな気持ちを晴らしたいという気持ちもあって、昼食を早めにとって、出かけることにした。

 着いたら、パイプ椅子はほぼ埋まりかけていた。展覧会に合わせて、よくライヴやトークショーといったイベントをやっているけれど、会場は通りに面したエントランスで、入館料を払わなくても見られるかんじだったのでびっくり。
 演奏するタケムラヤスシさんが作曲した展覧会に寄せた曲が流れる中、席に着いた。まずタケムラさんによるフェイズ手法やミニマリズムについての解説があり、"Music For Pieces of Wood" のギター編曲版でスタート。PC内の録音とライヴ演奏を組み合わせて演奏されるのだけど、音はすべてスレクトリックギターをミュートして木片を模している。演奏していると根を詰めて酸欠になるのでと酸素吸入器が用意されていて、笑わせる一幕も。ギターで、ミニマル音楽の真似事をやろうとしたことがあるもので身に覚えが。一緒にするな、ではありますが。
 というようなかんじで、ユーモアをまじえて、カジュアルな佇まいで聞かせてくれて、楽しかった。2曲目は初めて聞く曲で、"Nagoya Guitars"。元はマリンバ用の委託作品という。ライヒ作品では聞き慣れない和風のメロディが聞けた。3曲目はパット・メセニーの演奏で知られる "Electric Counterpoint" 。ざくっとしたストロークもあって、ポップだった。物販は見当たらなかったけど、帰宅してから Apple Music で検索したら、あった。とりあえず、それで聞くことにする。
 横尾忠則展「わたしのポップと戦争」も見ていく。繰り返し描かれるモチーフに戦争の記憶を重ねたものに目が覚めるような感覚になった。東京オリンピックのポップアート版はパロディとして面白かった。

 王子公園に来たならば。「ワールドエンズ・ガーデン」に寄って、2冊。黒鉄ヒロシ『ビートルズ』(黒鉄ヒロシ文庫、立風書房)とガモフ『不思議の国のトムキンス』(ガモフ全集1、白揚社)。

 三宮には出ず、そのまま帰るつもりでいたのだけど、寝過ごして、梅田に着いてしまった。しかたなく、降りて、茶屋町付近へ。失効が近づいているポイントがあることもあり、『カージャケ CAR JACKET GRAPHIC』(三栄書房)を。みんな意外と車好きなんやなぁ。こんなところに車があったのかと気付かされるものも。

 戻る途中で、古書街を通って、均一箱だけ覗いていたのだけど、そこで、スティーヴ・ライヒ "PROVERB/NAGOYA MARMBAS/CITY LIFE" が。かなりボロボロだったけど、ものすご安かったので、これは思し召しかと。同じ箱に、深町純『ある若者の肖像』と『HELLO!』が。2作目は何故か未開封品。あと、サンフランシスコ交響楽団 "CHARLES IVES: AN AMERCAN JOURNEY" を。支払いのため店に入って、一応眺めると、向田邦子シナリオ集がいくつかあった。『トットてれび』で前回向田邦子さんの話をやっていたところということもあり、つい、初期の作品が収められている向田邦子『一話完結傑作選 付全作品解説・年譜』(岩波書店)を買ってしまった。解題・年表が付いているのもありがたく。

6月6日(月)
[一回休み]
6月7日(火)
[一回休み]
6月8日(水)
[一回休み]
6月9日(木)
[一回休み]
6月10日(金)
[一回休み]
6月11日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2016年6月11日】
 付近を歩くことを再開すると、更地になっているところの多いこと。道路を我が物顔で駐輪場として使っていたスーパーがあった場所は駐車場になった。先月閉店したガソリンスタンドの跡も更地になって、景色が変わった。家と最寄駅の間に、住居あとの更地が4つほど。店が閉まったあと、次に何の店ができるのだろうという期待もしなくなった。…正直に言えば、レコード屋ができないか、という期待だが。やはり先月近所の書店が閉まり、新刊書店は自転車で10分の範囲で一軒だけになった。その一軒にはもう十年以上足を踏み入れていない(買いたい本が置いていない…だろうから)ので何も言う資格はないのだが。

