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2016年3月6日〜2016年3月12日


3月6日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2016年3月6日】
 午後から、弟が来て、退院後の母の部屋のセッティング。それから病院に、初めて自転車で(これまでは通勤帰りだったり、路線バスだったり、タクシーだったり)。一時帰宅から二日しか経っていないけれどどんなかんじかということと、部屋のセッティングについて確認するため。なのだが、秘かな目的としては、先日、駅から病院に行く途中で見つけた古本屋を覗くことがあり。残念ながら閉まっていたのだけど。ひとでなしだ。

 病院は居住市の中心街から少しだけ離れたところにあるので、帰りに、駅前の百貨店内の書店に寄った。駅前には大きめの書店が三つあるのだが、これまでの見舞いの帰りに寄った二つでは置かれていなかった『総特集 坂田靖子 ふしぎの国のマンガ描き』と「アックス」109号「特集 追悼 水木しげる」を見つけることができた。「アックス」は漫画のコーナーではなく文芸誌の中に紛れていたので、見つけるのに手間取ってしまったけれど(それに「水木しげる」で検索をかけても出てこなかった)。「驚く男 aka ビビる男」の元ネタがわかったらしい。
 同じ百貨店に入っているレコード店も一応覗いてみたけれど、探しものは見つけられなかった。

3月7日(月)
[一回休み]
3月8日(火)
[一回休み]
3月9日(水) 【▼ぐりぐらメモ/2016年3月9日】
 朝から雨。退院する母を迎えに行くので、きょうは仕事は休み。朝から洗濯機を回して、部屋干し。退院は10時ということで、準備していたら、母から「頼むからタクシーを使ってくれ」というメールが。負担をかけているという気兼ねからなのだけど、タクシー会社に電話をかけると、30分以上待っているひともいる、と。雨だから。で、キャンセルして、バス停まで走って、9時25分発に乗れたのだけど、道が混んでいて予定どおりに進まない。雨だから。少し遅れてしまった。ただ、別に、10時を過ぎたからと延滞料金を取られる訳でも追い出しにかかる訳でもなく、最後の診察と手続きは朝の早いうちに終わっており、あとは荷物をまとめて、支払いをするのみだった。昼には家に着いた。束の間の一人暮らし終了です。

 雨が激しく降っていることもあり、ひととおり荷をほどき、片付けが終わると、時間を持て余してしまった。ベッドを移動させるために、とりあえず除けたLPレコードを整理することにした。目に付いたら、かければよい。CDで買い直したものは既にまとめてあったのだけど、アップデートしていなかったので、あちらこちらの山からCDを買い直した盤をピックアップするところから。
 好きな作品はCDで買い直すことが多いので、それらを抜いていくと、残るのは、それほど好きではないか、編集盤か、聞き始めの頃に買ったものが多いけれど、聞き過ぎて、買い直す気が起きなかったかのいずれかになるので、寂しいかんじはする。「レギュラー」棚もすかすかになっている。そこで、「レギュラー」棚の選盤も思い切って再考することにした。ある括りでまとめて、そこからよく聞きそうなものを改めてピックアップしていく。寂しさは拭えないけど、ひとまず棚は埋まりました。ベッドの上に置いていたものだけでなく、机の下に置いていたものも一旦外に出した。2Lペットボトルの箱に入れているけれど、棚をちゃんと買ったほうがよいかもしれない。IKEA製にLPレコードにぴったりのものがあるらしいのだけど、さて。ニトリやベルメゾンではどうか。

 検索性を優先すれば、ABC順にするのがいいのはわかっているのだけど、どうしても、異質なものを「並べる」ことに抵抗がある。さりとて、何故にそれとそれを異質であるとするか、あるいは分けるときに何を基準にするかとなったときに、便宜上とはいえ、安易すぎないかと自分でも思うことが多々あり(新旧、洋邦、男女、米英仏云々)、それはそれで悩ましい。ABC順にすれば、悩まなくて済むけれど、回避しただけで解決ではない、なんて思ったりもする。
 家のレコードなのに、気が付けば、指先が黒くなっておりました。

