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2016年2月21日〜2016年2月27日


2月21日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2016年2月21日】
 きょうから、しばらく、一人暮らし。午前中、手続きと説明。昼にあとを任せて帰宅したけれど、しばらくぼんやりしてしまい、昼を摂ろうと出かけたのは15時をまわってから。そのまま、梅田に出て、マルビルで『ニッポンジャズ水滸伝 人之巻』を購入。マルビル限定特典として、美山華子「大阪セレナーデ」、井上紀久子「大阪行進曲」、遊覧レコード「大阪見物」を収録したCD-Rをもらう。せっかく大阪限定で出してくれているのだから、と。それから茶屋町の書店で、濱口竜生『カメラの前で演じること 映画「ハッピーアワー」テキスト集成』、片岡義男『コーヒーにドーナツ盤、黒いニットのタイ。1960-1973』を。駅ナカの書店でと思っていたのだけど、揃わなくて。もはやまったくお手上げの漫画コーナーで、石森章太郎の作品を探すも、ほぼ特撮/SF関係のみ。茶屋町のほうの黄赤店には寄らず。昼は結局摂らなかった。
2月22日(月)
[一回休み]
2月23日(火)
[一回休み]
2月24日(水)
[一回休み]
2月25日(木)
[一回休み]
2月26日(金) 【▼ぐりぐらメモ/2016年2月26日】
 月曜日、母の膝の手術。その日の二番目で、一番目のひとのが長くかかり、45分遅れになったけど、所要時間は予定どおりで、無事に終了。夕方、病室に戻ってから、まだ麻酔から完全に醒めてはいなかったけれど、少し話。待っているときは「こんなに長くかかるなんて」、終わってから予定どおりに終わったと伝えると「前のひとはあんなに長くかかったのに」。翌日ときょう、仕事が終わってから様子を見に行ったけど、寝ていたので、様子は聞きたかったけど、起さずにメモを置いて帰った。水曜日の夜に弟が、きょうの夕方、弟の嫁さんと姪が訪ねたときは起きていて、よく話していたらしいので、大丈夫そうだけど、なかなかもやもやというか胸のつかえがとれない。

 という訳で、しばらく一人暮らし。ふだん母親とのとりとめのない会話や傍らで流れている2時間ドラマを、帰宅してから、集中できず、早めに眠ってしまうことの言い訳にしておったのですが、とりとめのない会話や2時間ドラマがなくても、家事があるにはあるけれど、空いてる時間もぼんやりしていて、やっぱりなんにもできてないし、早く寝て夜中に目を覚ましたりしてる。帰宅してからやればいいものを、やっぱり帰宅前に、日中のツイートを読んだり、メモやメールの返事を書いたり、本を読んだり。
 手術の間、入院してるひとが利用する休憩室で待っていたのだけど、やせ我慢しすぎたか、それで少し風邪気味に。水曜日がいちばんひどかったけど、熱は出ず、なんとか悪化せずに回復。待っている間に、都築響一(語り)『圏外編集者』をまるまる一冊読んでしまった。メールマガジンは読み切れないだろうからと読んでいないのだけど、本になったものは読んでいる。『圏外編集者』は語りならということで引き受けたという自身の仕事についての考えかたをまとめたもの。「知らせる」こと、そのために必要なことをやり、不要なことを取り除いていくことが書かれている。

 テレビは、点いているのが日常になっていたのだけど、改めて、となると、見たいものはたまにしかない。録画だけしてあったNHK-BSドラマ『世界はひばりを待っている』を見た。「川の流れのように」録音のために、美空ひばりがスタジオに到着するのを待つ間、ミキサー助手の主人公(門脇麦)の父親の危篤が伝えられ、主人公が家の歴史と美空ひばりの歌を振り返る。主人公は同い年。ピンク・フロイドやエルトン・ジョンが好きでこの仕事に就いたというところは実感あるけど、「東京キッド」から13年後に生まれたとなると、改めて、ああそうか そうなんや たしかにそうやな、と思う。主人公の実家はかつてレコード店で、第2話では1967年のそこが舞台となっていた。『ブルドッグ作戦』サントラが壁にかかっているのが目を引いた。棚にはアソシエイションの札も。主人公の父親(滝藤賢一)がちょっかいだした女(木南晴夏)が乗り込んできて、ひばりとビートルズにあてつけた痴話喧嘩が始まり、それが主人公と父親の確執を生む修羅場に発展するのだけど、レコードと生活がいっしょにあった頃の話だ、とその点は楽しかった。