 今週はどちらかと言えば暇になって、4月以降のばたばたを整理したり振り返ったりするつもりで、もしかしたら多少はいつもできていない他部門のヘルプなどできるのではという淡い期待もあったのだけど、整理にいそしめたのは月曜日だけで、火曜日からは新たな火種の発覚により、その対応に追われることに。方針が決まらなかったり、回答が来なかったりで、定刻になったら時間切れで帰るかんじで、身体的には休めているはずだけど、気分的にはすっきりしない一週間でした。来週も続きます。

 もやもやした気持ちを振り払うべく、金曜日の夜は仕事帰りに梅田「シャングリラ」に。VIDEOTAPEMUSICの「Sultry Night Slow」ツアー大阪編。VIDEOTAPEMUSICは、気になりつつも、ちゃんと聞いたことがなかったのだけど、やはり気になっているTUCKERさんとともに、Yossy Little Noise Weaverが出演するということもあり。屋上ビアガーデンで、ではないけれど、仕事帰りのサラリーマンのコスプレで。コスプレじゃないか。
 「シャングリラ」は最近は行ってなかったのだけど、行くまでの地下道が既に無国籍でした。JR貨物線をくぐるもので、再開発前からかなり短くなってしまったとは言え、まだ200mある。通り抜けるうちに、気持ちが切り替わるのがいいし、通り抜けると、間近を貨物列車が走っていくのもいい(コンテナ車好きということもある)。貨物線は地下化される計画があると先日聞いたばかり。この風景もいまのうちかと思うと、寂しい。

 TUCKERさんのライヴは初めて見た。ドラム、ベース、オルガンと、ひとりで演奏を重ねていくのにおそるおそるなとこがない。ライヴ演奏の思い切りの良さありき。リズムボックスの迷いの無さにも痺れた。
 Yossy Little Noise Weaverは小さなところでしか聞いたことがなかったのだけど、Yossyさんのエレピのミニマルな演奏から醸し出されるハーモニーの広がりを実感して、ああ、きちんとしたステージと音響でよかった、と。TUCKERさんの演奏もステージならではの動きが楽しめるものだったけど、Yossy Little Noise Weaverの演奏にも、音だけだけど、動きが感じられた。
 VIDEOTAPEMUSICは、サンプリングされた古い映像を流しながら、ご本人はピアニカを演奏。エキゾチシズムが感じられる音楽だけど、古い映像の中の生活や演芸へのそれなんやな。だから、音楽にも、煽り切れない慎ましさがありました。アルバムのタイトルは『世界各国の夜』。モンド映画を思わせるけれど、各国の、の今宵世界のあちらこちらで起ることが慎ましいものでありますように、という願いすらあるような。

 幕間DJは安田謙一さんとキング・ジョーさん。歌唱コーナーには芸能ニュースを賑わせているファンキーさんと先日亡くなったプリンスさんに捧げたGS曲が!

 きょうは、なんとか睡魔をなだめて、夕方から市内に。大型レコード店に寄るも何も買わず、歩いて南森町まで。「音凪」でのとんちピクルスさんマンスリー企画で、泊とのライヴ。とんちピクルスさんが用意したBGMは、来月のマンスリー企画に備えて、倉地久美夫さんのカセット作品を流す、というもので、『一反木綿』から「Laugh Volcano」や「老紳士との約束」がかかるも、客席の反応を想像して耐え切れなくなったとんちさんが怯んで、メコンズに切り替える一幕も。常連の雑談が苦手なわたしはかかっている音楽だけが命綱なのだけど。メコンズもええんやけど。

 とんちピクルスさん、話が多め、だったかな。「鍾乳洞の長い旅」は、あがた森魚さんの「スターカッスル星の夜の爆発」を思わせるところもあって、好きです。とんちさんのラップが聞けるのは、面白いということもあるけれど、はっとさせられるメロディがバックになっているからだと思います。
 泊は、前半のとんちピクルスさんにあてられたところがあったのか、ややおとなしめで、淡々と。それでも、ギターの無頼な分散音とともに繰り出される声には震わされるものがあります。アンコールでは共演も。泊の武村さんがソロで、「たこ焼きマーガレット」の歌を。これを聞くと、ザ・スミスにはピンとこなかったわたしも、「聞き直してみようかな」といつも思います。

 このところ「終演後の物販ダウナー病」なのに加えて、常連の雑談に耐えられず、早々に退散しました。

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2016 Kijima, Hebon-shiki