 PCの前に戻ると、ジョージ・マーティンとナナ・ヴァスコンセロスの訃報。片付けながら、ナナ・ヴァスコンセロスが第3のメンバーとして参加しているパット・メセニー&ライル・メイズの "AS FALLS WICHITA, SO FALLS WICHITA FALLS" をひさしぶりにかけたところだった。彼らなりの「アメイジング・グレイセズ」と言ってよい最終曲でのナナの歌がとても好きです。

3月10日(木)
[一回休み]
3月11日(金)
[一回休み]
3月12日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2016年3月12日】
 組織変更や基幹システム変更があり、タイミングとしては変更後でよいものを変更前になんとかと要望されて、変更準備を後回しにして前倒しで用意したら、前倒しなので未定事項も多く、なかなか承認が進まず、要望してきたひとから間に合ったら対応してやるみたいな言われかたをするわ、結果間に合わないわで、なにをやってんだかの数週間、が母の入院期間と重なっていたのでした。

 退院後の片付けで、アナログ盤を整理し直したとき、ロバート・フリップ "NETWORK" が2枚出てきた。買い直した記憶はある。理由があったはずなのだけど、思い出せない。最初に買ったのは、NHK-FMのピーター・バラカンさんの番組でのピーター・ガブリエル特集のときにかかった "Here Comes The Flood" が、"EXPOSURE" 収録のものとちがっていたことに驚いて、それで何かでこれに入っているものということを知って、だったと思う。しばらくかけられない時期もあったけれど、A面をそれぞれかけてみた。ひょっとしたらキズがあって、ブチっと云う部分があったのでは、という思いもあり。大きな違いはなかった。うーん、なんでもう一枚買ったのだろう。
 "NETWORK" は、1979年の "EXPOSURE" と 1980年の "GOD SAVE THE QUEEN/UNDER HEAVY MANNERS" から抜粋された1985年発売のミニアルバムで、"North Star" も歌いかたが一部異なるところがあり、元になかった音も聞かれる。しばらく聞けない時期があったのは、"Here Comes The Flood" の歌詞の厳しさがあったから。亡くなる前の父親に「ゴンドラの唄」を聞かせたくなかったように、わるくなくても聞かせたくないときはある。その時期も自分にとってのこの曲の歴史になっている。かけられない時期があったということを聞くたびに思い起こす。

 朝、キース・エマーソンの訃報。youtubeには、4月に予定されていた来日公演への挨拶ビデオがあがっていて、急逝に驚いたのだけど、あとで死因を知って、やるせない気持ちになった。最初にぐっと来たのは、1977年1月のNHK-FM正月特番「新春ロック講座」でのナイスの "America" とエマーソン・レイク&パーマーの "Knife-Edge" かな。エマーソン・レイク&パーマーはもう少し前に耳にしていたように思うのだけど。
 いま思い返すと、彼の音楽には、深刻なところはなかった。重厚ではあったけれど、移動遊園地のような、サーカスのような華やかさがあった。それをかっこよいと感じたり、嫌になったりしたのだと思う。

 午前中、ばたばたしていたら、宅配便が届いた。予約が規定数に達すれば商品化される「ソニーオーダーメイドファクトリー」で予約したSACRAの『ついのすみか』。ギターとハンマーダルシマーとヴォーカルのトリオによるアジアの風景。1991年の作品だけど、鋭角的なところはまったくなく、ゆるやかで、でも隅々まで丁寧に仕上げられていて、うっとりする。

 午前中、買い物ついでに本の疎開先に、退院準備の片付けで出てきた本をいくらか移動させる。代わりに、坂田靖子さんの『天花粉』を持ち帰ってきてしまったけれど。
 午後、買い物ついでに、病院に行く途中で見つけた古本屋に寄ってみた。通販主体で、週末だけ店を開けているのだけど、在庫のためのスペースに店番という構え。岩淵達治『<三文オペラ>を読む 岩波セミナーブックス44』を買う。近くで、気になっていたライヴがあったのだけど、日にちを間違えていて、寄れなかった。挨拶だけでもと思っていたのだけど。

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2016 Kijima, Hebon-shiki