 木曜日は、気晴らしもかねて、仕事終わりに、古川橋の「ルミエールホール」へ映画『繕い裁つ人』を見に行った。神戸で撮影されているということで見てみたかったのだけど、登場人物たちの生活や階層がぼんやりしていて、腑に落ちるところまで行かなかった。言葉使いが特に。神戸の言葉でないということを差し引いても。『廃市』を思わせるも、諦念やそれゆえの矜持や慎ましさはなく、悲劇も起らない。むかしテレビで見た映画で、タイトルがわからない、遭難した旅客機の乗客が別世界に行ってしまうのを思い出したり。主人公のこだわりがほんとにこだわりでしかない、という。風景や旧グッゲンハイム邸の場面はきれいでよかったけれど。

 きょう、病院に寄ってから、その足で、水無瀬駅前の「長谷川書店」に、森元暢之原画展「長谷川書店でポロリ」を見に行った。古い作品から最近描かれた色鉛筆画まで。ひとつひとつのコマの密度が高いので、わずかなスペースでも、ぎゅっと濃いものになっていました。最近作の原画はPC処理前なので「白っぽい」ネイキッドバージョンとの説明あり。ふちがみとふなと「はじめまして」の紙芝居やチュー星人初登場時の原画も。タバブックスからの植本一子『かなわない』増補版を買った。

 帰宅して、ひさしぶりに、テレビ用ハードディスクレコーダーでCDをかけてみた。

2月27日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2016年2月27日】
 昼イチなら起きているだろうと、午前中に洗濯やら風呂の掃除やら計画立ててやって、髪を切りに。先客が居らしたので、半時間ほど待つことになり、あとの予定がぎりぎりになってしまった。仕事用のシャツをクリーニングに出し、バスに乗って、母が入院している病院へ。病室に行くと、居ない。ちょっとしたら戻ってくるかなと、休憩室で少し待って、改めて覗いてみたけど、居ない。そこで待つか、と空のベッドに座ったら、目の前にわたし宛の貼り紙が。リハビリに行ってたのでした。
 リハビリルームに行くと、居ました。術後すぐのぼんやりした状態での会話以来、やっと話ができた。リハビリ開始を一日遅らせたと聞いていて、心配だったけど、リハビリ指導員のひとが思ったよりも早く次の段階に進んでいるというので、少し安心した。本人も、やっただけ成果が出ていることを実感しているようだった。ここ数年思うようにできないことばかりで挫け気味だったので、よかった。世話をしてくれる指導員や看護士のひとたちからは「おもしろいひと」と受け取られているみたいで、それもよかったと思う。
 ちゃんとやってるよとは伝えたけれど、目算を誤って、きょうの分の靴下がなく、はだしで靴を履いていたことは黙ってた。

 病院近くの駅から電車に乗って、京都へ。時間ぎりぎりだったので、財布の中がかつかつだったのにもかかわらず、補充できないまま、目的地の「京都みなみ会館」到着。上映開始2分前。越川道夫監督『アレノ』を。予告編の2編にも、『アレノ』に主演している渋川清彦氏が出ていて、面白かった。
 『アレノ』は、エミール・ゾラの『テレーズ・ラカン』を原作とした物語とのことだけど、題名しか知らなかった。幼馴染の男二人と女一人。男のひとりは女と濃密な関係にあったが、町を出る。残された女は、もうひとりの男と結婚するが、病弱なその男の世話係という面があった。やがて町を出た男が戻ってくる。映画は、寂れた観光地で3人が乗ったボートが転覆し、女と戻ってきた男が助けられるところから始まる。病弱な夫の行方が判明するまで、ラブホテルに泊まって、待つ二人。彼らは、子供のようでもあり、疲れた中年のようでもあり、閉じた関係の中だけで生きてきたことが描かれる。雨が降り続けている寂れた観光地、遺体があがってなお、ずぶ濡れの姿で現れる夫が、閉じた関係をさらに閉じ込める。yumboの澁谷浩次さんによる音楽は、綻びから漏れ出す何か、あるいはそこから入り込んでくる何かのようにふいに沸き立つように流れていた。大きな傷が横たわっているような映画でした。

 夕方から雨になるということを出かけてから知り、映画が終わって、コンビニATMを初めて利用して財布を補充し、すぐに戻った。洗濯物を取り込んだときにはまだ降っておらず、間に合ったけれど、結局、あまり降らなかったのだと思う。まったく気づかないまま、暗くなってから、買い物に出かけたら、道路が濡れていた。

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2016 Kijima, Hebon-shiki