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2016年1月24日〜2016年1月30日


1月24日(日) 【▼ぐりぐらメモ/2016年1月24日】
 10時過ぎに出て、十三へ。「第七藝術劇場」での濱口竜介監督『ハッピーアワー』上映を見に。気になって、チラシはとってきてあったけれど、3部構成の計5時間17分という長さに躊躇していた。安田謙一さんの『神戸、書いてどうなるのか』トークショーのあとの打ち上げのような忘年会で一緒になったひとが熱をこめて話してくれたことで、見てみようと思い。通しで見たほうがいい、とも聞かされていたので、12時15分から18時までの回を選んだ。舞台となった神戸の「元町映画館」での先行上映では、最後のほうは満員で立ち見が出たといい、大阪での初日でも舞台挨拶があったということもあるだろうけど、やはり満員だったというので、早めに行くことにした。上映までの一時間どうしようと思っていたけど、商店街をぶらついたり、昼食をとったりしているとすぐだった。

 『ハッピーアワー』は、30代後半の仲の良い女性4人の物語。ときどき一緒にピクニックに行ったり、ワークショップに出かけたりしている。ひとりがアートスペース(「KIITO」が舞台となっている。この映画はそこでのワークショップから生まれた)のキュレーターをつとめていて、それがきっかけで「重心」がテーマのワークショップに参加したことから物語が動き出す。このワークショップの場面にかなりの時間が割かれていて、先に見たひとから「あそこが長く感じた」という話は聞いていた。案の定、そこでうとうとしかけてしまったのだけど、ちょうどそのとき、画面に知ってる顔と声を見つけて、びっくりしてして、目が覚めた。去年会ったときには撮影は終わっていただろうから、それならそうと言ってくれたらすぐに見に行ったのに、と思いましたが、それで最後までしっかり見ることができたのだから、感謝しないと。

 ワークショップのあとの打ち上げの席で、誘い出されるように話されたことがそれぞれの気持ちと関係に波紋を投げかけていく。重心が崩れる、ように。以降、保とうとすること、保てなくなることが描かれていくことになる。ワークショップ講師のトリックスターのような動きが謎といえば謎だけど。
 仕掛けがないと言いたいところだけど、仕掛けはある。でも、ひとを試さない。挑戦的ではない。長い時間だけど、彼女たちの行動が受け止められるように、見るひとの理解や気持ちを待ってくれている時間のような気もする。
 3部構成だけど、個別に見るようには作られていない。「前回までのあらすじ」は無いので、通しで見てよかった。

1月25日(月)
[一回休み]
1月26日(火)
[一回休み]
1月27日(水)
[一回休み]
1月28日(木)
[一回休み]
1月29日(金)
[一回休み]
1月30日(土) 【▼ぐりぐらメモ/2016年1月30日】
 仕事で、文字サイズの「ポイント」がどこからどこまでのことなのかを説明しなければならなくなり、証拠となる文献を求めて、図書館へ。でも、あたりまえすぎるからか、機械がやってくれるからか、ばしっと解説した本は見当たらず。でも、祖父江慎・藤田重信・加島卓・鈴木広光『文字のデザイン・書体のフシギ』は目的とは別に面白そうなので、借りてきた。ついでに、小谷充『市川崑のタイポグラフィ』という本も。
 その後、自宅最寄駅近くの書店にも寄ってみたけれど、やはり見当たらず。うーん。実態に合わない曖昧な規定をしてきたのはあっちなのに、こっちで実態に合うように証明しなくてはならない、とは。

 書店で、社会的に弱い立場にあるとされる者への蔑視、嘲笑、いやがらせを表現意欲としているらしい漫画家の本が面出しで陳列されていて、げんなり、したが、表紙の「ホワイトプロパガンダ漫画家」という肩書きに、うんざり。プロパガンダであることは認める、が、ホワイトだ、というつもりだろう。「ホワイト」を自称するなんて、ほんとにダメな左翼の劣化コピーやなと思う。イヤミですらなかったのかと思うと。

 二枚いっしょに見つけることができず、通販で頼んでしまった「藤井暁エンジニアワークスシリーズ」第2弾の二枚、ウニタ・ミニマ『世界の縁 The Edge Of The World』とアレポス『アレポス Arepos』が届いたので、コンビニに引き取りに。このところ、駅構内の独自コンビニが「セブンイレブン」に代わっている例をいくつか目にしているので、そっちで受け取れるかと思ったのだけど、選択対象になっていなかった。

 ウニタ・ミニマ『世界の縁』には、8曲追加。アルバム以前の1985年、1986年に録音されたデモ録音が4曲。この中に、(同じ録音かどうか確証はないけれどおそらく同じだと思う)「Bad Alchemy」誌の付録カセットに収録された「ミル・キク・アソブ」、「何ができる?」が含まれている。残り4曲は1989年12月26日「シアターモリエール」でのライヴ録音。。「けんしょー炎」、かっこいい。「このままじゃ嫌だ/今のままがいい」という詞で始まる歌が未収録なのはちょっとだけ残念ですが。
 ライナーノートは近藤達郎さん。「ミル・キク・アソブ」というショウのためにミュージシャンを集めた際に仙波清彦さんの紹介でれいちさんと出会ったのだそうです。「ミル・キク・アソブ」は如月小春さんの芝居のための曲だと思っていた。オファーしたドラマーに断られて、代わりに紹介してもらったのがれいちさんだった、と。『アレポス』のれいちさんのライナーノートでも、代役で歌うことになったコンサートがきっかけで、アレポスが結成されたとあった。そこからこんな素敵な2枚の作品が生まれたことがなんとも。

 ところで、手にしてから気付いたけど、今回の新装カバーの写真の撮影場所は大阪なのだろうか。街灯の形で、あれっと思い。おふたりの向こうに見える建物は、日本銀行大阪支店のように見える。となると、中之島周辺との思い込みからか、裏表紙のうしろに映っているビルは朝日新聞大阪本社ビルのように見えてくるし。 

 アレポス『アレポス』には7曲追加。幻のセカンドアルバム用の録音が3曲。「A♭ダンス」の続編のような、エレクトリックギターも入るハードな曲「REVERIE」の他、現在も演奏されている英国古謡「An English Country Garden」など。他は、結成のきっかけとなったコンサートと同趣向と思われるシューマンやシューベルトの歌曲。最後のれいちさんの挨拶に和む(7月の話で季節外れではあるのですが)。「Waltz #3」は、作詞をした佐藤幸雄さんのバンド、絶望の友でも演奏されていたことを、今回の再発にあたっての佐藤さんのツイートで知る。絶望の友の演奏も聞いてみたかった。
 英国古謡を歌うようになったのは、藤井暁さんの薦めだったとか。そうしたことや録音風景など、れいちさんのライナーノートには、藤井さんとのやりとりが暖かい視点で描かれています。

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2016 Kijima, Hebon-shiki